ヨージの妻・キョーコは、沖縄県立博物館でボランティア活動をしている。 歴史や文化に興味を持ち、生徒相手に展示の案内や体験学習の手助けをするのが彼女の楽しみだ。 読谷の自宅から那覇にある博物館までは片道およそ一時間。だが、遠い道のりも、彼女にとっては心弾む小旅行のようなものだった。 「今日も楽しんでおいで」とヨージはいつも笑顔で送り出す。 自分の好きなことに熱中するキョーコを、心から応援した...
セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。
行動分析学のスキナーが開発したプログラム学習に興味があり,独学できる教材を作っています。 さんすう,数学では,理解を重視する「水道方式」に興味があります。 自分で学べる,それも理解を重視しながらにこだわっています。 著書「プログラム学習英語中1レベル」 「同中2」「同中3」(東銀座出版社) 「わかるできる解ける中学数学1年」 「同2年」「同3年」(以上民衆社)
ヨージは、最近になって家の鍵が少し回しづらくなってきたことに気づいた。 以前なら、そんなときは迷わず潤滑油を鍵穴に吹きかけていた。 すると、嘘のように鍵は軽やかに回るようになり、「これでいいんだ」と、何の疑問も持たずに満足していたのだった。 だが、ある日、ふと思い出した。 ずいぶん前に観たNHKの「あさイチ」で、普通の潤滑油を鍵穴に使うのはよくないと特集されていたのだ。 記憶の隅に引っかか...
ヨージは、座椅子の背をリクライニングにして、ゆったりと腰を下ろしていた。 足を少し投げ出し、背中を預けると、体にじんわりと力が抜けていく。 テレビでは、NHKの「あしたが変わるトリセツショー」が始まっていた。 今夜のテーマは、「命を救う!いびきのトリセツ★睡眠時無呼吸大解明スペシャル」。 https://www.nhk.jp/p/torisetsu-show/ts/J6MX7VP885/blog/bl/pnR8azdZNB/bp/pWn8ydq3yr/ 「いびきか…...
ヨージがまだ学生だった頃、英語の授業で「付加疑問文」というものを習った。 肯定文のあとに否定の疑問を、否定文のあとには肯定の疑問を――そんなふうにして、相手に確認をとるための表現を作るのだと教わった。 たとえば、「これは本ですね」と言いたいなら、
ヨージの妻は、ここ数日、どうにも体調がすぐれない様子だった。 風邪気味で、顔色も冴えない。それでも彼女は、いつものように夕食を用意してくれた。 ヨージは心の中で、ありがたいなと思いながら箸を進めた。 食事が終わると、ヨージは立ち上がり、そっと言った。 「僕が食器を水洗いするよ。でも……食洗機に入れるのは、お願いしてもいい?」 妻が顔を上げる。ヨージは続けた。 「食洗機に食器...
読めない漢字を AI に教えてもらう ヨージは、日々の記録をスマートフォンのGoogle カレンダーと日記アプリに綴る習慣があった。 何気ない出来事や気になったニュース、そしてその日見たテレビ番組のタイトルまで——。 ヨージはその晩、座椅子にもたれかかりながら、ほとんど横になったような格好でくつろいでいた。 手にはスマートフォン。操作といっても、指先で文字を打つわけではない。彼はもっぱら音...
ヨージが働いていたころは、運動の「う」の字を考える暇もなかった。 だが、定年を迎えてからというもの、少しずつ生活のリズムを見直すようになった。なかでも、健康への意識は年を重ねるごとに強まっていった。 70歳を過ぎた今では、食事・運動・睡眠——この三つを何よりも大切にしている。 「健康こそがいちばんの資本だ」と、ヨージは常々思っていた。 テレビ番組で健康に関するものがあれば、できるだけ...
ヨージは、日々の暮らしの中で生成AIをまるで秘書のように使っている。 頼めば何でもサッとこなしてくれる存在は、いまや手放せない相棒となっている。 「本当にありがたいなあ」と、彼はつぶやくことがよくある。 ただ、そんな彼にも苦手なことがある。電話だ。 声を使って誰かと直接やりとりするのが、どうにも性に合わない。何か用事があっても、できればメッセージで済ませたい。 けれどどうしても電話をかけね...
