◇ なぜ日銀はコソコソ動くのか = 東京債券市場で22日、10年もの国債の流通利回りが一時1%を超えた。13年5月以来11年ぶりのことである。理由は日銀が通常の買い入れオペで、国債の購入額を突如として減らしたからだ。このため国債の流通価格が下がり、利回りが上昇した。2年ものや5年もの国債の利回りも上昇している。市場では「日銀が政策金利の引き上げ準備を始めた」という観測が、一気に広がった。市場の観測はまだ収斂して...
経済問題の分析、解説。特に政府の政策に対する批判。いくつかの大学で教科書代わりに利用されています。
最近の例では、1000円高速料金やエコポイントへの批判。景気回復の芽をいち早く探し出しています。またアメリカのGMやクライスラーが破産法の申請しか可能性がないことも、数か月前から予想しています。 原則として祝日以外は、記事を更新。株価の上昇、下落も毎日予想しています。これまで3年間の騰落予想では、勝率が約7割。証券マンの読者も少なくありません。
◇ 外国人だけが享受できる円安メリット = 主要国の通貨に対する日本円の相場が、大幅に低下している。米ドルに対しては140円台に下落、昨年11月以来6か月ぶりの安値となった。ことし1月の高値127円に比べると、13円も安い。企業の多くは125-130円を想定しているから、利益は増える。このため市場では輸出関連銘柄が買われ、日経平均も急激に上昇した。円安が急激に進んだ原因は、日米間の金利差が拡大したこ...
◇ 日本人は大幅な売り越しなのに = 東京市場の株価が高い。日経平均は先週3万1000円前後にまで上昇、実に33年ぶりの高さを回復した。先週まで7週間の連騰で、この間の上げ幅は3398円に達している。買っているのは、主として外国人投資家。その半面、国内の投資家はほとんどが売っている。なぜ、こんなことになったのか。いつまで、この状態が続くのか。とにかく外国人投資家は、よく買った。日本取引所グループの集計によると、...
◇ 政府債務問題は原則合意した = ダウ平均は先週333ドルの値下がり。終り値はかろうじて3万3000ドルを維持した。物価上昇の勢いはやや鈍化したが、インフレと景気の見通しはいぜんとして不透明。パウエルFRB議長の「利上げの必要性は、これまで想定していたほどではなくなった」という発言にもかかわらず、株価は上がらなかった。それ以上に政府債務上限引き上げ問題がこじれて、株価の重石となってきたからである。日経平均は...
◇ 東京は14%、北陸は42%の引き上げに = 経済産業省は先週19日、大手電力7社の家庭向け電気料金引き上げを認可した。最も小幅な値上げは東京電力の2078円(14%)、最大は沖縄電力の5323円(38%)。いずれも6月使用分から適用される。ただし政府の補助金によって、6-8月分は2800円程度、9月は1400円程度が割引となる。10月以降の補助金については、いまのところ未定。中部・関西・九州の3社は、値上げを申請しなかった。輸入...
◇ 上場企業の利益総額は最高水準を更新 = 上場企業の23年3月期決算発表が、ほぼ終了した。日経新聞の集計によると、1154社の純利益は前年比1.3%の増加。わずかではあるが、史上最高の利益水準を更新した。これが東京市場の株価を押し上げる要因の1つとなっている。ただ内容を見て行くと、今回の決算にはいろいろな形での明暗が存在した。まず製造業の純利益は、前年比7.8%の減少。世界経済の低迷や半導体の供給不足で、減益...
◇ 台湾、韓国から日本へ疎開する = いま世界の半導体メーカーは、大きな問題に直面している。半導体の供給を確実なものとするため、各国が競って自国での生産を強化しようとしていることへの対応。たとえばアメリカ政府は5年間で7兆円、EUは30年までに6兆3000億円の予算を使って半導体メーカーを囲い込む。これと関連して、もう1つの問題は台湾と韓国に集中し過ぎた生産体制の見直しだ。半導体の製造能力を国別にみると、韓国...
