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  • 読むと聞く

    かれこれ三十数年前になるだろうか。小林秀雄の講演が次々とカセットになって売り出された。そのうちの5巻が学生達との質疑応答だった。足掛け十余年にわたる記録である。僕はひと通り発売とともに買い興味をもって聞いたものだ。学生がどの様な質問をしているのか、それに対し如何なる答えをするのか。全部で何人の学生が発言したのか数えてはいないが、質問する学生の声が大変不安定で失望したのである。ものを知らないのは一向に構わない。己に自信がないのも当然である。ただ、質問自体がいかにも無理やり捻り出したとでも言おうか、その人の心の底からの疑問になっていないのが声から判る。声は嘘をつけないものだと痛感したものだ。その中でたったひとり声のトーンに無理がなく、大学での授業に対する疑念をぶつけている人がいた。今はもう80歳を超えているだ...読むと聞く

  • 共通するもの

    合気道には長いこと関心を持っている。YouTubeのありがたさで現代における名手による解説動画が見られる。よく言われるのは合気道は曲線であると。それも球体に沿ったようなものなのだということ。解説で面白いと思った言葉をひとつ挙げておきたい。柔らかさは速さに通じるというのである。これは非常によく分かる。ピアノは指を速く動かしているのではない。腰から指先までの一連のしなやかさが指先に伝わる感覚なのである。共通するもの

  • 蝶の蒐集家は多いそうだ。僕はその世界からは遥かに隔たっているのだが。その人達にとっては翅を傷めずに捕獲するのが何より大切だという。それはそうだろう。虫網を携えている姿を思い浮かべる人もいるに違いない。新種の蝶、自分のコレクションに無い蝶を見つけたときの胸の高鳴りは如何程であろう。そしてその時に虫網を携えていなかったならば?今まさに新種の蝶が目の前の花にとまっている。しかも自分にはおのれの手で捕まえることしかチャンスは無い。そのような状況を想定してみよう。震える心に落ち着けと言い聞かせ腕をそうっと伸ばす。身体から指先まで一種の緊張に満たされている。蝶に気配を悟られぬように近づき最後の瞬間には指先で掴まねばならぬ。しかも勢いよく掴めば翅は傷むのである。この一連の動作、身体の状態はピアノを弾く感触によく似ている。アフ...蝶

  • ポーランド国歌紹介

    こういう便利な機能があるのをすっかり忘れていた。歌詞まで翻訳してくれているから便利だ。音楽として取り立てて言うべきものはないのだが。https://youtu.be/dpAEYBqFfPUポーランド国歌紹介

  • ショパンとポーランド

    ショパンの作品はイタリアオペラを思わせる。ベッリーニへの偏愛はつとに有名だがさもありなんである。ポーランドはロシアの近くに位置しているのだから北国の特徴を持っている。僕はそれを漠然と思って暮らしていた。ショパンは突然変異のようにイタリア的な感受性を持ったと、これまた自動的に感じていたように思う。国歌に興味を持ったことは以前書いたが、ポーランド国歌は何故か聴き逃していた。先日聴いて驚いた。北国なのに曲調はラテン的なのである。おまけに歌詞にはイタリアという語が入っているのである。国民的英雄がイタリアから帰国して祖国を救う、そんな歌詞。してみるとショパンはそういった土壌の上にひときわ大きな才能を開花させたのであり、突然変異ではなかったのだ。僕は深く納得した次第である。ショパンとポーランド

  • 調律師に同情する

    海外で活躍する調律師の方が動画を投稿している。大変だったクレーム三選という内容だったのでつい見てしまった。ひとつ紹介しておきたい。このピアノは綺麗すぎる、というクレーム。この調律師は褒められたのかと思いきやクレームであった。その理由は美しさを引き立てるためには美しい音ばかりではダメで汚い音があってこそ際立つのだという。僕はこのような理屈にどんな顔で接したら良いのか分からない。仮に汚い音が必要ならば自分で出せよ、と吐き出してしまいそうだ。いつもの通りにすれば良いだけではないか、などと口走ってしまうかもしれない。必要とあらばどんな音も出せるのがピアニストの技量なのだ。もっともそれと汚い音が必要だと言うのとは違うことだが。分かりやすく言ってみると、ここぞというところで美声を聴かせるためにその他のところでは僕たちのどら...調律師に同情する

  • オンライン小音楽会

    オンラインの発表会に便乗させて貰って僕の生徒有志の演奏会も配信して頂いた。https://youtu.be/f__k6ZIkjk8当ブログを読んで頂いている人はご承知のように、ほぼ毎月ホールで演奏する機会を与えている。普段は長津田と戸塚のホールを使用しているが、今回は以前よく使用したフィリアホールで。一階席は響きが遠く、二階席ではワンワンただ響く。そうなると録画の方がマシだということになりかねない。関心のある方は是非聴いてあげて下さい。オンライン小音楽会

  • ハーモニーの不思議

    ひょんな事から軍楽隊の演奏に関心を持つようになったことは以前書いたような気がする。ドイツ軍の金管楽器は実に美しい。ハーモニーとはかくあるべし、といった響きである。曲想さえ違えればそのままブラームスやブルックナーになる。ある時沿道の観衆が撮った映像を見ておやっと思った。すぐ近くを通り過ぎる金管楽器が決して上手ではないのである。漠然と大変洗練された音響を期待していた耳には結構なショックであった。かつて何処かで読んだ記事の記憶が蘇った。かつてのベルリンフィルの弦楽器、就中ヴァイオリンは決して全員が名手だったのではない、というものだった。目の詰んだ、その上艶のある響きに感嘆していた僕はそれを読んでそんなものなのか、と半信半疑だった。しかし金管楽器群での体験をした今、僕は心からその記事を認めることができる。ドイツ軍が奏で...ハーモニーの不思議

  • 又しても失敗

    ピアノのテクニックについてHPを持っている。ある処から筆が進まず思案投げ首が続いたまま、外見上は打ち捨てられている。そうではない。僕としても乗りかかった船だ、もう少しの処まで書き進めたのだから完成とまではいかずとも、纏まりくらいは示したい。ただ、音を言葉で説明するのは土台無理なところへ動きまで言葉で表現する。その上動きと心理の関係を記述する。その根気が続かないというのが正直なところなのだ。そこではまた、テクニックについてのみならず生徒主催の演奏会や僕の自主講座の案内なども見られる。先日久しぶりに更新しようとしたのだが、何とログインが出来ない。あれこれ試したのだがどうやってもダメなのである。ログインの方法が変わった云々の冷たい表示が出るばかり。そのうちに1年以上前にログイン方法変更の通知メールがあった筈だというこ...又しても失敗

  • 無知

    僕はほとんど外食をしない。特にファミレスや回転寿司に行くことはほぼ無い。人並な生活に憧れ回転寿司に初めて行った時のこと。クルクル回るものが鮨だということは無知を誇る僕でも理解した。周りの人々を見て、ベルトに乗せられた皿を勝手に取り上げ、食べ終わった皿はうず高く積み上げておけば良いと理解もした。腹が減っていると随分なテンポで平らげるものだ。つまらぬ事に感心していると前方からプリンが乗った皿がゴトゴトやって来るではないか。僕は甘いものが好きである。昔村に住んでいた時分、隣家に上がり込んで鍋一杯のあんこを手づかみで食べていたそうだ。そうまでして口にしたかったほど甘い食品に飢えていたのだろうか。もちろんようやく歩くようになった幼児期だが、勘違いする人もいるから断っておく。鮨とプリンという妙な取り合わせよりもプリンを食べ...無知

