締めのデザートにと運ばれた杏仁豆腐の皿を持ち 2、3度スプーンに掬っては口に運ぶ。 真面目な話をしている最中なのに、甘いものに、ついニコリと笑ってしまう。 イツキのこんな表情が見ていて飽きない所なのだなと、一ノ宮は思う。 「…困ってるんだよ。俺だって。 マサヤが、……昔に比べればビックリするほど優しいのは解ってるんだけど…それで十分、良いのも解ってる…
「鬼畜」「キチク」「きちく」 ……あぁ、甘美な言葉ですよね。(…アレ?) 鬼畜な言動をしてしまった。 鬼畜な言動をされてしまった。 鬼畜な自分が大好きだ。 鬼畜な人が大好きだ。 鬼畜に足蹴にしたい。 鬼畜に足蹴にされたい。 鬼畜な人を見た。 こんな鬼畜がいたら××だ。 こんな鬼畜な言動を夢見ている。 ……等等、鬼畜な人から鬼畜に憧れる人まで、 幅広いお話をトラックバックして下さい♪
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(ご自分が書かれた)小説の中に15禁・18禁と思われる性描写の箇所があれば、気兼ねなくTBして下さい♪ フィクションの小説であればジャンル・カップリングは問いません。 ・NL(ノーマルラブ♀X♂) ・BL(ボーイズラブ♂X♂) ・GL(ガールズラブ♀X♀) ・恋愛ものではないけど、小説の中に性描写がある。 一部でも全編でも構いません。お子ちゃま向きではないと思われる内容(但し小説)があれば、どうぞご参加下さい。 オリジナル・二次創作どちらでもどうぞ〜。 ●●●必読!!!! ご注意下さい!!!!●●● ※猟奇ものはNG ※小説であることが前提です。創作物上の表現としての描写です。実話等はアダルトの域になりますので、ご遠慮下さい。 ★純粋にフィクションの小説の記事のみです。それ以外は非表示にさせていだいております。 ★日記・体験談・作品解説・書評・雑記(あとがき・拍手お礼含む)・イラストは小説ではありません。 管理人の目に留まったときには非表示とさせていただいております。(トラバ先に小説がないものを対象にしてます) ♪♪♪BL小説でストーリー重視の方はトラコミュ「オリジナルBL小説・・・ストーリー系」にもどうぞ♪♪♪
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締めのデザートにと運ばれた杏仁豆腐の皿を持ち 2、3度スプーンに掬っては口に運ぶ。 真面目な話をしている最中なのに、甘いものに、ついニコリと笑ってしまう。 イツキのこんな表情が見ていて飽きない所なのだなと、一ノ宮は思う。 「…困ってるんだよ。俺だって。 マサヤが、……昔に比べればビックリするほど優しいのは解ってるんだけど…それで十分、良いのも解ってる…
「…遊んでないよ。…ご飯食べに行ったぐらいだよ」 「ふん。何を食ったんだか…。喰われたの間違いだろう」。 イツキが、どこで誰と何をしているか、詳細までは解っていない。 清水は、こちらに戻って来ているというのを西崎から聞いていた程度だし 男と遊び云々は、イツキの帰宅時間や雰囲気や……スマホの位置情報や そんな所からの憶測で、まあ、鎌を掛けてみれば当…
「……俺は…、ハーバルにいたい。…やっぱり、仕事、してたい。 あそこにいると俺、やっとちゃんと、普通の人になれた気がする…… でも…… 普通過ぎてたまに、もやもやする。 たまに、すごい……えっちがしたくなる……」 そう言ってイツキは手元の酒を一気に飲み干す。 …もしかしてイツキは結構酔いが回っているのではないかと、一ノ宮はイツキを見返すが …
