延寿堂という制度
修行中に疾病にかかったらどうなるのか?古来から禅宗では「延寿堂」という制度があった。延寿堂の病僧の粥飯・牀帳・行者の類を使わしめ、並びに当に堂主と与に同じく共に照管し、病人をして失する所無からしめよ。『永平寺知事清規』「維那」項このように、道元禅師の僧団には「延寿堂」が存在していた。これは、病気になった僧が居る場所であり、修行が出来なくなった者を一時的に保護するための施設でもある。現代であれば、いたずらに叢林内に置かずに、病院に置くべきだという見解もあるし、それは事実そうあるべきなのだろうが、しかし、一応古来は「延寿堂」が置かれた。この場所について、道元禅師の時代よりも更に古い時代に編まれた『禅苑清規』所収で、百丈懐海禅師の古意を集めたとされる「百丈規縄頌」では、以下のように示される。疾病して三日を経れば...延寿堂という制度
2023/11/15 19:24