  • クラマーの練習曲について

    https://youtu.be/FRARXOflo-M少し前にクラマーの練習曲、ベートーヴェンの注釈による、について書いた。この楽譜が殆ど陽の目を見ずにいるのはひとえに出典が真偽が不確実だからである。僕はここに見られる具体的提案は極めて音楽的だと思うのである。この曲集を持ってきた生徒がいたので動画をアップしてみた。不完全な音で録音されているが僕が文章で伝えたいことは分かりやすいのではないだろうか。クラマーの練習曲について

  • ヴァシャヘーリ

    https://youtu.be/7Wpn4MoC7wEこのピアニストは懐かしい。僕の学生時代、学内で公開レッスンがあった。その時大変良い印象を受けたのだ。後に武蔵野音大で教鞭をとっている旨を知った。武蔵野音大関係者は多大な影響を受けたのではあるまいか。エドウィン・フィッシャーに学んだと知ったのもこの頃ではなかったろうか。ハンゼンもフィッシャーのアシスタントをつとめていたから覚えていた。夢見るような若者だったという。今回知ったが、彼はハンガリー人でドイツに行く前はバルトークに師事したのだそうだ。僕は帰国後も武蔵野音大での演奏会に足を運んだものである。生徒にも勧めて何人かが行き、その1人がこの映像を見つけてくれた。武蔵野音大にはもしかしたら映像などが残っているのではあるまいか。この様な時代になったのだから有ればア...ヴァシャヘーリ

  • オリエント急行の時代

    https://youtu.be/udBOfPpIfUs往年の大テノール、ベンジャミーノ・ジーリが主人公のコメディの一場面を紹介しようか。ジーリ扮する店員の店に歌手が買物にやって来る。歌手がある歌のメロディを口ずさむとジーリ扮する店員が間違いを指摘する。素人に何が分かると言い張る歌手に向かって店員は本気で歌い始める。筋書きはこの様に他愛もない、馬鹿馬鹿しいものである。僕はしかしこの時代の歌手がどれほど愛すべき存在として扱われていたかが分かり、その空気を楽しむ。店員が歌った結末は動画を見て貰えば誰でも理解できる。イタリア語は全く分からないが、その昔ドイツ語吹替えで見て面白く思った。細部はどんないきさつだったか、もう思い出せないが、そんな事は意味もない場面だ。たまには息抜き動画でも紹介しようかと思って、それにはこの...オリエント急行の時代

  • 最高のレッスン

    https://youtu.be/pd6nFvVAYtk僕が知る限り最高の音楽レッスンである。往年の大ソプラノ、シュヴァルツコップのレッスンを見て貰いたい。ドイツ語であるから何を言っているのか分からない人も多いだろう。しかしちょっと我慢して数分でも見て貰いたい。どれほど真剣に生徒の声を聴いているのかは自ずと伝わる。また生徒がうまくできた時、心からそれを讃えていることも分かるはずである。生徒はこの大歌手には気の毒だと感じてしまうほど拙いのであるが、それでも全く調子を下ろすことなく全力でレッスンしている。見逃してはいけないのは生徒達は真剣であるが縮こまってはいないことだ。とてつもなく厳しいのは耳であって、それ以外の「厳しさ」はみられない。それが伝わったら嬉しく思う。最高のレッスン

  • 旧態依然?

    先ごろひょんなことから試聴した何人かの演奏は、、、酷かった。旧態依然を打破するのか新しい価値観だか僕は知らないが説明してみると次のような感じだ。ゲーテ「若きウェルテルの悩み」の新訳が出たとしよう。われわれの本性は、怠惰へ傾いている。だが、われわれは活動へと心を励ます限り、その活動の真の悦びを感ずる。旧来の訳のひとつである。新訳では俺たちゃ怠けるように出来てるのよ。けどよう、なんかしようと思ってるとよう、こりゃ面白えなって思うもんだわな。これを新しい価値観とか言うのはちと難しかろう。僕が聴いた「現代風」演奏の印象はこんな新訳を読まされたのに似ている。そういうものを新しい風であると持ち上げるのは難しい。ベートーヴェンもショパンも詰まらない、何の興味もない、そういう人に対し何かを感じるだろうか?そうした率直な感想に対...旧態依然?

  • 伸びのある音

    前の記事の続きである。汚い音とはハンマーが弦を打つ音と木と木が打ちつけられる音のバランスが悪いことだというのが前の記事である。汚い音が伸びるはずがないのは直ぐに理解して貰えるだろう。木と木が打ちつけられる音は一瞬にして消えるのだから。アフタータッチから先が勝負、そこで握る力が大切だと力説するサイトに出会ったこともあるが、肩をすくめる以外ない。観察眼の不足か理科の知識の不足なのであろうか。伸びのある音

  • 汚い音

    汚い音をひと言で説明するならば。鍵盤の木が棚板の木を打つ音がハンマーが弦を打つ音より遥かに大きいことである。汚い音

  • クラマーの練習曲にベートーヴェンがひと言註釈をつけたものがある。甥のカールに教えるためだったという。

    クラマーの練習曲にベートーヴェンがひと言註釈をつけたものがある。甥のカールに教えるためだったという。この楽譜については出典が確実ではないとの理由でさほど注目されていない。聞くところによればこの楽譜から得られるものはないという演奏家もいるという。詰まらぬことだと僕は思う。その演奏家に問い質したい。君はそこに書かれている意見自体をどう思うのかと。研究者はこれをベートーヴェンの弟子(うろ覚えだがフェルディナント・リースではなかったかな)の手になるもので、ベートーヴェンがそう言った確証は無いという。しかし僕達は裁判をしているのではない。その音楽的見解だけを問題にしているのである。ベートーヴェンの意見である確証の有無ではなく、そういう音楽的見解への態度が問われるのだ。このベートーヴェン=リースの楽譜の読み方を僕は大変素晴...クラマーの練習曲にベートーヴェンがひと言註釈をつけたものがある。甥のカールに教えるためだったという。

  • YouTube

    YouTubeにレッスンの動画を上げている。ダヴィンチリゾルブというソフトを使っているのだが、これは僕には高級すぎるようだ。とてつもない多機能で何が何やら全く理解しないまま編集している。多機能であっても何も全部使う必要はあるまい、そう言われるだろう。僕もそう居直って使用していた。文字を入れたりを覚え至極満足であった。ところが困ったことが起こった。何が起こったのかここに記そうにもどう書いたら良いものか、それすらわからない事が起こった。簡単に言えば僕を深く満足させた文字が入らなくなった。多分何かの拍子に誤って設定のボタンを押してしまったのだろう。何もせずに変わるはずもない。戻そうにも今度はその手続きが分からない。Web検索してみたのだが、ご多聞に漏れず解説や助言も難解を極め、それが何を意味するのかすら分からない。今...YouTube

  • 教えたがり?出しゃばり?

    知り合いの女性が最近YouTubeに投稿し始めた。30歳を過ぎてからドレミから習い、8年目にしてテンペストのフィナーレに挑戦している。嬉しかったのだろうか、譜面を今日から読むという段階から毎日上げている。時々発表会などで聴いたことがあるけれど、仕上げに時間はかかるらしいものの、とても素直な良い演奏をしている。大学に勤めていた頃、試験のたびに苦虫を噛み潰したようになった意味のない堅苦しさが無く気持が良いのだ。しかし何日か過ぎた頃何となく様子がおかしいのである。訊いてみたところ次のような次第だと言う。コメント欄にテクニックについてあれこれ書く人が現れて、やれハノンを弾くが良いだの果ては教えてあげるだの、そんな内容だと言う。彼女はごく自然な喜びをもって弾くのであり、自分をルビンシュタインと同列に置いているわけではない...教えたがり?出しゃばり?