「…あ、空いたお皿…お下げしますね……」 「コレも。大丈夫です。あ、ネギだけ貰っておきます…」 テーブルの上の皿をカチャカチャと引く店員を黒川は忌々し気に睨む。 話の腰を折りたくて折っているわけではない。仕事なのだ、仕方がない。 イツキは別段気にする様子もない。 少しだけ残っていたビールを飲み干し、そのジョッキも店員に下げてもらい 新しく来た日本…
「本当に俺、ハーバルの本社に行っちゃっても良いと思います? それとも、別の仕事を探した方が良いのかな…… 俺、この先どうしたらいいのか、ちょっと真面目に考えてるんです……」 おや、先刻の話がまだ終わっていなかったのかと一ノ宮はイツキを覗き込む。 それも黒川にではなく、一ノ宮に聞くのがまた、面白い。 「ハーバルの仕事は、イツキくん、好きなのでし…
「お待たせいたしました。生ビール3つと上カルビです。 空いているお皿、お下げしまーす」 真面目な話を賑やかな飲食店でというのは良し悪しだろう。 勢いに乗じて話せる事もあれば、絶妙な間合いで中断される事もある。 イツキは、自分が言った言葉はさして重みが無かったかのように、会話を中断し、店員から皿を受け取る。 黒川は、イツキの言葉に返事をする間合いを…
「…イツキくん、最近お仕事の方はどうですか?」 「最近は……ちょっと暇です。ミカちゃんも戻って来たので…」 焼けた肉を裏返しながらビールを飲みながら、イツキと一ノ宮で近況報告。 ミカは産後三ヶ月。本格的に復帰という訳にはいかないのだが 近所に住んでいる義理の母親が非常に好意的で、週に1日、2日、ミカの気分転換も兼ねて 仕事に出ることに協力してくれて…
「カルビとタン塩。ハラミはタレで。あとサンチュとオイキムチ。 ビールが3つ。…あ、ビールで良かったですか?一ノ宮さん」 「ええ」 イツキと黒川の焼肉屋に、一ノ宮も同席していた。 イツキが強く誘ったからだ。 もちろん一ノ宮は最初は断ったのだが…多少は、イツキと黒川の普段の様子というものに興味はある。 黒川は、……何かやましい事があるのだろうか、イツキ…
「社長、飛行機のチケット、先にお渡ししておきます。13時羽田です」 「ああ」 「車は手配しますか?運転手付きでも…」 「いや、タクシーで十分だろう。あそこはホテルから近いし…」 週末の予定について黒川と一ノ宮は打ち合わせ中。 数日滞在し、地方のお偉い方とアレコレ交友を深める、一応仕事なのだ。 ふいに、黒川がスマホを取り出し耳に当てる。 それはイツ…
「……週末から出掛ける。一週間程だ」 と、黒川が言った。 イツキはコーヒーの入ったマグカップを口に寄せたまま、黒川を見る。 「…仕事だ」 「え?俺?」 「いや、違う。お前は留守番だ」 「はぁい」 何の仕事でどこに行くのか、誰と行くのか、など特に説明のなまいまま 互いにチラチラと顔色を伺うだけで業務連絡は終了した。 最近の2人は良くも…
待ち合わせた場所からホテルの部屋まではお互い無言だった。 これといった話題が無い、というか、イツキはまるで怒っている風だった。 部屋に入ると上着を脱ぎ、ふうとため息をつき、ソファに深く座る。 相手の男は困ったように薄く笑い、備え付けの冷蔵庫からビールの缶を取る。 「飲む?」の返事も待たずに、それをイツキに渡す。 イツキは黙って受け取り、とりあえず一…
イツキが家に帰ったのはまだ日付が変わる前。 結局清水とは何もなくするりと別れてしまった。 どうにも、消化しきれない想いを抱えたまま部屋に入ると 丁度、その間合いで顔を見たくない相手がいるもので 「……ただいま」 黒川は仕事が早く引けたのか、もうリビングのソファに座り 適当なツマミを広げ、酒を飲んでいる所だった。 帰りの遅いイツキを責め…
