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2008/09/04

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  • 宝山24

    脱衣所で服を脱ぎ浴室の扉を開けるとそこには見事な五右衛門風呂体を流して熱い湯船につかる初秋の雨に打たれて冷えた体に染み渡る心地よい温度「あーっはーぁっ。」イヤーいい湯だっ。ふーそれにしても予想外の出来事ばかりだ。腹を下して予想外のバス停で降りて事なきを得たと思ったら春子さんの乗る軽トラックのタイヤがパンクして修理してお礼に旅館まで乗せていってもらったと思ったら旅館はつぶれていて旅館の軒下で眠ろうと思ったら春子さんの家に留らせて貰えることになるとは人生とは面白いものだなー。なんてことを考えてると「湯加減はどう?」「ちょうどバッチグーです」「バッチグーはないで」春子さんは笑う「背中でも流そうか?」「えっ!まじですか」「うそやで。ちゃんとあったまり」春子さんは笑いながら去っていく。僕はなんとも言えない気持ちになってし...宝山24

  • 宝山23

    そんなことを思っているうちに、春子さんが口を開く。「そうや秋一、雨で濡れて寒かったやろ。お風呂沸いてるからそこの部屋に荷物置いたらすぐ入りーや。」「いやいや、一番風呂はさすがにおこがましいですよ。」「なに言うてんの、うちのせいで秋一が雨に濡れたんやんか。遠慮せんと入りー言うたら入りー。」「そ、そうですか。」「そうや。」「じゃあ、わかりました。お先に入らせていただきます。」「ゆっくり入って温まるんやで。その間に夕飯作っとくから。洗濯物は洗濯機の中に入れとくんよ。」なぜこんなに良くしてくれるのかという疑問がわいてくるほどにやさしい。しかし、このやさしさのすべてが裏のないやさしさからだということもなぜだかわかる。「ありがとうございます。」人気ブログランキングへブログランキング【くつろぐ】↑押すと続きを書く気が起きるか...宝山23

  • 宝山22

    時折視線を交わしつつ、しばらくのあいだ無言で車は走る。無言でいても不思議と心地よい感じが漂う。このままずっと走り続けても良いかなという思いでいると、春子さんが口を開く。「もう着くで。」「おっそうですか。近いですね。」「せやろ。・・・ここやで。」そこに現れたのは広い庭に立派な家そして工房。田舎の一軒家といった感じである。工房とガレージとが一体になったような建物に車を入れる。「着いたで。」「すごい広いですねー。」「せやろ。でも一人じゃ広すぎるねん。」「今日は一人じゃないですよ。」「せやなー。」二人して笑う。「今日だけじゃなく帰るまでいてええよ。泊まるとこないやろ。」「えっ、いやいやそれはでもさすがにあれですよ。」突然の提案に僕は慌てる。「あれってなんやねんな。」「あれですよ・・・迷惑をかけちゃうというか・・」「私が...宝山22

  • 宝山21

    が、しかし寝袋に包まれた状態では身動きが取れない。寝袋から飛び出すころにはすでにタイミングは去っていた。寝袋をしまいながら僕は確認する。「本当にいいんですか。」「ええにきまっとるやないか。」「家族の方とか大丈夫ですか。」「大丈夫やで、うち一人暮らしやし。」ひ、一人暮らしの女性の家に泊まるですと!?「一人暮らしなんですか。おれデンジャーですよ。」「何がデンジャーや。秋一はデンジャーちゃうやろ。」満面の笑みで春子さんは言う。「確かにデンジャーとは程遠いですよ。」笑いながら応える。「じゃあいこか。」「ではお言葉に甘えて。」「存分に甘えてや。」春子さんはスタスタと車に向かう。僕はぺたぺたとあとに続く。車に乗り込むとバックミラー越しに目が合う。心臓が高鳴る。僕は春子さんが好きみたいだ。車が発進する。人気ブログランキングへ...宝山21

  • 宝山20

    「わっ!」僕は反射的に声とは逆方向に転がる。「わあああぁぁぁーーーー」お、お化けだー。「うひゃひゃひゃひゃー。」こ、この笑い声はもしや。僕はゆっくりと目を開けてみる。「は、春子さん?」暗くてよく見えないが確かに春子さんだ。「びっくりして転がりすぎやで。」笑いながら春子さんは言う。「ちょっ。すげーびびりましたよー。っていうかなにしてるんですか。」「いやこれは驚かせたろうかな思ってな。」「確かにものすごい驚きましたけど。」しばしの間、頭をフル回転させる。「もしや春子さん知ってたんすか。ここが潰れてるってこと。」「知ってたで。」「もしやあの怖い話もうそですか。」「うそに決まってるやんか。」「もうなんなんすか。」「いや面白いことになるかなと思ってな。めっちゃおもろかったで。」春子さんは爆笑している。「でもなんでおれがこ...宝山20