◇ 世界7社のトップが異例の集合 = G7(主要7か国)広島サミットが閉幕した。インドやブラジルなどの新興国首脳も参集、ウクライナのゼレンスキー大統領も登場して迫力満点。首脳宣言では「武力や強制力での一方的な試みに反対」や「核兵器のない世界を実現」がうたわれ、大成功だったと言っていい。ただ現実的には、これが戦争の終結や核兵器の不使用にどの程度まで有効なのか。残念ながら、大きな疑問符がついてしまう。サミ...
◇ なぜ大差がついた原因を究明しないのか = 日経平均株価は先週末3万0808円にまで上昇。バブル末期の1990年8月以来、実に33年ぶりの高値を回復した。コロナ規制の解除で経済の正常化が進み、円安の影響も加わったことが原因。アメリカやヨーロッパでは金融引き締めで景気の先行きが不安、中国の回復もはかどらない。こうしたなかで日本の状況に光が当たり、海外の投資家があり余る資金を東京市場に投入した。「よくぞ、ここまで...
◇ 日経平均が33年ぶりの高値に = ダウ平均は先週126ドルの値上がり。3週間ぶりの上昇だったが、内容は3万3000ドル台での一進一退。連邦政府の債務上限引き上げ問題に進展があったと言って上げ、小売りや生産の実態が予想以上に強いと言って下げた。FRBがさらに利上げすることは、ほぼ織り込んだ。景気後退は避けられないという見方も広まっているが、その程度は浅いという予測が株価を下支えしている。日経平均は先週1420円の...
◇ この6月中にも中国を抜いて = 国連の推計によると、インドの人口はこの6月にも14億2860万人に達し、中国を抜いて世界一の人口大国になる。10年前には中国が1億人以上も上回っていたが、急速に追い付いた。インドの医療水準が向上し乳幼児の死亡率が低下した一方、中国は一人っ子政策の影響で人口が減り始めた。インドの人口は60年代に17億人前後でピークを迎えると推定されている。インド経済はコロナ禍にもかかわらず、順調...
◇ 1-3月期の成長率がプラス1.6%に = 内閣府の発表によると、ことし1-3月期の実質GDP成長率は年率でプラス1.6%だった。3四半期ぶりにプラス成長に戻っている。内容をみると、いずれも年率換算で個人消費が2.4%の増加、企業の設備投資は3.8%の増加。コロナ規制が徐々に緩和されたことと、半導体などの供給が回復したことが主たる原因だ。ただし輸出が15.6%も減少したことが、大いに気がかりな点となっている。これで主要国...
◇ 昨年度は黒字額がガタ減り = 企業のなかには本業で大赤字を出しながら、海外の投資事業で大きく儲けているところもある。その合計額が黒字ならば、その企業は市場から認知され株価も上がりやすい。M&A(合併・買収)や債券・株式投資に成功している企業だ。だが仮にそんな企業の投資収入が増え続けても、本業の赤字がもっと増えて全体の黒字が減り始めたら、どうだろう。市場は先行きを心配し、株価は下がるに違いない。...
◇ 金融不安の残り火に油を注ぐ危険性も = バイデン政権は、政府の債務上限を1兆5000億ドル引き上げるよう要求している。これに対して共和党は、財政支出を4兆5000億ドル削減する独自の法案を下院で可決してしまった。この削減にはバイデン大統領が最重要としている気候変動対策も含まれる。だから双方ともに、引っ込みがつかない。来年の大統領選挙の前哨戦ともなりつつある。オバマ政権のときの対立とは、異なる要素が2つ。そ...
◇ 6月には政府活動が停止する危険性 = 企業でも個人でも、手元におカネがなくなる。すぐには調達できる見込みもないと、どうなるか。従業員の給料が支払えなくなったり、買ったものの代金が払えない。借金の返済も出来なくなる。こんな状態をデフォルト(債務不履行)と言う。いまアメリカ政府が、このデフォルト状態に陥ろうとしている。いったい、どうしてなのだろうか。アメリカでは放漫財政を抑止するため、政府に許される...
◇ 日経平均は1年半ぶりの高値に = ダウ平均は先週374ドルの値下がり。週5日間の続落だったが、その割に下げ幅は小さかった。4月の雇用統計が予想を上回る強さを示し、ニューヨーク連銀の総裁が「利上げを終了するとは言えない」と発言。FRBの引き締め政策はまだ続く、という予測が強まった。また連邦政府の債務限度引き上げ問題が決着しないことも、株価の重石となっている。日経平均は先週230円の値上がり。終り値は2万9388円...
