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崇高な精神の持主諸星玄丈を貶めようとする者に玄丈整体道場の仲間は団結する。
一流商社をクビになったぼくは、あてもなく渋谷の街をぶらついていた。そんなとき、前田備中と名乗る会社社長と知り合い、ぼくは前田の仕事を手伝うことになる。仕事は雑誌の編集だという。 思いがけぬ出来事が次々と起き、ぼくの運命はあらぬ方向へと導かれ、やがてぼくは伝説的な整体師・諸星玄丈とその仲間たちと知り合う。だが、玄丈には魔の手が忍び寄っていた。ぼくたちは一致団結して困難に立ち向かう。
JUGEMテーマ：連載 エピローグ（3） 戦略チームの解散式が終わると、ぼくと晴美は、連れ立って道場の近くを散策した。久しぶりに平穏な時間を取り戻したような気がした。 しばらく歩くと崖に出た。崖の下には野川が流れている。「ここに座
JUGEMテーマ：連載 エピローグ（2）「何をかね？」 加藤さんはスシボンをチラッと見て言った。「如雪はどうしてあらぬ方向にそれてしまったんすかね？」「己の腕を認めさせることに夢中になって、人のために役立つことをおろそかにしたとい
JUGEMテーマ：連載エピローグ（1） 明けて一九九八年の正月。 恒例の新年講話会が、正月三日、道場大広間で催された。この日はいかにも正月らしく、心が晴れ晴れするような快晴であった。 冒頭、玄丈先生は昨年の道場危機について触れられ、会員たち
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(15) しばらくして、警官たちがまた少しずつ階段を上りはじめた。「バカモノめ」 如雪が猛り狂った声をあげると、警官たちは思わず体をピクッとさせて、動きを止めた。
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(14) 如雪は警官に取り囲まれていることを悟った。「玄丈、おれを解放しろ。このような恥辱を受けたままおれを警察に引き渡すのか。それが元同門の人間のすることか」 如
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(13)「何を小ざかしいことを言いやがる」 如雪はそう言いいながら幹からナイフを抜こうとした。ところがどうしても抜けない。 しかも、もっとすごいことに、如雪がどんな
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(12) その人物の顔を確認したとき如雪は息を呑んだ。「げ、玄丈！」 如雪は驚きのあまり眼を剥き、玄丈先生の顔をしばらく凝視するばかりだった。 ようやく我に返った如
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(11) やがて如雪は笑い声をとめた。音をたてる者はもう誰もいなかった。森さえも如雪にひれ伏すかのように、シーンと静まりかえっていた。 如雪は完璧な勝利を手に入れた
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(10) スシボンが喉をかきむしって苦しみだしたのだ。やがてスシボンは歯をむき出しにして、どっと倒れた。「どうした。スシボン」 ぼくは思わず叫んだ。ところが、今度は
JUGEMテーマ：連載第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(9)「玄丈先生の勘ははずれたんかな」 スシボンが呟いた。 そのとき、老人がスシボンに声をかけた。「せっかくだから、お茶でも飲んでいかんかね？」「それはありがたいす。思った以上
JUGEMテーマ：連載第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(8) 翌日、つまりこの年の大晦日、ぼくたちは揃って檜原村の大気活伝協会本部に出かけた。着いたのは昼過ぎであった。 車から降りて歩きはじめると、落ち葉が風に吹かれてカサコソと乾
JUGEMテーマ：連載第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(7)「それはそうと——」 スシボンはあわてて話題を変えるように加藤さんに問いかけた。「いったい如雪はどこに雲隠れしたんすかねえ？」「全然音沙汰を聞かないな。赤坂の方はもう動い
JUGEMテーマ：連載第五章 玄丈先生と如雪の対決 6 最後の決戦(5)「うむ」 加藤さんが厳しい顔つきで翔太の言葉にうなずいてから、きいた。「ところで、ダイヤモンドホープが崩壊したら、活伝協会も終わりだろうな？」「そう思います」
JUGEMテーマ：連載第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(5) 出頭してきた笹木の顔は恐怖におののいていた。 その様子をテレビで見たとき、ぼくたちの脳裏を横切ったのは、一九八五年六月に起きた豊田商事・永野会長刺殺事件だった。 事件は