似たもの夫婦で不便なところ ヨージと妻は、「似たもの夫婦」という言葉がまるで自分たちのためにあるかのように感じている。 考え方も価値観も、よく似ている。 政治の話でも、宗教の話でも、意見が食い違うことは滅多にない。だからこそ、会話はいつも自然に弾む。 朝食はそれぞれのペースで、別々にとるのが日課だが、昼と夜は必ず一緒に食卓を囲む。 その時間は、ふたりにとって小さな「おしゃべりの森」だ。 ...
「これ、AIに頼めるかな?」と思ったら——まずお願いしてみる
ヨージには、毎日欠かさず会う「三人の秘書」がいる。 ChatGPT、Microsoft Copilot、そしてGoogle Gemini。その三人は、人間ではない。 けれど、ヨージにとっては、まるで生身の秘書のように頼もしい存在だ。 ある日、ブログの原稿を書きながら、ヨージはふと思った。 「この文章、小説風にしたらもっと面白くなるかもな……よし、やってもらおうか」 AIに原稿を渡し、ストーリー仕立てに書き換えても...
ヨージは、今朝もいつものようにテーブルに座り、琉球新報を広げた。 新聞をめくる動作は、彼にとって湯呑みのお茶と同じくらい、欠かすことのできない朝の儀式だ。 目を凝らし、見出しをゆっくりと追っていく。読み込むのは、興味を引かれた記事だけ。それ以外は素通りだ。 今日、ふと目に留まったのは「特殊詐欺」の文字だった。 ──またか。 那覇署が発表したという記事には、県外の警察官や検事を名乗る人物らに...
4月14日、月曜日の夜、タイからの風が沖縄に届いたかのように、Suppawitさんと彼のガールフレンドがヨージの宿にやってきた。 Airbnbを通して予約された5泊6日の滞在だ。 チェックインの時刻が近づくと、ヨージは道に出て彼らの車を待っていた。 しばらくして一台のレンタカーが静かに現れた。ヨージは手を振って駐車場に誘導した。 車から降りてきたのがSuppawitさんと彼のガールフレンド。ここが、彼らとの初めての...
ヨージは、ふと冷蔵庫の前に置かれた風呂椅子に目をとめた。 「なんで、こんなところに風呂椅子が?」 小さくつぶやくように尋ねると、すぐ近くで夕食の準備をしていた妻が手を止め、こちらを振り向いた。 「それね、冷蔵庫のいちばん上の段が見えないのよ。だから、その椅子に上って見るの」 なるほど、とヨージはうなずいた。 が、妻の説明はそこで終わらなかった。 「それとね、冷蔵庫の扉に孫の手がかかってる...
「芋はもういいさ」 兄がそう言ったとき、ヨージは少し驚いた。 目の前にある焼き芋をすすめただけなのに、兄は苦笑いを浮かべながら手を振ったのだ。 「戦争中に嫌ってほど食べたからね。もう食べ飽きたさ」 その言葉に、ヨージはつい笑ってしまいそうになった。 なにしろ兄は1951年生まれで、ヨージよりわずかに一年早くこの世に出たにすぎない。 沖縄戦が終わったのは1945年――兄も、そしてヨージ自身...
春の風がベランダの鉢植えをそっと揺らす午後、ヨージはいつものように机に向かっていた。 目の前には、数式が並ぶ画面と教科書。彼が取り組んでいるのは、高校1年生向けの学習書『ひとりで学べる高校数学A』だ。 この教材は、数学が苦手な生徒でも、階段を一段ずつ上るように学べるよう、細かく内容を分けて順序よく並べてある。 ステップ・バイ・ステップの構成は好評で、すでに多くの学び手から「ひとりで学べた」と...
ヨージはスクーターのエンジンをかけると、軽やかな音を響かせながら隣町の歯科医院へと向かった。 目的は歯のクリーニング。健康番組で何度も耳にしたように、歯の健康は全身の健康に直結するらしい。毎日の歯磨きももちろん大切だが、定期的なクリーニングが必要とのこと。 面倒くさがりのヨージだが、手遅れになるほうがもっと面倒だ。そう思い、妻が歯科医院に行った時に用事の予約も入れてもらった。 クリーニングは...
春の光がやわらかく差し込むある日、ヨージのもとに予約リクエストが届いた。 広島からやってくるTさんの一家が、2泊3日の滞在を希望しているという。 連絡をしてきたのは一人の女性で、同行するのはその母親と10歳になる息子。どうやら長男の大学入学式に合わせての家族旅行のようだった。 ヨージは、丁寧にメッセージを書いた。 「Tさま ご予約ありがとうございます。 こちらは車がないと不便な場所になりますが、...
