一人の小太りの男がバイパスに面した「ローソン」の広い駐車場に車を入れる。ガソリンがなくなりかけていたのだが、手持ちの金もなかったのだ。十数年ぶりに袖を通...
昨夜からつづいている不安のせいだと思う。真夜中に姉に揺り起こされても腹を立てることもできなかった。瞼をひらこうとすると目玉も一緒に持ち上げられてほとんど...
水族館なんか、おもしろくもなんともない。 ウェットスーツを着た女性スタッフが水槽に姿を見せたから、大きく手を振ってやった。ちょっとおもしろそうだった...
町外れのカフェで一人のウエイトレスに禁煙席のフロアの照明を落としてもいいだろうかと頼まれる。彼女に名前はない。彼女は玉葱の皮みたいな単一的な肌の色をして...
夜、素振りの練習をするために少年が城跡の公園に入り込むと、屋根付ベンチの下で行き場のない女と出会う。女は胎児の様に丸くなりまどろんでいる様にも見えたが、...
夕焼けが赤く染まり始めると、太郎は十本目の缶ビールを飲むべくプールへと手を伸ばした。彼はプルリングに付いた風船の紐を指の付根に縛りつける。彼の頭上では十...
夜の間に何者かの救助作業が行われているようだった。十分ほど前にサイレンが鳴り、Mは閉めきった部屋の中から火事でないことを確かめるためにそっと雨戸を開けて...
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