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  • もう一度、あの場所で『八月の御所グラウンド』(万城目 学)

    3ヶ月早く出ていれば2024年入試で 台風の目になっていたかもしれない作品。 入試ではあまり見ない著者の新作だけど 書店で目立ってたし出題者も多分気づく。 駅伝の話と草野球の話の二編が入ってる。 青春+駅伝=出題の公式に当てはまるし、 『十二月の都大路上下ル』に注目したい。 駅伝小説が頻出なのは言うまでもないな。 ちょっと思いつくだけでこんだけあるし。 『あと少し、もう少し』(瀬尾 まいこ) 『風が強く吹いている』(三浦 しをん) 『駅伝ランナー』(佐藤 いつ子) 『白をつなぐ』(まはら 三桃) 『襷を、君に。』(蓮見 恭子) 今作ではいきなりの抜擢にパニクる子が 試合後になって色いろ見えてく…

  • 強烈にメッセージが響く『溺れながら、蹴りつけろ』(水瀬 さら)

    あたしたちにとっては学校は世界のすべて。だからこの場所で生きづらくなったら、もうおしまいだ。(本文より) ラノベ寄りの作風だった著者の新作だわ。 中受界隈ではノーマークなんだろうけど この作品の訴求力は期待値を越えてたわ。 ただ、中盤までは結構ストレスがたまる。 主人公の自分がない生き様が情けなくて。 それが終盤の爽快さで吹っ飛ぶ感じだよ。 素材文として選ばれるかは微妙なんだが、 俺は面白い作品が出てきたなと感じたよ。 このレーベルでは櫻いいよ、眞島めいり などが中学入試への出題実績がある模様。 文章は平易だから小5でも読めるだろう。 俺のレビューの前半部分はこんなですわ。 閉塞感を抱える人に…

  • ヨソ者少女の真意『ぼんぼん彩句』(宮部 みゆき)

    売れてる短編集等で主人公が子供の話は 大人向けの本でも入試でよく選ばれるよ。 ただ『ぼんぼん彩句』はベストセラーで 子供視点の短編も多いんで注目してたが あんまし素材の使い勝手は良くなさそう。 すごく惹かれるし面白くもあるんだけど、 サスペンス要素が多めなのがネックだわ。 全く素材文に使えないわけじゃないから どっかで出る可能性は否定しないけどな。 12編の中で割と素材文適性の高いのは 大人の女性視点の話に重要キャラとして 名門中学の少女が出てくる話になるかな。 その11番目の短編とはこんな話ですわ。 主人公は兄を亡くしたばかりの23歳女性。当地の風習による徒歩の葬列に見慣れぬ少女がついてきた…

  • 大輪の華『夜空にひらく』(いとう みく)

    この界隈ではシリアスみくは注目度大と 断っておいたがさらに上をいかれたわ~。 純粋に物語として面白く得るものが多い。 かつ伝統文化の継承にも貢献しうる内容。 しかも花火にまつわる知識が増えるから 花火鑑賞をいっそう楽しめるようになる。 何かの賞をとるべき作品だと俺は思うね。 賞をとってもっと注目を集めて欲しいよ。 入試基準では文章の難易度はやや難だが どの学校で出されてもおかしくなさそう。 俺のレビューの真ん中あたりはこんなだ。 主人公は愛を知らずに育った17歳の少年。謀られ罪を犯したことで心根まで乾ききっていた彼が、この上なくあたたかい場所で人の優しさに触れて、潤いを取り戻していきます。散り…

  • これもイイネ『ひとっこひとり』(東 直子)

    人は裏切るが、自分で身につけたものは自分を裏切ったりしない。(短編『覚えてる?』本文より) たまに入試に出る著者の7月の新作だわ。 歌人だけあって言葉選びがすごいっすね。 大人向けの作品だと思うが読みやすいよ。 品揃え豊富な12編が詰まった短編集で、 高校生を描く『もういいよ』は特にいい。 素材文適性も二重丸といっていいだろう。 普通を志向しすぎる少女が普通じゃない 感情のあらわし方をする場面に注目だよ。 中学生が主役の『覚えてる?』も丸印か。 祖父の教えに縛られる少年の変化がいい。 不倫や犯罪が描かれてる短編もあるけど まぁ、ギリギリ小学生にもセーフかなと。 文章難度は入試レベルではやや難に…

  • ただでは終わらせない流儀『それは誠』(乗代 雄介)

