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  • 【本気レポート】どんなに心が挫けても ~或る公文男子の矜恃~

    今回紹介するのはピアノをこよなく愛する少年の受験エピソードです。 彼は繊細で落ち着いた雰囲気をまとっている一方で、剣道に打ち込み続ける中で培った熱も内に秘めています。 迷いながら進む彼ら親子の歩みの中には、大切な、大切な気づきがあります。 ここぞという場面での父親の活躍に注目してください。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 少年は、新五年生に切替わる時期に中学受験の世界に足を踏み入れました。強く後押ししたのは、みずからも中高一貫生活を楽しんだという彼の母親でした。 塾選びでは大手も回りましたが、本人の意志を尊重して、ある中規模塾に決めたということです。 四年生にして公文の中学課程を終わらせ…

  • 傷口に癒しを塗り込む『ぼくはなにいろ』(黒田 小暑)

    新米作家の1月に発売された2作目だわ。 これは紹介するかどうか、かなり迷った。 出題実績ナシ、官能要素アリだったんで。 大人パートと中学生パートに分かれてて、 前者は子供向けでない描写が一部あるが、 後者は素材文適性が抜群なんだもんな~。 不登校の少女とワケあり少年の間接的で 継続的なかかわりが、心に沁みる沁みる。 それを見守るあんちゃんも抜群にいいよ。 これはうまく切り取れば良質素材になる。 作問者が気づく可能性は低いんだけどな。 はじめの方にすこしだけ難所があるんで 俺のレビューの結びはこんな感じにした。 物語の序盤には放り出したくなる箇所があるかもしれませんが、止まらず、その先へ進むこと…

  • 外せない力作、入試定番作品8選より『給食アンサンブル』(如月 かずさ)

    大事なのはハート。変わろう、というハートがあれば、どんな小さなきっかけでも人は変われる。(本文より) 一歩踏み出す勇気をくれるアンソロジー。 今年も入試で使われてた定番中の定番だ。 前に紹介したように2も出ているんだが これを機に1にも注目したいところだよ。 文体は今の子どもたちに寄せてる2より 教科書的な1の方が試験に使いやすそう。 まぁ、2024年は新作が注目度大だが より長く使われ続けるのは1な気がする。 俺が昔書いたレビューの前半はこんなだ。 わりと平和な学校で過ごす男女6人の群像劇です。もやもやした不安やあせりのせいもあって、器用に立ち回れない中1の彼らがもどかしくて、じれったくて、…

  • スルーされて欲しくない『虹色のパズル』(天川 栄人)

    中学入試でも注目され始めた作家の新作。 LGBTのみならず生きづらさを抱える 多くの人びとの共感が得られそうな本だ。 ジェンダーフリーが深掘りされててイイ。 終盤なんて大人世代も必見だと感じたよ。 タイトルに込められた想いってのも粋だ。 頭の固い先生は見向きもしないだろうが、 こういう本はもっと注目されて欲しいわ。 出題の面では『リケジョって何ですか?』 って章なんかが使えそうな気がするな~。 まぁ、選びづらいのはわかるんだけどよ。 俺はレビューの書出しをこんな風にした。 主人公は自分を偽って周囲に溶け込もうとする中学二年生。世間の同調圧力に息苦しさを感じる彼女が、女装する奔放な叔父との出会い…

  • これはオトナの短編集『獣の夜』(森 絵都)

    頻出作家の新作だが子供向けじゃないわ。 一校ぐらい素材文にする学校があるかも 知れないけど要チェックって程じゃない。 表題作なんて子どもには見せたくないし。 大人の男女のどうしようもなさが・・ね。 一応、小4男子視点の掌編もあるんだが 素材文にするには短すぎて使えないかも。 逆に、大人が読むぶんには面白い短編集。 オレ自身はこういう作品が好きなもんで レビューはこんな書き出しにしといたわ。 迷える大人たちが思わぬきっかけで感情を揺さぶられる出来事に巻き込まれ、自分を見つめ直すという筋書きの話が多かったですね。不思議要素のある短編もあって、多彩な森絵都ワールドを楽しめました。 『獣の夜』感想・レ…

  • 出題されるかもしれない新刊本(2023年8月前後)

    8月ともなると、その年度の中学入試で 選ばれる作品がガクンと減ってくるわな。 大体の先生は既に心に決めた一冊がある。 一方、決め切れてない先生も少しはいる。 そんな際どい時期の新作を紹介していく。 追加で判明したらこの記事に追記するよ。 7/20発売 ☆ 先行レビュー済 ☆ 『リラの花咲くけものみち』(藤岡 陽子) 祖母に救い出された少女は獣医を目指す。 7/24発売 『私たちの世代は』(瀬尾 まいこ) 当代最頻出作家がコロナ禍の日々を描く。 7/24発売 ☆ 先行レビュー済 ☆ 『アゲイン』(あんず ゆき) 小6女子が目にする子ども食堂のリアル。 7/28発売 ☆ 先行レビュー済 ☆ 『藍色…