◇ 補正予算は計141兆円、国債増発は128兆円 = コロナ感染症の扱いがインフルエンザ並みに格下げされ、コロナとの闘いには一応の終止符が打たれた。だが政府はこの3年間に、実に莫大な支出を余儀なくされている。20-22年度に編成された補正予算は6回に及び、その総額は140兆8094億円。1年分の本予算額をはるかに超えた。その財源を賄うために発行された国債は計127兆6097億円。先進国中で最悪だった日本の財政状態は、さらに大...
◇ 再び上昇気流に乗って = 金の国際価格が1トロイ・オンス=2000ドル台を推移、史上最高値の更新を狙っている。ニューヨーク市場の先物相場は11日時点で2037.1ドル、20年8月に記録した史上最高値の2089.2ドルにもう少しだ。最近の推移をみると、上昇が始まったきっかけは22年2月のロシアによるウクライナ侵攻。その年の3月には、2078ドルの高値を付けている。その後は反落したが、ことし3月からは再び上昇気流に乗った。金は‟最...
◇ 闇夜を手さぐりで歩くことに = 新型コロナ・ウイルス感染症の法律的な分類が、今週から「5類」に格下げされた。パンデミック(世界的大流行)に落ち着きの傾向が続いているためで、季節性インフルエンザと同じ扱いになった。すべての行動規制が解除され、療養や感染防止は基本的に個人の判断に任される。過去3年にわたった‟ウィズ・コロナ”の生活に終止符が打たれたわけで、非常に喜ばしい。ただ医療費の窓口支払い分は、原...
◇ あちら立てれば、こちらが立たず = インフレを抑えるためには、金融引き締めが必要。その副作用で景気には下押し圧力が加わるが、それは仕方がない。FRBは昨年3月からこうした考え方を貫き、金利を引き上げてきた。だが引き締めが手ぬるければインフレは抑制されないし、厳しすぎれば景気が大きく悪化してしまう。そのバランスを計るだけでも、実際の政策運営はきわめて難しい。そこへ、こんどは金融不安が加わった。金利の上...
◇ 預金の取り付けもSNSで一瞬に = 女子高校生2人が電車内で、信用金庫に就職が決まったもう1人の同級生に「信金は危ないよ」と冗談を言った。あとで判明したことだが、その意味は「強盗が入ることもあるから」ということだった。ところが言われた女子高生は、家に帰って「信金は危ないのか」と家人に質問。家人は知人に聞いたことから、噂が拡散。この信用金庫には預金を下ろす人が殺到してしまった。いわゆる‟取り付け騒ぎ”、1...
◇ 尾を引くアメリカの銀行経営不安 = ダウ平均は先週424ドルの値下がり。またまた3万4000ドル台から押し戻された。FRBが予想通り0.25%の利上げを決定、次回は利上げを停止する可能性を示唆。ところが株価は下落した。パウエル議長が年内利下げの可能性を否定したことも響いたが、それよりも中堅銀行の経営不安が意外と長引いている現実。利上げで苦しくなる銀行も出そうなことが、株価の足を引っ張った。ただ金曜日には中堅銀...
◇ インフレ収束のメドは立たず = アメリカの中央銀行であるFRBは3日、政策金利の0.25%引き上げを決定した。利上げは昨年3月以降、連続して10回。新しい政策金利は年5.25%、約16年ぶりの高さとなった。インフレの勢いが収まらないためで、FRBは「景気よりもインフレ退治を優先する」姿勢を貫いた。たとえば3月のPCE(個人消費支出物価)は、前年比4.6%の上昇となっている。ただ今回の利上げに際しては、FRBの姿勢に大きな変化...
◇ 失敗の責任は誰がとる? = 「ゴールデン・ウイークにはカジノへ行って遊ぼうか」--こんな日が間もなくやってくるかもしれない。大阪府・大阪市が推進するカジノを含むIR(統合型リゾート)計画を、政府が認定した。大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)に建設するこの計画は、日本で初めてのカジノを中心に、国際会議場や大型ホテルを整備。29年の開業を目指す方針だ。しかし地元でも反対論が強く、これから事業がすんなりと進...
