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2020/10/12

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  • サード・キッチン

    サード・キッチンは、アメリカのとある大学にあるマイノリティが集う学生主催の食堂のこと。日本人留学生の尚美が、そこで様々な人種の学生達と慣れない英語に苦戦しながらも交流し、差別や偏見、固定観念からくる捉え方の違いに気づき、そして自分自身の家族のことを深くみつめていくという小説の良書です。日本にいると、人種の違いを肌で感じることは難しい。黄色人種であることをマイノリティだと思う日本人が、どれだけいるだろうかと。この本読んで思い出したのは、遠い遠い学生の頃、大阪から東京へ初めて一人で行った時のこと。街で話かけられた人との会話の最後に「君、訛ってないね」と言われて愕然としたこと。大阪人なのに、言葉のイントネーションが大阪弁ぼくなかったので、そう言われたんだと思うんですが「訛り」という言葉に、敏感に反応しました。訛り? 大阪なのに訛り? そして今まで味わったこともない卑下される感覚も知りました。大阪にいる時には、自分の住む世界が、他からするとマイノリティーだという感覚はまったくなかったし、言葉が訛ってるという自覚すらなかったですから。 その時に、ふと思ったんです。他府県からの転校生が話す言葉が、面白くて、「訛ってるね」って言葉を自分も使っていたこと。そういう言われる立場になって、初めて自分が、上から発言していることを自覚しました。自分が感じた嫌な感覚を、加害者として転校生に対してやってたことを。 この小説では、異文化の中で暮らすことで知る、偏見、差別、捉え方の違いが、どんどん出てきます。異文化の中に入るってことは、とても苦労することだけれど、他を知ることで、自分を知るきっかけになるということですね。いまでも無自覚に偏見持っていることって多いんだろうなと。すごい考えさせられました。この小説、読み始めては、他の本を読み始めてしまって、なかなか進まなかったんです。読んでいて捉え方の違いに戸惑ったり、身につまされて苦しくなって現実逃避したい自分の弱さもあってだと思います。 時間はかかったけれど最後まで読んでみて、主人公尚美家族の複雑な関係が、すこし前を向いて終わってたこと。そこから、きちんと知って向き合うって大事だなと思えた、気づいきの多い良書でした。 これNHKの理想的本棚って番組で紹介されてました。「 人にやさしくなりたい 時に読む本 」の一冊に。そうね、ほんとそう思います。

  • イズムを伝えるということ

    毎年、桜の季節になる今ごろ、パナソニック本社にある、さくら広場桜を堪能して、松下幸之助歴史館を覗くことが恒例のイベントになってます。さくら広場は安藤忠雄さん設計の半円形の段々となった場所に桜が植えらた市民へ開放された憩いの場所。パナソニック本社の敷地内ということもあって、職員の方がちょっとやりすぎじゃないかと思うほど丁寧に整備されていて、清潔に保たれてます。 そのさくら広場の隣に、ものづくりイズム館、松下幸之助歴史館があります。どちらも入場無料の太っ腹。 展示されてるものが、大きく変わることは少ないけれど、毎回毎回、刺激というか、言葉の重みに頷いてしまいます。今でも充分通用する言葉の数々。思想を伝えるということの大切さを、パナソニックは、わかってると思うんです。そして、これだけのものを作ってもなお、伝えることが難しいことも。毎年、訪れてても、来て良かったなと思う。そして、こういう場所が、近所にあることを、幸せに思います。 このふたつの建物、門真の地に本社を移した時の本社の社屋を再現し、建てられてます。 どっちも同じ形。 屋根には船の舵が、据え付けられてます。当時、松下幸之助さんは会社の進路を示すモニュメントにしていたとか。瓜二つの建物ですが、この舵の色が、違うんです。なんだか船舶に似てるなって思ってました。 初代の訓練船で同型の帆船、日本丸と海王丸の見分け方は、マストの先端が白か茶で違うとか、2代目は、救命ボートが白と赤で見分けたりと、そういう小さな、でも解る人には解る、区別を施すんです。 僕は、こういう拘りが大好き。大きな大義は同じ、でも小さなことで、個を主張するみたいな。 哲学や思想って、なかなか真面目に語る機会ってないと思うんです。でも、生きる上で、生活する上でも、とっても大切なことだと思うんです。それを、きちんと伝え受け継ぐことも。 写真にも、そういう哲学や思想が、影響すると思っていて。それが写真を通して受け継がれると嬉しいですもんね。

  • 松田有加里 写真展「Journal français」

    松田さんの写真展です 案内文には、こう書かれてました。 Journal français ~フランス日記~パリ滞在の前半はリュクサンブール公園、後半はモンソー公園近くのプチホテルを拠点に散歩する等身大の私日記風にまとめてみました。A l’oeuvre,on connaît l’artisan.(作品はそのつくった人そのものが出る。)Créer, c’est produire quelque chose à partir de rien(創造することは、無から有を作り出すこと。) まずですね、パッと見て、これは絵画でした、写真絵画。 僕の写真も絵に間違われることが多いです。だから思ったことなんですが、絵が好きだから自分のフィルターを通すと絵画風になるという、いつも思ってることを、松田さんの写真にも感じました。大きな一枚は、まさにパリで活躍した画家の『荻須高徳』さん。荻須さんの初期の作品は佐伯祐三さんの影響を諸に受けてるんですが、松田さんの作品にも、その荻須さんの影響を感じたんですね。すべてフィルムで撮られて手焼きで現像されてるという作品は、色味が、まさに荻須さん。聴いてみると、松田さん、やはり荻須さんの絵が大好きだとか。 松田さんは、パリでも何度も作品を発表されていたり。そして音楽も生業にされてるとか。作品観てると、そうだろうなって思わず唸ってました。松田さんのフィルターには、高精細に写し撮るというカメラオタクの方々が気にする写真の概念はないんです。そんなことよりも、アーティストとして、自分の目で肌身で感じた感性で、街を撮ってみたらこうなったと。そういう写真ですね。 案内に書かれた 「作品はそのつくった人そのものが出る。」 まさにこれですね。 写真以外のアートに興味がない人には、この良さ理解されないだろうなと思ったけれど、僕のやりたいことも同じベクトルなので、とっても好感が持てた展覧会でした。こういう作家さん、大好き。 良いもの観れてラッキーでした。

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