「…ははは。…何だよ、もうそんなに黒川さん一途になった訳?」 「……そんなんじゃ…ないです。でも……」 気まずそうに口籠るイツキを、それでも、清水は愛しそうに見つめる。 誘いに簡単に乗るようでは、清水の好きなイツキでは無いのだけど まるでその気が無いというのも…それはそれで、寂しいものだった。 「…まあ、…それ抜きにしても、…また飲みに行こうぜ…
「……イツキ、…この後どうする?」 そう清水が尋ねて来たのは、酒も程よく回った頃。 ふとイツキが、本当に無意識に、店内の時計に目をやった時だった。 テーブルの食べ物もほぼ無くなり、お開きにするにはちょうど良い間合い。 この後のどうにかする何かは、当然、酒のお代わりなどではない。 「…そろそろ、帰ります。明日も仕事なので」 「……そっか」 …
「…最初の一年は寮に入ってたんだけど、今はアパート借りてる。 …オヤジ?オヤジとは関係無いよ。 ああ、でも、車、買わせたけどな。はは。 跡なんか継がないよ。今どき、そんなんじゃねぇだろ。 まあ、連絡は取ってるけどさ……」 酒を飲みながら近況報告。 清水が西崎の息子だという事は、やはり気になる所なのだが 一定の距離は空けているようだ。 「…
「お、おう。久しぶり」 「お久しぶりですー」 突然、清水から連絡があった。 清水は、高校を出たあとは少し離れた地方に働きに行っていて 実際に会うのは久しぶりだった。 駅前の大衆居酒屋で待ち合わせる。 「…卒業して以来か?…2年ぶり?」 「やだ、そんなになりますか?…ああ、でも、俺たちもう21ですもんね…」 ダブリの2人は同い年。 そしてお…
「あ、おかえりなさい、マサヤ。今日は早かった…?」 「………ああ」 日付が変わらない内に部屋に帰って来たマサヤは、 何だか少し、不機嫌顔だった。 もう、寝る支度をして、最後にレンジでホットミルクを作っていた俺は ちらりとマサヤを見て、そして、何も気づかないフリをする。 マサヤの、仕事の、アレコレは あまり干渉しないのが一番。 「…お前…
その日。 黒川が仕事に伴い連れていたのは、ユウという少年だった。 「…あれ? 黒川くん、今日はあの子じゃないんだ?……ほら、イツキくん、だっけ…?」 「はは。若い子の方がよろしいでしょう?……イツキはもう引退ですよ」 とある案件の関係者を集めた会合は、広々とした、一泊何十万とするホテルの部屋で行われる。 手前の、景色の綺麗なリビングで、それらしい話…
真夜中に帰宅した黒川は珍しく、リビングのソファで寝付いてしまった。 そう酔っていた訳でもないのだが、逆にそのせいで、持ち帰った書類にもう一度目を通し… …そのまま、横になってしまったのだ。 睡魔に襲われてしまえば抗うのは難しい。 頭のどこかは冴えているのに、もう、指先一本ですら起こすことは出来なかった。 ぺたりぺたり と足音をさせて、イツキ…
「こんにちわー」 ノックと同時に軽い感じで入って来たのは、イツキだった。 昔からの馴染みがある場所とは言え、一応、ヤクザの組事務所。 室内にいた強面の、いかにもチンピラといった数名の男たちは「ああぁ?」と訝しむ声を上げる。 中には、もう、イツキを知らない面子もいるのかも知れない。 奥のデスクにドンと構えていた西崎が、珍しい客に顔を上げる。 「…
蕎麦屋を出て事務所まで、歩く。 これから黒川は仕事なのだ。 「…お前はどうする?そのまま帰るのか?」 「ん。買い物して帰ろうかな。デリのサラダ、買っておく……」 「……パクチーが入っているのは止めろ。臭い」 交わすのは、そんな他愛もない会話ばかりで 肝心なことはなかなか、話せるものではない 黒川の今の仕事はどんなものなのか。あの少…
「俺、車の免許、取ろうかな……」 昼食にと訪れた事務所の近くの蕎麦屋で イツキが突然そんな事を言い出した。 黒川は蕎麦猪口を手に持ったまま、あやうく、麺を吹き出しそうになった。 「……馬鹿か。……お前の運転する車なんて…恐ろしくて乗れる訳が無いだろう」 「でも便利じゃない?何かと。マサヤの事、迎えに行ってあげられるよ?」 「死んでも乗るかよ」 …
