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入日くん https://irihikun.hatenablog.com/

本を年間約200冊読む内向的人間のちょっとした発信。夜になる前の入日の時間を楽しんでいただきたいブログです。

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2020/04/10

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  • 脱落者

    「あぁ、俺らからもついに脱落者が・・・・・・」 カウンターに座る三人組。アルコールは三杯目だ。 その内の一人が嘆く声が聞こえる。 作り物のように光沢がある髪が目立つ。それぞれが向きたい方とは、おそらく逆に向けて固められている。 真ん中の一人を挟んで反対側に座るもう一人が、俯きながらグラスを傾けているのが見えた。 彼が脱落者、だろうか。 カチカチ髪の男が、身体を乗り出して、脱落者らしき男に言う。 「今が踏ん張り時なんじゃねぇの? 今がどん底だって。これから上がっていくしかねぇよ」 「・・・・・・皆、最初っから売れてた訳じゃないだろ!」 夢追い人か。 私はカウンターの内側で食器を洗いながら、彼らの…

  • 伸びる影よりもこわいもの

    夜になりきっていない、中途半端な時間だった。 近付いてくる。 片手にスマホを持ち、俯き加減で歩く女。 顔に髪が掛かっているが、ちらちらとこちらを見ては、 手元に視線を落としているのは分かった。 傾いた日が、黒くて細長い影を作り出している。それでも女は小さく見えた。 弱く見えた。 それが、この俺とすれ違おうとしている。 「おい、お前」 女はスマホに向けていた目線を、素早く俺に寄越してきた。 「お前、何こっち見てんだよ!!!」 俺は怒鳴りつけた。 今まで飲み込んできた言葉を、全て吐き出すように。 小さくて弱いやつには、そうしてもいい気がした。 一瞬手を震わせた女は、直ぐにハッとした表情を見せ、叫ん…

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