初等整数論講義を連分数のところまで読み終えたところで、木田先生の連分数を読み始めた。第4章の 命題 4.7 の証明を少し簡略化したので記録する。(相加平均) \(\geq\) (相乗平均) を使えば、簡略化できるし、場合分けも避けられる。(...
地方国立大学教員として勤めていた時の教育、研究、教員生活の記録です。専門はニューラルネットワーク。リタイア後に趣味で勉強している数学についても書いています。
初等整数論講義を連分数のところまで読み終えたところで、木田先生の連分数を読み始めた。第4章の 命題 4.7 の証明を少し簡略化したので記録する。(相加平均) \(\geq\) (相乗平均) を使えば、簡略化できるし、場合分けも避けられる。(...
前回、修士論文の発表で散々批判された話を書いた。しかし、その少し前には遥かに酷い修士論文が許されていた。その頃は修士課程の入学に筆記試験がなく、指導教員が受け入れを認めれば合格となっていた。修士課程の定員を満たすことについて文科省の締め付け...
前回の続きで、OSの移植をしていた学生の修士論文はどうなったのかという話である。企業から外部資金を得ている場合、企業の要求に答えつつ如何に研究テーマに結び付けていくかは指導教員にとって悩ましい所である。移植は研究とは言えず、早く完了して何ら...
響研究室では組み込みプログラミングも扱うようになった。起業した会社でもNASを開発していたので、それと連動した形である。ある企業から共同研究を受託し、外部資金年間 50万円を獲得していた。依頼は ITRON仕様のフリーOSを移植することであ...
4変数の平方和発端は初等整数論講義に出てきた次の公式 (添え字は四元数の表現に合わせて修正)\( \begin{eqnarray} && \left( x_0^2+x_1^2+x_2^2+x_3^2 \right) \left( y_0^2...
上司の響教授は起業した。少し前に国立大学の教員が兼業できるように制度が改正されていた。響教授の旧友が上場会社を経営していて、子会社を経営してみないかと誘われた。学生をアルバイトとして雇うことにして会社での業務を経験させたいという考えで子会社...
数論入門(山本)に沿って記述。理解に手間取った部分を補足して記録。条件\(p\) : 素数\( f(X),g(X),h(X) \) : \(\mathbb{Z}\) 係数 monic 多項式\( f(X) \equiv g(X) h(X) ...
助教時代にオペレーティングシステム演習を担当していた。実際は、准教授が教材を作っていて、演習時のサポートをしていただけであった。今回は排他制御の課題でトラブルがあった話である。並行プログラミングで共有変数へのアクセスが課題であった。2つのス...
私の上司だった響教授はパチンコが大好きで、業務の合間を縫ってパチンコに行っていた。空き時間が細切れだから研究できないというのが理由である。いつも忙しいと言っているのに、パチンコに行く時間はなぜか取れる。だいたい会議開始まで2時間くらいの時間...
博士課程の短縮制度が出来た。1年でも業績4で修了できる。業績は国際会議でも良い。論文無しで本当に良いのかは甚だ疑問である。すでに業績が十分揃っている社会人を引き込む狙いである。制度的には修士からの進学者も対象であるが、3年で取得することも難...
前回、なぜ修士論文すらまともに書けなかった学生の博士課程への進学を許したのだろう。響教授の話では学位を取るつもりがあるとは思わなかったそうだ。彼は起業の勉強目的で博士課程に進学するという。博士を取るつもりがなくて博士課程に進学するなんてこと
私が助教として所属していた響研究室では博士課程の学生が6名在籍した。初めの2人は学位を取得できなかった。次の2名は民間企業の研究所に在籍する社会人であって、彼らは自分たちのテーマで取得した。最後の2名はアジアの発展途上国の教員で博士を取得す
研究室のホームページを立ち上げることになった。作成は個人事業主をしているOBに発注することになった。OB に研究室のホームページなら響教授の業績を公開すべきではないかと提案したら、響教授に提案してくれて同意を得た。これで謎に包まれていた響教
30年ほどの教員生活で4回の改組を経験している。10年弱に1回くらいだろうか。大規模な変更を積極的に行いたい時もあれば、単に文科省に改革をアピールするだけの改組もある。改組をするときは文科省の設置審にかける必要があり、この時は教員の審査も伴
四元数群の一般化である一般四元数群というものを群論序説(星明考 著)で見かけたので、自分が分かるように記録しておく。四元数群 \(Q_8\) は四元数体の乗法群 \( \mathbb{H}^{\times} \) の有限部分群 \( \{