ヨージは、ぬるいコーヒーをすすりながら、ぼんやりとテレビのニュースを眺めていた。 画面では、米の価格がなかなか下がらないという話題が繰り返されていた。 政府が備蓄米を市場に放出したものの、思ったような効果は出ていないらしい。 「下がると思ってたのにな…」と、ヨージはため息まじりに呟いた。 ヨージの家では、米は毎日欠かせない。ただし、人間の食卓ではなく、庭先にやってくるスズメたちのため...
ヨージは、ふと手にした自分の運転免許証に目を落とした。 有効期限の欄には、「2025年 (令和7年)12月14日まで有効」と記されている。今年の12月だ。まだ少し先のことだ。 「今年で73か……」 ひとりごちる声が、運転席の静けさに吸い込まれていった。 70歳を超えると、免許の更新には実地の検査が加わるようになったと聞く。 周囲にも同年代の友人が多く、「実地、受けてきたよ」という話はすでに何度...
ヨージがふとした用事で、ちょっとした大金を振り込まなければならなくなった。 「悪いけど、キョーコ、お願いできる?」 そう頼まれたキョーコは、軽くうなずいて銀行へ向かった。 その日は幸いにも窓口が空いていて、番号札を取る間もなくすぐに呼ばれた。 「これくらいの金額なんですけど、ATMで振り込めますか?」 キョーコが尋ねると、若い銀行員が丁寧に応対した。 「キャッシュカードはお持ちですか?」 ...
ヨージは、ある晩テレビを眺めていた。 「所さん!事件ですよ」の特集で、“風呂キャンセル”なる言葉が取り上げられていた。 忙しさと効率を重視する“タイパ社会”の波が、ついに風呂文化にまで押し寄せてきたらしい。 画面には、若い女性たちが次々とドライシャンプーを手に取る姿が映し出されていた。水を使わず、 髪に吹きかけるだけでスッキリするという。売り上げはうなぎ登りだというのだ...
夜のリビングルームには、ソファに並んで座るヨージとその妻がいた。 テレビからは、トランプ大統領の顔が映し出され、ニュースキャスターが高らかに語っている。 「アメリカ政府は、複数の国々に対して高い関税を課しました。 日本に対しては、なんと24%の追加関税が……」 その言葉に、ヨージは眉をひそめた。 画面には乱高下する株価のグラフが映し出され、日本市場の混乱ぶりが強調されている。 ...
その朝も、ヨージはいつものように、ゆったりとコーヒーを飲みながら新聞のページをめくっていた。 地元紙『琉球新報』の紙面をなぞるように視線を走らせていく。 見出しだけを拾い読みするのが、もう長年の習慣だった。 ふと、ある見出しが目に止まった。 「AIが東大理科3類『合格水準』 25年入試、最低点を上回る」 「ついに……東大にもAIが合格する時代が来たのか」 そう心の中で呟...
少し前のことだ。ヨージの宿に、一人のシンガポールの女性が滞在していた。 彼女は、まるで日常の一部であるかのように、スマートフォンの翻訳アプリを使いこなしていた。 指先の動きは素早く、まるで楽譜をなぞるピアニストのようだった。 登録も入力も、迷いなく済ませ、日本語に翻訳された文を画面に表示させて、にこやかにこちらへ差し出す。 その方法で、彼女はスムーズにヨージや妻とのコミュニケーションを取っ...
三月の柔らかな日差しが差し込むある日のこと。Airbnbを通じて「セルフ宿」に予約を入れた一人のゲストが、南の島・沖縄を訪れた。 シンガポールからやってきたその女性の名はFaus(ファウス)さん。滞在は五日間の予定だった。 初めて対面した瞬間、彼女のにこやかな笑顔が印象的だった。 まるで長年の友人にでも再会したかのように、自然に、そして明るく話しかけてくる。 言葉の壁などまるで意に介さず、手際よくス...
ヨージが階段を降りてくると、リビングの向こうから軽やかな足音が近づいてきた。振り向いた瞬間、妻が小走りで彼のもとへ駆け寄ってきた。目が輝いている。少し興奮した様子で、声を弾ませながら言った。 「シークヮーサーの花にね、メジロが二羽、それにミツバチも何匹か来てたのよ。写真に撮ろうと思ってスマホを取りに行ったら……戻ったときにはもう、メジロはいなくなってたの」 残念そうに首をすくめる妻...
