とある福島県民の雑記ブログです。 テーマはローカル・自然・ふるさと・教育・働き方・職人・まちづくりetc… 福島には「ほんとの豊かさ」があると信じています。
引っ越しまであと1ヶ月。現住居の退去に向け、片付けや補修をしている。 特に面倒なのが、障子の張替えだ。障子のそばで洗濯物を干すせいで、ハンガーが障子紙を突き破っている。退去の前にまとめて直そうと思っていたが、そろそろ取り掛からなくてはならない。 専門業者に任せる手もあるが、自分の手で直してみようと思う。家業は建具屋。両親が障子を貼り直す姿を見ながら育ってきた。結局一度もやり方を教わったり手伝ったりしたことはなかったが、折角の機会だからチャレンジしてみよう。 両親から教わり損ねていることは他にもたくさんある。 建具の作り方はもちろんなのだが、とくにこれだけは教わっておきたいと思うのが、父親の生ま…
「長屋」という作りに妙に憧れる。 長屋とは、通りに面した複数の入り口と部屋を持つ1つの長い建物のことで、特に江戸時代の町人の家のイメージとして広く知られている。 かつて多くの人々が長屋で暮らし、面する通りは人々の憩いの場であり、子どもたちの遊びの場でもあったことだろう。そこには多くのスペースを共用し、管理する考えがあり、井戸の周りで「井戸端会議」が行われたりした。 今となっては住居としての長屋はすっかり見かけなくなってしまったが、長屋という作りは商店街という形で今でも残っている。 新潟市にある「沼垂テラス商店街」は、かつての港町の長屋形式の市場を改修してできた商店街だ。 時代の流れとともにシャ…
福島の未来について、肩書を忘れて楽しくディスカッションしようという「ふくしま学(楽)会」。そこで出会った印象的な人や言葉をまとめるシリーズの第3段。 第1回、第2回はこちら↓ monono-aware.hatenablog.jp monono-aware.hatenablog.jp 今回はこちら 「アート」 いろんな箇所で出てきて、とにかく印象に残ったワードが「アート」である。 科学(サイエンス)と芸術(アート)を組み合わせ、新たな文化を生み出し、福島の教訓を未来へ繋いでいく、といった文脈で使われたりした。 しかし、アートで地域おこしと聞いて、初めはいまいちピンとこなかった。 自分にとってアー…
職人を目指す理由の1つに、「情報の転売屋」になりたくないというのがある。 大学時代は、林学科で学んだ知識を活かして日本の林業、木材産業を行政面から助ける仕事=公務員になろうと思っていた(いや、正しくは安定した職に就きたいという思いだけが先行していたと思う)。 しかし実際に就職してみると、大学で学んだ知識は役に立たないことが多く、実際に林業、木材産業に従事している方々の話の内容についていけないことに気付いた。就職してから3年経ったあたりから、ようやく同じ土俵に立って話ができるようになった。 自分が大学で身につけた知識は、全国一般に当てはまるような、基礎の基礎にしか過ぎず、地域それぞれで現場の特性…
NHKの「ドキュメント72時間」という番組。街角のスーパーや飲食店、イベントで72時間、そこに訪れる人々を撮影するドキュメンタリーだ。 今日の再放送で取り上げられたのは「神戸のストリートピアノ」。 神戸駅ビルの地下街に置かれたピアノを、かつてピアノ教師だった人やリタイアしてから趣味で始めた人、演奏会直前の学生や全くの素人…雑踏行き交う中で沢山の人がピアノに触れていく。 番組を通して、誰かがピアノを弾いていると、2、3人くらいの人が足を止めて眺めていたり、少し離れたところで座って耳を傾けていたりしていた。そして弾き終わるとパチパチと小さな拍手が生まれ、すぐに立ち去る人もいれば、初対面同士が二言三…
福島の未来について肩書を忘れて楽しくディスカッションしようという「ふくしま学(楽)会」。そこで出会った印象的な人たちと言葉をまとめるシリーズの第2回。 第1回はこちら↓ monono-aware.hatenablog.jp 「原発のある浜通りにこそ、原子力について学べる大学を作るべきだ」 発言したのは、NPO法人代表の女性。 原子力や放射能について学ぶ意欲がある学生が、福島県内にそのような学校がないという理由で県外に出ていかなくてはならない状況下にあるという。 原発とともに生きてきたこの地域にこそ、それについて学ぶ場所が必要だと語った。 自分にとってこれは盲点だった。確かに浜通りには原発や放射…
