美容院のドアをくぐる。この瞬間は緊張する。おしゃれでないわたしには場違いと思ってしまう。案内されるがままに、わたしはぎごちなく席に座った。 オーダーも苦手だ。おしゃれな用語も、どうしたらおしゃれになるのかもわからないからだ。適当にお願いする。 少し会話をしながら、ショキショキという音が続く。そして、あっという間にできたらしい。 わたしは鏡を見て確認をした。まるで別人のように、返信した自分がそこにいた。適当なオーダーで、こんなに好みにしてくれる美容師に感心しつつ、わたしは温かく、ウキウキしたような気持ちでこう思った。 「また、まだ、人生、頑張ろう」