臨床経験を経て再生医療の研究開発に従事。「現場と研究」をつなぎ、医療職のキャリアや未来の医療を専門職目線で発信中。
治りにくい傷を“自分の力”で癒す──PRP療法×糖尿病性潰瘍の可能性
こんにちは、再生医療ナースです。 臨床の現場から研究開発へと軸足を移し、今は医療ベンチャーの一員として、再生医療や医薬品原料に関わる日々を送っています。 今日は、**「PRP療法(多血小板血漿療法)」が糖尿病性潰瘍にどう関わっているのか?**について、看護師の視点からやさしく解説したいと思います。 ◆ 「治りにくい傷」がなぜ問題なのか? 糖尿病性潰瘍。 それは、長年の高血糖状態によって末梢血流が悪化し、足などにできた小さな傷がなかなか治らず、やがて皮膚が壊死してしまう疾患です。 現場ではよく「壊疽(えそ)」という言葉で表現され、重症化すると切断を余儀なくされることも。 日々患
PRP療法って結局なに? ― 成長因子と自己再生をやさしく解説する看護師の視点
「PRPって最近よく聞くけど、結局なに?」「自己再生ってどういう仕組みなの?」「なんとなくすごそうだけど、実際どうなの?」 そんな疑問をもっている医療職の方、もしくは患者さんと接する中でPRPについて説明する機会のある看護職の方へ。 今回は、再生医療の入り口として注目されているPRP療法について、特に「成長因子」と「自己再生」の観点から、わかりやすく看護師目線で解説していきたいと思います。 ■ PRP療法とは? まずは基本をおさらい PRPとは「Platelet-Rich Plasma」の略で、日本語では多血小板血漿と呼ばれます。 私たちの血液の中には、赤血球・白血球・血小板・
肌に“自己治癒力”を注ぐという選択──PRP療法が変える皮膚科の新常識
「PRPって、美容の話でしょ?」 医療職の方と話すと、そんな反応が返ってくることが少なくありません。 確かに、PRP(多血小板血漿)療法は、皮膚科・美容皮膚科の領域で先行して導入され、注目を集めた治療法です。 でも、私は「美容だから軽い」「エビデンスが薄い」といった先入観こそ、再生医療の本質を見逃す落とし穴だと感じています。 今日は、PRP療法が皮膚科領域でなぜ注目されているのか、そして看護職や医療職としてどう向き合っていくべきかを、「再生医療×現場視点」で紐解いていきたいと思います。 PRP療法って、実際どういうもの? まずは基本をおさらいしましょう。 PRP(Plat
PRPって結局なに?看護師から見た“再生医療の入り口”としての可能性
「PRPって結局なに?」 こう聞かれて、すぐに説明できる医療者は、実はそう多くないかもしれません。 かくいう私も、数年前までは「なんか美容とか整形で使われてるやつだよね?」程度の認識でした。 でも、再生医療の現場に立つようになってから、その「なんとなく知ってる」レベルでは語れない奥深さとポテンシャルに気づかされました。 今日は、PRP(多血小板血漿)について、現場と研究の両方を知る立場として、「医療の未来」と「ケアの可能性」という観点から、丁寧に紐解いてみたいと思います。 PRPってそもそもなに? PRPとは、「Platelet-Rich Plasma」の略で、直訳すると「血
ラボにナースがいる意味──“患者視点”が研究現場にもたらす価値
「えっ、看護師さんがここにいるんですね」 研究所を訪れた他職種の方から、そんなふうに驚かれることがあります。たしかに、研究室という空間にナースがいる光景は、まだ珍しいかもしれません。 でも私は、ここに“いないといけない理由”があると思っています。 ◆技術と生活の“あいだ”をつなぐ存在 再生医療の研究開発では、細胞を扱ったり、製剤の安定性を評価したりと、専門性の高い作業が日々行われています。そこには医学、薬学、工学、バイオといった多くの専門家が関わります。 そんな中で、私が提供できる視点は、「この技術が患者さんの生活にどう影響するか?」という問いです。 たとえば投与経路。点滴
