アート系・インディペンデント系の海外映画を中心に、新旧問わず感想や考察を綴っています。
【あらすじ&ネタバレあり】わずか14分に刻まれたソフィア・コッポラの原点―初監督短編『Lick the Star』感想+考察
『ヴァージン・スーサイズ』Blu-ray特典に収録されたソフィア・コッポラの初短編『Lick the Star』をあらすじ・テーマ・作家性の視点から読み解く。少女たちの毒と反抗、そしてその先の自立とは?
【ネタバレあり】壊れた光の先で、あなたと—映画『突然、君がいなくなって』感想
喪失の痛みと他者とのつながりを、静かに美しく描いたアイスランド映画『突然、君がいなくなって』をネタバレ有でレビュー。映像美やヨハン・ヨハンソンの楽曲についても考察。
ロイヤルホテル / 女は地獄でもニコニコしろってか? (*ネタバレなし感想+考察)
男性社会の田舎町で追い詰められる2人の女性を描いたホラー映画『ロイヤルホテル』を、ネタバレ無でレビュー。監督キティ・グリーンの作家性についても考察。
ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地 / 静かな200分で描かれる主婦の崩壊 (*ネタバレあり感想+考察)
シャンタル・アケルマン監督『ジャンヌ・ディエルマン』をネタバレ有でレビュー。主婦の生活に生じる“綻び”と、こだわりによって追い詰められていく心の揺らぎに焦点を当てて考察。
『We Live in Time この時を生きて』を私が酷評せざるを得なかった理由 (*ネタバレあり感想)
映画『We Live in Time この時を生きて』を酷評せざるを得なかった理由をキャラクター描写の掘り下げ不足から語ります。(※ネタバレ有)
親友かよ / 映画は一人じゃ作れません!(*ネタバレあり感想)
映画制作を通じて友情の本質と向き合う、タイ発の青春映画『親友かよ』をネタバレ有でレビュー。作品の魅力と違和感を率直に綴ります。
感情を拒む物語、感覚を侵す映像 — ブランドン・クローネンバーグ『ポゼッサー』と『インフィニティ・プール』の感想と作家性
ブランドン・クローネンバーグの『ポゼッサー』と『インフィニティ・プール』を通して、“自我の喪失”を描く物語と、観客の感覚を侵す映像表現による作家性を深掘ります。
コンパニオン / 愛はプログラム可能か (*ネタバレあり感想)
ソフィー・サッチャー主演の映画『コンパニオン』をネタバレ有でレビュー。恋愛用AIロボットの支配からの解放を描くスリラー。
おんどりの鳴く前に / オフビートなノワールが問う遅すぎた正義 (*ネタバレあり感想)
ルーマニア映画『おんどりの鳴く前に』をネタバレありでレビュー。聖書の引用に由来する邦題を考察し、“遅すぎた正義”をめぐるオフビートなノワールを読み解く。
デビルズ・バス / “救い”はこんなにも残酷か (*ネタバレあり感想+考察)
映画『デビルズ・バス』史実に基づく衝撃作をネタバレ有で考察。1750年オーストリアを舞台に、信仰と家制度に縛られた女性の悲劇を描く歴史ホラー。※ネタバレ前には注意書きを記載しています。
MaXXXine マキシーン / ホラー映画でスターになれる?(*ネタバレあり感想)
タイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演のホラー三部作の完結編『MaXXXine マキシーン』をネタバレ有でレビュー。『X』の主人公・マキシーンの6年後を描き、彼女がハリウッドで連続殺人事件や過去の因縁に直面していく様子が描かれる。
我来たり、我見たり、我勝利せり / 誰が彼らを止めるのか?それが問題だ (*ネタバレなし感想+考察)
億万長者の人間狩りを描いたオーストリア映画『我来たり、我見たり、我勝利せり』をネタバレ無しでレビューしています。試写のトークショーでの監督の発言も紹介しています。
テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ / なんて精神力!(*ネタバレなし感想)
93歳のおばあちゃんが詐欺師に立ち向かう!?試写で鑑賞したコメディ『テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ』をネタバレ無しでレビューしています。
ノスフェラトゥ / 欲望と孤独を映す影 (*ネタバレなし感想)
ロバート・エガース版『ノスフェラトゥ』をネタバレ無しでレビューしています。吸血鬼が象徴する「死・欲望・孤独」、そして抑圧された女性の視点から描かれるエレンの物語を考察します。ゴシック・ホラーとしての映像美、リリー=ローズ・デップの演技も必見。
リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界 / 戦争は、今も女の顔をしていない (*ネタバレなし感想)
戦場カメラマンとしてのリー・ミラーに焦点を当てた伝記映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』をネタバレ無しでレビュー。彼女のまなざしが映した“見えない被害”と、その背景にある痛みに迫ります。ケイト・ウィンスレット主演。
オールド・ジョイ / アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方 / ロイ・コーンの真実 / ライトハウスなどの感想書き散らし
2025/5/12~2025/5/18 僕らの世界が交わるまで www.youtube.com ジェシー・アイゼンバーグ監督・脚本第1作。こちらも評価が高いみたいだけど、個人的には苦手だった…。ジギーの好きな女の子へのアプローチの仕方が痛くて(お話としてわざとなのはわかるんだけど)結構見ていられないというか、私的な何かにダイレクトに効いてしまったのか、何回も再生停止しながら何とか見終わったって感じでした。それにジュリアン・ムーア演じるお母さんのあの無自覚なグルーミング的行動がもう本当に嫌で…。最後に親子が急に和解した風なのも納得いかなかった。いくら自分の息子が自分の思い通りに育っていないからと…
異端者の家 / それでも隣人とCreepを愛しなさい (*ネタバレあり感想+考察)
ヒュー・グラントが異様な存在感で挑む密室サイコスリラー『異端者の家(Heretic)』をネタバレ有りで徹底考察。宗教の反復構造、祈りの意味からCreepの盗作騒動まで、知的でスリリングな一作を深掘りします。
ガール・ウィズ・ニードル / その転落の責任は、誰の手に (*ネタバレあり感想)
1920年代デンマークでの実際の事件をもとに描かれる『ガール・ウィズ・ニードル』をネタバレ有でレビュー。戦後社会の闇と女性の転落を描いた本作について、モノクロ映像や音響の演出、人間の不完全さに焦点をあてて考察しています。
サブスタンス / 女性の若さと美の搾取構造を暴く、カルト映画降臨 (*ネタバレなし感想)
コラリー・ファルジャ監督、デミ・ムーア主演のホラー映画『サブスタンス』をネタバレ無しでレビュー。若さと美の搾取を描く物語の奥に潜む怒りを丁寧に読み解きます。
ミステリアス・スキン / 抜けない記憶の棘 (*ネタバレあり感想)
20年越しに日本公開されたグレッグ・アラキ監督『ミステリアス・スキン』をネタバレ有りでレビュー。記憶の改ざん、性的トラウマ、自傷行為としての性、そして沈黙の中にある怒りを丁寧に言葉にしています。
サスカッチ・サンセット / UMA・ビッグフットが教えてくれる“生きること” (*ネタバレあり感想)
映画『サスカッチ・サンセット』をネタバレ有でレビューしています。ビッグフットの1年を描いた奇妙でどこか切なさを残す物語。UMA研究家・中沢健さんのトークショーの内容も掲載。
ウィッチ / 悪い子はどこにでも行ける (*ネタバレあり感想)
ロバート・エガース監督、アニャ・テイラー=ジョイ主演『ウィッチ』をネタバレ有でレビュー。信仰と抑圧、そして魔女が象徴するものについて掘り下げて考察しています。
リアル・ペイン〜心の旅〜 / 見えない痛みを見つめて (*ネタバレあり感想)
ジェシー・アイゼンバーグ監督作『リアル・ペイン ~心の旅~』をネタバレ有でレビュー。ユーモアの裏に潜む「見えない痛み」とは何か。歴史と個人、それぞれの“リアル・ペイン”を静かに見つめた作品を考察します。
クィア/QUEER / バロウズとグァダニーノの交差する孤独 (*ネタバレあり感想)
ウィリアム・S・バロウズの同名小説をルカ・グァダニーノが映画化した『クィア/QUEER』をネタバレ有でレビュー。原作との違いやリーの人物像も考察しています。
憐れみの三章 / ビーキーパー / アシスタント / ボーンズ アンド オールなどの感想書き散らし
2025/5/5~2025/5/11 憐れみの三章 www.youtube.com ヨルゴス・ランティモスは好きな監督の一人。去年観た『哀れなるものたち』があまりにも好きすぎて、なぜかこの新作は観られずにいた。(謎のロジック)(ちなみに「籠の中の乙女」はオールタイムベスト)ようやく鑑賞したところ、ギリシャ悲劇やギリシャ演劇をモチーフにした短編3本が連なる構成で、実にランティモスらしい仕上がりだった。ただ、ちょっと長い……。30分×3本くらいの構成で100分程度なら、もっと見やすかったかもしれない。 ビーキーパー www.youtube.com 結局「ビーキーパーって何の組織?」という疑問は最後…