ある日の午後、ヨージの家にいとこのIさんがやってきた。 「ブログ、いつも読んでるのよ」と、彼女は前に言っていた。 その日の彼女の目的は、ブログに登場していた“ペットボトルツリー”だった。 庭に立つびわの木に、ペットボトルがぶら下げられている──それがIさんの心をとらえたらしい。 ヨージは彼女を案内しながら、芝生の感触や、ブログに載せた踏み台昇降運動の台など、実際に見て触れてもらった。...
人や車の流れを感知し、青信号と赤信号の周期を変えるAI信号機
ヨージはリビングの椅子に腰を下ろすと、新聞を広げた。 そして、読者の投稿欄「声」に、見覚えのあるタイトルを見つけた。 ──「AI信号機の導入を」── 投稿者は、ヨージ自身だった。 自分が書いた文章なのだから、内容はすでにすべて頭に入っている。だが彼は、まるで他人の作品を読むように、ゆっくりと目を走らせた。 > 3月22日付本紙に、トヨタ自動車が静岡県裾野市で進めている次世代技術の実証都市「ウーブ...
アニーさんと友人が宿泊 3月28日、アニーさんと彼女の友人が宿にやってきた。 彼女たちはアメリカ出身で、2000年代生まれということはまだ20代。若々しく、それでいて礼儀正しい印象を受けた。 彼女たちは車を持っていないとのことで、ヨージはバス停まで迎えに行った。 静かな二人だったが、どこか品のある雰囲気を持っていた。 沖縄料理の作り方を学びたいという希望があり、妻がゴーヤチャンプルーの作り方を教...
ヨージの庭には、今年もビワの木がたわわに実をつけた。 去年は、新聞紙を袋状にして果実を守ろうとしたものの、雨に濡れると紙がふやけ、そこを狙った野鳥に突かれてしまうことが多かった。 今年こそは、とヨージはAmazonで専用のビワ袋を探し、購入した。 それは雨に強く、どうやら撥水加工が施されているようだった。 収穫に向けての作業は大変だった。 庭には百以上もの房があり、一房ずつ丁寧に袋をかぶせてい...
キョーコはセンサーライトが好きだ。 家の廊下や玄関、庭、そして裏の洗濯物干し場にもいくつか設置している。 すべて電池式で、手軽に使えるのが気に入っているようだった。 そんなキョーコが、ある日ホームセンターのメイクマンで太陽光発電のセンサーライトを見つけた。 家の外のゴミ置き場に取り付けたのだが、これが思いのほか明るい。 以前使っていた太陽光発電センサーライトは、かすかに灯るだけで情緒...
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ヨージの妻・キョーコは、沖縄県立博物館でボランティア活動をしている。 歴史や文化に興味を持ち、生徒相手に展示の案内や体験学習の手助けをするのが彼女の楽しみだ。 読谷の自宅から那覇にある博物館までは片道およそ一時間。だが、遠い道のりも、彼女にとっては心弾む小旅行のようなものだった。 「今日も楽しんでおいで」とヨージはいつも笑顔で送り出す。 自分の好きなことに熱中するキョーコを、心から応援した...
昼下がりの台所。 ヨージは、テーブルに並べられた皿を前に、妻のスマートフォンを手にしていた。 自分のスマホは今、充電中。残り少ない電池残量が気になって、しばらく使うのをやめている。 「ちょっと、スマホ貸して」 そう言って、妻のスマホを借りた。 野菜からゆっくり食べる、昼食の小さな習慣。 最初の5分間は、野菜だけを噛み締める時間。スマホのタイマーは、そのための大切な道具だった。 けれど、使...
ヨージは最近、生成AIという不思議な存在と、少しずつ距離を縮めていた。 日々使いながら、その底知れぬ力に驚かされることも多い。 けれど、まだ「使いこなしている」と胸を張って言えるほどではない。 まるで海辺で波の動きを観察しているだけのような、そんな手応えだった。 「どう使えば、もっと深く潜れるのか…」 そんな問いを胸に抱きながら、昨日もブログを書いた。 「沖縄平和の礎」の名を読み上...