群論序説(星明考 著) を読んでいて準二面体群が現れた。二面体群のような幾何学的な表現が無いか調べてみたが日本語での解説が見つからず、英語で解説を探したので記録しておく。英語では quasidihedral group または semi-d
前回の続きで、業績を理由に学科を追放される話である。改組により学科の教員の 2,3割が新設するロボット系の学科に配属になる。ハードウェア担当の教員が主に配属になると予想されたが、人数が足りなさそうだ。OSの講義担当者であることを理由に組み込
今回は他の教員からの研究批判について語る。批判は基本「ニューロだから」という偏見である。なぜなら、私の研究は同僚の楠先生の研究をまねたもので、研究テーマとしては楠先生も同じ批判を受けなければおかしい。論文掲載誌を見ればレベルも楠先生と比べて
初論文掲載後もニューラルネットワークの研究を続けていた。一方で、着任時は響教授も「やわらかい情報処理」と称して主要な研究テーマにしていたが、研究対象から外しつつあった。学生からも「ニューロは将来が無いからやめる」と響教授が言っていたと聞いた
響教授から研究テーマを却下されたのは私だけではなく、学生も却下されることはあった。悪質だった2件を取り上げよう。1つ目は自然言語処理を研究した修士の学生である。音声入力を文書化する研究であった。音声入力ソフトの結果に、Web検索を利用して前
情処に投稿して1年が経過し、ようやく査読結果が届いた。当時としても、これは異例な長さだろう。通常は2人が査読するが、なぜか査読報告は1つだった。「この問題を解決するには提案方法しか考えられない。誰でも思いつく方法でありオリジナリティが感じら
論文には楠先生にも連名になってもらうつもりだ。響教授から、楠先生の上司 I 教授も連名にしろと命令された。研究に何も寄与していないのに連名にしなければならないのか。「楠先生が責められたらかわいそうじゃないか。」と響教授は言う。それでは、私が
着任してから全く論文が出ないまま 5年以上経過した。いずれも不採録であったが、2編の論文を投稿した。上司の響教授も連名なので、プロフィールを記載するため過去の論文を頂いた。ニューラルネットワークの論文だったが、オリジナリティがあるとは感じら
初めての研究論文とはIT系での論文のことである。数学で博士号を取得するまでに、数学では最低限の論文を書いていた。博士号を取得したらIT系の研究者に転向するという約束で採用されている。今後はIT系で論文を書かなければならない。ITに関しては全
一意分解でない整域の例としては \( \mathbb{Z} \) がよく取り上げられるが、これは \( \mathbb{Q} (\sqrt{-5} ) \) が類数1でないことから得られる。よりシンプルな例として \( \mathbb{Z}
私は数学科出身だが、工学部のIT系に採用された。そして、研究分野もIT系に転向することも求められた。受け入れ先の教授が母校の教授に求人して、私が紹介された。選ばれた理由は、自覚はないが下の者をよく面倒見ているということだった。数学では業績を
最近では監視が厳しくなってあまり見られなくなったようだが、着任した頃には大学教員のカラ出張が容易だった。独法化以降に激減した気がする。カラ出張の最大の要因は予算に融通が利かなかったことだ。予算の費目が物品費、旅費などに分けられ、出張費が余っ
「手を動かしてまなぶ 曲線と曲面 (藤岡 敦) §18 ガウスーワインガルデンの公式」の学習記録。 ガウスの公式 ガウスの公式とは言うものの中身はなくて、ほとんど定義に近い印象。まずは記号を確認。 \( p: D\rightarrow {\
「手を動かしてまなぶ 曲線と曲面 (藤岡 敦) §17 正規直交標構による方法」の学習記録。 正規直交標構 パラメータ \( u,v \) で表された曲面 \( p(u,v) \) を考える。パラメータ \( u, v \) はしばしば省略
「手を動かしてまなぶ 曲線と曲面 (藤岡 敦) §16 主曲率とガウス曲率および平均曲率」の学習記録。 主曲率 10.1 で記録しておきたいことは \( EG-F^2 > 0 \) が成り立つことである。テキストは線形代数の知識をあま
母国語と言っても日本語とか英語とかの話ではなく、初めにどの言語でプログラミングを学ぶかということである。上司の響教授曰く、「初めに学んだプログラミング言語がマザーランゲージとなる。プログラミングの発想を決めるマザーランゲージは変えることはで
すでに教員を辞めているが、教え子達と年1,2回程度飲み会をしている。ほとんどは私の研究室出身ではなく、学生の時からIT技術に関しては私より遥かにレベルが高かった。彼らの年齢は40前後であるが、いまだに付き合いがあるという奇妙な関係である。そ
