3時間後、花菜はそれなりの満足と安心、なのに何かを間違えてしまったようなむなしさのなかにいた。裸を見せて、あちこち触られたものの、キスもなく、その報酬として得…
3時間後、花菜はそれなりの満足と安心、なのに何かを間違えてしまったようなむなしさのなかにいた。裸を見せて、あちこち触られたものの、キスもなく、その報酬として得…
「私、まだ中学生なので」「そっかー、じゃあ無理だね。細くて可愛い子が好きな人には絶対ウケそうなんだけどなぁ。それにしても、大人っぽいんだね」その男性とのやりと…
迷路のなかを歩いているのは、花菜も同じだ。いや、愛美よりもずっと前からそのなかでもがいてきたので、自分が迷路にいることもとっくにわかっている。わからないのは、…
25.2キロ。輝く銀色の物体が示したのは、昨夜、父親の単身赴任先で計ったよりも200グラム少ない数字。最新式かつ新品の体重計で最低体重を更新できたことに、愛美…
帰りの電車では睡魔に襲われ、うとうととした。張り詰めていた気持ちがほぐれ、また、疲れも出たということだろう。おかげで地元駅に着く頃には少し元気になり、居眠りの…
しかし、愛美は結局、階段を使った。一度でも、マイルールを破れば、これまでの努力が台無しになるように思えて、踏みとどまったのだ。重い荷物を持って階段を昇るのは登…
「雑誌の読者企画に応募してきて、その撮影を後輩のカメラマンが担当したんだよね。で、その後輩から紹介してもらって、この個展に協力をお願いして、という流れなんだけ…
「あそこに飾られている写真なんですけど、女の人の写真、すごく細い人の写真がなんか気になって、どういう写真なのかなって」小さく指をさし、軽く首をかしげながら、愛…
「そういえば、ちょうどお昼どきだけど、エミちゃん、お腹すいてない?」父親が去ると、岩間が尋ねた。「あ、はい。大丈夫です」と答え、「朝、しっかり食べてきたので。…
父のマンションに戻った愛美は、約30分後、父の車で永山というカメラマンの事務所へと出発した。唯一の心残りは、今朝、体重を計れなかったこと。昨夜、体重計を見つけ…
どうして、こういうものがここに?いや、浴室に体重計があること自体は不思議ではない。ただ、単身赴任の父のマンションにそれがあるとは思っていなかった愛美にとって、…
「気になる、っていうと?」副編集長の問いに、スタイリストが答える。「爽ちゃんが細いのは完全に体質だと思うんだけど、エミちゃんの場合はそれだけじゃないような気が…
父が驚いたのも無理はない。愛美は中1まで、料理はほぼ未経験。せいぜい、家庭科の調理実習くらいだったが、最近、ちょくちょくやるようになった。夏休みはその機会をも…
「というわけで、今日はホントにお疲れ様。撮影のギャランティのこととか、交通費の精算についてとかは改めて連絡させてもらうね。さっき、お父さんにも話をさせてもらっ…
「あぁ、なるほど、身長も体重も、みんながみんな、同じように変化していくわけじゃないし。爽ちゃんみたいなズレ方の子は、うちのような雑誌にとってはありがたいんだよ…
そして、その願いは叶えられた。メイクが終わると、鏡には自分史上最高に垢抜けした姿が映っていて、愛美はプロのすごさに感心する。その変化を褒められることで少し自信…
愛美の初々しい姿は、そこにいたスタッフ全員に好ましく映った。歓迎されている空気感は本人にも伝わり、ホッとした気分になる。「可愛い」「細い」という言葉も心地よく…
編集部の最寄り駅に着いた。改札を出る前に、トイレに入り、ジーンズからスカートにはき替える。パーカーも脱いで、鏡の前に立つと、不安が押し寄せてきた。私、全然イケ…
続いて、副編集長からの電話。さっきのメールに記されていたことについての詳しい説明だ。もうひとりの子より扱いが小さくなる理由は、人気投票の順位だけではなく、その…
花菜ちゃん、どうしたんだろ。もしかして、私、嫌われるようなことしちゃったのかな。でも、最後は「応援してる」って言ってくれたし、大丈夫だよね。愛美のなかにもやも…
夕食。といっても、それはもう「憂食」と呼びたいほど、憂鬱でしかない食事の時間をなんとか乗り切り、愛美は家族に断ったうえで長めの入浴をした。食事と違って、痩せる…
