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多摩川 健
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2006/09/20

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  • 秋風 その4

    この数日前、日本橋本石町、両替商越後屋では、店中が大騒ぎとなっていた。女中とよと娘八重が、芝の増上寺へお参りに出たまま、夜遅くなっても戻らなかった。戌の刻から子の刻過ぎまで丁稚、手代、番頭総動員で芝界隈から新橋、神田、上野あたりまで探し回ったが、行方はつかめない。越後屋幸之助一睡もできないで、お内儀お由はすでに半狂乱の状態であった。幸之助は娘の八重が婚礼も控えている矢先であり、娘と店の評判から、身内で何とか探すことに全力を挙げていたが、疲労困憊でもあった。勘当した不肖の長男をあきらめて、同業の美濃屋の次男を、娘八重の養子に迎えて後を継がせる腹づもりであった。ーーまさかとは思うが・・あの幸太郎が・・実の妹をーーこうなってはもう神田の泉屋の親分にお願いするしかない。ことの起こりが、神田泉屋。ことはまことに皮肉...秋風その4

  • 江戸 元禄 人模様。。秋風の3

    やっと落ち着いて少し熱も下がった娘を従えて、裏の大圓寺へと向かう。鍵屋長屋は寝静まりあたりは漆黒の闇夜であった。長屋のちょうど南側に隣接して、大円寺の小さな裏木戸がある。和尚の大覚方円は少し変わった経歴であった。宝蔵院流の棒術の名手でもあったが、京都知恩院から許され、坊主と武芸者の二つの顔を持っていたが、その話はまた後日にしておこう。方円和尚は長屋の困りごとには、なにかと相談に乗ってくれていた。小袖を纏い、やっと少し落ち着いた様子の娘は、それでもまだ目はうつろで腕は小刻みに震えている。必死に思い出そうとしていたが。方円和尚の、今日の般若湯のお楽しみ時刻はとっくに終わっていた。「和尚様。実は金杉橋の東たもとでこの娘が倒れており、熱もひどく、拙宅に連れ帰りましたが、自分の名前も、なんでこうなったかも、分からな...江戸元禄人模様。。秋風の3

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