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  • 雨降り花

     夢ものぞみもつまづくたびにやせて小さくなってきた♪ 水木かおるさん作詞の歌謡曲「雨降り花」の一節この歌の「雨降り花」は「浜昼顔」 歌の中で最も好きな歌花の中で最も好きな花命短い、一日花だからこの花を摘むと花の涙が雨となって降るから「雨降り花」 雨降り花の伝承は全国にいくつもある雨降り花が咲くと雨が降る雨が降ると雨降り花が咲く花の種類もホタルブクロ、ツメクサ、ギボウシ・・・野や路傍に咲く花ばかりそして紫陽花は雨が似合う花 流行った曲ではない歌い手のファンでもない想い出がある花でもない珍しい花でもないないない尽くしだが、何故かこの歌と、この花が好きなのだ 植物が海から陸へ進出した先駆者の海浜植物痩せた砂地でも、潮をかぶっても薄い紅色ひと色に咲く浜昼顔 この花が咲くと一日中浜で過ごすことがある時には口ずさんでみたり...雨降り花

  • 祈り

    「おっ立ちかたばみ」 人は祈ったり、願ったりする時、頭の中はどのようになっているのだろうか? 神仏の前で祈る時、願い事を声に出したり、出さずとも頭の中、口の中で願い事を言っている場合によっては身体に力が入ったりもするこれが一般的ではないだろうか また祈祷で祈ってもらう願主さんの立場から見ると僧侶や神職の方が神仏に願い事や氏名、住所といったものをサラリと告げた場合と力強く告げた場合とでは印象が違ったものになる しかし声の大小や力の込め具合は分かるが、頭の中までは分からないはたして声や力だけで良いのか、一体頭の中はどうなっているのか若い頃、常々疑問に思っていた これについて師僧に訊ねたがニヤニヤと笑っているだけだったそして、ある日気づいたご祈祷は期間を設けている場合が多い例えば半年であれば、半年間毎朝の勤行などで拝...祈り

  • 月見草

     太宰治さんの説得的な決め文句によって月見草となった待宵草かと思えば、竹久夢二さんは宵待草・・・ 本物の月見草を見たことはないが白いのだというこの黄色い月見草は昔からしっかりとこの国に根をはっているような顔をしているが海の彼方からやってきた今では浜辺に河原に山の中、街の中、たくましく宵を待ち続けているしかしそうやって、風光は変わってゆくのだろうそして人の感性も、常に新しいものを取り込んで変わってゆくのかも知れない ところで竹久夢二さんはなぜ宵待草にしたのだろうか?思いつくのは長唄の「明けの鐘」宵は宵でさんざん待ったのに、明けの鐘がなると帰らなければならない儚い逢瀬を恨む女心をしんみり歌い上げた、この曲はまたの名を「宵は待ち」というこの唄の記憶が夢二さんに流れていたのかも知れないのでは、と勝手に思っている 「街灯...月見草

  • 草取り

     雨が降るごとに雑草が伸びる取っても、取っても・・・ 昨日は麦わら帽子を引っ張り出しての作務なんせ、脳天に五月の紫外線が降り注ぐ禿げてはないが、ハゲだから沁みるゼ 今日は、キレが悪いなま、まあいい・・・ 何でも解決出来るスーパーマンのお大師さんでも「草取りには弱った」とこぼされたらしい「薬を蒔けば?」と言われるが、それだけは絶対に出来ない 「雑草という名の植物はありません」と叱られそうだがご勘弁いただいて雑草と記させていただくが・・・雑草には強くて逞しい印象があるしかし弱い植物だと以前記した好条件のもとでは他の植物に居場所を追いやられてしまったそこで過酷な条件下に身を置き、逆境を乗り越える知恵を身につけて生き残った植物湿度、日照、気温などのストレスに耐えるそんな弱い雑草は逆境の中で耐えて生き残っている 我が身に...草取り