ふと黒川が目を覚ますと、自分の腕の中にイツキが収まっていた。 昨夜はいなかったはずだ。 帰りの遅い自分を待てずに、イツキは巣箱で眠っていた。 途中で、こちらに移動したのか。 少し体勢を変えるとイツキも目を覚ます。 「……何時?」 「…知らん。……まだ、早い」 「……ん」 それだけ言って、後はまたお互い目を閉じ、身体を寄せた。 次に…
ホテルを出て、裏の細い路地を並んで歩く。 実は意外と、事務所からもマンションからも近い場所。 誰かに出会したら何と弁明しようかと、佐野は頭の片隅で考える。 そんな佐野の怯えを、イツキは察したようだ。 「…ごめん、なんて言わないでよ?佐野っち。 …別に、悪いこと、してないんだから。 …俺、今日は、良かった。佐野っちと会えて……話せて…」 「……
終わった後はしばらく恋人同士のように、抱き合ったまま余韻に浸っていたのだけど 退室時間を告げる電話が鳴って、現実に戻る。 「……もう、時間か。……帰んなきゃだな……」 「………ん」 佐野もイツキも、さすがにこれ以上は駄目なのだと解っている。 ぴたりと寄せていた身体を離し、重なっていた足を解き、絡んでいた指先を離した。 身支度を済ませて部屋…
佐野がイツキと最も親密だったのは、イツキがまだ15、6歳だった頃。 その頃に比べれば、イツキの身体も大分変わった。 肌は相変わらず滑らかで無駄な毛の一本も生えていなかったが 肉質というか質感というか、張りのある、男っぽい体つきになっていた。 声変わりも一応、したのだろうか。少し、低くなった。 それでも咄嗟の時に出る声は艶があり、落ち着いたトーンの分、…
手慣れた様子でホテルのチェックインをし、部屋へと向かう。 部屋は、過度な装飾もない、普通の質素な部屋だった。 浴びるほど酒を飲み、異様に盛り上がり、 ギラギラとしたライトが瞬くベッドルームにやって来たのなら そのままの勢いで、コトに及ぶのだが 部屋に入った所で、2人、手を繋いだまま ……一瞬、正気に戻り……妙な気恥ずかしさを覚えてしまう。 …
佐野がイツキと出会った当初。黒川の、イツキの扱いは酷いものだった。 イツキは客を取らされ、「仕事」の後はベッドから起き上がることも出来ないほどで。 送迎を任されていた佐野は、もろもろ、後始末も仕事の内で 最初の頃は仕方なく、汚れたイツキを洗い、痛みで泣くのをなだめたりしていた。 次第に、一緒に過ごす時間が長くる。 イツキは、佐野のアパートの部屋にも…
「…お前の『仕事』の後、よくメシ、食いに行ったよなぁ…」 「…行ったね」 「何年前だ?」 「……5年、くらい?……昔話だねぇ…」 イツキは佐野と目を合わせると、くすくすと笑う。 それはごく最近のことのようで、それでもやはり、昔の話で。 けれど忘れてしまうには、あまりに深く生々しい思い出だった。 「…佐野っち、…俺の面倒、良く見てくれたよね。…後…
「……イツキ。本当にいいのか?」 「良いって言ってんじゃん。…佐野っち」 街の外れの昔からある古いホテルの前で、佐野はもう一度確認する。 酒を飲み過ぎた訳でも、特別に嫌な事があった訳でもなく、 普通にお互い同意の上で、この建物に入るというのは……実はなかなか新鮮で 佐野は、繋いだイツキの手をぎゅっと握り、植え込みの奥にある入り口へと向かった。 …
「……昨日ね。ユウ、くん?に会ったんだよ」 「………は?」 「…仕事の後。……ホテルで」 イツキが重い口を開いたのは翌日の朝。 キッチンでコーヒーを淹れるイツキに、黒川が近寄った時だった。 それでも。 昨日の夜は、することはしたのだ。 若干、機嫌の悪いイツキを黒川は抱き締め、寝室へと連れ込む。 イツキはどこかのタイミングで、その話をしよ…
