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自作BL小説をほぼ毎日更新しています。現在はワガママ年上漫画家×平凡高校生のお話をUP中。

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2008/07/05

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  • パンタグラフ(27)

    「聞け!俺、先生になることにした」「…漫画家の?」「学校の!」威張りながら言うと、生田は脇腹を押さえながら不服そうな顔をした。「え~、なんでそこでいっちゃん選ぶかなあ。俺の方がいい男じゃん。いっちゃんってアレよ、真面目でいい人って女の子から評判あるらしいけど、まだ彼女とか1人くらいしか作ったことないのよ。見た目よりモテないのよ」「昨日一色先生見てて思ったの。一色先生ってすごく楽しそうに仕事してるし、人のために何かしてるって気するし。俺学校好きだしさ。まだよくわかんないけど、とりあえず決めた」「え~、まあねえ、潤ちゃんがそう言うんなら止めないけどさあ」こういうとこ生田のいい所だと思う。正直で。自分の意見は通すけど、他人の意見も否定しない。大人だけど、発想は自由だ。何も捕らわれないということは、大人にとっては実はす...パンタグラフ(27)

  • パンタグラフ(26)

    翌朝、潤が起きた時にはもう、生田はベッドの中にはいないで、潤が寝室を出ると生田が朝ご飯を作っていた。生田はそこそこ料理ができる。だが、たまにしかしない。なぜなら面倒くさいことと自分が楽しくないことはやらない主義だからだ。料理は生存問題に関わるのでやる時はやる。「…俺も手伝おっか?」服を着込んだ潤は、生田の横に立つ。「いいよ、潤ちゃんはまだ寝てて。いくら若くとも、さすがに疲れたでしょ」「俺は誰かさんと違って本当に若いから回復早いの。手伝う。何すればいい?」「あ、じゃあ、そこの皿出して」生田は卵を焼いている。全体的に見て今日は洋食メニューらしい。「…そういえばさあ、俺いっちゃんにお皿もらったことあるんだよね。引越し祝いだったけな、アレ」「えっ、どれ?どの皿?」「もうない。割れちゃったから。全部処分しちゃったの」「え...パンタグラフ(26)

  • パンタグラフ(25)

    「ごめんってば。戸村のことはね、俺気持ちわかるんだ。俺がね、そうだったから。俺いっちゃんに告白したけど、それってほんとの恋愛感情じゃなかったんだよね」生田は潤の頭をゆっくりと撫でる。「…なんだろ、あの頃俺あんま友達とかいなくて。いなくていいとか思ってて。でもいっちゃんとは仲良くなったんだよ、気が合ってさ。いっちゃんといると楽しくて、今度はいっちゃん以外は友達いなくていいとか思い始めて」思い込み激しいのは昔からか。潤は生田の腕の中で動かずに思う。「けどいっちゃんには俺以外にも友達いたんだよ、いっぱい。それ俺我慢出来なくてさ。そのうちいっちゃんを独り占めしたいとか思うようになったの。だから告白した。少しでもこっち見てほしくて」生田はいつもはしない、穏やかな顔をした。その目で見つめられて潤の心臓の鼓動がどんどん早くな...パンタグラフ(25)

  • パンタグラフ(24)

    生田がまた唇を触れ合わせてきたが、潤は生田の腕を両手で押し、生田から顔をそらした。「…嫌だ」「え?」「今日は嫌だ」「んん?じらし作戦か?」生田は微笑む。だが潤の目から涙が出てくるのに気付いて、驚いて焦る。「えっ、そんなに嫌なのっ?ごめん俺かなりショック受けた今っ。マクドナルドで頼んでもいないのに、いつの間にかレシートにスマイル0円って打たれてた時並にショック受けたっ」つまりは大した痛手を受けていない。「…わかんねえよ」潤はただ涙を流す。生田は潤の上からどいたが、潤はピクリとも体を動かさない。「わっかんねえ俺。あんたのこと全然わかんねえ」「えっ?何が?」「そりゃ、あんたの方が年上だしさ。恋愛経験豊富だろうけどさ。俺まだあんたとしか恋愛したことないし。俺は、もしあんたに振られても、あんたみたいに平然としなんてしてら...パンタグラフ(24)

  • パンタグラフ(23)

    校舎の中へと戻って廊下を歩く。「あっ、笠井。よかった探してて。お前ちゃんとケータイの電源入れてるか?」すぐに戸村に呼び止められた。戸村はさっきまで、なぜか春喜を慰めていた。やけ食いに付き合わされていた。「戸村。あ、ごめん。うわ、着信めちゃめちゃ来てるし」ケータイを見ると、生田、藤沢、春喜、戸村の順で綺麗に着信がされていた。「いや、それはいいんだけど。俺お前に言いたいことが出来ちゃって」戸村はさっきの春喜の告白を見て、ちょっと感心するところがあった。堂々と告白することは、かっこいいことじゃないか。「え、何」戸村は真剣な顔をする。潤はとりあえず戸村が見つかったことに安堵する。「…俺お前のこと好きかも。まだよくはわからねえんだけど。友達じゃなくて、それ以上に好きかも」「えっ…」潤がホッとしたのもつかの間で、戸村の告白...パンタグラフ(23)