  • 苦茶

    夏も近づく八十八夜、新茶の季節 子供達はお茶と言えばペットボトルで飲むものと思っているそのため入れ方によって味わいに差があるということを知らない そこで、昨日はロクにお作法も知らない坊主と一緒に実験をしてみた 信者さんのお茶の先生からいただいた超高級煎茶を使う先生が見たら、目を剥くかも知れない まあいい・・・ 内容は「お茶は三煎して味わう」を実験する一煎はややぬるめの湯を注ぐ子供達の反応は「甘〜い」だった甘さはお茶の味としては初歩的なものなので「まだまだ甘いの〜」と言ってみたが、通じない ニ煎は少し熱い湯を注ぐここになると甘さを超えた渋さが出るが、子供達にとっては「普通〜」 三煎は熱湯を注ぐここまで来ると苦みが出るのでみんな「にが〜」と言ってるから「苦み走ったイイ坊主」と言ったが、無視されたしかしお茶の深奥はこ...苦茶

  • 山吹

     桜の花と相前後して咲く山吹 山吹は淡泊、そして静かな花少し冷たいくらい、冷静で浸し難い気品がある 山吹のよさは何といっても、この黄金色いわゆる「山吹色」とすっきりした花の形それに葉の色も茎の色もよく、傾く枝の風情もよい広く自生し、しかもよく愛育されて、静かに育つジャパン・ローズ 二十四番花信風啓蟄第二候「棣棠」並びに穀雨第二候「酴釄」  知っていて犯す過ちと知らずして犯す過ちさて、どちらが重いのか 普通は知らないで犯したのだから、しかたがないだから知らないで犯す過ちより、知って犯す過ちの方が重いそう思う人は多いと思う ところが、そうではない知らないで犯した過ちのほうが重いと考えるのが仏教だ何故かというと、これが悪いことだと知っていればブレーキがかけれるしかし知らなければアクセルは踏みっぱなしで、どんどん進んで...山吹

  • 笑顔

    「松葉海蘭」 朝、子供達から苦情が寄せられたマスクが線香臭い、お寺の匂いがすると・・・塵も積もればマウンテンマスクに移り香とはやはり線香の香りは強烈だしかし見えぬものが香りとして残ることで、マスクの重要性が分かったようだ さて先日「笑顔でため息」などと綴っていたからか笑顔の女王から連絡があったかれこれ二十年、毎年御祈祷の依頼を受けている「今年はこのような状況だから伺えませんが」と・・・ 彼女はメダリストである何の競技かと言うと、水深3mのプールで音楽に合わせ技の完成度や表現力などを得点で競うシンクロナイズドスイミング技術と同時にその美しさも競うわけなので、派手な水着を纏って、厚化粧をし肺に空気をためて浮力が維持できるようにノーズクリップをして競技する この競技は見た目より想像以上に過酷らしいそれなのに水面ではに...笑顔

  • 嘘格言

    「山藤」 やってきました嘘シリーズ第四段嘘というものに、まったく興味が尽きない、この坊主既に三度投稿しているが、まだまだまだまだ物足りないそして将来は嘘概論で博士号を取得して、嘘の権威を目指している「嘘をつくな」「噓ではないホラだ」  (ま~たやっちマッタ)まあいい・・・今振り返ると十五、十六の時は人の話を鼻クソをほじりながら聞き流した二十代になってからは聞き流してはいたが、無礼だと知って鼻クソをほじることだけはやめた三十代になって、ようやく人の話に耳を傾けるようになった四十代で人の話と現実社会との間に横たわる嘘を知ったそれから嘘について考え続けているが、昔の偉人までもが嘘についての記述を多く残している昔も今も人の本性というものは変わっていないということか・・・そこで偉人達の嘘についての言葉を適当に並べてみたそ...嘘格言

