昏々と眠り続ける恋人をそっと撫でて、すっかり雨の上がった日差しの元へとチャンミンが新聞を取りに出た時のこと。「こんにちは」店の入り口に臨時休業の札を下げていた…
その後、ユノが目を開けたのは、もうすっかり昼食の用意をしようかという時間帯。ソファの上のままではあったけれど、チャンミンの香りが移ったやわらかなブランケットに…
家に戻ると部屋は真っ暗だった。一瞬誰もいないのかと思ったが、すぐに窓の端に人影を認める。外から差し込む街灯の明かりが逆光のようになって、シルエットだけが浮かび…
すっかり眠ったはずのユノだったけれど、夜中に目が覚めてしまったらしい。聞こえたのは悲鳴。殆ど掠れた、ギリギリやっと聞こえるくらいのそれは、悲鳴。時折繰り返され…
「ね、シウォン、あの薔薇の香料って高いの?」バイトの帰りがけに教会に花を届けに寄ったところ、いつものようにシウォンにお茶に誘われた。目の前にお茶が置かれたとき…
取りあえず、熱いシャワーの下に連れ込んだ。白く透けてしまいそうな冷たい肌が本来の熱を取り戻したところで手早く雫を拭い、寝衣を纏わせ、髪を乾かす。その頃になって…
雨が、降っている。アスファルトの上、車のタイヤが雨を通っていく。どれくらいそうしていたのだろう。空の色も町の色も見えないこの場所で。外界を遮断してしまったユノ…
篠突く雨のなかを歩いていた。辺りはもう真っ暗で、視界が悪くて、あまり回りの様子はわからない。けれど。こっちの方から『聲』のようなものが聞こえていた。家に帰った…
苦手なはずの雨に隠れるようにして。夜に近付く空からの雨は、ユノの白のシャツを濡らしながらこころまで冷たい湿度で覆う。耳の奥で雷の音がひどく煩くて、蛍光灯の光が…
何か物が倒れるような音と、悲鳴が聞こえた。尋常では無い様子にユノがドアを開けて通りを見れば、外は夕暮れを過ぎようとしている頃。知らぬうちに降り始めていた霧雨の…
ぼんやりと佇む、今にも消えそうな恋人の姿が県道を通り過ぎる車のヘッドライトに浮かび上がった時。「ユノっ!」びくりと怯えるように震えるのを見れば、安堵と共にわ…
金曜の夜、急に冷え込んだ空の下、駅を出るチャンミンの携帯電話を鳴らしたのは愛すべき恋人では無く、キュヒョンだった。落胆を隠さず通話ボタンを押す。飛び込んできた…
朝起きると、窓の外はどんよりとした曇り空だった。今日は日曜日。なんのかんのと押しかけてくるキュヒョンもヒチョルも、今日は日曜だというのに仕事が入っているらしい…
揺らぐ葉緑が深く色を変え、迎える強い日差しの季節。水出しのアイスコーヒーは例年どおりの売れ行きで、さっぱりとレモンを利かせたクッキーが好相性。時間をかけて抽出…
「なあ、ユノ」すっと細めた眼差しはやはり身内と言えるだろう。どうしたって見慣れたものと良く似ていて。ユノは小さく息を呑む。「ユノ?」「あ、いえ。すみません・・…
そろそろ仕事に戻んないと、とカウベルを鳴らし、暮れ始めた町に帰って行ったキュヒョン。珍しく他に誰もいなくなった店内にはユノとヒチョル。「仕事は楽しいか?」「は…
「ユノー、ご飯出来たよー」「はぁい」いつものように夕飯の準備をあらかた終えたところで、ユノに声をかける。返事はすぐに返ってきて、それに続く軽い足音。料理はすで…
ざーっと勢いよく流れるシンクの水音を聞きながら、キュヒョンは少し前のことを思い出していた。『一人で立っていられなくなるかもしれないのが不安なんだ』チャンミンと…
降り出した雨のなか、急ぎ足で家に向かっていた。なんだか最近、忙しい。バイトの系列店に、花のディスプレイを専門に扱う店があって、そこの手伝いをしてるせいだ。春の…
夕方近く、カウベルの音に視線を向けると、そこには予想通りの友人。と、もうひとり。「こんにちは。いらっしゃいませ」「よう、ユノ」派手めな美人はユノの大切な人の従…
月明かりのもとで見る姿はすごく綺麗。どうしてこんなに綺麗な人がこの世にいるのだろう、と思う。いや、人ではないからだろうか。こんなに綺麗なのは、人とは違う存在だ…
司祭館に花を届けにきた。「あれ?ヒチョル?なんでここに?」受け取りに出てきたのがヒチョルでちょっと驚く。教会の方に出入りしていたのは知っていたけれど、ここまで…
街は微かに次の季節へと動き始める。チャンミンを送り出し、ざっと家事を済ませたらそろそろ店へ出る時間。きり、とギャルソンエプロンの紐を締め、ユノは手のひらで頬を…
なんだか昨日も今日もすごく忙しかった。そう思いつつ家路をたどっていた。と、もうかなり遅い時間なので人通りもない暗い道に人影が見えた。チャンミン薄暗い闇の中にい…
✳GW中に更新予定だった話です。こちらの話はリアルタイム更新を掲げて(勝手に)ますので、追いつくまで連投するかも……デス*******************…
「チャンミン」扉をあけると、本を読んでいるチャンミンの姿がすぐに目に飛び込んできた。ここにチャンミンがいてくれることに安心する。だれもいない部屋に帰ってくるの…
「おまえの方から尋ねてくるなんて随分珍しいと思ったら。なるほどね」浮かんだ笑みは綺麗に無視した。「そうですね。僕もそれなりの知識はありますが、専門というわけで…
こんばんは★ご無沙汰しております(汗)諸事情で更新が滞りまして申し訳ございませんでした💦皆さまからのご心配のメッセージやコメント、本当に嬉しかったです❤おひ…
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