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無住心拳 http://sekiun.blogspot.com/

小説ブログです。 何分ネットを始めたばかりで見栄えのしない無愛想なブログですがご容赦願います。

ついこの間、時代小説部門で登録致しましたが、このたび参加カテゴリーを広げて再登録致しました。 もう少しネットに慣れたら気の利いたHPを立ち上げたいと考えておりますので、それまではこの見苦しいブログで御辛下さい。神子上典膳と小野善鬼の小金ヶ原の次は宮本武蔵と細川忠利の御前で三本勝負をした氏井弥四郎の話です。

稲妻地蔵
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奈良県
出身
大阪府
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2007/11/10

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  • はぐれ弥四郎流れ旅 ~第二章~ 巻之弐

          「まあ、よろしいではございませぬか」 「いやいや__」 一人は中背の男、もう一人は六尺はあろうかと言う大男だった。一応大小は帯びているものの、どちらも粗末な身なりで百姓か郷士、あるいはそれこそ浪人者と言った感じで歴とした正規雇用の主持ちには見えなかった。今の御時...

  • はぐれ弥四郎流れ旅 ~第二章~ 巻之壱

          「あーん、待ってよ、弥四郎」 「何やっとんねん、早よせんかい」 東海道はどこまでも続く。弥四郎と綾音の道中も始まったばかり。 「もう、弥四郎ったらあ。少しくらい待ってくれてもいいじゃない!」 「アホ」 手甲脚絆に杖をついた、如何にも旅支度に身を固めた武家の子女と...

  • はぐれ弥四郎流れ旅 ~第一章~ 巻之六

          「何か目的でも有るの、弥四郎には?」 「有るな__」 弥四郎は、きっぱりと言い切った。 「俺が修行の旅に出たのは__確かに腕を磨いて己の武芸を向上させる事、それが一つやけど、それも最終的な目的の為の過程と言えるな」 「何よ、その目的って」 「それは__」 弥四郎...

  • はぐれ弥四郎流れ旅 ~第一章~ 巻之五

          「弥四郎、兵法者って言ってたわよね」 「言うたぞ」 綾音の質問に、堂々と答える弥四郎であった。 「やっぱり、武者修行の旅してるわけ?」 「それ以外に何が有るねん」 「じゃあ、ずっと上方の方に居たの?」 「いや__」 弥四郎がふっと空を仰ぎながら言った。 「ついこ...

  • はぐれ弥四郎流れ旅 ~第一章~ 巻之四

          「へえー__」 既に相手の言わんとする所を察していた弥四郎は、乾いた眼差しで綾音を見返した。 「そういや、そんなんも居ったなあ__」 何とも冷めた口調の弥四郎に、綾音が熱い想いをぶつけながら問い詰めた。 「まあ、名前くらいやったら聞いたこと有るけどな」 「ねえ、...

  • はぐれ弥四郎流れ旅 ~第一章~ 巻之参

          「氏井、さま?」 綾音が、夢見るような瞳で言った。 「弥四郎で構いまへん」 「ああ」 弥四郎の一言に、綾音が明るく笑いだした。 「んじゃ、これから弥四郎って呼ぶからね」 馴れ馴れしくもゴスンの口をきいて、綾音が弥四郎に笑いかけた。 「弥四郎も、あたしの事も綾音っ...

  • はぐれ弥四郎流れ旅 ~第一章~ 巻之弐

          「あ、あの__」 若武者の後ろから声をかけた者があった。 振り向くとそこに立っていたのは、今しがた浪人達に取り囲まれて難儀していたあの娘であった。 「どうも、先程は__」 感に堪えぬといった様子で、精一杯の感謝の意を表すように娘は頭を下げた。 「誠に、何とお礼を...

  • 新作です

    皆様、稲妻地蔵です。 この度、新作の小説「はぐれ弥四郎流れ旅」をお届けいたします。 今回の主人公は細川忠利の御前において宮本武蔵と試合を取り行った柳生新陰流の剣客、氏井弥四郎であります。 この弥四郎の正体、剣豪に詳しい皆様の中には巻之壱で既に分かった方もおられると思います。そうで...