  • 装飾

    孫がピアスをするとかで親子で揉めているからどうしたものかと思ってと、婆さんから連絡があった何もこのような状況で、と思ったが・・・  ピアッシングに対して「身体を傷つけなくても」「親からもらった身体に・・・」と考えているのだろうしかし髭を剃り、爪を切り、髪を切る、眉を剃り、髪を染め、唇に色を塗る、下着で体型を矯正したりもするよくよく眺めると、もって生まれたままの人は少ない このような身体装飾は生者と死者、大人と子供といった通過儀礼として使われてきた成人儀礼としてのお歯黒もそうだろうまた任侠の世界では一端の男になるための儀礼、「ガマン」として刺青があるこれを野蛮なものとして政策として排除したため、そこから刺青を忌避し「親からもらった身体に・・・」との考え方が生まれた 昨年墓参で訪れたシベリア地方では刺青の模様はその...装飾

  • 迷惑

     昨夜、風が回って寒気が抜けた瀬戸 学校では「人に迷惑をかけてはいけない」と教える確かに世の中を生きてゆく上で、大切な事である特に子供達には道徳教育として必要な教えだ また「誰にも迷惑をかけていない」と言い張る方もいるなるほど、日常会話として考えれば、別に不自然ではないしかし、本当にそうなのか?迷惑をかけずに生きられるのか? これは現代社会においては絶対に生きられないそもそも迷惑かどうかは他人が感じるものであって自分で決めれるものではないだから気づかぬうちにかけている迷惑というものは必ずある要はそのことを認識しているかどうか、ここが分かれ道になる つまり迷惑をかけてはいけないという道徳迷惑をかけずには生きられないという仏教この二つが必要だということ道徳はしっかり守らなければならないしかし守れない自分が居るという...迷惑

  • 溜息

    世の中にため息が充満している子供達もだ 「ため息をすると運が逃げる」とは言われているしかし逆の説もある「ため息は癒しの妙薬」とも言われているどちらも正しいような気がする そこで本当はどうなのかと確かめてみたくなり、意識してため息をついてみた 暇だから・・・ 結論としては心の問題だった不平不満のため息をつくと、間違いなく運が逃げるような気がするしかし、反対に何かを発散させる気持ちでため息をつくと、これは実にいい特にお風呂に浸かったその瞬間は絶好のチャンス そして一つ閃いたどうしても不平や不満の心でため息が出る時は秘伝!「笑いながら、ため息をつく」やってみて下され、中々むずかしい ん?ここに書いたら秘伝じゃねぇな まあいい・・・ 要は、何をするにも心しだいという、ありきたりのお話しかしため息よりも甘い吐息の方がいい...溜息

  • 躑躅

    山で赤いのはツツジにツバキ、と言われているようにこの国の山には、どこにに行っても躑躅と椿が見られるそればかりか庭園や公園などにも何本かは躑躅は見られるこう見ると躑躅は一番大衆向きの花、花樹と言えそうだ 躑躅の花の色はどれも明るく、美しくまるで美の世界を閉じ込めたようでもある  瀬戸内海沿岸では藤色が圧倒的に多い 人生はどうにかなる、という考えを持っている思い通り、願い通りというわけではないが、どうにかなる 多くの方と出会ったその中でどうしてこんな人生を背負ったのかどうしてこんな苦しい人生を課せられたのかと、思った方が何人かいらっしゃる その中のおひとりは他界されたが病弱な方だった体調が良いということがない離婚、二人の子供はどこに住んでいるのかわからない働ける状況でもないため生活保護を受けていたしかしこの方には、...躑躅

  • 友よ

     「暇だぞ!貴様一週間も飲まず食わずでよくお堂に居られるな」「本尊さんがいらっしゃる」東京に住む、元活動家からの電話だった「ところで貴様知ってるか」「何を」「ネットを見てみろ」パソコンを立ち上げ、言われたサイトを見たそしてネズミをカチカチと押した 目を疑った、愕然としたにわかには信じ難い文字があった連休中の航空会社の空席状況そこには満席の文字が踊っていた 「何か会社で制限かけているのかも」「そうかも知れない。それでも貴様これをどう思う。俺には理解出来ない。教えろ!」「反権力でも善悪は別ってことか」「当たり前だ!で、どうなんだ」「そうさなぁ、不倫と一緒だ」「はぁ?何で不倫と」「善悪は分かっていても、欲が止まらない」「でも、人をキズつけるかも知れないんだぜ」「不倫も家族をキズつける」「自分が感染するかも知れないから...友よ