ところが、その願いは真っ直ぐには届かない。愛美の心の時空は特異な歪み方をしていて、周囲の言葉や気持ちがねじ曲がってしまうのだ。「焼け野原のわたしたち」のヒロイ…
「神宮寺さん、ありがとう。脚本、読ませてもらったよ。すごく面白かった。いや、真面目なお話だから、面白いっていうのとはちょっと違うのかな。すごく感動しちゃった」…
あ、そうだ。でも、うまく行くかな。ま、いいや、一か八か、やってみよう。「あのね、お父さん、まだしばらく、うちにいる? もし、いるなら、話したいことがあるからち…
それにしても、あの子。「意外と重い」って言ったかと思ったら、今度は「骨が」とか「痩せてる」とかって、私に何がしたいんだろ。泣き続けていたあいだも、下校の道すが…
6時間目の体育の授業。夏休み前、最後となる組体操の練習が行われた。この日、愛美は朝食を抜き、給食もサラダを口にしただけ。それも、ドレッシングがかかっているとこ…
それからしばらく、愛美は夢見心地で過ごした。身も心もふわふわしていて、家でも学校でも、上の空という感じ。おかげで、有香の言ったことまでじつは夢のなかの話だった…
聞きたいことって、なんだろう?「大丈夫だよ」と返すと、すぐに電話がきた。「エミちゃん、ダイエットの方法、教えて!前にも聞いたけど、もっと詳しく知りたいんだ」「…
3日後、愛美は蘭とともに古着屋を訪れた。正確にいえば、こういうおしゃれには疎いので、連れて行ってもらったかたちだ。店に入ると、別行動。愛美は子供服のコーナーに…
ところが、はけた。このあいだのスカートほどじゃないけど、ウエストも全然きつくない。自分の細さも感じられたが、それ以上に、麗美って、どれだけ太ってるの、と思って…
(※ 一応、フィクションです) 今日は親戚のお姉ちゃんの結婚式。楽しみだけど、心配というか、胸さわぎを抑えられない。もともと太ってはいないというか、むしろ細…
※ ゆのっち(木内優乃)のインスタより 7月6日 今日は闇投稿です。お弁当の写真を三点、上げてみました。ひとつめは、ダイエットを始めてすぐのもの(約800キ…
(※ネットなどで見かけたつぶやきやエピソードから、構成したものです) 初めて「やせたい」と思ったのは小4の4月。身体測定のあと、小柄な友達と数字を比べたら、…
それはどんなことかというと……ひとりの子が小4のとき、クラスで2分の1成人式に合わせて作った文集を持ってきていて。みんなで回し読みをしたんです。その子とはその…
つづきです。同窓会の日は、出かける前にちょっと母とトラブりました。「スカート丈が短すぎる。ただでさえ、痩せすぎでみっともないのに」と言われ・・・でも、ミニとい…
昨日は成人式でした。そして、今日は中学の同窓会。思ってた以上に疲れたので、帰宅後、過食嘔吐して気持ちをリセットしました。まず、成人式。着物を選んだときも大変だ…
(姫那のインスタに「いいね」をつけた「空」という人のブログ記事) こんにちは、空っていいます。いちおう「そら」って読んでください。拒食持ちの大学生で、ここでは…
体重を聞くことは、いくら姉妹でも気がひけたが、麗美の反応はあっさりしたものだった。夕食後、麗美の部屋に行き、まず、身長を聞いてみる。「4月の身体測定では、12…
姫那のインスタ、届いたDMからのやりとり@sara_proanaはじめまして、沙羅といいます。突然、DMで失礼します。コメントにしようかなと思ったのですが、D…
その後も、愛美と花菜は密なやりとりを続けた。愛美のことがわかってくるにつれ、花菜は昔の自分を見ているような親しみと、これから彼女がどうなっていくか、その未来を…
(姫那がインスタ再開から2回目に投稿したビフォーアフター画像につけた説明コメントと、寄せられたコメント)◎ hi11me06na昨日はダイエット前と38キロく…
もっとも、バランスの危うさは愛美だって同じだ。花菜と仲良くなれたことはうれしかったし、すごく細く見える花菜より、10キロ近く少ない体重だったことには安堵できた…
翌朝、姫那がスマホの電源を入れ、インスタを開くと――。あれ、コメントがついてる。「初めまして。ゆのっちっていいます。あの、いきなり間違いだったら申し訳ないんで…