けものがいる / “けもの”は、私たちの中にいる (*ネタバレあり感想)
3つの時代を越えて描かれる、魂の輪廻と感情のゆくえ。レア・セドゥ主演のSF映画『けものがいる』をネタバレ有で考察。けものとは何なのか?愛と孤独、そして人間らしさについて掘り下げます。
iHostage / オーダー / リベンジ / SISU などの感想書き散らし
2025/4/27~2025/5/4 iHostage www.youtube.com 実際にアムステルダムのApple Storeで起こった人質事件をベースにした作品。人質側と警察側(現場の警官と交渉人)など、複数の視点から描かれていて、緊張感はずっと持続していたので飽きることはなかった。ただ、群像劇スタイルゆえに誰に感情移入すればいいのか少し迷子になり、事件もあっけなく幕を閉じ、犯人の動機も明かされないまま終わるので(それが事実だから仕方ないのだが)やや不完全燃焼感が残った。少し脚色してもいいから、犯人側の視点をもっと描いてほしかったな。再現VTRを観たいわけではないので。最初「iHost…
カメラを止めるな! / アフター・ヤン / ロスト・フライトの感想書き散らし
2025/4/21~2025/4/27 カメラを止めるな! www.youtube.com 観てなかったんですよね。いや〜素晴らしい。クリエイターや監督への賛歌としても最高だし、エンタメとしても文句なしに面白かったです。特に、監督が「(誰も観てなかったとしても)必要(な画)なんだ!」って叫ぶシーンが印象的で、それを最後にみんなで叶える展開が胸アツでした。「そこそこ」な出来だったとしても、映像作品を完成させて人前に出せるって、それだけで神がかってると思う。全監督にリスペクトを。あと、撮影が終わった後に現場にいなかった人が「トラブルなく終わってよかったですね〜」って言うのもあるあるすぎて笑った。 …
侍タイムスリッパー / ザ・ウォッチャーズ / ドント・ウォーリー・ダーリンなどの感想書き散らし
2025/4/14~2025/4/20 ザ・ウォッチャーズ www.youtube.com ※下記ネタバレを含みます。シャマランの娘による初長編監督作。思ったよりもウェルメイド感と"シャマラン味"があって、個人的には今後に期待が持てる。ファンタジーはあまり得意なジャンルではないし、妖精がどうのこうのっていうのは興味無いのだが、伏線の張り方や映像の美しさが際立っていて好きだった。ダコタ・ファニングがだるそうなのも好き。主人公が過去のトラウマや、双子の姉との関係を通して自分自身と向き合っていく話。姉妹がいることは序盤で明かされるのだが、それが双子というのはラストにわかるという展開は上手い。ウォッチ…
ミッキー17 / トラップ / スピーク・ノー・イーブル / ブラック・ミラー シーズン7などの感想書き散らし
2025/4/7~2025/4/13 トラップ www.youtube.com ここ最近のシャマラン映画の中ではトップクラスに面白いと思う。伏線的なディテールも丁寧で、ジョシュ・ハートネットの演技も素晴らしい。サイコパスでありながら父親でもあるという両面が抱えるハラハラに、観客が共感できるような脚本の作りもとても良い。(なぜ私たちはシャマランの話をするとき、こんなにも偉そうになってしまうのか?)先日『ポップスター』でナタリー・ポートマンのあり得ないほどダサいコンサートシーンを見た直後だったので、シャマランの娘・サレカが今どきのティーンに確かに人気が出そうな華を持っているのもその見せ方もすごくよ…
シークレット・オブ・モンスター / ポップスターの感想書き散らし
シークレット・オブ・モンスター www.youtube.com ブルータリスト鑑賞を機にブラディ・コーベットの過去作を鑑賞した。こちらも映像としてのルックがかなり良い。町山さんがブルータリストの解説でも言っていたことだが、監督自身も何か親子の関係や幼少期にトラウマがあるのではないかと思う描写が多かった。(この作品が彼の個人的なものと捉える必要はないとも思うし邪推かもしれないが、初長編とのことで何か特別な思いはあるだろう)特に興味深かったのは母親のキャラクタ―だ。女は子供を産んだだけで自動的に「母親」になれるわけではない。そもそも主人公の母親はこの結婚も望んだものではなかったのだろう。旦那がもう…
アドレセンス / ブルータリスト / シック・オブ・マイセルフなどの感想書き散らし