◇ 船長の説明はきわめて常識的だったが・・・ = 日銀は先週28日、新体制となって初めて開いた政策決定会合で、‟超金融緩和政策”の継続を決めた。会合後の記者会見で、植田総裁は「もう少し辛抱して、粘り強く金融緩和を続けたい」と発言している。関係者のなかには政策の修正あるいは変更を期待する人も少なくなかったが、サプライズはなし。きわめて無難な船出となった。このため、この日の円相場は一時136円台に下落、日経平...
◇ 日経平均は年初来高値を更新 = ダウ平均は先週289ドルの値上がり。終り値はまたまた3万4000ドル台に乗せた。ただ、このところ3万4000ドル台に乗せると、すぐに押し返される動きが続いている。週の前半にはファースト・リパブリック銀行の預金流出騒ぎで下げたが、後半は予想以上にいい決算発表の結果を好感して上げた。今週は決算発表がピークを迎えるから、当分は最大の関心事になるだろう。日経平均は先週292円の値上がり。...
「ブログリーダー」を活用して、経済なんでも研究会さんをフォローしませんか?
◇ なぜ日銀はコソコソ動くのか = 東京債券市場で22日、10年もの国債の流通利回りが一時1%を超えた。13年5月以来11年ぶりのことである。理由は日銀が通常の買い入れオペで、国債の購入額を突如として減らしたからだ。このため国債の流通価格が下がり、利回りが上昇した。2年ものや5年もの国債の利回りも上昇している。市場では「日銀が政策金利の引き上げ準備を始めた」という観測が、一気に広がった。市場の観測はまだ収斂して...
◇ 補助金→生産増→安売り→輸出増 = いま中国は不動産不況に悩んでいるが、鉱工業生産だけは順調に増加している。だが主要製品の生産は過剰で、価格が下がっていることも事実。たとえば4月の卸売り物価でみると、鉄鋼の価格は前年比8.1%の下落。4月の消費者物価でみると、自動車は4.3%、スマホは2.9%の下落となっている。しかし価格が下落しても、生産は衰えない。政府が補助金を出して、増産を奨励しているからである。国内で...
◇ 米政府が中国製EVに関税100% = バイデン政権は先週14日、主要な中国製品に対する制裁関税の大幅な強化を発表した。EV(電気自動車)については25%だった制裁関税を100%に。また自動車などに使用する旧世代の半導体については25%を50%に。車載用リチウムイオン電池は3倍の25%に。太陽電池は2倍の50%に。さらに鉄鋼とアルミは3倍の25%に引き上げる。通商法301条に基づく措置で、「安価な製品の流入を防ぎ、国内産業...
◇ 当面の焦点は22日のエヌビディア決算発表 = ダウ平均株価は先週末、とうとう4万ドル台に乗せた。20年11月の3万ドル乗せから、3年半での大台替わり。4月の雇用情勢や小売り売上高、それに消費者物価が、そろって予想をわずかに下回る伸びに。FRBの利下げが早まるという期待が高まって、株価を押し上げた。ただ高値で確定売りも出やすくなっている。今後も株価は上昇を続けるのだろうか。当面の関門は、22日に発表されるエヌ...
◇ ダウの続伸は半導体の業績しだい = ダウ平均は先週491ドルの値上がり。金曜日には、終り値でとうとう4万ドル台に乗せた。1999年3月に1万ドル、2017年1月に2万ドル、20年11月に3万ドルという上昇の軌跡。この10年間では2.4倍に膨張している。先週の値上がりは、4月の消費者物価と小売り売上高が予想をやや下回ったことが原因。FRBが利下げを早めるのではないかという期待が、市場に広まった。日経平均は先週558円の値上がり...
◇ 物価の上昇で節約ムード広がる = 内閣府は16日、ことし1-3月期のGDP速報を発表した。それによると、名目経済成長率は年率換算でプラス0.4%、実質成長率はマイナス2.0%だった。不正認証問題で自動車の生産が減少、消費や輸出にも悪影響が及んだ。しかし名目成長率はプラスを維持。物価が3.6%上昇したために、実質成長率はマイナスに沈んでいる。こうしたなかで特に注目されたのが、個人消費の落ち込み。これで4四半期連...