  • 路傍の花 6

    路傍に咲く花は飾られた花にはない素朴な美しさがある ただ、そこで咲いているそれだけで力強い美しさがある しかし花の命は短い一週間か二週間また見に行こうと思う頃には散っている来年も咲くだろうと考えていると夏が来る・・・ 「灯台草」 「蔓日々草」 「透かし田午房」路傍の花6

  • 境界

     休校となったため子供達が再び登山してくることになった運動会も難しいだろうな・・・ 今度は行儀作法の根拠を伝えようと思っているがその中で物理的な根拠のない禁忌がある「襖や障子の敷居、畳の縁を踏んではいけない」だいろいろ言われている根拠は全て後付けで考えられたものと、なると子供にとっては叱られ損ということになる ただ心理的「境界」という考え方があるどっちつかずの曖昧で不安定な状況、これが「境界」でありここは不気味で危険な場所、立場としての禁忌が集中している 時間的には夕方の黄昏時は不気味な時間帯とされている空間的には橋のたもとや集落のはずれには不気味な話がまつわりついているそのため石仏や祠といったものがある人間の場合でも失礼ではあるが妊婦さんは一人なのか二人なのかどちらでもない「境界的」立場となっているためいろい...境界

  • 香草

    「メタセコイアの若葉」 梅が散り、桃の花が褪せ、桜も散りつくせば文字通りの百花繚乱の春の終わりが近い次は緑一色の若葉が野山を蔽う ところで植物を植え、育て、収穫するという行為は先祖代々から受け継いだ本能のようなものだろうか?それに香草というものが含まれるのか?ただ単なる生活の中のほんの少しのアクセントに過ぎないのだが・・・ まあいい 休耕田の一角に香草畑を作らせてもらっている毎年、その殆どは虫さんにお召し上がりいただいているがそれでも浅ましく残り物をいただく根性だけはしっかりと持っているバジル、ミント、レモングラス、タイム、ラベンダー、チコリ、セージetc.香草茶に香草風呂、香草料理・・・ 👂ん?👧📢素直にハーブティー、バスハーブと言え! 😁フッ、こだわりってヤツだ😂🔨👧おだまり! いや、失礼m(__)m絵文字...香草

  • 翻訳をしていると文化の違いによって困ってしまうことがあるこの度は日本語の「恩」に困った 徐々にではあるが絶滅しそうな気配を漂わせている言葉この「恩」という字は「因」の字に「心」と書くつまり、この自分のためになされたことを知ることが「恩」元々は仏教の中から生まれた言葉なので、翻訳の時は同じ意味の単語がない ギブ・アンド・テイクの契約文化の中では育たなかった言葉なのだろうしかしこの国でも全てが合理化され、金銭を支払えばその分の見返りを得られるのが、当然の世になったギブ・アンド・テイクという世界では、自分のために粛々となされてきた「恩」は見えなくなりつつある「恩」は見返りを求めていないからだ そして「恩」に報いるのがギブ・アンド・ギブ「恩」が廃れば「感謝」も廃る ・・・って、ま〜た内職をネタにしちまった おっと、締め...恩

