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武士と野球と絶えない想いと http://tama-ball.at.webry.info/

江戸幕府のまま近・現代化し、武家社会に野球が輸入されていたら…? 武士による侍野球を書いてみる。

野球が好きです。 江戸時代小説も好きです。 好きなものを、合わせてみました。 小説ってほどの物でもないですけど、創作です。 武家社会に野球が輸入されていたら…? 徳川家の皆様に申し訳ないほど、好き勝手に書いています。 あ、自分も女子野球のチームに入れてもらいました。 下記、愛すべき我がチームです。 http://wellnesswbc.pokebras.jp/

たまぞー
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2009/07/10

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  • 野球とは

    野球とは、剣技を極めた九名の武者が、殿様の振る采配に従って敵の本丸を落とすという、戦を模した競技である。 投手が高台の上から、本丸を守る捕手に向かって球を投げる。捕手が規定の位置で三球捕れれば良し。 ところが捕手の手前には打者が木剣を携えて待ちかまえ、白球を狙って打ち返さんとしている。 打ちこめないままで三球が捕手に渡ったら、打者は投手との闘いに敗れて討ち取られたことになり、一死。後続…

  • はじめに

    江戸幕府のまま、日本に野球が入って来たら…というパラレルワールドを書き散らかしてます。 登場人物は全て妄想。 徳川家はちゃんと現存してます。 織田公のご子孫がスケート選手で、伊達公のご子孫がお笑いタレントで、 本多忠勝の子孫がうちの会社で「肩が痛ぇ、腰が痛ぇ」と嘆きながら働いてるくらいですから、 そりゃあ、肝心の徳川家だって輝かしく現存してますよ。 徳川家は現在18代様。 なので、この妄想小…

  • 長松丸光忠の青春(23)

    なんとも泥臭い将軍家のサヨナラ勝ちである。 将軍家の幕内から戦士達が飛び出して、山本を助け起こしてはもみくちゃに抱きしめ、叫び、走り回る。 客席にいた観衆はその様子を呆気に取られてみていた。 「なんだったのだ? この試合は……」 「将軍家にふさわしからぬはしゃぎようではないか。みっともない」 「いや、江戸でこのように緊迫した試合を観るのは久方ぶりじゃ。練習試合とは思えぬ気迫であった」…

  • 長松丸光忠の青春(22)

    山本は本丸を見てはいなかった。その血走った瞳は紀州捕手の目だけを見ていた。 歯を食いしばり、山本は捕手の体にぶつかっていった。 「たとえ体が壊れてもこの本丸は死守してみせる!」 とっさに捕手は体で本丸を隠すように座り込んで衝突に耐えようとした。 だが……。 関口新心流は合気、相手の勢いを利用して優勢を取る。普段ならばタッチした後に衝突を利用して己の体を逃がす。だが、山本の気迫に呑まれたた…

  • 長松丸光忠の青春(21)

    試合は再開された。 九回裏、無死満塁。サヨナラする絶好の状況。 一球、二球と渾身の力で腕を降り、すさまじいキレの変化球が投じられる。カウントは2-0。 打ってみろといわんばかりじゃ……。 内野は前進守備、本丸を死守の備え。 空振りは取れたらもうけもの、ともかく凡打させるつもりじゃ。となれば遊び球はなかろう。 三球目。 確かに遊び球ではなかった。が、その勝負球は、いわばストライ…

  • 長松丸光忠の青春⑳

    「山本どのが? いや、しかし、山本どのは老練の士。失礼ながら俊敏さにて少々……」 「左様。代走ならば、まだ柳生の若い者もいてござるぞ」 「うん、でもワシならあの本丸のためにこの体どうなろうと、向後に差し支えはない。体全部で飛び込めるぞ。有望な戦力に、正木どののような怪我をされては困る。今日の試合、若君はどうやらこの軍の先の姿を見定めておられる。違うかな?」 馬庭念流は上野国馬庭の地で樋口家に…

  • 長松丸光忠の青春⑲

    「いつもなら山賀の大砲一発で試合は終わっていた場面を、零のままで済ませたのだ! これはまだまだ勝っていると考ていいのだ」 そう励ましあう紀州軍に対して、無死満塁の好機だというのに、将軍家の方が気圧されているようだった。 「これが結束力の差か?」 かくいう光忠も怖さで膝が震えていた。 「た、担架じゃ。正木を運べい」 久松の指示で運ばれてくる正木の担架に、光忠はすがりつく。 「すまぬ、正木すまぬ。…

