改札から歩いて五分とかからない駐車場なのに、何十キロも歩いてきたような疲労感に包まれてたどり着いた。「お邪魔します……」 蚊の鳴くような声でそう言って、開け放たれていた助手席のドアを潜る。「ぅわぁっ!」 既にエンジンをかけて待っていた秀樹は、俺がドアを閉めてシートベルトを嵌めるや否やタイヤを鳴らして発進させた。 モデルみたいな顔立ちに似合わないゴツイRV車が駐車スペースから二百七十度回転して飛びだ...
程なくして、俺はホームに降り立った。「ふっ……んんっ!」 思いっきり伸びをして、数時間の旅で硬くなったからだをほぐし、新幹線の改札を抜けるためにエスカレーターに乗る。 このまま在来線に乗り換えて家に帰るか、ホテルで一泊して気持ちを整理するか、決める時間は多くない。(どうしよう……?) そう胸の中に呟くあいだにエスカレーターは上階へ着いてしまい、あっという間に選択を迫られた。(やばいよなぁ。「計画性が...
「……っひ、……ぅっ、ぁ……はっ、……あ……っ」 その場に崩れ落ちて空を掻き毟る。どう考えても助けてくれそうにないそのひとに向かって、助けを乞うように手を伸ばした。「過換気症候群っていうのは過度なストレスを感じると起こす発作だ。慣れない入院生活や術後の不安? 君はその程度じゃ起こさない。認めるな?」 医者は冷静に症状を判断し、冷酷に俺に告げる。そして、医者とは思えない冷たい目で、息ができずに苦しむ俺を見おろ...
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