  • 著作権

    YouTubeにシューマンのアレグロを上げたところ、著作権侵害云々という通知が来た。当該箇所とやらを聴き直してみたが当然のことながら何もない。そこのメロディが誰かの作ったメロディと似ているのだろうか?しかしそれならそちらがシューマンのメロディを盗んだのだ、逆ではあるまい。検索して分かった?のはチェックは機械が自動でするということ。であるからこの通知が来ても思い当たる事がなければ無視して良いのだと。それでも気味が悪いのでアップロードを控えている。思い出したことがある。随分前のことだ。近隣の市の警察署から電話があった。その年の元旦夜どこを走っていたのかという問い掛けである。僕はとっさに海外へ逃げようと思った。しかしここは落ち着きを取り戻し、その時間は多分A市を走行中だったと答えた。ところがまさにその辺りで事故、ひき...著作権

  • ヴァイオリニストのピアノ演奏

    https://youtu.be/bVfVbr_1j2Y昔のピアノ演奏、名人を紹介したのだが、今日はクライスラーのピアノ演奏を聴いて貰いたい。言わずと知れた大ヴァイオリニストだがピアノ演奏も達者であった。もっともそれはクライスラーだけに留まらない。チェロのカザルスは平均律を一曲弾くところから日課を始めたそうである。(カザルスのピアノ演奏は残念ながら残っていないようだが、彼が所有していたピアノは日本にある)クライスラーの演奏を聴いて戴ければ直ぐにこのピアノ演奏は並大抵の腕前ではないと了解できると思う。冒頭部のルバートひとつとっても楽器を自在に操らなければ出来るはずがない。音も美しい。というよりも、そもそも美しくなければルバートは単なる酔漢のくだ巻き、千鳥足に過ぎないではないか。ここでも僕はこれ以上言葉を弄すること...ヴァイオリニストのピアノ演奏

  • 2020/06/17

    https://youtu.be/5D6VrcW4Sgwヨゼフ・レヴィーン。この人は知る人が多いかもしれない。ラフマニノフと同時期に学び彼よりも評価されていたのだという。実際に大変高度な技量を持っている。フリードマンと比べて抑制された演奏はラフマニノフと同時期に学んだことを納得するに足りる。多言は無用だろう。2020/06/17

  • フリードマン

    https://youtu.be/E6cZU5IcuGgこの人はだいぶ前にショパンのマズルカを聴いて感心した。この録音はリストのラ・カンパネラをブゾーニがなお編曲したものだ。こうした曲に僕は関心を持っているわけではないのだが、昨今の「公式見解」すなわち現代の名人芸は未だかつてない領域に達したという意見に対しちょっとからかってみたいのだ。ここでは目も覚める技巧と美しい音が同時にある。乱雑な音、つぶれた音はどこを探しても無いではないか。ただ速く強く弾くのは僕が早口言葉でまくし立てるのと何ら変わりはないのである。この演奏家のようなのは決して珍しくなかったようである。前の記事にも書いたが、それらの名手は何故ほぼ忘れられたのだろうか?それを知るには他の曲、所謂技巧派的な曲ではないものを是非聴いてみたいと思う。フリードマン

  • 知る人もなくなったピアニスト

    https://youtu.be/x4GQq7H527M数日前偶然に知ったピアニストである。しかし録音当時こうして録音されたということはそれだけでも評価されていたのだろう。YouTubeは何と有り難いアイテムだろうか。聴いてみて貰いたい。地に足がついた演奏である。何より音が美しい。この時代、音が美しくないのはピアニストと見做されるはずもなかっただろうから当然だと言える。この録音のおかげでひとしきり大昔のピアニストの録音を聴いた。改めて途方もない腕前の人達が大勢いたことを再認識した。昨今の主張、すなわち現代の名人芸は昔とは比較にならぬほど高度になっているというのが消し飛ぶような鮮やかさなのである。ここで紹介しているピアニストは所謂名人として謳われた人ではないのだろう。しかし確かな手応えを楽器、恐らくはベヒシュタイ...知る人もなくなったピアニスト

  • 初心者を教える

    https://youtu.be/PYK1akO8nsYもう何年も前からコンクールの審査などで、子供に対してもっと違う教え方をしたらどうだろうと感じることが多かった。先生をしている生徒たちにも様々なアドヴァイスをしてきたのだが、どうも偉そうに言っているだけでは申し訳が立たないと思うようになった。そこで自分でもまったくの初心者を教えてみることにした。といっても僕に習いたいという子供がそんなにいる訳もなく、数年に1人申し込みされるにとどまる。条件は毎日30分弾くこと、それくらいなのである。小さな子供の扱いに長けているわけではないし、その辺は見様見真似とでも言おうか。いざ実行してみると思った通りのこともあれば思うに任せぬこともある。それでも上達させるには欠かせないと僕が思う点ははっきりしている。これは教えている人全員...初心者を教える

  • 古い記憶

    シュヴァイツァーといっても知る人は少なくなってきただろう。ましてやこの人が卓越した音楽家だったことなどは忘れ去られているのではなかろうか。この人の自伝で知り鮮やかに記憶に残っているのだが、彼は子供の頃ピアノで表現するのが恥ずかしくてたまらなかったという。決して出来の良い生徒ではなかったようである。ある時無言歌を練習するように言われたが、先生は「君はどうせこの曲も台無しにするのだろう」と言った。シュヴァイツァーはその言葉に感じるところがあったのだろう、次のレッスンまで自分に出来るすべてを傾注した。次のレッスンで彼が心を込めて弾き終えた時、先生は彼の肩を抱いた。以来二人の間には友情が芽生えたという。こうしたエピソードは両者の音楽への愛情の強さを物語る。古い記憶

  • フランス組曲

    https://youtu.be/7BzBBsZBr9M自宅でのレッスン風景のほんの一部を紹介してみた。ネット上で演奏を詳しく説明するのは不可能で、それをするには長い解説が必要かもしれない。しかも解説というものは大して役にも立たないのだから、レッスンの雰囲気を多少感じて貰えれば良いと思う。生徒諸君がそれぞれ一所懸命に、それでいて伸び伸びしてくれているのが僕としては嬉しいのである。その辺りだけでも伝わるだろうか?フランス組曲

  • 楽音という雑音

    以前楽音とは雑音だと書いた。ただし美しく聞こえる雑音。ピアノにおける雑音の最大は鍵盤が棚板を打つ音なのは説明するまでもない。では鍵盤は棚板にぶつからないように弾くのが美しく聴こえるのだろうか?これはこれで全く違うのである。浮ついた音で弾いてはいけないと言われる。その時の音がこの音なのである。では更にもう一歩前に進んでみよう。この音は使い物にならない音なのだろうか?それもまた違う。所謂レジェロはこれに近い。ある時にはこの音そのものである。メロディにおいて、或いはマルカートにおいて浮いた音はいけないと注意されるのはこうした理由なのだ。つまるところピアノの音とは様々な雑音の組み合わせだと言える。(棚板を打たぬ音にしてもやはり物理的には雑音であるから)ひとつ確実に言えることがある。それはハンマーが弦を打つポイントにエネ...楽音という雑音

  • 又々スコットランドソナタ

    https://youtu.be/xKIv_3dfhJs引き続きスコットランドソナタの3楽章を上げてみた。休みなく続く16分音符は一見容易そうに見えるが中々の難物である。しかしその難しさは表面的なもので、その向こうにある激しさや夢想をわざとらしい表現を避けつつ実現することこそが困難なのだ。敢えてほぼ全部を上げてみたのは僕のメンデルスゾーンへの愛着故でもあるし、上述の「意見」を実際にはこうアプローチしていることを示したかったからでもある。長目の動画が続いたが是非見て貰いたいと願っている。又々スコットランドソナタ