◇ 達成できない計画の連続 = エネルギーの大半を輸入に頼る日本にとって「エネルギー基本計画」は最も重要な経済政策の青写真だと言える。2003年に初めて作成され、その後3年ごとに改定されてきた。だが残念なことに、この計画目標が達成されたことはない。目標の水準が高すぎるのか、それとも達成するための具体的な政策に欠陥があるのか。いずれにしても、責任官庁である経済産業省の失態。ことしは改定の年に当たっているが...
◇ 太陽光発電は余って困っているのに = 気象庁の予測によると「ことしの夏は猛暑になりそう」だという。そして気温の上昇とともに、電気料金もどんどん上がりそうだ。たとえば標準家庭について6月請求分をみると、東京電力は8538円で5月より401円高くなる。大手10社がすべて値上げし、いちばん高いのは北海道電力の9114円。いちばん安いのは九州電力の7101円ということになる。国際的なエネルギー価格の高騰に、円安による輸入...
◇ 景気後退の予兆も現われた = これまで暖流に囲まれてきたアメリカ経済に、寒流が入り込み始めた。再び暖流が勢いを取り戻すのか、それとも寒流が強さを増して行くのか。まだ断定はできない。ただ景気後退の予兆も現われており、もし寒流が勢いを増すと、FRBによる利下げが早まったり、円高が進行したりする。日本経済への影響も非常に大きいので、注意が必要だ。潮目の変化は、まず4月の雇用統計に表われた。非農業雇用者...
◇ ダウ平均は最高値更新の勢い = ダウ平均は先週837ドルの値上がり。5月に入ってからは8連騰で、終り値は3万9513ドル。3月末に記録した史上最高値まで、あと300ドルに接近した。4月の雇用統計で雇用者の増加数が予想を下回り、FRBの利下げ期待感が増大。また3月期の企業決算が好調だったことも、株価を押し上げた。さらにハマスが休戦案を受け入れたことで、安心感が広がった。日経平均は先週7円の小幅な値下がり。ニューヨ...
◇ 個人消費の減り方に注目 = 内閣府は16日に、ことし1-3月期のGDP速報を発表する。それに先駆けて民間の調査機関が、続々と予測の結果を発表した。読売新聞によると、民間10社が予測した実質成長率は年率換算でマイナス1.0%~マイナス3.3%。全社がマイナスを予測し、その平均値はマイナス1.8%だった。NHKも11社について、ほぼ同様の内容を報道している。民間の事前予測は当たらないこともあるが、全社がマイナスを予...
◇ 理屈に合わない日銀のアプローチ = FRBは急激な金融引き締め政策で、インフレを抑え付けようとした。しかし物価はまだ3%以上の上昇を続けている。これを2%の上昇にまで下げることが最終的な目標。だが、これ以上の引き締めは景気を悪化させる危険があるので難しい。このため政策金利をずっと5.25%に据え置いたまま、様子を見ているのが現状だ。それでも「物価2%」という目標は、満月のようにはっきりと見えている。日...
◇ 中央銀行はそれぞれの難問を抱え込んだ = FRB(連邦準備理事会)はアメリカの中央銀行、日本銀行は言うまでもなく日本の中央銀行だ。この2つの中央銀行はいま、それぞれに大きな問題を抱え込んで苦しんでいる。中央銀行の使命の1つは、通貨価値の維持。同時に経済の健全な成長にも、目を配らなければならない。だが近年は、その目的をなかなか達成できない。金融政策の効力が低下してきたためである。アメリカの場合。FR...
◇ 日経平均、4月は1964円の大幅安 = ダウ平均は先週436ドルの値上がり。終り値は3万8600ドル台にまで戻している。FRBが金融政策の現状維持を決めたことは、完全に織り込み済み。市場では「一つの儀式が終了した」という感じ。また週末に発表された雇用統計は予想を下回り、インフレ抑制への期待が高まった。さらに1-3月期の企業業績も堅調で、中東情勢に落ち着きが見えれば、株価はまだ上げそうな気配をみせている。日経平...
◇ 23年度は就業者が28万人増加した = 総務省が発表した23年度の労働力調査をみて、ちょっと驚いた。世の中は人手不足で騒がしいが、この調査をみる限り人手がひどく不足するような原因は見当たらない。たとえば完全失業率は2.6%、失業者数は平均178万人で、ともに前年度と変わりなかった。また就業者数は6756万人で、前年度より28万人増えている。増え方は大幅とは言えないが、それでも働く人はそこそこ増えている。それなの...