JUGEMテーマ：連載第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(4) 警察は、銀座ディヤマンテルが経営難を認識しながら、買い戻し特約付でダイヤモンド販売を行っていたことが詐欺罪にあたるとして、捜査を開始した。敦子が集めた偽造鑑定書に関する
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(3)「まず、銀座ディヤマンテルを訴えましょう。店のオーナーは前田備中になっていますが、笹木が裏で操っているはずです。銀座ディヤマンテルに警察の手が入れば、ここを突
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(2) スシボンはため息をついてから呟くように言った。「笹木だよ」 この意外な名前には、全員しばらく呆然となった。「笹木だって——」 加藤さんが唸った。「すべては笹
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決6 最後の決戦(1) 病院に着くと麻美はそのまま入院した。彼女の状態はかなりひどく、スシボンは三日三晩つきっきりで看病した。 四日目になって麻美の状態がようやく落ち着きを見せたた
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決5 麻美の救出(7) ——あとで関係者から聞いたところでは、ぼくたちが逃げだしたあと、麻美は一晩中監禁され、今日の講座が終了してすべての客が帰った夕方八時過ぎに、如雪の前に引き出
JUGEMテーマ：連載第五章 玄丈先生と如雪の対決5 麻美の救出(6) しばらくすると麻美が眼をあけた。「ここはどこ」 ほとんど聞き取れないほど弱々しいかすれ声だった。「よかった。気がついたですか。渡辺です。今、助け出したとこす」「私は助か
JUGEMテーマ：連載第五章 玄丈先生と如雪の対決5 麻美の救出(5) スシボンの様子を見ていたぼくと翔太は恐ろしくなってきた。「驚かしてすまん」 スシボンが早口でぼくたちに声をかけてきた。「溺れた人間が息を吹き返したとき、やさしい声をかけ
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決5 麻美の救出(4) 女はたしかに麻美だった。「息はあるのか？」 ぼくは叫ぶようにたずねた。「ない」 スシボンの沈痛な声が返ってきた。 その声を聞いた翔太は、麻美のわきで腰をおろ
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決5 麻美の救出(3) 翔太があわてて懐中電灯の光をその顔に当てた。「女だ」 ぼくは思わず叫んだ。 顔には殴られたあとがある。女はまるで動かない。「死んでるのか？」 ぼくは怖くなっ
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決5 麻美の救出(2) 身のこなしからみて、三人は男のようだ。彼らは体育館のような建物に入っていった。「これは何かの倉庫かな？」 ぼくは声を潜めて翔太に話しかけた。翔太は声を出さず
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決5 麻美の救出(1) 晴美を救出した日の夜、新たに翔太を加え、ぼくたち三人は再び活伝協会の本部に車で出かけた。 昼間のうちは講座があるから如雪たちは動かないはずだとみて、来客たち
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決4 大気活伝協会の本部(18) ぼくは死に物狂いで車のところまで走り、晴美を後部席に座らせ、エンジンをかけたまましばらく待っていた。「このやろう」 ののしり声が遠くで聞こえた。ス
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決4 大気活伝協会の本部(17)「よし、今だ。行こう」 ぼくはスシボンと麻美に声をかけ、三人揃って部屋に飛び込んだ。ソファーの上には、胸がはだけた姿で横たわっている晴美がいた。麻美
JUGEMテーマ：連載第五章 玄丈先生と如雪の対決4 大気活伝協会の本部(16) 「最近は警察も相当神経質になってかぎまわっているようだ。それに、玄丈道場のやつらも、こちらの動きに少しは気がつきだしたようだ」「まさか」 如雪は信じ
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決4 大気活伝協会の本部(15)「あ、いや。実は……」 如雪が狼狽したような声を出して、あわてて女から離れた。「おや」 男はソファーの方に頭を向けたようだったが、すぐに如雪に言葉を
JUGEMテーマ：連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決4 大気活伝協会の本部(14) 女はソファーの上に仰向けの状態で横たわっていたが、薬をかがされているのか、ピクリとも反応せず、ときおり低い声を洩らすだけだった。 女の顔はこちらか
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