  • 弾き方次第

    引き続きスコットランドソナタの2楽章を。僕が今まで聴いてきたところでは、この楽章を子供のお使いのように弾かないことは大変難しいようである。繰り返されるメロディが余りに平易で大抵の場合そのせいで子供のはやし歌になってしまうのだ。そうなるのは作曲家のせいだろうか?試しにベートーヴェンの第九のフィナーレをフンフンフンという調子で歌ってご覧なさい。これも立派な下らぬメロディに成り下がるのが判る。この2楽章をそうなり下がられない為に細心の注意を払いたい。https://youtu.be/0OkNSXSUiy4弾き方次第

  • メンデルスゾーン讃

    https://youtu.be/REyV3YEfZIUコロナの影響でオンラインレッスンもしているが自宅でも続けている。オンラインでは細かいところを繰り返し指摘することが多くなるようだ。いつもより取り上げる曲数が少なくなり不思議に思っていたのだが、後で見直してみると納得する。自宅ではある時には同様にこと細かに一緒に練習するけれど、この動画のようにもう少し違った観点から語ることもある。メンデルスゾーンのこのファンタジーは演奏が大変難しい。先ず1楽章を上げてみる。メンデルスゾーン讃

  • 強いとは

    ボクシングの井上尚弥選手といえば、そのあまりの強さゆえにボクシングに関心の無い人でさえ名前は知っているという存在になっている。その井上選手だが、握力は成人男子の平均をかなり下回って何と30キロ台なのだという。インタビュー記事で本人の口から知った。意外ではあるが驚きもしない。スポーツ選手が身体能力の全てで超人的な数値を残す訳ではないばかりか、ある時には非力ですらあるのは珍しいことではないから。僕はピアノ演奏という観点からもそれを良く知っている。強さはある時には脆さと同義だったりする。強いとは

  • テロップ付きにした

    https://youtu.be/XTpJl_MWkxw昨日やってみたテロップ付けがあまりにお粗末だったので今回は頑張ってみた。やや長い動画であるが、途中から様々な曲に脱線しつつ説明しているからなるべくそちらまで見ていただけたらと思う。5本の指と1本の腕で弾くのだ、そう何通りもの動きがある訳ではない。どれもが何処となく似通っているのである。その辺りを伝えられていたら良いのだが。テロップ付きにした

  • 子供のためではなく

    YouTubeに投稿していて念の為に言っておきたいことがある。ブラームスの練習曲が思いのほか視聴されていて、僕も動きの基礎などと解説している。ただしこれは所謂上級者辺りに向けた言葉なのである。決して子供にさせたりしなくて良い。根本的な基礎というのは本当は僕たちに生来備わった何となくの動作だ。スポーツのことでも考えてもらえば誰でも了解するだろう。大人になってからピアノを始めた人達で上達が極めて早いと多くの場合独学なのである。基礎が大切だからと熱心な教師に習った人は往々にして行き詰まっているように見受けられる。ブラームスの練習曲を基礎動作と言ったのは以上をふまえた上でのことだと理解してもらいたい。何でもまず弾きやすいように弾いてみよう。歌うように弾いてみよう。最初に敷居を高くしてはいけない。より遠くへより高くへ行く...子供のためではなく

  • クラヴィコードなどなど

    インヴェンションひとつとっても必ずしもチェンバロが最適とは言えない旨を書いた。その際1番でもゆっくりしたテンポで弾く場合にはクラヴィコードでも似合っているのではないか、とも書いた。折角だから僕の感じる最適?な楽器を記しておこうか。クラヴィコードに適するならば2番、6,7,9番も場合によっては、14番、この辺りだろうか。ではクラヴィコードと同じように弾くのか?それも少し違うだろう。クラヴィコードだったら美しかろう、そうした想いをピアノに託すとでも言おうか。もっと進んで最適な楽器を言うならば、2番はオーボエ、8番はトランペット、14番はヴァイオリン、例えばこんな風に表すことが可能なのである。クラヴィコードに最適な例として動画を見て頂きたいと思う。この辺りを理路整然と語ることは不可能なのである。https://you...クラヴィコードなどなど

  • 鍵盤をつかむとは?

    https://youtu.be/waMf51dGSGYブラームスの練習曲、これなども漫然と弾き続けても何の役にも立たない。聴いていて楽しいものでもないが、誰かが見るかも知れない。そう思ってYouTubeに上げておいた。それが案に相違して他と変わりなく見られている。嬉しい誤算ではある。今回のはピアノでよく言われる「つかむ」ということの説明や実際の曲においてどのように関連性を持つのかを示している。分かりにくい事はそれでも沢山あると思われる。コメント欄で質問して貰えれば言葉で、或いは解説動画で再度説明する。鍵盤をつかむとは?

  • 平均律第1巻No.8

    https://youtu.be/5Em_c80KHPMこの曲についてワーグナーが褒め称えている。グールドはそれを意識してか、言われるほど傑作とは思わないと言う。しかしプレリュードが特異な印象を与えるのは否定できない。ここではフーガのレッスンの一部を紹介する。僕はこの曲を大変好きなのだ。この曲はクラヴィコードで弾かれると美しい。あるいは合唱でも良いだろう。カンタータの冒頭にあっても不思議ではない。チェンバロで弾かれたことを過度に意識してはならないと思う。平均律第1巻No.8

  • ブラームス51の練習曲よりNo43a

    https://youtu.be/OcpIPSWjdIk地味な動画だが、誰かの役に立つかもしれない。タッチとはその時々に必要な条件で音が出る地点(アフタータッチ)を正確にとらえることである。その他、掌や指の柔軟さを学習するのに大変役に立つ。ただ、学習途上にある子供にここまで言ってはいけない。もしもこれを見て頂いているピアノ指導者はそこを理解して頂きたい。ブラームス51の練習曲よりNo43a

  • これが画像

    本文中に載せようとしたが上手くいかず。これが画像

  • 野の花

    近所の空き地に生徒用の駐車スペースを借りている。雑草が生えると各自がむしる。先頃生茂った草をむしる人を見かけた。今日ふと気付けば花をつけた草だけはむしられずに残っている。こんな殺風景な空き地でも色々な草花がひっそりと咲いていたのだ。花だけを残してくれたおかげでそれを知った。粋な計らいに感謝する。野の花

  • バッハをピアノで弾く

    大変な数の人が見ているらしいピアニストの講義動画がある。人の言うことであるから全部が全部間違っている筈もないが、ふと目についたバッハの基本について疑問を出しておきたい。あまりに断定口調なのでふらつく人も大勢いるのだろうから。バッハの時代はチェンバロで演奏していたから、そのような効果を上げるようにしてくれろ、平たく言えばレガートは望ましくないといったことだろうか。しかしバッハはクラヴィコードを大変好んだと言われているではないか?オルガンはどうする?インヴェンションは成る程殆どの場合チェンバロで弾かれたかもしれないが、1番にしてもクラヴィコードで弾くと大変美しいと思うことも可能だ。しかも今日ではゆっくり目のテンポの弾かれるからなおさらなのである。他にも色々厳しいイロハがあるようだが、そもそもピアノで弾く必要性がある...バッハをピアノで弾く

  • エクササイズ

    ブラームスに練習曲があるのは必ずしも知れ渡っているわけではない。大学生のころほんの数曲手をつけて放ったらかしにしていた。というのも練習曲といってもショパンやリストのそれと違って試合前の予備練習のような感じだったからだ。27歳でハンゼンの門を叩いて直ぐに「ブラームスのエチュードをやったかね」と問われ何やらバツが悪かった記憶がある。それから真剣にこのエクササイズに取り組んだわけである。ブラームスという人はピアノを弾く身体、動きを分析する能力があったのだと今僕は痛感する。ネットなどで自分が決してしていないであろう動作を「正しいこと」として強調する人達を見るにつけ思う。少しずつ紹介してみようと思っている。https://youtu.be/D3-B9qrvNuYエクササイズ

