銀河連邦だのワームホールだののある遠未来の宇宙時代。辺境の惑星イドラで生きる人々の物語。
オリジナルSF小説『神隠しの惑星』第一部です。
口を開けただけで歯茎に寒風が滲みて痛いので歯医者さんに行ったら『前歯がかなり欠けてますね』と言われた。歯ぎしりこそしないものの、歯を食い縛る癖がついちゃってて顎関節症で口が開かなくなったり、耳の下が痛くなったりしたことも。食い縛って歯が欠け、噛み合わせが狂ってますます歯が削れて、顎の位置がずれて肩凝りなど身体全体に影響が。癖なので意識的に上下の顎を開いた状態をキープしておくトレーニングしないといけない。いつ歯を食い縛る癖がついたか覚えている。弟に末期ガンが見つかって手術や治療がことごとく無効で半年で死んでしまった時だ。それから何年も、意識的に顎の力を抜かないと噛み絞めてしまう状態が続いた。その後、母の病気、父の死、母との同居とバタバタ続いて、歯が欠けた。舌が刺さるので何か食べ物に砂利とか貝殻が入っていたか、歯石...にじんだ星を数えて
アルテイシアさんの『母親を殺した犯人はお前だ!』という記事を読んだ。日本の女性が晒されているルッキズム、エイジズム、セクシズムの呪い。呪いが母親を歪め、その歪みが娘を苦しめる。『私は母に見た目を褒められたかったんじゃなく、愛されていると感じたかった』の行で泣いた。そうなんだよ。私も。私は母から愛されてると実感したことがない。母は愛するとはえこひいきすることだと思っていて、私は常に最下位だった。今も連日、母はうちの3匹の猫のうちの一匹に『お前が一番いい猫』と話しかけていて、私はその度に少しずつ傷ついている。我が家は3人兄弟で、兄と弟は母に似て私だけが父似だと言われていた。兄と弟を誉める言葉は惜しまないのに、私は可愛いはもちろん優しいとすら言われたことがない。外見も性格も能力も、揶揄されたことしかない。”塾なんかや...母を褒める
この漫画(トンちゃん5歳時)よりさらに3年後。人文学の唐牛(かろうじ)教授の研究室で、葵さんは助教授、ノンちゃんは助手という間柄です。◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇写真の中の母はいつまでも若々しくて、いつ見てもぎこちなく微笑んでいる。2歳で亡くなった母の面影はおぼろげにしか覚えていない。ショートカットにささやかなピアスをつけた、この飾り気のない女性が自分の母親だなんてピンと来ない。俺は母の年齢を追い越してしまった。その小さな私立図書館は昔から利用者に”ピアノ図書館”と呼ばれている。閲覧室の地下、書庫の隅に古ぼけたアップライトピアノがあって、司書は一日一回一曲はピアノを演奏すること、という理事長の厳命なのだ。弾ける人間が誰もいない時は、館長が人差し指で唱歌を弾く。常連客は慣れたもので、”今日ボク弾きましょうか”と申し出...ピアノ図書館(その1)
まったく。どいつもこいつも。「父上。落ち着いて」「そうよ。キジさん、そんな運転じゃ、幼稚園児とかお爺ちゃんとかシカとかツキノワグマを轢いちゃうわよ」「シカとかクマだとこのミニバン潰れちゃうね」「そうね。園児とか老人ならただ轢き殺すだけで済むけど」8歳の幼女コンビの妙に冷静な会話のおかげで少しクールダウンできた。とりあえず車の速度を落とす。確かに山道を70キロでは咄嗟に飛び出して来たカモシカと正面衝突を免れない。「で?リューカに後で拾うって言ったか?」後部座席で連絡係りをやっている幼女コンビの片割れ、魅月に聞く。「そのことだけど、鏡ちゃんが先に合流してから都ちゃんのとこに行こうって」魅月はとても中年には太刀打ちできないスピードで、こちらの会話をライブでライン配信している。リューカと鏡祖母さまは、ここから40キロほ...ピエタ(その1)
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