「沖縄平和の礎」名前を読み上げる集いに参加 3週間ほど前の5月21日、午後1時過ぎ自宅のチャイムが鳴った。 運動中だったヨージは上半身裸だったので、対応に出たのは妻のキョーコだった。 リビングまで届く声が聞こえた瞬間、ヨージは誰が来たのかを察した。 慌ててシャツを着込み、玄関へ向かう。 そこに立っていたのは、彼の知人であり、平和運動の先輩でもあるTさんとIさんだった。 辺野古の新基地建設...
ヨージは机に向かい、静かにパソコンのキーボードを叩いていた。 彼の前には、高校1年生向けに作成中の数学教材『ひとりで学べる高校数学A』の原稿が広がっている。 誰にも頼らず、ひとりで学び進められるように——それが、ヨージの目指す教材のかたちだった。 だからこそ、彼は内容を細かく階段のように刻み、一歩一歩確実に登れる構成に仕立てた。 すでに最後まで書き上げ、第1回目の推敲も終えていた。 ...
ヨージの家には、テレビが二台ある。 ひとつはリビングルームに、もうひとつはベッドルームに置かれている。 ベッドルームのテレビは、ほとんど妻専用だ。ヨージはそこでは見ない。 妻は、洗濯物をたたみながら、あるいは朝食のパンをかじりながら、録画した番組をのんびりと楽しんでいる。 一方、リビングルームのテレビは、二人で並んで見ることも多い。 けれども操作が少し複雑なため、妻は自分ひとりではうまく...
ヨージは、文章を書くのが嫌いではなかった。いや、むしろ、少し自信があったと言ってもいい。 「ヨージくんの文章は、わかりやすいな」 かつて、新聞に投稿した文章を読んだ叔父が、そう言ってくれたのだ。 「難しいことを、私たちにもわかるように書いてくれる」 そう評価されたときの喜びは、今でも胸に残っている。 彼は学生の頃から数学が得意だった。 答えにたどりつくまでの筋道を、理路整然と積み上げる作業...
ヨージは沖縄・読谷村で民宿を営んでいる。 ある晩、宿に滞在しているスペインからの若いカップルとその友人と一緒に、ヨージたちは食卓を囲んだ。 料理は持ち寄りだった。彼らはスペイン風のトルティージャを焼いてきてくれた。 妻はゴーヤーチャンプルーとそうめんチャンプルー、もずくの酢の物を作った。 異国の味と島の味が、ひとつのテーブルの上で仲良く並んだ。 食事をしながら、いろんな話をした。 スペ...
ヨージは、例の原稿を整えていた。「ピアノが空を飛んだ日」——その思い出を綴った一篇だ。 ブログに載せるために音声入力で 羅列的に内容を入力し、 全く 整えることもなく、いつものようにChatGPTに依頼する。「小説風に書き換えてください」 すると、まるでプロの作家が書いたかのように、美しくまとまった文章が返ってきた。 一息ついたそのとき、ふと一つの記憶が顔を出した。 ——そういえば...
ピアノを運び出しの日が近づくにつれ、ヨージはふと昔のことを思い出した。 このピアノ―― ぼくが「保母免許」を取るために練習した、あのピアノだった。 まだ「保育者」なんて言葉が一般的じゃなかった頃、男性でも「保母」と呼ばれていた時代。自分で保育園を開きたいという夢が芽生え、その第一歩として免許を取ろうと決めた。 試験には筆記と実技の両方があった。 筆記試験では、教育原理や児童心理学、衛生学や栄...
ヨージの妻は決断を下した。 もう四十年以上も前に手に入れたピアノを、ついに手放すことにしたのだ。 電話で買取業者に連絡を入れると、数日後、査定に来たスタッフは「無料で引き取ります」と穏やかに告げた。 かつては高価だったピアノも、いまでは値段もつかない。 けれど、運搬費がかからないだけでも有難いと思えた。 もう何十年も動かすことのなかった黒いピアノが、ある日、静かに家を出ていった。 引き...
読み終えた、というより──聞き終えた、と言うべきだろうか。ヨージはスマートフォンのアシストリーダーを使って、『ネメシスの使者』を耳で読んだのだった。 中山七里による社会派ミステリーで、文春文庫から刊行されたこの作品は、彼の心に重たい問いを残していった。 内容はこうだ。 死刑判決が確実視された殺人犯が、予想外にも温情判決によって無期懲役となった。 しかしその後、加害者の家族が次々と何者かに...
