世の中には、「質量のある世界」と「質量のない世界」があると言いますが、私たちが普通に質量のない世界というと、多くの人は心の世界や思考の働き、または霊とか魂の世界を思い浮かべることと思います。あるいは、哲学の根本問題の物質と精神のどちらが第一次的か、唯物論と観念論の対立もこの流れかもしれません。ところが、ここ数年ほどの間に人間の心や思考の世界というものは、決して質量のない世界ではなく、極めて物質的な活動であることが急速に意識され始めました。心や思考の働きが、人間の神経細胞の連携スピードや興奮した時に心臓から大脳に送られる血液の量などによって決定的な制約を受けていることで、異常にのろい活動であることがわかり始めたからです。というのも、chatGPTやAIの普及で、日常的に物理的抵抗をほとんど感じさせないスピー...質量のない世界、ほとんどないように見える世界