  • 規格変革

    リンクが貼れないと嘆いていたが、いつの間にかやり方が変わっていたようである。もっとも僕は何が変わったのかわからないままなのだ。でも一応動画を貼り付けるのは出来たらしい。検索したところリンクを貼る方法が変わったことだけは理解し、何も分からぬまま弄っていたら出来上がった。つまり再現性はないような気がする。折角覚えたのだ、変えないでおくれ。規格変革

  • やっと、、、オンラインレッスン動画

    試験的に数分間を投稿してみた。リンクを貼ろうと思ったが上手く行かないのである、とほほ。暫く待っていただきたい。待ちきれないという方は僕の名前でYouTube検索して下さい。</divhttps://studio.youtube.com/video/5jiYubCfHIk/editやっと、、、オンラインレッスン動画

  • オンラインレッスンの録画

    先日オンラインのレッスンについて書いた。そのうちの1人を録画してみたところ思ったよりキチンと聴き取れるものだと分かった。生徒と僕とのやり取りが同時に見られる。こんな事が出来るとは思ってもいなかった。この際だから少しずつYouTubeに上げてみようと思いついた。僕のささやかなチャンネルmasahiroshigematsuで検索して下されば出て来ます。オンラインレッスンばかりではなく自宅でのレッスンもほんの一部だが上げてみようと計画している。計画倒れにならぬ様にしたいものである。関心のある人に少しでも参考になることを祈る。といったもののどうやったらアップロードできるのかなぁ、、、オンラインレッスンの録画

  • オンラインレッスン

    コロナの影響で一時的にオンラインレッスンという生徒が数人出た。対面してのレッスンが大切なのは言うまでもない。しかし実際にやってみると思ったよりは出来るものだ。考えてみれば僕らはいつの間にかスピーカーを通しての演奏に慣れ親しんでいるのだ。そこで聴き分けることが可能ならテレビ電話で出来ないはずもあるまい。映像と音がほんの少しズレるのが不愉快だが何とかなる。いざやってみると面白いことに気付く。普段のレッスンでは僕はピアノの横に座っている。当たり前だ。僕が生徒の上に座ったり生徒が僕の上に座ったり出来るはずがない。ところがオンラインレッスンでは僕がピアノの前に陣取るのである。だからだろうか、僕が弾いてみせることが遥かに多くなった。また色々なアングルで撮してあげることでより丁寧な説明が可能になる。僕の掌の内側を覗き込ませる...オンラインレッスン

  • マニアックな人々

    僕がかなりアバウトな態度で諸事に係わっていることは本ブログを読む人ならば察しがついているだろう。本人を知る人にとっては察しがつくどころか、せめてもう少し人並みにできないかと歯がゆい思いだろう。僕が専門とする音楽の領域内でも、どうしてか自分でも分からないが、綿密に学習して調べ上げる作業が苦手である。自分でも分からないと言いながら、理由はハッキリしている。なぜか。簡単に言えばつまらないのだ。あれこれ直感的に捉えたり空想に遊ぶのは大変好きであるから、性分といったほうが良いのかもしれない。ところが、対象が世の中全体ともなると、あまりに入り組んでいて、ちょっとやそっとの山勘ではとてもとても扱いきれない。ネット社会の弊害はたしかにあるだろう。きっと僕が想像もできないくらい大きな問題もあるだろう。しかしひとつ確実にいえること...マニアックな人々

  • シュタインベルク 2

    シュタインベルクというピアノが僕の記憶に残っていたのは前の記事で書いたとおりである。最近になってこれも偶然、家から徒歩で数分の所に再調整されたシュタインベルクのグランドピアノがあることを知った。調律師の方が手を入れて出来上がったという。連絡を取り早速見せて頂いた。普通の家を入るとそこは小さなスタジオになっていて、お目当のピアノが僕を待っていた。再調整された楽器の難しさをも感じたのであるが低音域と高音域は、最高音域までも、実に良いのである。この楽器の素性が素晴らしいことは直ぐに分かった。この様なクオリティがたった三十数年しか存続しなかったメーカーにどうして可能だったのだろう。僕がドイツで初めて接した時、これはスタインウェイから部品を購入して独自のコンセプトで作られたのではないか、と思った。スタインウェイの堅牢な柔...シュタインベルク2

  • シュタインベルク

    かつて存在したドイツのピアノ製作会社である。僕はその昔ドイツに暮らしていた折に偶々知ることになった。知人の紹介であるお宅でハウスコンサートをした。そこにあったのがシュタインベルクのベビーグランドだった。こんな粗末な楽器しかなくて申し訳ないと謝罪を受けながら1音弾いて驚いた。スタインウェイの180cmモデルより遥かに小さなボディから実にニュアンスに富んだ豊かな響きが出るのだ。通常左のペダルを踏むと鍵盤が右にずれるのだがこの楽器は左にずれる。そうした理由は分からないが一家言を持つファブリックなのだろうか。僕は感銘を受けてそこの家主に絶対に楽器を大切にしてくれとお願いした。確か20万円位で買ったと聞かされた。その後帰国して間もなく、ある楽器店でこのメーカーのアップライトに出くわした。これもまた非常に良い楽器だったが1...シュタインベルク

  • フレーズの最後の処理

    ピアノを習った人はまず例外なくフレーズの終わりを小さく、絶対に大きくしてはいけませんと習ったはずだ。金切り声とともに記憶している人もいるかもしれない。覚えがない人は次の3パターンのどれかである。1:天才的で生まれながらにそう弾いていた。2:言われていたのにそれを覚えていない。3:その注意をされるようになるまで練習したことがなかった。実際、教えていて(殆どの生徒は他の先生から移ってくるわけだから)よく教えが守られていることに感心する。で、この教えが正しいのかといえばノーだ。「腑抜け」と題した文章で指摘したとおりだ。しかし余りに教えを守り抜いて自動化されているので、いくら注意しても直らないことが多い。そんなこともあって日本人の弾くピアノはえらくちんまりしている。表情を出そうとすればするほど小さくなる。日本人の弾くピ...フレーズの最後の処理

  • 連弾演奏会の動画

    先日の「連弾というオーケストラ」というタイトルの演奏会をYouTubeに上げてみた。連弾演奏会の動画

  • クリスマスに因んで

    題名はカレンダーに依拠しただけである。常日頃面白く思い人にも話すのであるが、神様の姿はなぜ人間の形をしているのだろう。イエスにしても実際には褐色の肌であろうに白人のそれではないか。早とちりして貰いたくない。僕はよく見かけるような人種云々の問題意識を持っているのでは全くない。人は自分の知っていることしか空想ひとつできないという事実をいかにも面白く思うだけなのだ。クリスマスに因んで

  • 連弾の演奏会を終えて

    宣伝だけして報告をわすれていた。生徒諸君と楽しく終えることができホッとしている。僕自身のことでいえば、きちんとしたホールでの演奏は一体いつ以来だっただろう。別段感慨もないのであるが。出来ればこの状態を保ちたいし、それが可能ならば更に先まで戻るだろうか。幸い聴きにいらした方も楽しく聴いて下さったようだし、生徒諸君もまた是非やりたいらしい。実現するように願っている。連弾の演奏会を終えて

  • 楽譜の製本

    先ごろルーズリーフ仕様の楽譜を持って来た生徒がいた。何分僕は初めて見るもので、驚きが先に立ってしまった。なんてこった、安っぽい時代になって来たな、そんな感想がチラッとかすめた。その後そんな事は頭から消えたまま自分が持っているあれこれを弾くうちにふと思い出した。最近ではライセンス版が数多く出回っており解説も日本語で有難く、何より製本がしっかりしていて装丁も凝っているものが多い。便利な世の中になったものだと、何処かで満足していた。ラフマニノフの諸作品、コルトー版のショパンなど僕が最近になって買い直したものだけはライセンス版なのである。ところが使っている人なら分かるはずだが、ページをめくるとそこに止まってくれずに前のページに、いやそれどころか表紙に戻っていってしまう。例えばラフマニノフのソナタやエチュードをいったい何...楽譜の製本

