【某賞最終選考ノミネート作品を改題】 いつか失われる記憶の中で愛し合い、求め合い、精一杯生きる人たちの物語
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******************************************************************** *あらすじ* 生死を彷徨う者が迷い込むという 石を集めると生還する不思議な森―― 独自の秩序を保ちながら果てしなく続く森の中で 石を巡って傷つけ合い、騙し合い、支え合う者たち 超然たる森に、そして石に、人は何を思い、何を託すのか パラレルワールドを舞台に繰り広げられるローファンタジードラマ ******************************************************************* * 2014年 某賞最終選考ノミネ…
「波多野涼。波が多い野原に、涼しいの涼」 「波多野……涼さん」 涼、と口にした刹那、息が止まった。心臓がどくんどくんと何度も大きく跳ねる。 椎奈の声に、波多野も眉間に皺を寄せた。記憶をたぐりよせるように椎奈を見る。 「お前の名前は」 思わずムッとした。椎奈は男にお前と呼ばれることが好きではない。相手が波多野でなかったら、この場を去ってしまったかもしれない。 「大野椎奈です」 少し投げやりに答えた。敬語で返す自分がバカらしくなってくる。 「大野椎奈」 波多野はそんな椎奈の様子に気づかないまま、何度も「おおのしいな」と小さな声で繰り返していた。 「もしかしてどっかで会ったことあるか」 「ない! な…
その日は病院の検査のために、有給を取っていた。 思いのほか早く終わったため、乗り換えのターミナル駅で降り、隣接するデパートで誕生日が近い同僚のためにフレグランスを買った。ボディクリームがもうすぐ無くなることを思い出して、口コミサイトで話題になっていた物を買ってみた。 最近またスキンケアが楽しい。ついでに新色のルージュを一本衝動買いした後、カフェにでも行こうと繁華街に出ると、あるポスターが目に留まった。映画館の入り口に並ぶポスターの一番左端。上には「本日最終日」と書かれた紙が貼られている。 椎奈がトラックに轢かれる直前に気を取られたビラの映画のポスターだ。七人の侍が主人公の、お世辞にも深い感銘は…
* * * ――最悪だ…… 椎奈は激しく後悔していた。 薄暗い中、手で顔を覆い、泣きたくなる気持ちを吐き出すようにため息をついた。こんなことになるなんて。運命なんて簡単に信じた自分を呪いたくなる。本当にバカだった。 ――千八百円も無駄にしてしまった…… トラックに撥ねられて意識不明となった椎奈は、その年の初雪が降ったクリスマスの日に意識を取り戻した。丸二十日間、意識を失っていたことになる。 目を覚ますと、疲れ切った顔をした両親が椎奈を見下ろしていた。 「お父さん……お母さん……」 かすれた声で呼びかけると、母親はその場に泣き崩れた。椎奈の顔を何度も撫でて、病院に駆けつけた時には生きた心地がしな…
身を乗り出して思い切り抱きしめた。背中に手が回されて、きつく抱き返される。 もう体は、すっかり涼の感触を覚えていた。 涼の胸に、腕に、抱きしめてくれる力強さに、その温度に、匂いに、すっかりなじんでいた。それなのに忘れてしまうなんて。 涼が椎奈の背中と頭を優しく抱え、耳元に鼻先をすりつける。その吐く息すらもったいなくて、夢中で唇を奪った。 「何も考えられなくして。怖いとか寂しいとか全部、考えられなくして」 「お前それ……すげえ殺し文句だぞ」 体重をかけられ、地面に押し倒された。思わず目を閉じると、涙が頬に押し出された。 「一回しかできねえからな。やりてえことは全部やる。昨日までみたいに遠慮はしね…
ミドリと加山が生還した場所に、涼と椎奈はいた。椎奈の希望で、最後の場所はここを選んだ。ミドリの鉢巻が結ばれた木に背を預け、二人で並んで腰を下ろす。耳が痛いほど静かで、自分の鼓動と触れたところから伝わる涼の鼓動だけが、時が止まっているわけではないことを椎奈に伝えていた。 いっそ時が止まってしまえばいいのに。そうすれば、ずっと一緒にいられるのに。 指を絡ませるようにつないだ手は、涼の足の上に置かれていた。時折思い出したように涼の親指が椎奈の肌をなぞる。椎奈は涼の肩に頭を乗せた。まるでデートの帰りにまだ離れたくなくて、駅のホームで何本も電車を見送るカップルみたいだ。帰りたくない。でも帰らなくてはいけ…
