1週間ほど前になるか、青葉の森を歩いた時、あのオスの美しいオレンジ色の姿をちらりと目にし、夏鳥のキビタキがすでにやって来ていることに気づいた。4月終わりの日、青葉の森に入ると、そのキビタキ君のさえずりをあちことで耳にした。何度も立ち止まってはその姿をとらえようと試みたがかなわなかった。オオルリくんやサンコウチョウくんたちもまもなくやってくるだろう。青葉の森は、もう初夏の季節といっていい。低木といい、中高木といい、あらゆる広葉樹がうつくしい若葉を展開し、その多くが白い花を咲かせている。ツツジやヤマブキといった低木の仲間は朱や黄といった鮮やかな色彩をみせているのだが、今の季節、ウワズミザクラ、ガマズミ、アオダモ、オトコヨウゾメなど樹々の白い花々が目立つ。「白」は単調なようで、よく目を凝らすと花の形といい色合い...初夏の森にあの声が響く