ユタカがサッカーボールを蹴るようにして、なんだかわからない化け物の頭を蹴りながら歩いていると、明らかにヒトの生首だと思われるモノのながい茶髪を鷲掴みしてブンブン振り回している…
家に帰るなり異様な雰囲気に息を呑んだ。 何かがいつもと違っていた。 マンションのドアを開けたときから もうわけがわからないまま嗚咽がこみあげてきた。 小さな声で妻の名を呼ぶ。 もう少し早く帰ってくればよかったなどと思った。 リビングから、灯りが洩れている。 …
十五分の休憩時間に鉄製のベンチに腰を下ろしてぼーっとしていると 二羽の鳩が不意に舞い降りて来るや目の前の塀の上にとまった。 羽を休めるようなふりをしながら、じっとこちらを窺っているように感じるのはぼくが病んでいるためだろうか。 実はあいつらは監視ロボットで、ずっと…
ミサキのいうことには、女の子は愛するよりも愛されたいのだという。 もっともだと思う。以前ぼくも或る女性に、女の子は、愛するよりも愛されて結婚した方がいいよと言ったことがある。 或る女性歌手の唄っていた歌詞で、あなたが愛しているかどうかは、いいの。問題は、私が愛して…
ケイから手紙が届いたのは、清清しい初夏の風がフレッテのレースのカーテンを揺らす午後のことだった。 家の中は、誰もいないかのように静まり返っていた。 窓から風に乗ってやってくる街の喧騒だけが、聞こえていた。 でも、そのときぼくは、はっきりと聞いたのだった。 郵便…
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