涼と椎奈にとっての最後の朝会が始まった。この日は十九歳以上の配給もあったため、生還者が続出した。椎奈や涼のように、生還に必要な石の数を知った人が余分な石を共有財産に提供することが多く、配給が不足なく行き渡ったことも一因だったかもしれない。村は心なしか、人口が減りつつあった。 朝会の最後に大河からモニュメントが始動することが告げられた。 みんなで大河がモニュメントとして選んだ木のまわりに集合した。大河から細い紐のついた葉が配られた。この紐は、椎奈が衣類から取るやり方を教えたものだ。簡単に取ることができるので、これから先も様々な人にこの仕事をしてもらえるだろう。大河はこのモニュメントの管理にあたっ…
その足で、大河の元に向かった。 実は受注していた鉢巻の受け渡しで、思わぬ誤算があったのだ。二人のうち一人が、朱雀だった。当然赤い石では払ってもらえない。白い石で受け取っていたので、大河の持っている赤い石と交換してもらおうと考えていた。朝会で共有財産と交換してもよかったけれど、大河とも話がしたかった。 大河はモニュメントとなる木をようやく決めたようだった。ちょうど村の中心に立つ木で、枝ぶりもよく、貫禄のある木だ。 「大河くん」 声をかけると、大河は作業を止めて顔を向けた。その手には数種類の葉とボールペンが握られている。モニュメントとなる木の枝には小さな葉がぽつぽつ茂っていて、その枝に他から取って…
逢瀬を重ねる以外に、残りの三日間でやるべきことは意外にもたくさんあった。 時間を見つけては世話になった人と話をした。陣さん、甘利さん、雪乃さん、文ちゃん、椎奈が通りかかると必ず声をかけてくれた人たち。みんなと思い出を語り合い、礼を言って別れを惜しんだ。 それから既に受注していた二本の鉢巻を完成させた。椎奈は生還を決めた日の翌日の朝会で、二十五日に生還するため今後の鉢巻の受注を打ち切る旨を発表した。残念がってもらえたことはとても嬉しかった。椎奈が村で製作した鉢巻は、実に三十本を越えていた。さらにそれらの鉢巻は必ず遺留品として残ることがわかっており、持ち主がいなくなった後も石を介してやり取りされて…
結局涼と椎奈は、涼の体に二百九十九個の青い石と十四個の赤い石、椎奈の体に二十六個の赤い石と十二個の青い石を残して、その他の石を全て甘利さんに渡した。 二人で生還の日を、三日後のクリスマスの日に決めた。それまでに涼は給料と配給合わせて四個の青い石、椎奈は受注している鉢巻二本分と配給合わせて三個の赤い石を手に入れる予定だ。それを踏まえて、体の石の数を調整したのだ。 村の中の石の動きは、信じられないほど活発化していた。そこらじゅうで交換がなされ、生還に必要のない石は、誰かにあげる人もいれば、共有財産に提供する人もいた。 意外だったのが、朝会以外の場で生還する人が少なかったことだ。必要な石が揃えば、日…
突然涼がとてつもなく強い力で椎奈を引き寄せ、きつく胸に抱いたかと思うと、驚いて少し開いてしまった唇に獣みたいに噛みついてきた。 キスをされているのだと気づいた時には、すでに舌の侵入を許していた。 「えっ、ちょっ、待っ……」 何の心の準備もできてなくて慌てて体を押し返すと、離れた舌の間に糸が引いた。顔が一瞬で発火したみたいに真っ赤になる。隠そうとうつむいたのも束の間、たやすく顎を持ち上げられ、再び噛みつかれた。 キスってこんなに色気のないものだったっけ、と戸惑ってしまうような、乱暴で、えぐるみたいで、獰猛なキスだった。ものすごい力で抱きしめられ、大きな手で頭をつかまれて、舌で口の中を蹂躙される。…
二人で甘利さんに石を払った後、涼は「ちょっとついて来い」と言って文ちゃんの元へ行き、ボールペンを借りると椎奈を森へ連れ出した。 「『岩』を少し貸してくれ」 と言っていたので、行先はあそこだろう。椎奈が森へ来た日に、文ちゃんから森や石の説明を受けたあの岩のところだ。 懐かしいその場所に着くと、涼は岩の傍らにどかっとあぐらをかいた。そして椎奈を見ると、自分の前に座るよう顎で示した。草を踏みしめて近づく。 涼は着物の衿に手をかけると袖を抜き、上半身をさらした。続いて腕のさらしをほどき始める。 鍛え抜かれた体を目の当たりにして赤面した。けれどすぐに、そのあまりにも現実離れした光景に目を奪われた。涼の体…
すぐに紫音が涼に謝りに来たのだとわかった。朝会でみんなの前で謝罪はしたものの、椎奈は紫音に、同意なく石の数を教えてしまった人、そしてひどいことを言った人に対して直接謝るよう話していた。 自分がいては謝りにくいだろうと、立ち上がってその場を去ろうとする椎奈を、涼が腕をつかんで引き留めた。 「ちょうどよかった」 「その……」 二人の男の声が重なる。 「俺の石の数、教えろ」 「わ……悪かったよ!」 二人は同時に言いたいことを言って、そしてまた同時に「は?」と聞き返した。 「なんだって?」 「なんだってじゃないよ! 僕はちゃんと謝ったからな! 二度も同じこと言わないからな!」 紫音が顔を真っ赤にして怒…