ヨージは、ひと月ほど前に観たNHKの『明日が変わる トリセツショー』をきっかけに、階段を二段ずつ上がるという健康法を始めた。 始めてみると、それは思ったほどきつくはない。 ただ、楽々というわけでもなく、少しだけ気持ちを奮い立たせて一歩を踏み出す、そんなちょうどいい負荷だった。 「これなら続けられそうだな」と、今日もヨージは階段を二段ずつ上っていた。 ヨージは民泊を営んでいる。 ある日の午後、...
沖縄・読谷村の静かな一角に、「セルフ宿」と名づけられた小さな宿泊所がある。 看板も目立たないその宿は、一組限定。けれど、その自由さと落ち着いた空気に惹かれて、長期滞在を希望する旅人たちが後を絶たない。 「セルフ宿」――そう名づけたのには理由がある。 調理器具から食器、冷蔵庫、炊飯器、洗濯機、シャワー、トイレに至るまで、生活に必要なものはすべて揃っており、自分で生活を組み立てられるようにしている...
夜の静けさのなか、ヨージはひとつの「警告」と向き合っていた。 スマートフォンの画面に表示されたのは、SDカードの容量不足を知らせる無機質なメッセージ。 「そろそろ限界か……」 長年使ってきたカードを新しいものと交換することに決めたのだった。 作業は色々 苦労したが なんとかできた。 着信音にはモーツァルトの「トルコ行進曲」、目覚ましにはグリーグの「朝」。 そして、毎朝欠かさず聴いて...
ヨージは、午後のやわらかな光が差し込む書斎で、ふとスマートフォンの画面に目をやった。そこには見慣れぬ警告が表示されていた。 「SDカードの空き容量が少なくなっています」——見て見ぬふりをしていた問題が、ついに正面から立ちはだかった。 「面倒だな……」と、ヨージは小さくつぶやいた。 それでも放っておくわけにはいかない。 覚悟を決めると、引き出しの奥からマイクロSDカードを取...
ヨージは、ふと思いついた疑問をスマホのマイクに向かってつぶやいた。 「ねえ、チャットGPT。『自分史』ってあるよね? ぼく自身はまだ書くつもりはないけど、そういうのを誰かが書く手助け、君ならできるんじゃないかな?」 AIの画面には、すぐに丁寧な返事が表示された。 「はい、それは私の得意分野です。話し言葉のまま送っていただければ、それを整理して文章に整えることができますし、足りない部分があれば質問...
ヨージは、ある日ふとしたきっかけで一冊の本を手に取った。 タイトルは『道をひらく』。著者は松下幸之助——あの「経営の神様」とまで呼ばれた男だ。 パナソニック(旧・松下電器産業)の創業者として、日本の家電産業を世界に押し上げた立役者。テレビのドキュメンタリー番組などで、その温厚で深みのある人柄を紹介されているのを何度も見たことがある。 そんな人物の書いた本なら、きっと何か得るものがあ...
ヨージは、日々の暮らしの中で生成AIをよく使っている。 とはいえ、そのAIがどこまでのことができるのか、実はまだよく知らない。 けれど、
かかってくるのは迷惑電話 ヨージのスマートフォンから、不意にモーツァルトのトルコ行進曲が流れた。 電話の着信音だ。珍しいことだった。 彼はかねてから「電話は嫌いだ」と公言していたし、そもそも彼に電話をかけてくるような友人や知人は数えるほどしかいなかった。 だからこそ、その音は彼の日常にとって、どこか異物のように響いた。 画面を見ると、見覚えのない番号が表示されていた。 番号の下には「迷惑...
ドイツ周遊旅行10日間の4日目、5月31日はポツダムのツェツィーリエンホフ宮殿に行きました。 ツェツィーリエンホフ宮殿は、ポツダム会談が行われたことで有名な宮殿です。 ポツダム会談では、ポツダム宣言が発表され、第二次世界大戦後の戦後処理の方向性が示されました。アメリカのトルーマン、イギリスのチャーチル、ソ連のスターリンによって行われたこの会談により、日本はポツダム宣言を受諾し、無条件降伏しました。 ...