帰宅後、久々に開いた自分のインスタグラム。まずは、ダイエット前と38キロくらいのときの体型写真をアップして、それぞれの食事内容について書いてみた。 とりあえず…
愛美と花菜。おたがいが気になるふたりは、その夜にはもう、スマホで語り合う仲になった。撮影の合間に、全員でアドレスを交換した時点で、花菜は愛美が何か送ってくるの…
あぁ、こんなに自分のことを肯定してもらえたの、いつ以来だろう。ダイエットを始めて半年あまり。いつしか、褒め言葉をそうじゃない言葉が上回るようになり、落ち込んだ…
「最近、調子どう?そういえば、今日も何かの撮影だっけ?」居酒屋での会話はいかにもありがちなもので始まった。「そうなんですけどねー、けっこう大変だったんですよ。…
(雑誌記事を模すかたちで始まった姫那ちゃんシリーズ。ここからは、その裏話、というか、彼女をめぐる物語の本筋になります) デート企画の撮影後、姫那とS・Yはそ…
とはいえ、撮影が始まると、それどころではなくなった。特に愛美は、そのあいだの記憶がほとんどないほど、緊張やら何やらで、真っ白な時間をすごした。その点、花菜はわ…
超スレンダーJKと爽やかすぎる納涼デートの巻・後編と写真キャプション(ダイエット大好きJK④)
※ ある男子向け雑誌の女の子紹介&人気投票コーナーで、昔、見かけたものをヒントに着想したものの続きです。 18年2月に書いた①②と比べると、ほぼフィクション。…
有香によれば、事務所の人はすでに別の部屋で準備をしていて、5人そろったところで、連絡をする段取りとのこと。彼女が事務所の人に電話をしてくれて、迎えに来てくれる…
超スレンダーJKと爽やかすぎる納涼デートの巻・前編(ダイエット大好き34キロJK③)
※ ある男子向け雑誌の女の子紹介&人気投票コーナーで、昔、見かけたものをヒントに着想したものの第三弾です。 18年2月に書いた①②と比べると、ほぼフィクション…
「このあいだはありがとう。例の撮影、今度の日曜に決まったよ。エミちゃんの予定は大丈夫かな?」有香からのメールに「大丈夫だよ」と返信してから、やりとりを数往復。…
保健委員の子が、そう言ったのはかなり本心。身長は同じくらいなのに、体重は倍ありそうな彼女にとって、愛美の細さはやはり、羨望の対象だ。ただ、他の子たちが、「いく…
「先生のお話、終わった?あの、私、エミちゃんにあやまらなきゃ」「えっ、どういうこと?」保健委員の子はひどく申し訳なさそうに切り出し、話を続けた。「エミちゃんの…
「たしかに、最近ちょっとダイエットはしてますけど、スポーツクラブに通って運動もしてますし、いたって健康的なやり方ですよ」「あのね、あなたみたいな人が痩せようと…
「前にも聞いたけど、あなた最近、体調はどう?なんか、ますます痩せたみたいで、心配なんだけど」養護教諭の話はやはり、そういうことだった。「はい、元気です。それに…
あぁ、やっぱり。無理なダイエットはいけないとか、お母さんがいつも言ってるような話をするのね。ただ、予想外だったのは、クラスのなかに愛美を見てきた子が何人もいた…
それによると、5時間目が学年一斉に保健体育となり、男女別に授業を行なうという。ホームルームが終わると、勘のいい蘭が周囲にこう言った。「こないだのアンケート、そ…
「これはみなさんが健康な生活を送っていくうえで、大事な資料となるアンケートです。無記名ですから、正直に書いてくださいね」7月に入ってすぐ、帰りのホームルームの…
その話は、佐知には初耳だ。有香とは違う興味で、耳を傾けることに。愛美はスポーツクラブの楽しさについて語ったが、「でも、運動だけじゃなかなか痩せられないっていう…
小学生の頃から、愛美の細さには見慣れているはずなのだが、ここ数ヶ月、佐知は違和感を覚えるようになった。中学に入ってから、細いなりにちょっとずつは成長してるかな…
有香はすぐ失礼を詫び、自己紹介をした。愛美も自己紹介を返したが、すると佐知が、「ユカが驚くのも無理ないよ。制服だとわかりにくいけど、そういう服だと、なんか………
「ブログリーダー」を活用して、エフさんをフォローしませんか?