  • 原典至上主義

    大袈裟なタイトルを付けておいた。バルトークの「子供のために」は僕も好んで子供に与える。元来がわらべ歌だし、題名からあれこれ空想して歌詞を作ってあげると子供は喜ぶ。しかし厳格な人達は何処にでもいる。すべての曲にオリジナルの歌詞が印刷されている楽譜がしっかりと存在するのである。歌詞は我々にはまったく馴染みのないものであるのは仕方あるまい。だが、これが印刷されていると全く違う歌詞やお話を作ってしまう気力が削がれるのもまた仕方ないことだと思われる。僕にはまったく馴染みのない歌詞を紹介されるよりも音楽からあれこれ想像したお話を紡いだ方が子供にとっても良いと思われるのだが。原典至上主義

  • 連弾の演奏会

    連弾の演奏会

  • 王様の新しい着物(裸の王様)

    改めて紹介するまでもない、有名な童話である。いかさま師の仕立屋が如何に人心を手玉に取ったか。これがこの物語の主眼だと言うことも可能だ。というよりも、それを忘れてはこの物語は面白くもないストーリーになってしまう。馬鹿者、そしてその人の地位に相応しくない人にだけは見えない不思議な布、こんなアイデアを出した時に仕立屋はもう勝利したと言って良い。インチキな機織りパフォーマンスを視察に来た家来たちは見えないと言うと自分が馬鹿者だと告白したことになり、また自分の地位も危ういので、素晴らしい出来栄えだと報告する。何人かの家臣から素晴らしい出来栄えを聞いた後王様も着物を見る。彼には何も見えないのだが今更自分だけが見えないという訳にはいかないわけである。かくして王様をはじめ城内の全員が新しい着物を褒めそやすことになった。国民も同...王様の新しい着物(裸の王様)

  • 鼻をくすぐる

    オリンピックでのトライアスロンの水泳コースは東京湾だそうだ。ところがここは下水が処理しきれずに流れ込むことがあるのだという。つまりトイレ臭い臭いが漂うのだそうである。それに関する雑誌の記事がネットニュースに流れてきて、見るともなく見て吹き出してしまった。記者は現地に行って確認し報告しているのであるが、「トイレのような臭いが鼻をくすぐる」と書いている。ふむ、ほとんどの人は吹き出すだろうが、ものを書くのが商売の人がこんなことを書く以上、鼻が曲がるほどの芳香なんて表現を目にするのは遠い将来ではないのかもしれない。鼻が曲がるほどの、、を使って短文を作りなさい。土用の丑の日、うなぎ屋の前を通ったら鼻が曲がるほどの美味しそうな匂いがした。よく出来ました。こんなになったら嫌だなぁ。鼻をくすぐる

  • 数値化されたもの

    前の記事で神奈川県立音楽堂の音響設計者が素晴らしい音響は半ば偶然の産物だと発言していたことを紹介した。現代人は科学的に計測されたものが全てではないという思考には殆どの人が賛同するだろう。しかしこれは、数値化したもので全てを律することができるという観念と真反対の観念的な理解でしかない。具体的な事象においては僕らは驚くほど数値化されたものに屈服している。僕の家のことを書こうと思う。バブル期真っ只中、有名工務店に注文して建てた。その際もっとも気を遣ったのはいうまでもなく近隣への音漏れであった。担当者は自信満々、お任せ下さい、当社は音楽家の家も数多く請け負っていますと胸を張り、僕は安心していた。引渡しも終わりピアノの搬入も済んでいざ弾いてみて愕然とした。数軒先の家までハッキリと聞こえるではないか。これでは夜弾くのはほぼ...数値化されたもの

  • 音響設計と偶然

    神奈川県立音楽堂で生徒たちの演奏会を開催した。その際会館の方と少し話しを交わしたのであるが、音響設計は石井聖光という人がしたのだと初めて知った。石井さんは非常な高齢で4、5年前に音楽堂で講演をなさったそうである。講演の中で、この様な良い出来になったのは偶然の産物だと発言されたという。これは謙遜も入っているだろうが、半ば真実でもある。どの様に新しい概念が導入されても、例えば初期反射と後期残響などは当時言われていなかったというが、やはりその音響は偶然の産物だという方が正しい。音響が素晴らしいのならばその偶然に感謝して何としても残そうと努めることが重要だと言わざるを得ない。計測できる数値には必ずしも一致しないのが一般なのである。それについては以前にも本ブログでも取り上げたが、設計者も正直に言ってくれたことは有難いと思...音響設計と偶然

  • 又々県立音楽堂

    8月1日13:00から神奈川県立音楽堂で生徒たちが演奏する。このホールの秀逸さは何度か本ブログでも記してきた。千人という規模だからホール内の階段を上っていくと舞台はみるみる遠ざかる。しかし舞台からの音は実に近いのである。また、通常舞台に近いと音を楽しむことが出来ないのだが、ここではそれなりに心地良く響く。演奏は13:00から大人の生徒たち、15:00辺りから小さな生徒たち、そして18:00辺りからまた大人の生徒たち。子育て真っ盛りの人から一般職で頑張る人、習い始めて日も浅い子や成人してから初めてピアノを習った人、色んな立場の人がそれぞれより良い演奏を目指している。やたらに長い演奏会だがタイトルは小音楽会という、ふざけるなと叫びたくなるようなものになっている。午前中は各々が楽器に慣れておくために勝手に練習している...又々県立音楽堂

  • 足し算の順序

    全ては基礎が大切だ。これに異を唱える人はいないだろう。ただ、この手の議論で注意が必要なのは、基礎とは何かという問いかけがなされないまま話が進行してしまう点だ。さて専門外のことを書くのだが。ネットで見かけるばかりか生徒たちからも聞き及ぶのだが、小学生低学年の算数で足し算において順序が決まっているという。4個饅頭を買ったらおまけに1個貰った。幾つになったか、という問いに4+1は正解だが1+4は不正解だと。これが僕には分からないね。大人なりの理屈はつく。しかしですよ、わーい、1個おまけに貰った!という喜びを感じた子は1を先に書くかもしれないではないか。全部で5個になるということが理解出来ていれば良いだろうと僕は思う。ここで難しい理屈を唱えて訳が分からなくする危険は無いのか?算数の敷居を高くすることが目的ではなかろう。...足し算の順序

  • ハンブルクのホールについて

    二十代後半からおよそ10年を過ごしたハンブルクこそが僕にとっての故郷だというのに何のためらいもない。人生の中で最も肉体的な力のある時期をすごしたからであろうか。そのハンブルクに新しいホールが出来たことは友人からの便りで知っていた。奇抜な外観と内装は僕の知るハンブルクには似つかわしくないと残念な気持だけがあった。音響は良いはずがない、聴くまでもない、そう思っていた。というのも正式な名称は知らないが、サントリーホールでお馴染みの舞台を客席が囲む様式だと知ったからである。(葡萄畑型と言うらしい。従来のホールは靴箱型だそうだ)先日、この新しいホールについて朝日新聞に大きく報道されていたと教えられた。なんでも、公演最中に「聴こえない」とブーイングがあり、席を立つ人が現れたところから改めて音響が論議の的になっているらしい。...ハンブルクのホールについて