  • はぐれ弥四郎流れ旅 ~第一章~ 巻之壱

          武蔵国。 ここは天下の東海道、神奈川宿と保土ヶ谷宿の間である。 「何すんのよ!」 年の頃なら十六,七と言った娘に絡んでいるのは見るからにガラの悪い浪人体の男達、一,二,三……総勢十人近くであった。人通りの多い往来のど真ん中だが、誰もこの狼藉を咎めようとはしない。...

  • 小金ヶ原異聞 ~一刀流創成記~ 其の壱

            伊藤一刀斎の前に、一人の男が立っていた。 一刀斉は良くその男を知っている。男も一刀斉とは切っても切れない間柄である。 「師匠殿__」 男は静かに言った。外見上は静かな、些かの動揺も無いかの如き風情だが、その内面には極限の緊張が漲っていた。 「師匠、無心...

  • 小金ヶ原異聞 ~一刀流創成記~ 其の弐

            伊藤一刀斉景久は、弟子の小野善鬼を伴って全国を行脚していた。 「そなた、名はなんと申す」 大和の国で立ち会って門人とした修験者風の巨漢に、一刀斉は尋ねた。 「前鬼と申します」 一刀斉は内心苦笑いに似た感想を抱いた。 前鬼後鬼と言えば、役行者が護法童子と...

  • 小金ヶ原異聞 ~一刀流創成記~ 其の参

            善鬼は試合を繰り返し、その名を天下に轟かせた。 伊藤一刀斎の高弟、小野善鬼と言えばその凄絶な剣技で相手を容赦なく血祭りにあげる非情の剣客として六十余州に知れ渡り、その名を聞けばどんな腕自慢も震えあがると評判が立つほどであった。 善鬼の前に立つのは、天流...

  • 小金ヶ原異聞 ~一刀流創成記~ 其の四

          新たに神子上典膳を加えた一刀斉一門は、修行の為に全国を周遊しいていた。 「良いか、典膳」 新弟子の典膳を相手取り、善鬼は一門の心得を諭していた。 「我が一門は世上に群がる有象無象の輩とは違う、命懸けの兵法を模索する流派ぞ。常に己が一命を死地に曝し、その窮地...

  • 小金ヶ原異聞 ~一刀流創成記~ 其の五

            この度一刀斉一門に試合を挑んできたのはタイ捨流の井原五郎兵衛なる使い手であった。 タイ捨流というのは上泉伊勢守の門人丸目蔵人なる兵法者が編み出した一派であり、考え方次第では丸目派新陰流とも言えなくはない。柳生一門が自らを新陰流と称したり柳生流を名乗...

  • 小金ヶ原異聞 ~一刀流創成記~ 其の六

            「善鬼殿」 典膳が善鬼の前に立って頭を下げていた。 「善鬼殿、御勘弁下され__」 「何の事じゃ」 分かっていながら、善鬼はしらばくれて答えた。 「この度の試合、善鬼殿の裁可を待たずして勝手な振る舞いに及びましたる事、何と詫びてよいものやら……」 「その事な...

  • 小金ヶ原異聞 ~一刀流創成記~ 其の七

              「典膳、よう戻った」 久しぶりに顔を合わせた典膳を、一刀斉は破顔して迎えた。 「ご心配おかけ致しましたること、御容赦願いまする」 「典膳」 謝辞を述べる典膳に、善鬼が声をかけた。 「信じておったぞ、わしは」 「善鬼殿」 典膳が善鬼に何とも言い難い...

  • 小金ヶ原異聞 ~一刀流創成記~ 其の八

              「いや__」 一刀斉は善鬼の顔色を窺うように言った。 典膳も何事かという面持ちで善鬼を見詰た。 「只の書付じゃ。大した意味はない。これから随身するに当たって典膳の為を思ってじゃの……」 「納得行きませぬ」 善鬼は堅い声で、断固として言い切った。 ...

  • 小金ヶ原異聞 ~一刀流創成記~ 最終章

      終極     小野善鬼と神子上典膳__この二人の決闘は下総国、小金ヶ原で行われた。時に文禄元年。 「よいか__」 試合に先立って、師匠の一刀斉は厳かに言って聞かせた。 「この試合、どちらが勝とうが、敗れようが一切の遺恨を残してはならぬ__」 「心得て候」 「元より...

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