  • 親指

    随分と前になるが、子供達に「今でも霊柩車を見たら親指を隠すの?」と聞いてみたことがある答えは「やっとる、やっとる」だった 全国津々浦々に存在する、このおまじないそして、なぜ隠すのかも「親が早死にする」「親の死に目に会えない」など親に災いが降るかも知れないという意味で共通している親指を隠すという行為は親を隠す意味のようだ 実はこの呪術的なしぐさはかなり古くから色々な場面で行われていた霊柩車の登場以前は「葬列に出会ったら」だったその前は「夜道を歩く時、狐に化かされない」とか「疫病をよけるため」などもあるこれは邪霊などが親指の爪の間から出入りするという考え方からである親指が何かと接触する所であり、その出入口と意識されていたからだろうしかしこれは疫病予防という観点からは理に叶っているのかも知れない親指を握りしめていれば...親指

  • おまじない 皐月

    吹いてくる風の中に緑の匂いがして圧倒されるような新緑の勢い、皐月 さて三月、四月はこれといったおまじないがありませんでしたからお休みさせていただきましたが、五月のおまじないです 先ず八十八夜、今年は五月一日です農作業の目安としてちょうど良い日で作物の安全を祈る地域もあります山からやってきた神様が田んぼの神様になる日でもありますまたこの日に摘んだ新茶で不老長寿、無病息災を祈ります そしておまじない盛りだくさんの五月五日の端午の節句こどもの日であり男の子の節句となっていますが元々は若い女性が菖蒲の力で穢れを払い清める女性の節句でしたその後武家社会になって男の子の節句に変化しました変わっていないのは菖蒲という植物を使うということだけです 五月四日の夜には邪気を払う菖蒲を枕の下に敷いて菖蒲枕にしますこの菖蒲枕の菖蒲を翌...おまじない皐月

  • 黄昏桜

     春嵐がおさまり、快晴の瀬戸しかし春霞に映え、爛漫に咲く桜が終わろうとしている 料理を器と調和させるようにこの国では花の鑑賞でも、ただ花を眺めるのではなく自然の風景との調和を「美」と感じる心があるのだろうしかし桜の花の命は数日今日散るか、明日散るか風が吹くだび、雨が降ると心を乱される いっそ桜がなければ、心は安らいでいるものを・・・しかしその乱れ心を楽しんでいる微妙な心理がある なんて・・・思っていたら、ま~た安っぽく悟っちまった楽しみを形あるものに求めると、限りあるものになる 黄昏桜黄昏桜

  • 春雨

    中学生の頃からラジオの気象通報を聴いている最近まで布団に潜り込み、頭の中で天気図を描くのが楽しみだったが夕刻に一度だけの放送になったので、それが出来なくなってしまった残念過ぎて涙が出た 一時は気象予報士の資格を取得しようかと本気で考えたしかしハズレた時に軒下に吊るされてリアルなてるてる坊主にされそうだから断念した 何故、気象に興味があるかと言うと、雨が好きだからだ雨が好きな人は、雨を見ている人綺麗さっばり、雨に洗い流してまた何かを新しく始められるからかも知れないそう思いながら、何もしないで雨と雨の向こうの景色を見ているのが好きなのだ 春の煙るような、やわらかな雨が地面に吸い込まれ植物の芽吹きを促す生きとし生けるものの素直な喜びだそしてこの雨の水は空から落ちて来たものに違いないしかし、いつ、どこの水か思いを馳せる...春雨

  • 牡丹

     春の雨が静かに大地を潤している心にも潤いが戻らんことを・・・ 原産国の中国では牡丹のことを「花王」とか「富貴花」というらしい 花の色は紅紫色が元で、濃艶濃麗ただ豪華の一語に尽きる この牡丹に似た芍薬があるしかしこの坊主は二つの違いが分からないついでに珈琲の違いも分からないだから生産国の方々と同じように塩を一つまみ入れていただくん?それはどうでもいいな・・・ 立てば芍薬、座れば牡丹とは言うが牡丹は木で、芍薬は草らしい 何はともあれ、たんたんとして散り際の良い、牡丹の花 境内の牡丹  これもついでに石楠花牡丹