「再生医療は“ケア”の延長線上にある」──臨床ナースが見た、未来医療の可能性
「再生医療って、最先端の技術だよね。看護師として関わる意味ってあるの?」 臨床を離れて研究開発に足を踏み入れた私が、よく聞かれる質問です。 白衣を着て病棟を駆け回っていたあの頃。バイタルサインを確認し、点滴を調整し、患者さんの苦痛を少しでも和らげるために、目の前の“いま”に全力を注いでいました。 一方で、いま私がいるのは、細胞と試薬とサンプルに囲まれた、実験と解析の世界。培養フラスコを覗き込み、細胞の状態を観察し、数値と格闘しながら未来の治療法を模索する日々です。 ずいぶんと遠いところに来たようにも見えるけれど、実は私の中では、臨床も研究も“ひとつながり”の道なのです。 ◆「治
「ラボで“看護”が活きる瞬間──多職種連携の中で見つけた、自分の立ち位置」
「看護師なのに、なんで研究にいるの?」 そんな問いかけを受けることは、正直一度や二度ではありません。 私は今、医療ベンチャーで再生医療・医薬品原料の研究開発に携わっています。看護師としてのキャリアをスタートし、臨床現場で患者さんのケアをしていた私が、まさか白衣を着てクリーンルームで試薬と向き合う日々を送るとは、自分自身想像していなかった未来です。 けれど今、この“臨床”と“研究”のあいだで働く日々のなかで、はっきりと実感していることがあります。それは、「看護師としての経験は、研究の現場でこそ活きる」ということです。 ■ 研究開発現場における“多職種連携” 私の働く医療ベンチャ
「臨床と研究の“あいだ”で見えたもの──看護師だからこそ気づけた、たったひとつの視点」
「研究に行くって、看護師を辞めるってこと?」 ベッドサイドからラボにフィールドを移すことを決めたとき、真っ先に聞かれたのがこの質問でした。 確かに、私は患者さんのそばにはいません。点滴を取ることも、カルテを書くこともない。 でも、私は“看護をやめた”とは思っていません。 むしろ「今もずっと、看護している」と感じる瞬間が、たくさんあるのです。 ■臨床と研究の間に立つということ 看護師のキャリアにおいて、「研究職」という道はまだまだ“異端”に見えるかもしれません。 それでも私は、このポジションがとても大切だと思っています。 なぜなら、再生医療の現場には、患者さんと直接向き合
「“治す”から“再生する”へ──看護師が医療ベンチャーで働くという選択」
「ナースがベンチャーで何してるの?」 これは、私が今の職場に転職してから最も多く聞かれた言葉かもしれません。 こんにちは。再生医療ナース@医療ベンチャーです。 私は元々、大学病院の病棟で数年間、看護師として臨床に携わってきました。患者さんの「今この瞬間」を支える現場で、命の尊さと、医学の限界の両方を何度も目の当たりにしてきました。 そんな中で出会ったのが「再生医療」という未来志向の技術でした。 ■「治す」ではなく「再生する」医療との出会い ある日、学会発表で耳にした「軟骨の再生」「肝細胞の補充治療」「iPS細胞による再建医療」。 どれもまるでSFのように感じましたが、その技術
「臨床を飛び出したナースが、再生医療の研究開発に挑む理由」ー ケアとサイエンスの交差点で、私が見ている“未来” ー
看護師として、ずっと臨床の現場に立ってきた。 急性期病棟で、患者さんの命と向き合い、仲間とともに汗をかきながら働いた日々。 “現場”というのは、感情の嵐だ。喜びも悔しさも、思い通りにならない命も全部そこにあった。 でも、ある時から心のどこかに、拭えない「問い」が生まれた。 「この先にある医療を、私たちはちゃんとつくれているのか?」 ■“未来の医療”と“今の現場”のあいだにあるギャップ ある患者さんの看取りを経験したときのことだ。 若くして進行した難病に苦しむその方に、現代医療は「延命」しか提案できなかった。 根本的な治療法が、まだなかったのだ。 帰り道、夜空を見上げながら私は
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