数論で Minkowski の定理を調べていた時、予備知識として Dirichlet 積分が必要になった。微積分の教科書を探しても2変数までしか扱っていないことが多くて、意外と見つけられなかったので書き留めておく。 ベータ関数とガンマ関数
局所化の定義は零因子を意識しているとしか思えないが、私が読むレベルのテキストではその辺りは触れていない。少し検討したことを記録しておく。 局所化の定義 可換環 \(A\) とその積閉集合 \(S\) に対して、局所化 \(S^{-1}A\)
1990年代前半に、大学を中退して助教として響教授に採用していただいた。この時点で、社会人としての常識は乏しいものと当然考えられ、これから身に着けていかなければならない。響教授は大手企業の研究所出身である。民間の出身として本人が言うには、多
複素平面上の円および直線の方程式についてまとめた。主に 複素関数論講義(野村) 1.4章を参考にした。 直線の方程式 2つの複素数 \(u,v\) を2次元ベクトルと見た時の内積は \( \mathrm{Re}\left( \overlin
私は響教授に採用していただいて地方国立大学IT系の助教となった。響教授は私を連れて母校に私を紹介してくれた教授に挨拶に行った。響教授は学部だけは私と同じ数学科の出身で面識はなかったものの先輩にあたる。挨拶先の研究室には数学を専攻する学生が出
1990年代後半になると、学位無しでは職に就けない時代に移行し、採用される助教は当たり前のように学位をもっていた。前半なら採用されて間もなく昇進できただろう。情報系での助教は3名、いずれも学位を持っていなかった。電気系でも同様だった。このよ
私が就職した頃の話。1990年代前半に私は数学科の博士課程をD2で中退してある地方国立大に助教(当時は助手と呼んでいた)として採用された。学位(博士号)は当然ない。これは旧帝大級に限ったことかもしれないが、当時の数学の世界では、課程博士が取
前回は学内のイベントで医学部の脳外科医と接する機会(医学部の脳外科医)があったことを書いた。今回は私が医学部の教員に診察を受けた話である。 一過性黒内障という視野の半分が突然欠損するという病気に悩まされていた。当然ながら初めて症状がでたとき
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初等整数論講義を連分数のところまで読み終えたところで、木田先生の連分数を読み始めた。第4章の 命題 4.7 の証明を少し簡略化したので記録する。(相加平均) \(\geq\) (相乗平均) を使えば、簡略化できるし、場合分けも避けられる。(...
前回、修士論文の発表で散々批判された話を書いた。しかし、その少し前には遥かに酷い修士論文が許されていた。その頃は修士課程の入学に筆記試験がなく、指導教員が受け入れを認めれば合格となっていた。修士課程の定員を満たすことについて文科省の締め付け...
前回の続きで、OSの移植をしていた学生の修士論文はどうなったのかという話である。企業から外部資金を得ている場合、企業の要求に答えつつ如何に研究テーマに結び付けていくかは指導教員にとって悩ましい所である。移植は研究とは言えず、早く完了して何ら...
響研究室では組み込みプログラミングも扱うようになった。起業した会社でもNASを開発していたので、それと連動した形である。ある企業から共同研究を受託し、外部資金年間 50万円を獲得していた。依頼は ITRON仕様のフリーOSを移植することであ...
4変数の平方和発端は初等整数論講義に出てきた次の公式 (添え字は四元数の表現に合わせて修正)\( \begin{eqnarray} && \left( x_0^2+x_1^2+x_2^2+x_3^2 \right) \left( y_0^2...
上司の響教授は起業した。少し前に国立大学の教員が兼業できるように制度が改正されていた。響教授の旧友が上場会社を経営していて、子会社を経営してみないかと誘われた。学生をアルバイトとして雇うことにして会社での業務を経験させたいという考えで子会社...
数論入門(山本)に沿って記述。理解に手間取った部分を補足して記録。条件\(p\) : 素数\( f(X),g(X),h(X) \) : \(\mathbb{Z}\) 係数 monic 多項式\( f(X) \equiv g(X) h(X) ...
助教時代にオペレーティングシステム演習を担当していた。実際は、准教授が教材を作っていて、演習時のサポートをしていただけであった。今回は排他制御の課題でトラブルがあった話である。並行プログラミングで共有変数へのアクセスが課題であった。2つのス...
私の上司だった響教授はパチンコが大好きで、業務の合間を縫ってパチンコに行っていた。空き時間が細切れだから研究できないというのが理由である。いつも忙しいと言っているのに、パチンコに行く時間はなぜか取れる。だいたい会議開始まで2時間くらいの時間...