  • 百花

     境内、裏山で花が次々と咲いている どんな花が咲いてもその中にひそむ生命力を感じる地に落ちた種が芽を吹きやがて蕾をつけ花を咲かせるしかし、それもひと時また朽ちて自然の中へと還る 「大王茱萸」 清らかな花、可憐な花人はそれぞれによって見方は違うしかし、蕾が膨らみ、花が開いて香りを漂わせる時これを見る者は「無言の説法」を聞く 「黄花碇草」 「花はなぜ美しいか」を感じた時人の心は温まり、やすらぎを覚えるそして純真なものとなる 「木五倍子」 「里桜」百花

  • 殺生

    境内に咲く「菊桃」 仏教では殺生を禁じているしかしそれは何故なのか?「命はかけがえのないものだから」これは答えになっているようで、答えになっていないでは「法律により処罰されるから」いや、それなら法律がなければ良いのかということになる 殺生は人間に害になるものであってもそれを禁じている先般も記したが物理学で説明するところのエントロピーざっくりと言えば無秩序、乱雑というのかも知れないこのエントロピーというのは、例えば部屋を一か月放置すると散らかった状態になるこれをエントロピーが増大するという散らかった状態を止めるには片付ける必要があるつまり部屋の秩序を保つためにエネルギーを加え続けなければならない、ということになる あらゆる生物は、生きている限り外部からエネルギーを取り入れて維持するそこで弱肉強食という食物連鎖が発...殺生

  • 憑依

    今日も麗らかな陽気となりそうな、翡翠の波敷く瀬戸の海しかしストレス系の波が去ったと思ったら、今度は恐い波が来た 不思議なこと、いや、恐い思いをしたことが幾度かある信じられない、お前の好きな嘘だろう、と思われるかも知れないが詳細は控えるが、昨日の祈祷は恐かった 何年か前、見えないものが見えたり誰も居ないのに声が聞こえるという女性の依頼で拝んでいたすると、いきなり後ろから両の手で首を絞めつけられた必死に抵抗したが、物凄い力で息も絶え絶えになったころ異変に気付いた同僚の僧侶が駆けつけてくれたので今日までおめおめと生きている それから寝たきりのお婆さんが仏壇を拝んで貰いたいとの依頼で拝んでいた寝たきりのはずのお婆さんが起き上がり、これまた物凄い力で羽交い絞め同席されていたご家族三人の方々に助けていただいた 他にも、祈祷...憑依

  • 反省

     人間の煩悩まぁ、欲と言ってもいい結晶がウイルスという形になって表れたと思っている 煩悩によって生まれ煩悩によって運ばれ煩悩によって広がり煩悩によって人が病み、そして死ぬ不思議なことではない当たり前のこと 「私は関係ない」とは誰も言えないと思っている安全、快適、能率、便利、利潤といった価値観の現代そして今、不安、危険、不便、不足、苦痛を手に入れた 自分は煩悩だらけだと笑っていた人がいた煩悩があって何が悪いと開き直る人もいたしかし煩悩を甘く見てはいけない人間の行き過ぎた煩悩によって物理学でいうところのエントロピーが増大した自然界の均衡が乱れた、秩序が乱れたのだろう 薬が開発されたとしても、それは一時のもの再び歴史は繰り返すだろう 今は祈る時ではなく、願う時でもない煩悩を辛抱と我慢、気配りで抑えただひたすらに反省す...反省

  • 犠牲

    花曇りの瀬戸・・・ 子供達が去ったと思ったら今度はストレス系のご相談で来寺される方が何故だか続いた お話を伺ったところ、どうも煩悩に苛まれた結果のように思えたこういう場合だと孔雀明王さんに煩悩を食べていただくお作法があるがお話だけに留めた どのような煩悩かというと無益な感情や想いから自分の行っていることが善いことと思い込んでいるのだ犠牲的精神や必要以上の義務観念犠牲的精神と言えば浪花節だが、止むに止まれぬものはともかくとして日常や会社でのこの精神は本人が気づかぬまま「こんなことまでしてあげている」「こんなことをするのは私だけ」という自己主張、負のアピールをするしかしこれが無用なのであるそして認められないとなると陰に籠った「犠牲心」により悪循環を起こし、心を患ってしまう犠牲的精神というものは、どこかで補償作用を求...犠牲

