ここはサンセット通り、日の出マート。当たり前でないことが当たり前に起こる店。
シュールでエロティック、非日常的なビザールワールド。今日も日は昇り、また沈む。
移転しました。 移転先
出勤6回目 日の出マートの常連は一風変わった人ばかり。 中には裏稼業─つまり危険な仕事─を生業にしている人もいる。 ブラックさんは中国人。 毎日まいにち、全身を黒一色で固めている。 黒い頭髪をポマードで固め、黒いシャツはいつもパリっと糊が効いている。黒いスラックスは寸法を間違えたのか少し丈が短い。黒い革靴の下は、なぜだかいつも素足だ。 ブラックさんは基本的に喋らない。仕事柄人付き合いは苦手なのかも知れない。無口なのには他に理由があるのかも知れない。サンセット通りの住人は誰もブラックさんの過去を知らない。名前以外、全てが謎に包まれた人物なのだ。 彼の職業は殺し屋である。 ..
出勤5回目 ベテランスタッフの神田くんが地元の大手に就職を決め、日の出マートを去る。 彼とは同い年で、深夜スタッフ内では私と二人年長者であった。 実績年数で言えば私など話にならないくらい、神田くんは日の出マート歴が長い。 その勤務歴と冷静沈着な立居振舞い、ストイックなものの考え方。 それら全てから、彼は日の出マートの神と崇められていた。 神のラストにはなにが相応しいか…。 いい機会だ。 日の出マート深夜スタッフを紹介してみようか。 ただ特徴を羅列したのであってはおもしろくない。 彼らの発した名言を添えてみよう。 偉人伝のようになるのではないか。 神田..
出勤4回目 ※グロ注意 夜な夜な湧いている、という噂はあった。 信じてはいなかったが、嫌でもその話は耳に入ってきた。 聞き流しもせず、記憶に留めることもなく、情報は頭の片隅に放り出され無意識の奥底で眠っていた。 トイレ占拠。 コンビニでこれをやられると参る。 個室が一つだけのタイプだと店内が淀み出す。 尿意、便意を催した全ての人々がトイレ前に群がる。 列を成す訳でなく、トイレ近辺にウロウロと屯する。 意識を別方向に持って行こうと弁当を物色したり、 雑誌をめくり活字や写真を眺めて気を紛らわせたり、 興味もない商品を手に取り関係の無い事を考えたり、 店内の..
出勤3回目 前回の続き。 診察券の事件から一週間が経った。 老人は相変わらずヨロヨロと来店し、ジャラジャラと小銭で買い物をしていく。 あの一件の事など無かったかのように。 我々も特に気にしてはおらず、今まで通りに接していた。 月曜日。 一週間のうち日の出マートが最も忙しくなる日。 その日も客足が途絶えることなく、私はオシャレスタッフの森くんと共に手強い月曜日と戦っていた。 ようやく月曜日の勢力も弱まり落ち着いてきたのは日付が変わる頃。 一息つこうかと事務所の椅子に腰掛けた時、あの老人が来店した。 お決まりの文句で迎え、レジ前に二人で陣取る。 老人はフラフ..
出勤2回目 病院の診察券でショッピング?! こんな広告が貼られていたら、私は迷わずクリックするだろう。 未来の世界では当たり前のように行われているのだろうか。 代金は月末に保険料と一緒に引き落とされるのだろうか。 専用端末で現金をチャージして、電子マネーとして利用できるのだろうか。 ネット上でカード番号を入力してオンライン決済できるのだろうか。 その世界は果たして今よりも住みやすいのだろうか。 ※ ※ ※ 人は人を風貌や言動で判断する。 初見の他人を判断する際、まずそこに注目する。 「第一印象」という言葉が、まさにそれだろう。 接触する機会が得られな..
出勤1回目 東山さんという、常連のお婆さんがいる。 深夜を主な活動時間とし、常時酒気を帯びている。 陽気に来店し、陽気に酒を買い帰っていく。 以前一度だけ早朝にアルコールの抜けた東山さんを見た。 目は力なく虚ろ、トボトボというよりホヨホヨしており、 他人行儀な感じで、戦闘力は2であった(普段は3)。 また、足腰が余り芳しくなく杖が手放せない。 冬場の凍結路面で転び、顔面を強打したこともあり 日の出マート深夜スタッフをハラハラさせるドジっ娘だ。 ある朝のこと。 時間は6時頃だったと思う。 私は店外で燃えるゴミ出しをしていた。 涼しい秋の空に太陽が昇り、清..
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