「私……石を払った方がいいかな」 涼と椎奈はいつもの傾斜に並んで腰を下ろし、まるで芸能人を囲む野次馬のように紫音に群がる人々を遠くから眺めていた。 「なんのことだ?」 「ほら私、紫音から必要な石の数聞いたからさ。石、払った方がいいかなと思って」 「あれは勝手に言われたんだろ。でもまあ、払いたきゃ払えばいいんじゃねえか」 他の人が対価を払って石の数を聞いているのに、勝手に宣告されたとはいえ自分だけただで聞いてしまったことが、少しばかり心苦しかった。悩むくらいなら払ってしまおうと、後から甘利さんの元へ行こうと決める。そして傍らに寝そべる男に視線を向けた。 「涼は教えてもらわなくていいの?」 「あん…
* * * 雄一郎が亡くなってから四日が過ぎた。元の世界ではもうすぐ年が明けようとしている。 この四日の間に、村には大きな変化があった。 まず大河が朝会でモニュメント作りを提案した。木に名前を刻んで、自分たちがここにいたことを残したいと訴えていた。その真剣な様子は、とても頼もしかった。 まだモニュメントはできていないが、責任者になった大河は村を歩き回って、この村の象徴となるにふさわしい木を吟味している。名前を刻む葉を集める作業などを村の仕事の一つとすることも朝会で承認された。大河がまた一つこの村に石を回すシステムを作り上げたのだ。涼は表立って手を貸すことはなかったが、いつもそんな大河のことを気…
雄一郎さんが力を持っていたという事実も、椎奈さんを想っていた気持ちも、俺だけが知っているものになった。俺が森からいなくなってしまえば、それはもう誰も知らないものになる。まるで最初から何もなかったみたいに。 けれどよく考えたら、世の中というのはそういうものなんじゃないだろうか。どんなに素敵な歌を作っても誰にも聞いてもらえなければなかったのと一緒。どんなにおいしい料理を作っても、全部自分で食べてしまったら他人にとってはなかったのと一緒。物事は、他人から認識されて初めてそこに存在したことになると言っても過言ではない。 人間もそうだ。人間は生まれて、生きて、いつか死ぬ。自分が死んでしまった後、自分のこ…
なんと声をかけていいかわからず、一定の距離を置いてついて行った。しばらくすると、椎奈さんが立ち止った。椎奈さんの前にはパーカーの男。意味がわからなかった。椎奈さんはどうしてあの男のところにやって来たのだろう。俺は咄嗟にその場の草陰に身を隠した。椎奈さんは男の背後に回って、うつむいて何かをしていた。時折会話を交わしているようだったけれど、よく聞こえない。見つからないように身を低くして、少しずつ二人に近づいた。 これ以上近づいたら見つかるかなと思った時、男が何かを叫んで椎奈さんの手を振り払った。 「梟で何かあったの?」 椎奈さんが男に尋ねる。 「僕は……ヤギなんだ」 男の言葉に、耳を疑った。 男は…
「雄一郎!」 その時、大泉さんが声をかけてきた。隣には見かけない黄色のパーカーを着た男を連れている。文ちゃんが呼んでいると聞き、雄一郎さんは立ち上がった。そして俺を見るといつもの笑顔で「大河も一緒に来い」と呼んでくれた。 俺は喜びを隠しきれないまま、後を追った。 それなのに。 こんなことってあるだろうかと思うほどの間の悪さだった。 文ちゃんは、雄一郎さんと同じ力を持っている人がいると言った。そしてその力によって村に危険が及ぶと言ったのだ。 俺は目の前が真っ暗になった。雄一郎さんが文ちゃんに力のことを打ち明けようと決意した矢先だ。それなのに、まだ打ち明けてもいないのに否定された。 さらに悪いこと…
俺の苛立ちは日々募る一方だった。雄一郎さんの態度は頑なだし、わー君はなかなか生還しない。そして雄一郎さんが毎日見つめる椎奈さんの隣には、いつも侍の姿がある。そのどれもが俺の心をねじるみたいに不快にした。 そんなふうに俺が雄一郎さんの力を知ってから一週間ほどが過ぎた。 そして、俺にとって忘れられない、あの日がやってきたのだ。 その日は、侍と雄一郎さんが村の警備を担当していた。雄一郎さんはいつも通り空手の指導をし、侍は村の外れの傾斜で椎奈さんのそばに寝そべって、どう見ても仕事をさぼっていた。二人は最近本当に仲がいい。暇さえあれば一緒にいる。組手の練習をしながらも、俺はちらちら視界に入るそれが気にな…
「アキラが亡くなった時の涼の落ち込みようって言ったらなかった」 雄一郎さんは言葉を続けた。 「大事に思っていた子を失って、もしかしたらこのまま石を集める気力を失って死んでしまうんじゃないかって心配した。でもちょうど椎奈ちゃんがやって来て、涼のやつ最近またよく笑うようになっただろ。俺、すごくほっとしてるんだ」 珍しく早口で饒舌に語っていた。きっと、さっき見た光景を頭から振り払おうと必死だったんだろう。 だからきっと、口を滑らせたのだ。 「でも、もし椎奈ちゃんが先に生還してしまったらって考えると怖いけどな。椎奈ちゃんは四十三個で、涼が――個だろ。だから涼の手持ちの数次第では……」 でも俺は、すぐに…
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