星読・19

味わったことのない液体が持つ殺人的な辛さというか刺激というか……。頭の奥へと直接響く衝撃に吐き出したい衝動に駆られるが、今までに叩き込まれた巫女としての振る舞…

星読・18

名を明かしたいと思う衝動とは裏腹に、名を明かせば恐ろしい事態になることを心で知っていたからだ。悪魔の一族において、名は重大な意味を持つ。それこそ、力有る者に名…

星読・17

「おう、早かったなクソガキ」「料理冷めさせたらキレるからだろ」しっかりとサラの肩を抱きながら先ほどの店に戻ってきた男は、にやにやとした店主の言葉に眉根を寄せた…

星読・16

「貴方を……殺しに来ました……」言っておいて、心臓が縮み上がった。（馬鹿！こんなことを言ったら今すぐ殺されてしまうかもしれないというのに！）先ほどとは全く違う…

お知らせ

誠に勝手ながら、本日2006年12月28日～2007年1月4日まで更新をストップさせていただきます。次回更新は1月5日になります。ブログを始めて一ヶ月程ですが…

星読・15

叫ばずにはいられなかった。「そーはいくかっ！」低めの声が響く。それだけで、心臓が跳ね上がる。町の一番外郭の細い道にさしかかろうとした時、一つに結った髪の毛がぐ…

星読・14

呼吸が、止まるかと思った。三日など待っていられない、と待合室で数時間かけて星読をした。他の人と交代した案内人が待合室までやってきて、しつこく質問をしてきたりし…

星読・13

店主は彼の言葉には答えず、黙って己のグラスを持ち出し、彼と同じ酒を注ぎ、グラスを合わせた。「……にしても、おめぇ、此処に居て大丈夫か？追われて、逃げたと聞いた…

星読・12

（……っかしいな……）長い前髪に対して短い後ろ髪をがりがりと掻きながら、男はもう少し、歩いてみる。記憶の中のものを探していると、他のものは目に入らなくなりがち…

星読・11

「へぇ。この街も随分と変わったな」立ち並ぶ店のガラスのショーケースを覗き込みながら、血のような紅の髪の後ろで手を組んでいた男が呟いた。マネキンに着せられた綺麗…