ドイツ周遊10日間の旅の7日目、6月2日にケルン大聖堂に行きました。 以下はAIによる説明です。 ケルン大聖堂は、ドイツのケルンにあるゴシック様式の大聖堂です。正式名称はザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂 (Dom St. Peter und Maria) です。ゴシック様式の建築物としては世界最大であり、ローマ・カトリック教会のミサが行われています。 ケルン大聖堂の南塔展望台までの階段は533段あります。高さは約100メー...
昨日のブログでは、ベルリンでの自由行動の時間にマルクス・エンゲルス像、森鴎外記念館、ヘーゲルの墓のある墓地に行ったことを書きました。 ヨーロッパやアメリカで街を自由に歩いていると感じるのは、通りの名前がきちんと表示されており、角ごとにその表示があることです。これはとても助かります。 マルクス・エンゲルス像のある公園から森鴎外記念館まで歩いて行くには、ウンター・デン・リンデン(Unter den Linden)...
ドイツ周遊10日間の5日目、6月1日は午前中にベルリン市内を観光し、その後は自由行動となりました。 ベルリン大聖堂の前で、僕たちはグループの皆さんと別れました。 その後、妻と二人でベルリン市内の公園、「マルクス・エンゲルス・フォーラム」に行きました。 マルクスとベルリンの関係は深く、1848年にはベルリン革命に参加するためにベルリンに移住しました。 1849年には共産主義者同盟の指導者として活動し、「...
ドイツ周遊旅行10日間の8日目、5月3日にはライン川クルーズが予定されていました。 ローレライの観光をしたり、ランチを楽しんだりするとのことでした。 ホテルを出て、バスはライン川に向かいました。 バスの中で添乗員が悪いニュースがあると言いました。 ライン川の支流であるネッカー川が氾濫しており、ライン川も水位が上昇しているため、クルーズがどうなるかわからなくなったとのことです。 バスはしばらく...
ドイツ周遊の旅に行ってきました。 各地でドイツ料理を食べました。 名物のソーセージの他に、ポークやビーフ料理、ポテト料理、そしてパスタ料理などもありました。 妻は最初の頃から塩辛くて食べられないと言って、かなりの量を残していました。 同じグループの人たちも同じように、塩辛いと言って残す人が多かったです。 妻の薄味にだいぶ慣らされてきた僕ですが、もともとは塩辛いものが大好きなので、特に塩辛...
ドイツ周遊10日間旅行の2日目、5月28日に白亜の名城ノイシュバンシュタイン城を観光しました。 グループのメンバーがトイレに行っている間、手持ち無沙汰で立っていました。 すると、30代くらいの男性が僕に話しかけてきました。 「英語が話せますか?」と聞かれたので、「少しは話せます」と答えると、 「息子があなたのことをヒーローに似ていると言っています。一緒に写真を撮ってもらえませんか」と言われました。 ...
昨日はドイツ旅行の5日目、5月31日にベルリンの壁を見るためにチェックポイント・チャーリーに行ったことを書きました。 そこで、ベルリンの壁を越えるために東ドイツの人々がどのように工夫していたかについて書きました。 それほど東ドイツの人々は国を脱出したかったのです。 経済的にも政治的にも不自由な状態にあったからです。 さて、東ドイツは社会主義の国と言われていました。 社会主義の国といえば、マル...
10月26日からドイツ周遊旅行に10日間行ってきました。 5日目の10月31日、ベルリンの壁を見るためにチェックポイント・チャーリーに行きました。 以下は、生成AI Google Geminiによる説明です。 チェックポイント・チャーリーは、第二次世界大戦後の冷戦期に、ベルリンが東西に分断されていた時代に、東ベルリンと西ベルリンの境界線上に置かれていた国境検問所です。 現在は、チェックポイント・チャーリー跡地が観光...
5月27日から今日6月5日まで、ドイツ周遊の10日間旅行に行っていました。5月26日に東京で前泊し、出発しました。 しかし、この間、このブログではそのことに触れませんでした。 最近のニュースなどによると、SNSなどで旅行に行ったことが知られてしまい、空き巣に入られる被害があるとのこと。それでそうなったら大変だと思い、書かなかったのです。 旅の中では、いろいろブログに書いておきたい話題があります。旅に関係...
生成AIは非常に高い能力を持っています。その利用価値は非常に高いです。 しかし、僕の感覚では、ほとんどの人が使っていません。なぜでしょうか。 1つの理由として考えられるのは現状維持バイアスです。 現状維持バイアスについて、生成AIのGoogle Geminiに説明してもらいました。 現状維持バイアスとは、「変化を避け、現状を維持したい」という心理傾向です。具体的には、以下のような状況で起こります。 * 新しい...