◇ 日銀がひと言つぶやけば円高になるのに = FRBは1日の政策決定会合で「現行の金融政策を据え置くこと」を決めた。声明のなかで、FRBは「ここ数か月間、2%の物価目標に向けた進展がみられなかった」と、その理由を説明している。パウエル議長も記者会見で「インフレ抑制への自信を得るまでには、まだ時間がかかりそうだ」と補足した。市場は完全に織り込んでいたため、株価は小幅に値上がりしただけだった。ところが為...
◇ 「この程度の円安なら全く心配なし」という非常識 = 円相場は29日、朝方に160円台まで下落したあと6円近くも反発。市場では政府・日銀が介入したとみている。今回の円安を加速させた直接の原因は、植田総裁の26日の発言。記者の方から‟助け舟”のような質問が出た。--「円安進行による物価への影響は、無視できる範囲なのか」--これに植田総裁が「はい」と答えたため、一同は唖然。為替市場では円の対ドル相場が一気に158...
◇ 市場は円安の悪影響を警戒 = ダウ平均は先週253ドルの値上がり。終り値は3万8000ドル台を回復した。しかし3月下旬に記録した史上最高値を、まだ1500ドル以上も下回っている。1-3月期の実質成長率は1.6%で予想に届かなかったが、景気の基調は強いと判断された。また1-3月期の企業決算が好調だったことも、株価を押し上げる材料となっている。日経平均は先週866円の値上がり。しかし終り値は3万8000円に届かなかった。3月下...
◇ 原因は成長政策の欠如とゼロ金利 = IMF(国際通貨基金)は「インドのGDPが25年中に日本を上回る」という推計を発表した。かつて日本はアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国だったが、中国とドイツに抜かれて、現在は第4位。インドに抜かれれば、第5位に転落する。人口がバカ多い新興国だから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、世界の多くの人たちに「日本は老衰した昔の経済大国」といったイメージを植え付けたり...
◇ ‟上場”の意味を考え直すチャンスかも = 上場廃止は、いまに始まった現象ではない。たとえばリーマン・ショック後にも増加したが、当時の原因はほとんどが経営不振。倒産したり、上場基準を維持できずに市場から撤退した。これに対して昨今の離脱は、経営者が意図して決定する、一種の”積極的な戦略”。ただし一般的に言うと、外部や一般株主による提案や要求から逃れるための‟消極的な目的”による場合が少なくない。たとえば東...
◇ 日本の実態は霧のなか = 中国で、コロナの感染が再拡大し始めた。政府はなにも発表していないが、北京や上海の病院では外来窓口が大混雑。こうした光景を見て、多くの国民がコロナの感染増加を知ったという。また一部の専門家は「再拡大は4月中旬に始まった。1週間の新規感染は5月末で4000万人、6月末には6500万人に増えるだろう」と予測している。いま流行し始めたコロナ・ウイルスは、オミクロン型より感染力が強いXBB型...
◇ 試験・大都市集中・賃金・・・不安だらけ = 「転職、永住できない。家族ダメ。そんな所で働けない」--外国人労働者の不満に応えて、それらが可能な特定技能2号を活用することにした。だが「2号」には、試験がある。試験を易しくすれば、熟練労働者と初心者が同じ待遇を受けることになってしまう。試験を難しくすれば、人が集まらない。この難しいサジ加減を、だれが決めるのか。きわめて不安だ。転職が可能になる。すると...
◇ 制度改革案には問題が大あり = 外国人労働者を受け入れるための制度が、大きく変わる。自民党は先週、制度改革の政府案を了承。政府は来年の通常国会に改正法案を提出する方針だ。改革案の主柱は、外国人労働者の在留資格「特定技能」のうち在留期間に上限のない「2号」の対象を、現在の2分野から11分野に拡大すること。「2号」の資格を取った外国人は日本に永住できるほか、転職も自由。家族の同伴も許される。日本で働い...