  • 長松丸光忠の青春⑱

    激しい気合いとともに、渾身の力を込めて投げ込まれた球をめがけ、山賀は一刀のもとに斬りおろした。迷い無く振り下ろされた木刀に、白球は弾き返される。 「何?!」 そう叫んだのは山賀自身だった。 「よし!」 そう叫んだのは紀州の捕手である。 投じられた球は内に切り込む変化球だったのだ。差し込まれた分だけ木刀の根元にあたってしまった。 それでも山賀は見事だった。 紀州軍にしてみれば狙い…

  • 長松丸光忠の青春⑰

    「待った!」 紀州軍の捕手が主審に願い出て、投手のもとに駆け寄り、内野手を集めた。 「もともと負けてやるつもりの稽古試合ではないか。落ち着け。ムキになることもなかろう」 「いや、ここまできたら勝ちたい! わしは勝ちたい!」 「ハッハッハ。無論、勝つ。しかし、そうカッカしては敵の術中にはまる。正木など気にするな。走りたければ走ればよいのじゃ。今日のおぬしの球、ここまで山賀の芯を外してきておる。球…

  • 長松丸光忠の青春⑯

    暗がりにひっそりと控えていた正木は、ぬーっと音もなく立ち上がる。 「なっ、貴様、走れるというのか? さては仮病であったか!」 「うぬ、わしらを悪者にしたのか。卑怯な」 ゆっくりと出丸へと向かう正木は、そんな雑音など聞こえていないかのように無表情。本当に脚は大丈夫なのだろうかと、柳生派の者どもは顔を不安げに見合わせる。 「ほう? なにやら幕内から悲鳴がしたと思うたら正木が出てきよった。何があ…

  • 長松丸光忠の青春⑮

    これで一打サヨナラの可能性はぐっと大きくなった。 一死は覚悟していたのに、あろうことか無死である。仮に山賀が倒れてもサヨナラの可能性はまだまだ残る。 久松の采配で、圧倒的に有利な状況を生み出せたわけだ。不安で押しつぶされそうだった久松はこぶしを何度も握りなおして、 「よし! よし!」 と己に言い聞かせる。 そんな指揮官の気合を、幕内の戦士たちは困惑げに見ていた。 が、長松丸光忠は、そ…

  • 長松丸光忠の青春⑭

    普段なら何も考えずにいても、こうした好機には打ちごろの球が来る。それをいかに堂々と打ち、魅了出来るかが戦士たちの腕の見せどころ。 だが今日は違う。 久松は貧乏ゆすりしながら必死に知恵を絞った。記憶の片隅で埃を被っている戦略知識を探しまわった。 「む、む。うぬ。えい、くそ」 狙って犠打など打たせたことはない。だが、やるしかない。 「長峰!」 打席に入りかけた三番打者を呼び戻して耳打ちする…

  • 長松丸光忠の青春⑬

    戦装束を茶色く染めた紀州軍が戦場に走りでて陣形を敷く。全速力で飛び出していく彼らに、観戦していた両家中が思わず拍手する。 空気は紀州軍の味方だった。空の青さも、風の匂いさえもが彼らを爽やかに演出した。 だが同じ客席にあっても、この状況に動揺した大旗本衆の一部が敵や久松に罵声を浴びせる。 「久松は何をしておるのじゃ!」 「御三家といえども、将軍家に対して失礼先晩であろう! わきまえよ! わ…

  • 長松丸光忠の青春⑫

    試合はもつれた。 徳川軍の先発投手は無類のタフネス、北辰一刀流剣士の雨谷。一方の紀州徳川軍は名も無き戦士達が短いイニングを入れ替わり立ち替わり、とにかく全力でぶん投げてくる。 戦士個々は圧倒的な力の差を誇るにも関わらず、決死の紀州軍の前に将軍家は拙攻を繰り返した。 あまりに得点出来ず、久松をはじめ、徳川軍の幕内は皆、焦りで浮き足だってきた。 マイペースに好投を続けていた雨谷も、さすがに…

  • 長松丸光忠の青春⑪

    その言葉に最も驚いたのは、徳川軍の戦士たちだった。自分たちが手加減されているなどとは、夢にも思っていない。 「みっともない。頓狂な若君よ!」 そんなことを口にした光忠にジリジリとした。 慌てたのは久松である。 「わ、若君、なんと仰せられました?」 光忠は自軍に向き直る。 「手加減無用にと伝えたのじゃ。。山賀率いる小野派一刀流の剣士達、正木率いる柳生の戦士達、そして旗本になおってくれた、心強…

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