先日、福島の現状とこれからについて考えるシンポジウムに行ってみた。その名も「ふくしま学(楽)会」。 福島の未来について、原発事故の被害が大きかった双葉郡を会場に、出身も肩書も忘れて楽しくディスカッションしようというものだ。 参加者は60人位であったが、その参加者がとにかく多彩だった。高校生、大学教授、地元役場職員、建築士、アーティスト、NPO法人代表、教師、原子力関係者等…多様な人々が多様な視点で語り合う場はやっぱりおもしろい。車で片道5時間かけてでも行った甲斐があった。 たくさんの意見が飛び交ったが、その中から特に共感した発言を何回かに分けて紹介していきたい。今日はこちら↓ 「Uターン先なの…
県外に住んでいると、福島出身と言うたびに、 「地震と原発で大変だったでしょう?」 と聞かれることが多い。 自分の実家は風評被害こそはあったものの、自宅を失ったり避難生活をするには至らなかったため、これまでは、 「いや、実家のあたりはそこまで大変じゃなかったんです。ただ沿岸のほうは大変で・・・」 と答えることが多かった。 しかし、いつからかそう答えることがしんどくなってきた。決して質問にうんざりしているわけではない。 こう答えることで、「被害があった側」と「被害が無かった側」を隔てる壁を作ってしまった気分になり、自分は「無かった側」ですよと言っている気分になる。そしてそんな自分が嫌になったからだ…
少子高齢化や過疎化の影響で、多くの高校が統廃合の波にさらされている。福島県もご多分に漏れず、県教育委員会の「県立高校改革前記実施計画」の中で、複数の高校の統廃合が計画されている。 これに関して、日頃から福島県移住を企てている私が思ったことが、高校の無い場所に人は来ないということだ。 自然に囲まれた環境で子育てをしたい!そう思って移住をする子育て世代が増えてきた。 彼らが思う良い子育て環境の条件として、待機児童がいない、24時間対応の病院があるといったことだけでなく、通える高校の選択肢があるかどうかも重要だろう。 各高校には特色があり、卒業後地域の産業を担うプロフェッショナルを育てる高校もあれば…
テクノロジーの発達により、今までの常識に当てはまらない生き方、働き方が凄まじい速さ増え続けている。例えば、YouTuberという生き方が現れることを誰が想像できただろうか。 今や小学生が将来なりたい仕事ランキングにもYouTuberはランクインするようになった。これに対し、将来が心配だと言う大人がたくさんいるが、そんなことは余計なお世話だ。 ためしにランキングの上位を見てみると、男子ならスポーツ選手、警察官、消防士、医者、女子ならパティシエ、看護師、保育士など。不思議なことに、ランキング上位はいつの時代も変わらない。 結局は、多くの子供は自分の知り得る職業の中で、直感的に興味のある職業を書いて…
目指しているのは、純粋な木工職人ではなく、「木工×α」でたくさんの分野に関わる職人だ。 自分の中にあった職人像といえば、無口で頑固一徹な孤高の存在。 完全な偏見だが、そういう職人の家庭で育ったのだから仕方ない。 しかし、世の中には伝統を守りつつ、持ちうる技術を現代版にアップデートして社会に新たな価値を生み出している人々がたくさんいる。彼らは職人の枠を超えたクリエイターとも呼べる。 そういった人々は、得てして多様な分野の人々とネットワークを持っていて、それぞれの得意分野を活かして地域社会を盛り上げるようなコミュニティを築いている。一人の力では解決できない課題も、タテヨコナナメのつながりで補いあえ…
小さいころから、木工職人にはなりたくないと思っていた。 同級生と比べて、お小遣いはもらえない、欲しいものは買ってもらえない、仕事休みの日が無く家族旅行にも行けない。 そんな劣等感から反骨精神が芽生え、ホワイトカラーの高給取りを目指すようになった。父は私の将来についてとやかく言わなかったが、建具業に先はない、継ぐ必要はないと言っていた。 そんな思いを抱え、大学進学に向け勉強に明け暮れていた時、東日本大震災と原発事故を経験した。 あの日を境に、我が家の家計はいっそう火の車になった。その後苦労して私を大学まで出してくれた両親には感謝しかないが、職人でなければここまで苦労しなかったのではと感じた。 結…
はじめまして、tamayosuと言います。 福島県の建具職人の元に生まれ、木材と里山と田んぼに囲まれ育ちました。 ブログタイトルですが、 「もののあわれ」は、自然や人生、モノから感じる美しさや儚さ、趣深さ。 「aware」は、何かに気づいている、という意味の英単語。 自然の妙、日常のほんの些細な出来事に心が動く瞬間を大切にしていきたい、そんな思いを込めました。 思いついたことを、思いついた瞬間に、推敲もせずに綴っていきます。 よろしくお願いします。
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