2025/3/24~2025/3/30 ミナリ www.youtube.com ※以下ネタバレ含みます。 家族って本当に難しい。家族の夢と父の夢が重なるとは限らないし夫婦も親子も結局は他人だ。作物を育てることと同様に、思い通りにはならない。祖母が体を悪くしてしまったのは水道が止まった時に水を飲むのを我慢していたことも原因だっただろうか。父が作物を火事で失ったことで、セリを、家族を、前を向けるようになり良かった。 シック・オブ・マイセルフ www.youtube.com Amazon Primeでも配信が始まった「ドリーム・シナリオ」がチャーリー・カウフマン風味でかなり好きだったので同じ監督(ク…
映画「ツイスターズ」でアドレナリン出まくってマッドマックスの続編かと錯覚した (*ネタバレなし感想)
マッドマックス級の爆風スリル!リー・アイザック・チョン監督、デイジー・エドガー=ジョーンズ主演の『ツイスターズ』をネタバレ無しで超熱量レビュー。竜巻を追ってオクラホマのデスロードを爆走する人間たちの狂気を語ります。
架空OL日記 / 夜明けのすべて / 最後まで行くの感想書き散らし
架空OL日記 www.youtube.com Netflixで配信になってランキング上位かつ職場舞台の30分ドラマということでThe Office好きとしては見ておかなければと思い、気づいたら再生ボタンを押していた。が、私はあんまりハマれなかった。短いからながら見であっという間に見てしまったけど…。(それってハマってるってことでは?)第1話のスヌーズが鳴るたびに10分前の自分が嫌いになる、というのは大共感。なぜどうせすぐ起きるとわかっているのに毎朝スヌーズのボタンを押してしまうんだろう…。劇中のように会社の人たちと毎晩ご飯に行ったりジムに行くほど仲良くなることなんてあるんだろうか、ちょっとした…
ライアン・レイノルズの出演作を一気見!(アマプラレンタル編) - その③
※2年越しに下書きに保存していたものを公開しました。 前回の記事で一度終わったかのように見えたライアン・レイノルズまとめだが、実はまだまだ観続けている。しかもアマゾンプライムで300~500円払って出演作をレンタルして鑑賞している。それも文字通り毎日なのでほぼ中毒の域と思う。ライアン・レイノルズにぞっこんということもあるが、軽めで観やすい作品が多く、平日の夜でも観やすいというのが理由だと思う。日本でDVD化されているものは全部鑑賞するつもりなので、誰か1人でも最後まで読んでくれると嬉しいな。 セルフレス/覚醒した記憶 白い沈黙 ウエイターはつらいよ デンジャラス・ラン チェンジ・アップ/オレは…
リコリス・ピザ / 君も僕を忘れないだろう?(*ネタバレなし感想)
ポール・トーマス・アンダーソン監督『リコリス・ピザ』をネタバレ無しでレビュー。アラナとゲイリーの揺れる関係、70年代の社会情勢、そして取るに足らない日常の輝きを丁寧に掘り下げます。
前回の続きです。一部修行の気持ちで一気に鑑賞したよー。愚痴に近い酷評感想もあるので注意。記事の最後に今回紹介した映画のおすすめランキング書いてます。 ペーパーマン ヒットマンズ・ボディーガード あなたは私の婿になる [リミット] ライフ ゴースト・エージェント/R.I.P.D. 6アンダーグラウンド 黄金のアデーレ 名画の帰還
Swallow/スワロウ / 私の身体は誰のもの?(*ネタバレあり感想)
異食症を通して描かれる、身体と心の所有をめぐる物語。映画『Swallow/スワロウ』をネタバレ有で考察。抑圧・出自・孤独と向き合い、自らの身体を取り戻す姿について綴っています。
ライアン・レイノルズの出演作を一気見!(サブスク限定) - その①(フリー・ガイ / アダム&アダム / レッド・ノーティス / デッドプール1&2 / ワイルド・ギャンブル / グリーン・ランタン)
ここ5~6年ほど、好きな海外俳優を聞かれたらアダム・ドライバーとロバート・パティンソンと答えるのが定番になっている。(女優に関しては多すぎて特別好きな人を挙げるのが難しい)この2人はアート系のインディペンデント作品からみんな知っている大バジェットものなど、幅広い作品に出演しており、彼らの作品だけ追っていれば最近の海外映画の流れを追える上、ハズレが無いので推している。 最近また1人好きな俳優が増えた。ライアン・レイノルズだ。もちろん以前から存在は知っていたが、Disney+で鑑賞した「フリーガイ」が大変大変素晴らしく、調べたところ、彼が脚本にも関わっているというではないか!もしや天才か?と思い、…
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