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  • 微熱 - 95 -

    秀樹の言うとおり、駅から駐車場までのたった数百メートルの距離が俺には遠かった。秀樹が怒ってるから速足なんだと思おうとしたけど、そうじゃないことは端からわかっていた。心配だから怒ってるんだってことも。 あいつも―――どうでもいいことだけど、心配するといつも怒った。怒って、なのに瞳の奥は泣いてるようにも感じた。「ごめん……」 自然とくちを吐いて出た。悪いとか、すまないとか思うより先に、ことばがくちの中か...

  • 微熱 - 94 -

    ―――消えてくれないか。 君さえいなくなれば、すぐに忘れる。 これで終わりというわけじゃない。 白い封筒が視界を覆い、冷たく感情のない瞳がそこから俺を見つめた。「最初はなんだっけ? 藤島さんが新人にばかりやさしくした、だっけ?」 蔑むような秀樹の声が俺を追いつめる。「その次が、抱いてくれない? ちゃんと答えてくれない? 好きだって言ってくれない?」 秀樹を友のようにも兄のようにも慕って...

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月下香 〜男たちのものがたり〜
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