  • 冴えわたる崩しの妙『教室のゴルディロックスゾーン』(こざわ たまこ)

    「そんなんだから、いじめられるんじゃないの?」思いがけない言葉に、頭が真っ白になった。(本文より) 中高生に刺さりそうな要素満載の新作だ。 受験界隈じゃ手垢のついてない著者だが この作品は埋もれたお宝って気がするな。 物語に「崩し」が入る場面って素材文で 選ばれやすいがこの作品の崩しは強烈だ。 特に序盤の荒れる場面はゾクゾクする程。 強烈すぎて素材に向かないかと思ったら 3章前半から使えそうな場面がザクザク。 全6章のうち3・4・5章は特にいいよ。 このあたりは素材文適性が抜群って印象。 3章『割り切れない私達』 4章『ホモ・サピエンスの相変異』 5章『教室のゴルディロックスゾーン』 鳥肌モノ…

  • 新人作家、王道を往く『エール! 主人公なぼくら』(室賀 理江)

    室賀理江の5月発売のデビュー作ですわ。 文章も構成もまったく新人ぽくない感じ。 少年の成長を描いてく展開はまさに王道。 成長のきっかけの部分は新しいけどな? 素材文適性は結構ありそうに俺は感じた。 王道ど真ん中で粗削りな感じもしないし。 入試出題レベルの中では「平易」に分類。 5年なら楽しく読めて得るものもあるよ。 以下は俺のレビューのはじめのほうだわ。 一歩を踏み出す勇気をくれそうな作品ですね。主人公は弱気な小学5年生。流されるままに応援団入りした彼が、懸命に特訓を重ねるなかで、自分の殻を破り、強い心を手に入れていきます。 『エール!主人公なぼくら』感想・レビュー 四人の視点で描かれた連作短…

  • ヤングケアラーに自由を『藍色時刻の君たちは』(前川 ほまれ)

    自分を犠牲にして他人を助けることは、そんなに大事なことなんだろうか。(本文より) 出題実績がなさそうな著者の新作ですわ。 高校生らしい生活もままならない3人の ヤングケアラーの歩みを描いた衝撃作だ。 文科省調査だと世話している家族がいる 小学生が15人に1人いるんだってな? 40人学級だと2~3人いる計算になる。 別の厚労省・文科省による実態調査だと 中高でもクラスに1~2人いるらしいよ。 ヤングケアラーは意外と身近な問題だな。 非力な子どもたちの肩にのしかかる重責。 反抗期になる余裕さえもない過酷な現実。 本作では3人がどこに救いを見出すのか。 このあたりが注目ポイントになるだろう。 普通の…

  • 新たな定番作品あらわる『この夏の星を見る』(辻村 深月)

    4月から俺が騒いでた作品がついに出た。 これは長年に亘り使い続けられるだろう。 2024年版は秋以降にリリースするが もし2023年出典予想の中に混ぜたら ぶっちぎりで1位になっているレベルだ。 何しろ素材文に適した箇所が多すぎるよ。 前に出題に使える箇所がありすぎるとか 書いた作品の5倍くらいあった印象だわ。 模試を作る人も鉄人会さんもどの部分で 出題を当てにいくか困っちまいそうだよ。 この本が選ばれそうな理由は以下の通り。 ・辻村深月が紡ぎ出す文章が素晴らしい ・子どもらしい心情の移ろいがバッチリ ・天文台の館長を含め先生たちが魅力的 ・新聞連載ゆえサクッと切り取りやすい 天文の話だから理…

  • 激アツ、胸アツの新境地『どすこい!』(森埜 こみち)

    たまに出題される作家の1月発売の作品。 清らかな物語をつむぐイメージの著者が 新境地に挑んだ感のある熱血相撲小説だ。 紹介してきた本の中では最も易しい部類。 普通の4年生でも十分に読めるだろうな。 3年生以上の模試によさそうな感じだよ。 主人公が先輩らしく振舞う場面は胸アツ。 森埜先生、こういうのも書けるんだな~。 俺が作品紹介をするとこんな感じになる。 相撲に熱中する2人の小学6年生を描いた作品。地域にとんでもないライバルが現れたことで、やる気に火が付いた彼らが、元力士の老人に教えを乞うために知恵を絞り、特訓に励みます。 『どすこい!』感想・レビュー 相撲を知らなくてもメッチャ楽しめる

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