  • パンタグラフ(22)

    竹岡はちょっと不思議そうな顔をしながら立ち止まった。友人を先に体育館に行かせる。「あの、俺2年の戸村っていいます。そんで今日は、ちょっと竹岡さんにお話があるという人が来ているんで、とりあえず会ってやってください。えっと、どうゆう人かっていうと、俺よく知らないんですけど。友達の恋人の知り合いっていうか、つまりは俺とは全くの無関係の人間なんですけど」「ああ、それを言っちゃ元も子もない」戸村の説明を、大人3人は体育館の壁横に隠れながらも聞く。竹岡は思いっきり警戒している。我慢しきれなくなって、春喜が竹岡の前に飛び出した。「あ、あのっ、お話があるっていうのは俺なんですけどっ。…付き合ってください!一目で好きになりました!」春喜は必死に言う。だが竹岡の顔は強張ったままだ。「…ごめんなさい。私今、彼氏いるんです」綺麗に玉砕...パンタグラフ(22)

  • パンタグラフ(21)

    体育館には電波が届かない。潤は体育館で行われるイベントの、舞台設定を手伝っていた。一色もジャージ姿で一生懸命指示を飛ばしている。一色は着信しているのはわかっていたが、出る暇がなかった。「というわけで委員長。僕ら困っているんだ。潤くんにも一色さんにも連絡がつかない。じゃあ俺の竹岡さんへの告白はどうなってしまうんだ。今日を逃したら他に接触のチャンスはないと思われる。それに俺の決心が鈍ってしまう」大人3人と高校生は中庭の芝生に円になって座ってクレープを食う。フランクフルトを食う。団子を食う。焼きそばを食うのは戸村で、春喜に奢ってもらった。「だから俺委員長じゃないって…。笠井と同じ美化委員」「そんなことはどうでもいいんだよ!とにかく俺はね、竹岡さんに会いたいんだよ」春喜はモテる。でも、なんでか知らないがすぐに振られる。...パンタグラフ(21)

  • パンタグラフ(20)

    戸村が生田を見上げると、生田は真面目な顔で戸村を見ていた。「うーん、難しい問題だ…。君の気持ちはよくわかる。なぜなら潤はかわいいからだ。俺の返答によっては、君は俺のライバルになりかねん…」生田は悩むと眉間にシワが寄る。「だがな、少年。それは君の勘違いだ!」今まで悩んでいたと思ったら、急に生田は戸村をビシッと指差す。「もしくは思春期の過ち!友情の突っ走り!君のその気持ちは親友が自分から離れていくことを恐れるあまりの自己防衛的な行き過ぎた好意であり、すなわちコレ恋愛感情ではない!」生田ははっきりと断言した。戸村は驚いてあんぐりとする。「か、勘違い、かなあ?」生田の意見にも一理あるなと思った。「生ちゃん、それただ単に自分が『そうだったらいいな』って思ったことを言っただけでしょ!」「少しでもライバル減らしたいからってー...パンタグラフ(20)

  • パンタグラフ(19)

    「…戸村って、もしかして俺のこと嫌い?」早足で歩きながら、一色は横の潤に呟いた。「え?そんなことはないと思うけど」少なくとも潤は、戸村が一色の悪口を言うのを聞いたことがない。特に親しくないから興味もないはずで、戸村の口から一色の話題が出ること自体少ないのだ。「じゃあ苦手とか?あいつ古典出来そうだもんな。ナメられてんのかな」「いや、戸村理系だし。苦手になるほど話したことないでしょ、先生」「んー、俺は苦手かもー」先生も人間だ。生徒の好き嫌いはあるのだろう。それからますます一色はスピードを上げて、潤は体育館まで一直線に走った。「おお、君なんか見たことあるぞ。えーっと、アレだ、委員長!」戸村が潤以外の友人を探してグラウンド横を歩いていると、後ろから声がかかる。「生田さん…」振り向くと、今日はきちんとした身なりの生田と、...パンタグラフ(19)

  • パンタグラフ(18)

    「藤沢さんは?なんで漫画家に?」「潤くんはなんで急にそんなこと聞くの?」漫画描き3人の中では1番大人である藤沢には逆に質問し返される。「…進路指導の調査書、出さなきゃいけないから。ほら俺、来年3年生で受験生だし。なのに俺将来何やりたいか全然わからねえし」「…そっか。でも俺も潤くんくらいの時はそうだったよ。可能性ありすぎて困るんだよね。何にでもなれるし、何にでもはなれない」「ってか、潤は俺のアシスタントになればいいんじゃないか?俺の仕事はだいたい知ってるだろ?」生田はごく軽い口調で言う。それに潤は反抗したくなった。自分の将来だ。大人の意見はあくまでも参考だ。「俺は漫画家にはならないよ。第一絵なんて描けないし」「やってるうちにだんだん慣れてくるんだよ」「とにかくっ、漫画家は俺の将来のビジョンには入ってないのっ」生田...パンタグラフ(18)

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