  • 印象

    僕が小学校1年の時である。下校時に4年生くらいの男の子と連れ立っていた。その子が僕に「鉄一貫目と綿一貫目とどっちが重いか?」と尋ねた。(僕の子供のころはまだグラムやセンチという単位は定着していなかったはずである。モヤシ100匁などと買物していた記憶があり、相撲の館内放送も、西方大関〇〇、身長◯尺◯寸◯分、体重◯貫などとアナウンスしていた。一貫は3.75kgだから百貫デブというのは実際にはあり得ない数字なのだな)僕は「鉄!」と即答した。そして「バーカ、同じだよー」という嘲りの声を貰った。今でも覚えているほどだ、鼻垂れ4年生に馬鹿にされて余程悔しかったのだろう。かように我々の五感の受ける印象は事実と異なるのだ。ファゴットのffとトランペットのffはどちらが大きいか?トランペット!!バーカ、同じだよ、こうならないとこ...印象

  • 演奏に於けるフレーズの長さ

    息が長い、フレーズが長い、これは演奏に於ける褒め言葉中最大のもののひとつだ。この能力はしかし肺活量とは無縁なのである。こう言っておこう。ある纏まった音型を如何に細分化出来るのか、それが最重要なのだと。フレーズが長いとは◯メートルを一息で泳ぎ切るということでは決してない。演奏に於けるフレーズの長さ

  • シャーロックホームズ、或いは音楽

    シャーロックホームズのシリーズを読んでいると彼が麻薬を嗜む場面に出くわす。この辺りは時代の変遷を感じる。ホームズはヴァイオリンを弾く人物として描かれている。演奏する時に薬を吸っていたのか、そうした細部はもう記憶していないのだが。ワトスンが訪ねるとソファで嗜んでいる描写があったように思う。デュマ辺りの小説でもハシシュなどが洒落た取り上げられ方をしていたような記憶がある。デュマに関してはなにぶん60年近く以前の子供の読書だから記憶違いかもしれないが。感覚というものに依拠した作曲の場合、こうした薬物に手を出す人がいるのではと思う。間違えないように。僕が言うのは現代に生きる人ではなく、ホームズの時代の人のことである。ドビュッシーの「レントよりなお遅く」は感覚派の欠点を曝け出した駄作だと僕は思う。ここでの弛緩し切った精神...シャーロックホームズ、或いは音楽

  • 類似

    僕はメンデルスゾーンが大変好きだ。この作曲家の佇まいはあくまで控えめである。それ故にではないのだが、昨今弾く人はめっきり減ってしまった。シューマンはメンデルスゾーンに親近感を覚えていたのだろう。僕はそう信じている。メンデルスゾーンの作品で内省的な箇所が来るとシューマンの作品かと錯覚してしまいそうな響きになる。いや、内省的な箇所に限らない。メンデルスゾーンが実に鮮やかに用いる金管やファゴット、遠い世界からのシグナルの効果をシューマンはピアノで実現させようと骨折っている。ところがメンデルスゾーンは時として直情的な激しさを見せることがある。この種の表現はシューマンには見られない。むしろウェーバーに通じるものがある、僕はそう感じている。シューマンとウェーバーの間には直接共通するものはほぼ無い。人の世を見渡せば何ら不思議...類似

  • エスプレッション

    車のメンテナンスをしてもらう間、待合室にいた。有線放送でチェロでシューマンの小品が流れてきた。言葉を失うのである。奏者は不明だがこれでもかと情緒を盛り上げ訴えかけようとしている。あ〜っ、世の中は〜〜、な〜んとう〜つくし〜いのでしょ〜〜うこんな風にウルウルした目で言ったらバカ丸出しだろうに。弦楽器がこの手の「エスプレッション」を付ける傾向を示すようになったのはいつ頃からだろう。フルトヴェングラーがベートーヴェンの7番2楽章を練習している録音がある。幾度となくOhneAusdruck(表情無しに)と言うのが聞こえる。連綿と続くメロディにややもすると甘い叙情が与えられるのを戒めているのである。その結果、練習での言葉とは裏腹に深い情感としか形容が出来ない世界が現れる。同じベートーヴェンの3番(英雄)のアダージョで、諸君...エスプレッション

  • 組体操記事

    今朝のウェブニュースで組体操を疑問視する神戸新聞の論説委員の記事を読んだ。これなどは組体操を疑問視する人がうっかりすると引っかかる論説だなと思った。筆者は組体操の成果に拍手を送る側だったという。しかし神戸の組体操事故が他を圧倒して多いところから取材したようである。取材の過程でルーツは軍隊の鍛錬にあることを知った。陸軍幼年学校ではピラミッドは四段であったとかタワーは障害を乗り越える訓練と酷似しているとかを記している。結語は、組体操のルーツを知った自分は複雑な気持ちである、という。ルーツが軍隊での訓練にあるから諸手を挙げて賛成しかねるとつい思わされそうである。しかしルーツを言って疑問視するならばあらゆる技術は兵器由来なのだ。記事中では勿論安全性を問い、教育関係者の、実は自分も心配しているとの言葉にも触れている。しか...組体操記事

  • カセットテープから

    部屋を整理していたら古いカセットテープがいくつも出てきた。上書きされることのないように爪を折ってある。してみると何か良い録音なのであろうか?聴いてみようにも既にカセットテープをかける機器は壊れて捨ててしまった。仕方なく安物の機器を購入してひとつひとつ確かめている。最初の一つをかけた途端、パイプオルガンの音が流れ出した。これは恐らく北ドイツかオランダの古い楽器だ。大変良い楽器だと分かる。多分その昔ドイツでラジオの番組を録音したものだ。毎日曜日の朝、歴史的オルガンとカンタータの番組があった。オルガンはその地へ行くこともおいそれとは出来ず、この番組を楽しみにしていた。プロテスタント教会のひんやりした空気や匂いが蘇る。この音の美しさをどう説明したら良いだろう。人は昔からこのように生きてきた、そんな声のようだ。錆びたよう...カセットテープから

  • 象牙の鍵盤

    僕の所有する楽器は全て象牙の鍵盤である。コンサートグランドまでもが樹脂製の鍵盤になって久しい。人々がそれにすっかり慣れてしまったらしいのはネットの書き込みからも見て取れる。象牙の鍵盤だと滑ってしまって弾きづらいという感想が結構あるのだ。なるほど象牙の鍵盤は適切な湿度に保たれたピアノの場合乾いた滑らかさを持つ。僕も昔は滑って嫌だなと思ったことは記憶している。奏法から説明すると、通常言われるのは弾いたらそこから指の位置は動かないようにということではないだろうか。意識的にさよ、何となくにせよ、そのように弾かれた場合は、確かに滑る鍵盤は安定を欠く。しかし手を鍵盤上で滑らせるのも手の運びをより自然にする方法だとするならば、象牙の鍵盤の乾いた滑らかさは実に心地よいものになる。これはもちろん技術的な困難の万能な解決法ではない...象牙の鍵盤

  • 曲名

    つい先ごろ子供がシューマンのユーゲントアルバムを持ってきた。一曲目の曲名を見て突発性ヒステリーを起こしそうになった。ヒステリーは常に突発性だと理屈を言うなよ。はなうた、とある。この曲は単純さの極致ではあろう。しかし考えてみれば良い、はなうたはどの様な態度で歌われるのかを。音楽には様々なジャンルがあるけれどはなうたというジャンルは無い。誰もが上機嫌で歌うのがはなうたであるにもかかわらず。理由を考えるまでもない。プロのハナウティストなるものを想像できるか?滑稽だろうね。シューマンほど子供に真摯に接した大音楽家はいない。それについては以前書いたことがある。最上の童話がそうであるように、ユーゲントアルバムにはシューマンという男のエッセンスが散りばめられている。この「はなうた」にしてもそうだ。もちろん練習する子供は曲名の...曲名

