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SMOOSKYの館 https://blog.goo.ne.jp/smoosky

smooskyさんの小説サイトです。 別窓の日記もオモシロイ。 smooskyワールドをご堪能あれ♪

<小説のあらすじ> 1人の少女が誘拐された。それはどこにでもある誘拐事件だった。そう、ただ一つ振り込まれた1億円を除いては。与えられたルールは至極単純で、1億円は自由に使っていいということ。ただし、警察に告白すれば、そこでゲームは終了。この奇妙な事件に探偵、可崎が謎を解く。 <執筆者よりひとこと> もし命を失ったときに心残りがあるとすれば、煙草が吸えなくなることだけだ。

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2009/07/05

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  • 天秤にかけられた命 第5幕 ゲーム 5

    「皆さんがどうしてここに集められたのか。僕の疑問はそこにありました」時計を見ると、もう出題から10数分が経過している。なるべく早目に切り上げなければ、再びゲームが進行してしまう。可崎はためらう事もなく話を続けた。「初めは、御影氏と何らかの接点がある者がここへ集められたと思いました。しかし、今までのやりとりを見てもそうとも言えない事がわかりました」皆は顔を見合わせ、お互いを確認するように頷く。「確かにそのようですね。僕は井村さんの付き添いですが、井村さんも記事で取り上げた程度で、それほど深い関係があるわけではないようです」小野寺が話に合わせるように呟くと、木村に視線を送る。「私たちのグループでは私が招待状をもらいましたけど、私もそれまでは御影新蔵なんて名前も知りませんでした」可崎はちらりと近藤を見つめるも、それは...天秤にかけられた命第5幕ゲーム5

  • 天秤にかけられた命 第5幕 ゲーム 4

    小野寺のその一言で、それまでの思考がこちらの世界へと切り替わる。可崎ははっと我に返ると、申しわけなさそうに頭をかき、椅子へと腰かけた。「済まない。それじゃあ出題者だが、誰か名乗り出る方はいませんか」そうして言葉を発しながらも可崎は先ほどまでの思考の海へと戻ろうとするも、それを制するように安川が静かに手を挙げた。「最後まで残るとまた余計に疑われてしまいそうですし、ここは私が引き受けましょう」二度目の制止に可崎はもう諦めるように目を瞑った。そして、悟られないようにとため息をつくと、どうぞというように安川へと手をかざした。「とは言っても、私は皆さんのように難しい事は考えられません。単純な出題になってしまいますが、お許しを」初めに霧島とのやりとりで見せた荒々しい素振りとは大違いのまるで教科書のような丁寧な口調でそう呟い...天秤にかけられた命第5幕ゲーム4

  • 天秤にかけられた命 第5幕 ゲーム 3

    霧島がそうしてふてくされたような調子でそう言うと、皆もいまだに不安が残るものの、ぞろぞろとテーブルへとついた。しかし、改めて皆をぐるりと見渡すと、不思議な面持ちで可崎が声を上げた。「井村さん、彼はどこへ行きましたか」突然の投げかけに井村はびくりと体をこわばらせるも、少しの沈黙の後、先ほどとはまるで別人のようなひどく小さな声で呟いた。「彼……というのは」そうして井村は左右に首を振るとようやく可崎の意味するところに気がついたようで、はっとなり口を開いた。「小野寺君、水橋君はどこへ行ったのか知っているかしら」「さあ……」皆も先ほどの場面をふと思い返す。近藤が皆を呼びかけ、全員がここに集まったはずであった。いや、もしかすると、そのときから既に水橋はいなかったのだろうか。「まさか。彼はここから出ようとしているのかもしれな...天秤にかけられた命第5幕ゲーム3

  • 天秤にかけられた命 第5幕 ゲーム 2

    「これは……」カーテンを払いのけた先にある壁には大きな画面が設置されており、中央には人影が映っている。いや、人影と呼べるかどうかも疑わしい。どこかの部屋であるようだが、明かりはついておらず、時々、目の前の人影がゆらりゆらりとまるで亡霊のように左右に揺れ動くだけだ。しかし、2人にはそれがはっきりと人であるとわかった。「おい、カーテンを端まで開けてくれ」霧島の言葉に可崎はゆっくりと天井を見上げる。どうやら部屋の中央を境に左右に開かれるタイプのものであり、片方を左右の壁側に引っ張ると向こうも連動して画面全体があらわになった。そうして一歩下がると、改めてそれを覗き込むように見る。まだ何も発せられはしないが、不気味な様子に思わず足が後ろに引けてしまうほどだ。「お前は誰だ」「……初対面でそんな言い草はないだろう。霧島君」暗...天秤にかけられた命第5幕ゲーム2

  • 天秤にかけられた命 第5幕 ゲーム 1

    トイレで用を足すと、小さくため息をつきながら、鏡の中の自分を見つめる。目の下にはくまができており、どことなしか顔がやつれている姿に、可崎は冷たい水をパシャリとかけた。第2クールの最後の出題が終わり休憩に入ると、皆が無言のまま立ち上がり、ぞろぞろとホールを後にした。それぞれの部屋に戻りつかの間の休息をとる者、両肩に重苦しくのしかかった空気を払い落すようにと背伸びをしながら廊下の壁にもたれかかる者、イベントという華やかな名称とは対照的に誰もが疲れた様子を隠し切れずにいる。もう数時間も立てば朝日が昇りまちを照らすころだろう。しかし、ここには窓はなく、時間を感じさせるものは一切置いていない。ただ、自分の腕に巻かれた時計の針が刻々と時を刻むのを見るばかりで、本当に正しいのかどうかさえもわからない。この空間は外界の情報の一...天秤にかけられた命第5幕ゲーム1

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