博士課程の短縮制度が出来た。1年でも業績4で修了できる。業績は国際会議でも良い。論文無しで本当に良いのかは甚だ疑問である。すでに業績が十分揃っている社会人を引き込む狙いである。制度的には修士からの進学者も対象であるが、3年で取得することも難...
前回、なぜ修士論文すらまともに書けなかった学生の博士課程への進学を許したのだろう。響教授の話では学位を取るつもりがあるとは思わなかったそうだ。彼は起業の勉強目的で博士課程に進学するという。博士を取るつもりがなくて博士課程に進学するなんてこと
私が助教として所属していた響研究室では博士課程の学生が6名在籍した。初めの2人は学位を取得できなかった。次の2名は民間企業の研究所に在籍する社会人であって、彼らは自分たちのテーマで取得した。最後の2名はアジアの発展途上国の教員で博士を取得す
研究室のホームページを立ち上げることになった。作成は個人事業主をしているOBに発注することになった。OB に研究室のホームページなら響教授の業績を公開すべきではないかと提案したら、響教授に提案してくれて同意を得た。これで謎に包まれていた響教
30年ほどの教員生活で4回の改組を経験している。10年弱に1回くらいだろうか。大規模な変更を積極的に行いたい時もあれば、単に文科省に改革をアピールするだけの改組もある。改組をするときは文科省の設置審にかける必要があり、この時は教員の審査も伴
四元数群の一般化である一般四元数群というものを群論序説(星明考 著)で見かけたので、自分が分かるように記録しておく。四元数群 \(Q_8\) は四元数体の乗法群 \( \mathbb{H}^{\times} \) の有限部分群 \( \{
群論序説(星明考 著) を読んでいて準二面体群が現れた。二面体群のような幾何学的な表現が無いか調べてみたが日本語での解説が見つからず、英語で解説を探したので記録しておく。英語では quasidihedral group または semi-d
前回の続きで、業績を理由に学科を追放される話である。改組により学科の教員の 2,3割が新設するロボット系の学科に配属になる。ハードウェア担当の教員が主に配属になると予想されたが、人数が足りなさそうだ。OSの講義担当者であることを理由に組み込
今回は他の教員からの研究批判について語る。批判は基本「ニューロだから」という偏見である。なぜなら、私の研究は同僚の楠先生の研究をまねたもので、研究テーマとしては楠先生も同じ批判を受けなければおかしい。論文掲載誌を見ればレベルも楠先生と比べて
初論文掲載後もニューラルネットワークの研究を続けていた。一方で、着任時は響教授も「やわらかい情報処理」と称して主要な研究テーマにしていたが、研究対象から外しつつあった。学生からも「ニューロは将来が無いからやめる」と響教授が言っていたと聞いた
響教授から研究テーマを却下されたのは私だけではなく、学生も却下されることはあった。悪質だった2件を取り上げよう。1つ目は自然言語処理を研究した修士の学生である。音声入力を文書化する研究であった。音声入力ソフトの結果に、Web検索を利用して前
一意分解でない整域の例としては \( \mathbb{Z} \) がよく取り上げられるが、これは \( \mathbb{Q} (\sqrt{-5} ) \) が類数1でないことから得られる。よりシンプルな例として \( \mathbb{Z}
私は数学科出身だが、工学部のIT系に採用された。そして、研究分野もIT系に転向することも求められた。受け入れ先の教授が母校の教授に求人して、私が紹介された。選ばれた理由は、自覚はないが下の者をよく面倒見ているということだった。数学では業績を
最近では監視が厳しくなってあまり見られなくなったようだが、着任した頃には大学教員のカラ出張が容易だった。独法化以降に激減した気がする。カラ出張の最大の要因は予算に融通が利かなかったことだ。予算の費目が物品費、旅費などに分けられ、出張費が余っ
「手を動かしてまなぶ 曲線と曲面 (藤岡 敦) §18 ガウスーワインガルデンの公式」の学習記録。 ガウスの公式 ガウスの公式とは言うものの中身はなくて、ほとんど定義に近い印象。まずは記号を確認。 \( p: D\rightarrow {\
「手を動かしてまなぶ 曲線と曲面 (藤岡 敦) §17 正規直交標構による方法」の学習記録。 正規直交標構 パラメータ \( u,v \) で表された曲面 \( p(u,v) \) を考える。パラメータ \( u, v \) はしばしば省略
「手を動かしてまなぶ 曲線と曲面 (藤岡 敦) §16 主曲率とガウス曲率および平均曲率」の学習記録。 主曲率 10.1 で記録しておきたいことは \( EG-F^2 > 0 \) が成り立つことである。テキストは線形代数の知識をあま