中原中也ファンのブログです。
およそ80年前の東京の街を孤独な魂は歩いた。その日の魂に見合う詩(うた)を探して…。その歌は2013年の今、数々の文庫として書店の棚にある。ポケットに歌を! さあ、中原中也の魂と会いに出かけよう!
再掲載/2012年10月27日 (土) 「冬の長門峡」の二つの過去2・生きているうちに読んでおきたい名作たち
(前回からつづく)「冬の長門峡」は一読して単調な感じを抱かせる詩ですが読めば読むほど深みを感じさせる詩です。不思議な魅力のある文語詩です。◇まず冒頭連の長門峡に、水は流れてありにけり。寒い寒い日なりき。――で、ある特定の過去(ある日ある時)に長門峡に遊んだのが寒い日だったことを叙述します。第...
再掲載/2012年10月26日 (金) 「冬の長門峡」の二つの過去・生きているうちに読んでおきたい名作たち
叙景にはじまり叙情に転じる詩であるという角度でみると「冬の長門峡」は「春の日の夕暮」と同じグループの詩篇です。しかし「転」の部分の動きがそれほどくっきりしているものではないのでそうとは見えにくいのですがじっくり読めば「起承転結」が浮かび上がってきます。◇そもそも2行6連構成の詩ですからきっかり...
再掲載4/2012年10月25日 (木) 「一つのメルヘン」の不可能な風景4・生きているうちに読んでおきたい名作たち
(前回からつづく)さらさらと、さらさらと流れているのでありました……――という、何の変哲もないような1行がこの詩の最終行におかれました。よく見れば、「……」があり水がずっと流れ続けることを示しています。◇それまで干上がっていた川床に一つの蝶が舞い降りたことから水が流れ出すという物語の枠組みだ...
再掲載3/2012年10月24日 (水) 「一つのメルヘン」の不可能な風景3・生きているうちに読んでおきたい名作たち
(前回からつづく)蝶は神の使いだったのでしょうか?そのようなことを感じさせておかしくはないトリックかマジックか。さらさらとさらさらと今度は、水が流れているのでありました。◇さらさらと、陽がさしているさらさらと、音を立てているさらさらと、水が流れている◇いろはにこんぺいとうこんぺいとうはあ...
再掲載/2012年10月22日 (月) 「一つのメルヘン」の不可能な風景2・生きているうちに読んでおきたい名作たち
(前回からつづく)さて、この詩「一つのメルヘン」のはじまりの4行秋の夜は、はるかの彼方(かなた)に、小石ばかりの、河原があって、それに陽は、さらさらとさらさらと射しているのでありました。――の不思議な感覚はなんなのかとじっくり読んでみればまずは、夜でありながら陽が射している風景からくることに気...
再掲載/2012年10月21日 (日) 「一つのメルヘン」の不可能な風景・生きているうちに読んでおきたい名作たち
叙景ではじまり起承転結の転が際立つ詩ということで前に「春の日の夕暮」を読みましたがこれと似た構造をもつ詩がいくつもあります。すぐさま浮かぶのが「一つのメルヘン」です。◇一つのメルヘン 秋の夜は、はるかの彼方(かなた)に、小石ばかりの、河原があって、それに陽は、さらさらとさらさらと射しているので...
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