江戸時代の僧侶は幕府からの規制をどう思っていたのか?
石田瑞麿先生の『女犯』(ちくま学芸文庫)でも繰り返し指摘されているように、江戸時代は僧侶の女性問題について、幕府はそれなりに規制を行い、実際に取り締まられた事例もあったようである。そこで、今回は或る一節から、幕府の規制について現場の僧侶がどう思っていたのかを見ておきたい。第三不貪婬〈中略〉此の戒、在家の菩薩は、正婬を開して邪婬を制す。出家は開なく男女の色共に堅く禁ず。もとも僧に女犯あらば、官制にも許さず。女犯肉食却盗は、僧の三条罪とて、世・出世共に立がたし。凡そ此の戒は、老弱共に甚だ慎むべし。溺れやすきは愛欲の境なり。いはゆる行婬のとき、三学共に不成。戒すでに破るが故に、定慧共にならず。婬を行じて禅定を修し、智慧を明かにせんとするは、沙を蒸して飯となすがごとし。労して功なし。然れば修行人第一の公案なり。容...江戸時代の僧侶は幕府からの規制をどう思っていたのか?
2024/09/06 08:09