その後。 イツキとレノンとユウはホテルを出て レノンはユウを送ると言って、タクシーに乗り込み それを見送って、イツキも別のタクシーに乗り自宅へと戻った。 何だか妙に疲れてしまったのは、身体、よりも心で 青ざめた顔で肩を振るわせていたユウの姿が、思い出したくもない過去の自分に重なった。 「……なんだ。遅かったな」 マンションの部屋に戻…
「…それにしたって、こんな仕事。レノンくん、まだ、…学生でしょ」 「もう17だよ。学校も行ってない。働くのは別にいいんだけどさ。 ……今日のは、佐野さんに言われて、たまたま来ただけだし…… でも、なんか、自分もされたことだし…妙に生々しくってさ… 色々、思い出しちゃって……テンパっちゃった。 …来てくれて助かったよ。ありがと…」 やっと安…
風呂場にいたのは、小柄な若い男の子だった。 以前、黒川と一緒にいた子に似ている気がした。 裸で、バスタブに寄りかかり、吐瀉物と排泄物にまみれ それでも嗚咽を繰り返し、満足に呼吸も出来ない状態だった。 何をされて、どうしてこんな事になったのかは 説明されなくても、イツキは知っていた。 なだめすかし、とにかく身体の汚れを洗い流し、風呂場から連れ…
タクシーでホテルに向かい、指定された部屋の前まで来て イツキは一応、警戒する。 ……ここはでは以前、レノンと間違われて、拐われて乱暴された事がある。 ……それに限らず、捕まって、犯されては……何度も経験しているのだ。 ベルを鳴らそうと上げた手を止めて、もう一度確認してみようとスマホを取る。 「……レノン君?……ドアの所まで来てるんだけど……
『……あー、イツキ? 悪いんだけどさ、ちょっと出て来てよ』 「……え?」 電話の相手は聞き慣れない、若い男の声だった。 イツキは不審がり、一度、スマホを耳から離して画面を確認する。 知らぬ番号からの電話に、出るはずはない。 画面には「レノン」と表示されていた。 『……もう、無理でさ。タクシー飛ばせばすぐだろ……、って、おい、聞いてるのかよ』 …
それから暫くは平穏な日が続いた。 新しい黒川の「仕事」の相手が気にならない訳では無かったが 特に波風も立たず。 帰りが遅い日などには土産にと、イツキの好きな和菓子や寿司などを持ち帰るので なんとなく、それで許してしまっていた。 松田は、3日に一度はハーバルに顔を出し、2回に一度はイツキを飲みに誘った。 まあ、それだけで、別にそれ以上のこともない。 …
「……うわ、酒臭いっっ、マサヤ…飲み過ぎ……」 真夜中を少し過ぎた頃、黒川が帰宅した。 イツキはすでにベッドに入っていたのだが、物音で目覚める。 どさり、と自分の隣に横たわる黒川は、珍しく酒に酔っているようで 片手でイツキの肩を抱き寄せると、顔を近づけ、酒臭い息を吐く。 「何?どうしたの?……大丈夫?」 「ああ。…くそ、松田のやつ。……調子…
「松田、お前、こっちに居過ぎじゃないのか?自分の仕事はどうした?」 飲みの途中で黒川は仕事の連絡を挟み、思いついたように松田にそう尋ねる。 松田も地元では、そこそこの組の幹部だ。それにしては、随分とのんびりしている様に見える。 「はは。こっちには週に2、3、顔出してるだけだ。ちゃんと、仕事はしているよ」 「……暇人だな…」 「黒川さんが忙し過ぎ…
「……仕事で使うのに、…仕込んでいる最中だ。お前のところだってあるだろう、そんな話。 ただの商売道具だ。それ以上の感情はない。 …まあ、楽しませては貰ってるがな……」 事務所の近くの焼き鳥屋に黒川を連れ出し、日本酒を数杯飲んだところで ようやく、言い訳がましい話を口にする。 松田は、空になった黒川のグラスに酒を注ぎ、自分も飲み 次は熱燗にしようと、…