  • スタンフォード監獄実験 その後

    スタンフォード監獄実験というのを以前紹介したことがある。ランダムに選んだ被験者を監視役と囚人役に分け、それぞれに相応しい「演技」をさせていくと自発的にその役割を果たしていく、という大変有名になった実験だ。人には生来残酷になり得る性質がある、それを裏付けるとして様々な取り上げ方をされたという。その実験に対して疑義を呈する論文が発表された。詳しく知りたい人はスタンフォード監獄実験捏造報道とでも検索したら直ぐに見つかる。厄介なのはこの手のレポートが真実である証拠もまた僕にとっては無いという点だ。それにだけは気を配った上で読んでもらいたい。社会学系の研究というものは得てして政治色を強める。人の言動を個人から引き離し全体を語るからどうしてもその傾向は強くなる。学問である以上、その一番難しい処を常に意識しながらな綱渡りのよ...スタンフォード監獄実験その後

  • 自動運転

    車の進化と呼ぶべきなのか。自動運転の技術が進んでいるのだそうだ。新技術の裏には必ずと言って良いほど難問が控えている。それも全く予期しないところに。例えば次のような倫理上の難題が生じているのだそうだ。衝突を回避するために急な進路変更をする。その作動は人のそれより遥かに正確且つ素早いだろう。だがもし変更された進路に歩行者がいたとしたら?歩行者は一人で衝突する車には何人もの人が乗っているとしようか。コンピュータはいずれを選択するのだろう?犠牲者の数だろうか?考えたところで結論が出るとは到底思えない。この様な深遠なテーマは一般人の手に負えない。ここからは演奏する立場の人として発言しよう。なんて気取ってみたが。この手の論者は結構いるのだね。ここでは大学教員としての私が語るとかぺんぺん草としての私が語るとか。そもそも自動運...自動運転

  • 楽音

    楽音とは僕たちが美しいと感じる雑音のことだ。なぜある種の雑音を美しいと感じるのか、これは誰にも分からない。ピアノの発音原理はまことに簡単なのである。ハンマーが弦を叩く(厳密に言えばハンマーが放り出される)瞬間に向けて加速する。それだけだ。楽音

  • 10月14日の講座の案内

    間際の案内になりましたが、14日(日)18:30より長津田駅前のみどりアートパークにて講座です。今回はピアノトリオを2曲演奏して貰います。ハイドンの有名なジプシートリオとドボルザークのドゥムキ(1,2楽章)です。演奏者プロフィールは僕のHPに載せてあります。大変聴きやすい曲でもあります。ピアノの先生方は生徒の子供達をお誘いください。10月14日の講座の案内

  • 語学教育(補足)

    ずっと以前の語学教育について今更ながら書き足しておきたい。その時のコメント中、恥をかいても良いではないか、という言葉があった。僕がただ英語を話したところで恥をかくだけになりかねないと書いたからだ。知らぬを知らぬとせよ、これ知るなり、と孔子が言ったけれど、この意見はその意味で大変正しく?オーソドックスなものである。僕も全く同感だ。ただ、僕が言ったのは遥かにはるかに下世話なものであって、かいた恥から学ぶものなんぞどこにもない種類のことだ。今日世界中の重要な意見、発言は殆んどが翻訳されている。生半可な語学力で首をひねりながら読むよりもはるかに効率よく学べる、という意見がある。それに対して僕はいかにもそうだ、と答えることしかできない。そんなことだ。英語(外国語)教育が必要なのは、昔は言うまでもなく西洋化を迫られ、学ぶた...語学教育(補足)

  • 間抜け

    YouTubeでヨウムの動画を見ていた時期がある。鳥は実際に不思議な生き物だ。研究者からは次々と報告が上がっている。もっとも僕はヨウムが人の言葉をよく真似できるなぁと、いつもながらの単なる興味本位で見ていたのであるが。言葉を真似するばかりではない、声色まで真似できるのだ。興味本位とは言え、これは大変面白く思った。電話の呼び出し音が鳴る。これまでリアルに真似するのだ。もしもし〜はい〜うんうんそうなの〜こんな調子で飼い主を真似するのだが、他の時に聞こえる当の本人(飼い主ですよ)の声と区別するのが困難なほど似ている。さて、そんな事を思い出してしまったのも、以前紹介したことのあるコルトーの公開講座のCDに改めて間抜けだと痛感したからである。ピアニストのペライアがコルトーの息子に会った折この講座の録音がある旨を聞いたのだ...間抜け

  • 9/23 講座案内

    ネットでピアノ関係を見ていると大人になってからピアノを習い始めた人が一定数いることに気付く。そうした人たちの中には半年後とか一年後とかに自分の進歩を動画投稿する人もいる。無論全員が全員ではないが、ほほう!こんな短期間で、しかも大人になってから始めてこれ程の進歩をするのかと驚く人もいる。そこで不思議なことがある。ほほうと驚かされる人は全くの独習者であることが多い。他方、きちんと教師に習っている人達は基礎の大切さを学んでいる様子だ。こうしてみると基礎だと思われているものは本当に基礎なのだろうか?という問いが出るのは必須だろう。今回は3人の子供たちにレッスンをしてみる。小1、小6、中1にインヴェンション、ベートーヴェンの6つのヴァリエーション、メンデルスゾーンのロンド・カプリチオーソを弾いて貰います。会場は幡ヶ谷にあ...9/23講座案内

  • 死語

    レストランに行ったとしよう。大変美味しいと感じた場合、またその店に来ようと記憶に留めるだろう。料理に情熱を持つ人ならばその味の秘密はどこにあるのだろうと舌で探ろうとするかもしれない。いずれにせよふふん、味はとても素晴らしいですね、、と言いつつ素通りすることだけはあるまい。料理人のセンスと努力を想っているわけである。味は素晴らしいですね、、の後につけ加わるとしたならば、しかし店内が不潔だ、とかウェイトレスが無愛想だったといった不満くらいだろう。これがピアノ演奏となるとどうだろう。音が綺麗ですね、と軽いノリでお愛想だ。その調子は脚が長いですね、というのと同じような響きを持つ。脚が長い、、、憧れてしまうね。僕は気が長いと言われたことはあるが脚が長いとはついぞ言われたことがない。言われることはないと半ば、いや完全に諦め...死語

  • 猫に学ぶ

    ボクシングに八重樫という選手がいる。世界チャンピオンだった人だから有名だが本ブログを訪れる人には縁遠いかもしれない。この人が競輪の後閑という選手と対談している。この選手も競輪界で有名らしいが、こちらは僕に縁遠い。(今知ったがこの人は昨年引退したそうだ。)ギャンブルには縁がないというとお前の人生そのものがギャンブルだとのたまう人が結構いる。黒か白か、ルーレットは赤か黒かだが。しかし僕が如何にまともな男かは以下の記事でも分かるであろう。この2人のアスリートは偶然にも猫の動きに着目していたという。猫科の中でもチーターなのだそうだが。猫科の動物の背中は彎曲している。それが大きなエネルギーを生む原動力なのだと強調する。後脚であれ程高く跳び上がる猫も二本脚で立たせた後には跳べないではないか、と。そして大きなエネルギーを作り...猫に学ぶ

  • 7/22の講座案内

    7/22(日)14:30からKMアートホール(京王新線・幡ヶ谷)にて。今回は初めてスクリアビンのピアノソナタNo.10を取り上げます。原由布紀さん(東京音大ピアノ演奏家コース)に演奏して貰いレッスンをします。原さんを聴いたことはないので僕としても楽しみではあります。何をどう言えば良いか事前には分かりませんが、ピアノという楽器、また音楽の見地から言うことがあればと思っています。短い曲で課題自体は同じことの繰り返しですから、モーツァルトのソナタKV.282も用意してもらっています。あとはどう脱線していくか未定です。そこはいつもの通りです。7/22の講座案内

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