最近、何かわからないことがあると、Google検索で調べるよりもGoogle Geminiに尋ねることが多くなっています。 Google Geminiは僕の質問に直接答えてくれるからです。 Google検索で調べると、直接答えが出ることもありますが、参考になるサイトがたくさん並び、その中から自分で答えを探さなければならないことが多いです。 それは面倒なので、Google Geminiに尋ねるのです。 Google Geminiには、人間に話しかけるよう...
少し前に、中学生や高校生には読ませたくないという前置きをした上で、方程式や因数分解を解いてくれるサイトがあることを紹介しました。 しかし、最近もっとすごいことが分かりました。 方程式や因数分解をそのまま入力して、AIであるGoogle Geminiに尋ねるだけで解いてくれるのです。 次の質問をしました。 「次の方程式を解いてください X 3乗マイナス9x2乗プラス27x マイナス27イコール0 するとすぐに回答があ...
「ひとりで学べる高校数学1」を作っています。現在、3回目の推敲作業を行っているところです。 ここで、なぜ僕がこの教材を作ろうと思ったのかについてお話しします。 これまで、小学2年生から6年生までの算数、中学1年生から3年生までの数学の教材を作ってきました。中学理科や 英語の教材も作りました。おかげさまで、どれも好評をいただいています。 その理由は、学ぶ内容を細かく分けて階段状にし、上りやすくしたか...
ひとりで学べる高校数学Iを作っています。 現在、3回目の推敲作業を行っており、もうすぐ終わります。 3回目の推敲作業を始めるとき、これが最後で、終わったら出版に向けた作業をしようと考えていました。 ところが、間違いがまだ見つかるのです。 解答に間違いがあったら学習に支障をきたします。そういうミスは極力無くさなければいけません。 まだ間違いがあるかもしれないので、もう1回、4回目の推敲作業を行...
京都に住んでいる 妻の弟夫婦がやってきました。 いろいろ おしゃべりをし そして僕がこのテレビはインターネットだけどあなたのところはどうかと尋ねました。 インターネットテレビではない どの返事です。 それで僕はインターネットの TVer で色々 番組が見られるから便利だよと勧めようと考えました。 沖縄では NHK の他に 民放テレビが3局あります。TBS 系 フジテレビ系 朝日放送系です。それ以外の日本テレビ ...
昨日、妻が老人会の班長になり、会員であるお年寄りたちを訪ねると、とても喜ばれたことを書きました。 話相手を求めているお年寄りは多いのでしょうね。 家庭の環境にもよるでしょう。大家族のところではそれほどでもないかもしれませんが、一人暮らしのお年寄りにとっては、誰かが訪ねてくることはとても嬉しいことだと思います。 そういうお年寄りにはヤクルトを取るのも良いのではないかという考えが浮かびました。 ...
妻は今年度、読谷村座喜味老人会の班長になりました。以前も担当したことがありますが、他にやる人がいないとのことです。 先日は老人会の年会費を集めに行きました。そこでは「待っていたよ」と言って、前もって準備をしていたお年寄りもいました。 90歳以上は会費が無料ですが、今回は総会資料があったのでそれを配りに行きました。 それはポストなどに入れるだけでもいいのですがチャイムを鳴らしたり 呼びかけをした...
僕の左目は網膜動脈閉塞症を患っています。それは目の動脈硬化のようなものです。 そのため、眼科に通院しています。目の状態が悪化している時には、注射することになります。 何度も麻酔の点眼をしてもらった後、器具で目を閉じないように大きく開いて注射をします。 そんなことを他人に話すと、「目に注射をするのか」と言って怖がります。 妻の甥に話すと、彼も目に注射をされたことがあるので、とても怖かったと言...
沖縄県立博物館で「新収蔵品展 令和5年度 収蔵資料」が行われています。 期間は、2024年5月21日(火)から2024年6月23日(日)までです。 以下は沖縄県立博物館のサイトからの引用です。 「新収蔵品展」は、前年度に寄贈・収集・購入・移管・修理された資料を一堂に集め、広く一般に公開することを目的として開催します。今後の展示や研究活動で活躍する多岐にわたる分野の資料が展示されており、見ごたえがあります...