3時間後、花菜はそれなりの満足と安心、なのに何かを間違えてしまったようなむなしさのなかにいた。裸を見せて、あちこち触られたものの、キスもなく、その報酬として得…
「私、まだ中学生なので」「そっかー、じゃあ無理だね。細くて可愛い子が好きな人には絶対ウケそうなんだけどなぁ。それにしても、大人っぽいんだね」その男性とのやりと…
迷路のなかを歩いているのは、花菜も同じだ。いや、愛美よりもずっと前からそのなかでもがいてきたので、自分が迷路にいることもとっくにわかっている。わからないのは、…
25.2キロ。輝く銀色の物体が示したのは、昨夜、父親の単身赴任先で計ったよりも200グラム少ない数字。最新式かつ新品の体重計で最低体重を更新できたことに、愛美…
帰りの電車では睡魔に襲われ、うとうととした。張り詰めていた気持ちがほぐれ、また、疲れも出たということだろう。おかげで地元駅に着く頃には少し元気になり、居眠りの…
しかし、愛美は結局、階段を使った。一度でも、マイルールを破れば、これまでの努力が台無しになるように思えて、踏みとどまったのだ。重い荷物を持って階段を昇るのは登…
「雑誌の読者企画に応募してきて、その撮影を後輩のカメラマンが担当したんだよね。で、その後輩から紹介してもらって、この個展に協力をお願いして、という流れなんだけ…
「あそこに飾られている写真なんですけど、女の人の写真、すごく細い人の写真がなんか気になって、どういう写真なのかなって」小さく指をさし、軽く首をかしげながら、愛…
「そういえば、ちょうどお昼どきだけど、エミちゃん、お腹すいてない?」父親が去ると、岩間が尋ねた。「あ、はい。大丈夫です」と答え、「朝、しっかり食べてきたので。…
父のマンションに戻った愛美は、約30分後、父の車で永山というカメラマンの事務所へと出発した。唯一の心残りは、今朝、体重を計れなかったこと。昨夜、体重計を見つけ…
どうして、こういうものがここに?いや、浴室に体重計があること自体は不思議ではない。ただ、単身赴任の父のマンションにそれがあるとは思っていなかった愛美にとって、…
「気になる、っていうと?」副編集長の問いに、スタイリストが答える。「爽ちゃんが細いのは完全に体質だと思うんだけど、エミちゃんの場合はそれだけじゃないような気が…
父が驚いたのも無理はない。愛美は中1まで、料理はほぼ未経験。せいぜい、家庭科の調理実習くらいだったが、最近、ちょくちょくやるようになった。夏休みはその機会をも…
「というわけで、今日はホントにお疲れ様。撮影のギャランティのこととか、交通費の精算についてとかは改めて連絡させてもらうね。さっき、お父さんにも話をさせてもらっ…
「あぁ、なるほど、身長も体重も、みんながみんな、同じように変化していくわけじゃないし。爽ちゃんみたいなズレ方の子は、うちのような雑誌にとってはありがたいんだよ…
そして、その願いは叶えられた。メイクが終わると、鏡には自分史上最高に垢抜けした姿が映っていて、愛美はプロのすごさに感心する。その変化を褒められることで少し自信…
愛美の初々しい姿は、そこにいたスタッフ全員に好ましく映った。歓迎されている空気感は本人にも伝わり、ホッとした気分になる。「可愛い」「細い」という言葉も心地よく…
編集部の最寄り駅に着いた。改札を出る前に、トイレに入り、ジーンズからスカートにはき替える。パーカーも脱いで、鏡の前に立つと、不安が押し寄せてきた。私、全然イケ…
続いて、副編集長からの電話。さっきのメールに記されていたことについての詳しい説明だ。もうひとりの子より扱いが小さくなる理由は、人気投票の順位だけではなく、その…
花菜ちゃん、どうしたんだろ。もしかして、私、嫌われるようなことしちゃったのかな。でも、最後は「応援してる」って言ってくれたし、大丈夫だよね。愛美のなかにもやも…
どうして、こういうものがここに?いや、浴室に体重計があること自体は不思議ではない。ただ、単身赴任の父のマンションにそれがあるとは思っていなかった愛美にとって、…
「気になる、っていうと?」副編集長の問いに、スタイリストが答える。「爽ちゃんが細いのは完全に体質だと思うんだけど、エミちゃんの場合はそれだけじゃないような気が…
父が驚いたのも無理はない。愛美は中1まで、料理はほぼ未経験。せいぜい、家庭科の調理実習くらいだったが、最近、ちょくちょくやるようになった。夏休みはその機会をも…
「というわけで、今日はホントにお疲れ様。撮影のギャランティのこととか、交通費の精算についてとかは改めて連絡させてもらうね。さっき、お父さんにも話をさせてもらっ…
「あぁ、なるほど、身長も体重も、みんながみんな、同じように変化していくわけじゃないし。爽ちゃんみたいなズレ方の子は、うちのような雑誌にとってはありがたいんだよ…
そして、その願いは叶えられた。メイクが終わると、鏡には自分史上最高に垢抜けした姿が映っていて、愛美はプロのすごさに感心する。その変化を褒められることで少し自信…
愛美の初々しい姿は、そこにいたスタッフ全員に好ましく映った。歓迎されている空気感は本人にも伝わり、ホッとした気分になる。「可愛い」「細い」という言葉も心地よく…
編集部の最寄り駅に着いた。改札を出る前に、トイレに入り、ジーンズからスカートにはき替える。パーカーも脱いで、鏡の前に立つと、不安が押し寄せてきた。私、全然イケ…