    こんなことして先生たちだましてんの、うちの班だけでしょ、絶対。(本文より) まれに出題される作家の新作なんだけど 芥川賞候補作なので注目度は高めだろう。 主人公が高校生って点も気になるところ。 大人向けの小説でも、学生視点の作品は 作問者に選ばれやすい傾向があるからよ。 個性が見事にバラバラな修学旅行の班が 思わぬなりゆきでまとまっていく物語だ。 終盤の盛り上がりがなかなか熱いっすよ。 難易度は高めなので小5にはキツそうだ。 前にこの人の作品を出したのは早実だし 難関校を受ける子なんかにいいかもな? 俺のレビューの後半部分はこんな感じよ。 メンバーたちの意外な行動の理由が後になってわかる仕掛け…

  • 出題されるかもしれない新刊本(2023年9月前後)

    9月以降に出る作品はその年度の入試で 国語素材に選ばれることがほとんどない。 桜蔭中のようなごく一部の例外はあるが、 多くの先生方はもう作問に着手している。 そういう際どい時期の新刊本紹介ですわ。 なお、公立高校の入試問題では10月や 11月の作品も出ているのは断っとくよ。 8/30発売 『最高のともだち』(草野 たき) 学校とは別の顔、3人の秘密の友達関係。 8/31発売 講談社児童文学新人賞佳作 『波あとが白く輝いている』(蒼沼 洋人) 小6生が震災後初の学校祭開催を目指す。 9/13発売 『アンドロメダの涙 久閑野高校天文部の、秋と冬』(天川 栄人) 好評の春夏編に続く話のメインは文化祭…

  • 知らない世界を感じさせてくれる『リスペクトR・E・S・P・E・C・T』(ブレイディ みかこ)

    あたしたちは、弱いものを守らなきゃいけないときに初めて強くなれる。(本文より) 2023年入試向けの出典予想で6位の 『ぼくイエ2』は出題が確認できないが 1の方は今年も出てたし引続き要注目か。 さて、今回紹介するのは今週発売の新作。 女子学院出題の『他者の靴を履く』とは 訴えたいことの根っこのところが似てる。 ただ、舞台がまったく身近でない部分と 物語を生き生きさせているブロークンな 語り口が素材としての扱いを難しくする。 超・魅力的な作品だが小学生には早そう。 中学生以上の子にはぜひ読ませたい本だ。 以下は俺のレビューの真ん中あたりっす。 「誰かが戦わないと何も変わらない」と考え、行動に移…

  • コロナ禍に揺れる学生たち『おくることば』(重松 清)

    もしもウイルスがなかったら、いま、どんな三学期なんだろう、って。そういうのをずっと考えてる。(短編『反抗期』の本文より) 読めばあとからじんわり来るのが重松節。 ただし、この本は早大の教え子たちへの 私信のような話が半分近くを占めている。 とはいえ沁みるメッセージが溢れていて こんな講義受けてみたいとは感じたな~。 まぁ、大学生への言葉は難度が高いから 小学生に渡す場合は、まず小説だけ読む ように伝えた方が途中で挫折しなさそう。 六編入った短編集だが、使いやすいのは 『反抗期』と『星野先生の宿題』の二つ。 前者は序盤に?マークがぐるぐると頭を めぐったけど、だんだん惹き込まれたな。 この本で最…

  • 新しい世界の扉がひらく?『物語の種』(有川 ひろ)

    抜群の安定感を誇るあの有名作家による 好きをとことん突き詰めた短編集ですわ。 わりと入試に出てる著者ではあるんだが この作品はさほど使いやすそうではない。 10編には子供視点の短編も含まれるが 会話などのちょっとノリが軽すぎる印象。 書店で平積みされて目立ってはいたから 素材文に採用する先生もいるだろうけど 売れてる割に入試での注目度は低そうだ。 けど、取っつきやすくて面白い本ですわ。 読み始めたらすぐハマるんじゃねーかな。 以下は俺のブックレビューの前半部分だ。 底抜けのファン心理が面白い!推し活ネタが多めの短編集です。推す対象は猫、本、宝塚など様々ですが『清く正しく美しく』が特に響きました…

  • 未来を信じさせてくれる『私たちの世代は』(瀬尾 まいこ)

    『夏の体温』が2023年入試で最頻出。 そんな作家が先月出した注目の新作だわ。 子ども時代にコロナ禍を経験した2人の 大人時代と子ども時代を交互に描いてる。 はじめは時間軸の移ろいに戸惑うかもな。 ま、素材文適性が高い作品なのは確かだ。 全体を通してみれば『夏の体温』よりも 素材文に使えそうなくだりが多いからな。 特に主人公2人の記憶に強くきざまれた 小学生時代の特別な体験の周辺は狙い目。 中学生時代にもすごい見せ場があるけど、 こっちは出題者が嫌う要素が2つあるよ。 発売時期が遅いから『夏の体温』みたく 最頻出にはならないが、どっかの学校に 選ばれるだろうことは容易に想像がつく。 俺のレビュ…

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