◇ 外国人だけが享受できる円安メリット = 主要国の通貨に対する日本円の相場が、大幅に低下している。米ドルに対しては140円台に下落、昨年11月以来6か月ぶりの安値となった。ことし1月の高値127円に比べると、13円も安い。企業の多くは125-130円を想定しているから、利益は増える。このため市場では輸出関連銘柄が買われ、日経平均も急激に上昇した。円安が急激に進んだ原因は、日米間の金利差が拡大したこ...
◇ 日本人は大幅な売り越しなのに = 東京市場の株価が高い。日経平均は先週3万1000円前後にまで上昇、実に33年ぶりの高さを回復した。先週まで7週間の連騰で、この間の上げ幅は3398円に達している。買っているのは、主として外国人投資家。その半面、国内の投資家はほとんどが売っている。なぜ、こんなことになったのか。いつまで、この状態が続くのか。とにかく外国人投資家は、よく買った。日本取引所グループの集計によると、...
◇ 政府債務問題は原則合意した = ダウ平均は先週333ドルの値下がり。終り値はかろうじて3万3000ドルを維持した。物価上昇の勢いはやや鈍化したが、インフレと景気の見通しはいぜんとして不透明。パウエルFRB議長の「利上げの必要性は、これまで想定していたほどではなくなった」という発言にもかかわらず、株価は上がらなかった。それ以上に政府債務上限引き上げ問題がこじれて、株価の重石となってきたからである。日経平均は...
◇ 東京は14%、北陸は42%の引き上げに = 経済産業省は先週19日、大手電力7社の家庭向け電気料金引き上げを認可した。最も小幅な値上げは東京電力の2078円(14%)、最大は沖縄電力の5323円(38%)。いずれも6月使用分から適用される。ただし政府の補助金によって、6-8月分は2800円程度、9月は1400円程度が割引となる。10月以降の補助金については、いまのところ未定。中部・関西・九州の3社は、値上げを申請しなかった。輸入...
◇ 上場企業の利益総額は最高水準を更新 = 上場企業の23年3月期決算発表が、ほぼ終了した。日経新聞の集計によると、1154社の純利益は前年比1.3%の増加。わずかではあるが、史上最高の利益水準を更新した。これが東京市場の株価を押し上げる要因の1つとなっている。ただ内容を見て行くと、今回の決算にはいろいろな形での明暗が存在した。まず製造業の純利益は、前年比7.8%の減少。世界経済の低迷や半導体の供給不足で、減益...
◇ 台湾、韓国から日本へ疎開する = いま世界の半導体メーカーは、大きな問題に直面している。半導体の供給を確実なものとするため、各国が競って自国での生産を強化しようとしていることへの対応。たとえばアメリカ政府は5年間で7兆円、EUは30年までに6兆3000億円の予算を使って半導体メーカーを囲い込む。これと関連して、もう1つの問題は台湾と韓国に集中し過ぎた生産体制の見直しだ。半導体の製造能力を国別にみると、韓国...
◇ 世界7社のトップが異例の集合 = G7(主要7か国)広島サミットが閉幕した。インドやブラジルなどの新興国首脳も参集、ウクライナのゼレンスキー大統領も登場して迫力満点。首脳宣言では「武力や強制力での一方的な試みに反対」や「核兵器のない世界を実現」がうたわれ、大成功だったと言っていい。ただ現実的には、これが戦争の終結や核兵器の不使用にどの程度まで有効なのか。残念ながら、大きな疑問符がついてしまう。サミ...
◇ なぜ大差がついた原因を究明しないのか = 日経平均株価は先週末3万0808円にまで上昇。バブル末期の1990年8月以来、実に33年ぶりの高値を回復した。コロナ規制の解除で経済の正常化が進み、円安の影響も加わったことが原因。アメリカやヨーロッパでは金融引き締めで景気の先行きが不安、中国の回復もはかどらない。こうしたなかで日本の状況に光が当たり、海外の投資家があり余る資金を東京市場に投入した。「よくぞ、ここまで...
◇ 日経平均が33年ぶりの高値に = ダウ平均は先週126ドルの値上がり。3週間ぶりの上昇だったが、内容は3万3000ドル台での一進一退。連邦政府の債務上限引き上げ問題に進展があったと言って上げ、小売りや生産の実態が予想以上に強いと言って下げた。FRBがさらに利上げすることは、ほぼ織り込んだ。景気後退は避けられないという見方も広まっているが、その程度は浅いという予測が株価を下支えしている。日経平均は先週1420円の...