  • 宝山19

    く、暗い。圧倒的に暗い。明かり一つない。それに加えこの静けさ・・・。いやいや、いやいやいや寝静まっているだけさ。現実を直視することの出来ない僕は都合のいい予測を立て玄関まで進む。近づいてみるとやはり張り紙がしてある。そこにはやはり信じたくない事実が書かれている。・・・三ヶ月前に潰れてしまっていたようだ。「な、なんじゃこりゃー。なんじゃこりゃ。なんてこったー。」ここに来てプランは崩れ去る。一週間ほどこの旅館に泊まりながら宝を探そうと思っていたのに、この辺に宿はなさそうだし、どうすればいいんだ。いろいろと考えてみるがいい案は浮かばない。とりあえず今日はここで野宿するしかないのか、早くも念のため持ってきていた寝袋を使うことになるとは。どこか窓が開いているかもしれないと思い探してみるがどこも開いていない。もうこの玄関の...宝山19

  • 宝山18

    「秋一は今仕事は何してるん。」春子さんは軽快に車を走らせながら聞いてくる。「コンビニでバイトですね。」「そういえばさっき言ってたなぁ。休みとったん。」「一週間貰いましたね。春子さんはどんな仕事をしているんですか。こんな田舎でというか山奥でというか。」「なんやと思う。」「なんだろうなぁ。」春子さんから漂ってくる独特の雰囲気から察するに普通の仕事をしている感じではない。それもこんな山奥でやれる仕事は限られてくる。「陶芸家とかですか。」「おっ、おしいなぁ。」「じゃあ、家具職人。」「当たりや。」「ほぁー、家具職人ですか。なんというかそういう感じの仕事をしているのかなという雰囲気がしますね。芸術家というか。何かを作っているというか。」「ホンマかいな。まあでもすぐ当てられたしなぁ。」「どんなのを作ってるんですか。」「だいた...宝山18

  • 宝山17

    「で、どういう道のりなのかネットで調べてここまで来たというわけです。」「ほうほう、本物っぽいやん。金が見つからないうあたり。」「本物っぽいですよね。」「本物っぽいで。・・ていうか、今気付いたんやけど何でここで降りたん。安井旅館はまだ先やのに。」当然の疑問だ。あの一連の流れを僕が説明したら春子さんは爆笑している。「そういうことかいな。おもろすぎるで。ぶははは。」「いやいやほんと限界でしたね。」「ふはは、ホンマつぼや。いひひひ、ふふふ。」春子さんは笑い転げている。つられて僕も笑う。「はぁーふぅ・・・。おっ、もう真っ暗やな。」「真っ暗ですね。」「話も聞いたし、もうそろそろ行こか。乗りや。」「もう行っちゃいますか。」僕は少し残念そうに言う。僕らは立ち上がり車に乗り込む。人気ブログランキングへブログランキング【くつろぐ】...宝山17

  • 宝山16

    「どうも館長の田中です。」「鳥山です。」「お話というのは。」「あのですね。あそこの棚の風川夏雄という人のことをちょっとお聞きしたいんですけど。よろしいでしょうか。」「ほうほう、良いですよ。ちょうど今暇なんで。で、なんで風川さんのことを聞きたいんですか。」「大学のレポートでその土地の名士について調べるという課題が出てたんで今ちょっと話を聞いてちょうど良いかなと。」これほどまでにすらすらと嘘が出てくるとは自分でも驚きだ。「ああ、そういわれると風川さんは名士と言えなくもないね。ハハハ。」ここで話すのもなんだからと館長室で話を聞くことになった。「館長さんは風川さんとはどういう関係で。」「友達というかね、風川さんは私の年の離れた兄の友達で、もう親戚のおじさんというかそんな感じだったかな。」「はあはあ、風川さんは一体どんな...宝山16

  • 宝山15

    「こ、これは・・ま、まさに、た、宝の地図。」興奮が僕を包み体が震るえたがすぐに疑いの心が生まれた。というかこれは本物なのだろうか。この地図は一体どこの地図なのだろうか。この地図を書いたのは誰なのか。やはりこの本自体に何か関係がありそうだと思っていろいろみてみると、どうやらこの本はあの棚に書いてあった風川夏雄が編集したもので、自費出版で出されたもののようだった。風川夏雄が何か関係しているのはまず間違いなさそうだ。何が隠されているのかは分からないし、大したものはないかもしれないとも思い、面倒くさいなという気持ちも生まれたが、それをはるかに上回るワクワクを押さえることが出来なかった僕は図書館の人に聞いてみることにした。以前に何度か本の貸し借りの対応をしてもらったことのある若いかわいめの職員に声をかける。「あの、すいま...宝山15

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