◇ この6月中にも中国を抜いて = 国連の推計によると、インドの人口はこの6月にも14億2860万人に達し、中国を抜いて世界一の人口大国になる。10年前には中国が1億人以上も上回っていたが、急速に追い付いた。インドの医療水準が向上し乳幼児の死亡率が低下した一方、中国は一人っ子政策の影響で人口が減り始めた。インドの人口は60年代に17億人前後でピークを迎えると推定されている。インド経済はコロナ禍にもかかわらず、順調...
◇ 1-3月期の成長率がプラス1.6%に = 内閣府の発表によると、ことし1-3月期の実質GDP成長率は年率でプラス1.6%だった。3四半期ぶりにプラス成長に戻っている。内容をみると、いずれも年率換算で個人消費が2.4%の増加、企業の設備投資は3.8%の増加。コロナ規制が徐々に緩和されたことと、半導体などの供給が回復したことが主たる原因だ。ただし輸出が15.6%も減少したことが、大いに気がかりな点となっている。これで主要国...
◇ 昨年度は黒字額がガタ減り = 企業のなかには本業で大赤字を出しながら、海外の投資事業で大きく儲けているところもある。その合計額が黒字ならば、その企業は市場から認知され株価も上がりやすい。M&A(合併・買収)や債券・株式投資に成功している企業だ。だが仮にそんな企業の投資収入が増え続けても、本業の赤字がもっと増えて全体の黒字が減り始めたら、どうだろう。市場は先行きを心配し、株価は下がるに違いない。...
◇ 金融不安の残り火に油を注ぐ危険性も = バイデン政権は、政府の債務上限を1兆5000億ドル引き上げるよう要求している。これに対して共和党は、財政支出を4兆5000億ドル削減する独自の法案を下院で可決してしまった。この削減にはバイデン大統領が最重要としている気候変動対策も含まれる。だから双方ともに、引っ込みがつかない。来年の大統領選挙の前哨戦ともなりつつある。オバマ政権のときの対立とは、異なる要素が2つ。そ...
◇ 6月には政府活動が停止する危険性 = 企業でも個人でも、手元におカネがなくなる。すぐには調達できる見込みもないと、どうなるか。従業員の給料が支払えなくなったり、買ったものの代金が払えない。借金の返済も出来なくなる。こんな状態をデフォルト(債務不履行)と言う。いまアメリカ政府が、このデフォルト状態に陥ろうとしている。いったい、どうしてなのだろうか。アメリカでは放漫財政を抑止するため、政府に許される...
◇ 日経平均は1年半ぶりの高値に = ダウ平均は先週374ドルの値下がり。週5日間の続落だったが、その割に下げ幅は小さかった。4月の雇用統計が予想を上回る強さを示し、ニューヨーク連銀の総裁が「利上げを終了するとは言えない」と発言。FRBの引き締め政策はまだ続く、という予測が強まった。また連邦政府の債務限度引き上げ問題が決着しないことも、株価の重石となっている。日経平均は先週230円の値上がり。終り値は2万9388円...
◇ 補正予算は計141兆円、国債増発は128兆円 = コロナ感染症の扱いがインフルエンザ並みに格下げされ、コロナとの闘いには一応の終止符が打たれた。だが政府はこの3年間に、実に莫大な支出を余儀なくされている。20-22年度に編成された補正予算は6回に及び、その総額は140兆8094億円。1年分の本予算額をはるかに超えた。その財源を賄うために発行された国債は計127兆6097億円。先進国中で最悪だった日本の財政状態は、さらに大...
◇ 再び上昇気流に乗って = 金の国際価格が1トロイ・オンス=2000ドル台を推移、史上最高値の更新を狙っている。ニューヨーク市場の先物相場は11日時点で2037.1ドル、20年8月に記録した史上最高値の2089.2ドルにもう少しだ。最近の推移をみると、上昇が始まったきっかけは22年2月のロシアによるウクライナ侵攻。その年の3月には、2078ドルの高値を付けている。その後は反落したが、ことし3月からは再び上昇気流に乗った。金は‟最...