  • 疫病

    春の瀬戸 昔の人達は疫病に対してどのような、おまじないを使っていたのかそこから疫病をどのように捉えていたのか・・・ 疫病と言えば祇園祭りですこれは蘇民将来の説話に由来しているお祭りで街中の疫病を山鉾や花笠で集めて京都の場合は八坂神社へ奉納しますそこには疫病の元締めさんが鎮座されているので、子分達の悪戯を鎮めて貰います同じお祭りは全国に多数存在しています この蘇民将来の説話から出来たおまじないのお札が下の写真ですこれは江戸時代のまじない本です写真は身に着けるお札で、他には家の戸に立てる木札、紙札疫病を除く札、疫病消除の札、疫病人の枕に立てる札、疫病人の乱心を留める札疫病の薬の処方等もありとあらゆる場面に対してのおまじないが記されています  特に蘇民将来のお札は「我が家は蘇民将来の子孫です。ですからご先祖様同様に疫...疫病

  • 鬱金香

     チューリップに和名があるとは知らなかった「鬱金香」なぜ「鬱」という字があるのか悩んでしまったまあいい・・・ 春の数多い草花のうち、チューリップほど世界に広がった花も少ないだろう地中に埋もれている球根から出る数枚の白粉を塗ったような葉 その真ん中からスーッと出る一本の花茎その花茎の先に着く、ただひとつの花はじめは口を結んだ貝のようこれが陽気に誘われ、おもむろに口を開いて開花する 花は淡いピンクに深い紅、黄に紫、黒に白しぼりにぼかし、染め分け・・・淡泊ですっきりした姿はモダンでスマート透き通りそうな色合いで、しとやかでなごやか上品で気品もあり、しかも堅からず 春風が吹くと、右と左、前と後ろに揺れる花壇の群生もいいが、一輪挿しもいい オランダで数々品種改良され、アメリカへそしてこの国へ渡って来たらしいしかし今では莫...鬱金香

  • 珈竰

    春霞の瀬戸・・・ 約一か月の子供達の登山が昨日で終わった最終日ということなので、子供達と一緒に千巻心経を行った千巻心経とは1080÷人数=??巻の般若心経を読誦するものある意味、参加型のちょっとした「行」とも言える子供達とこの坊主で七人だから各々百六十巻一昨日写経したものをみんなで声を揃えて読み上げる所要時間は約五時間途中に休憩はない手洗いに行く者は本尊さんに一礼して出堂し、再び入堂するこの時世もあってか、子供達は真剣であった、そしてよく頑張った 昼食は中学生の呼びかけで各自が食材を持ち寄り坊主へのお礼として精進カレーを作ってくれたお肉の代わりに豆腐を乾煎りしたもの、蒟蒻、油揚げ、野菜どうやらネットで調べたらしいが素晴らしい・・・と、ここまでは良かったがいつも通りのてんやわんやの大騒ぎで完成したのは昼の3時過ぎ...珈竰

  • 応援

     大学時代、応援部に所属していた昭和の時代である今のようにチアリーダーや吹奏楽といった華やかさや鳴り物もなくただ、ただ声だけの応援 そして応援部は理不尽の固まりだったまず入部と同時に強制的に寮へ入れられるそこでは一年はゴミ、二年は奴隷、三年でやっと人間、そして四年は神様だ黒いものでも上級生が白と言えば、白で、何かの組織のようだった 学内では当然のことながら不気味で迷惑な存在である真夏でも擦り切れた学ラン一丁の着た切り雀ベルトの代わりに何故だか女性物の腰巻角帽はたばこの灰を塗りつけて、床で擦ってテカテカにした足元は不必要に先の尖ったヨーロピアンと呼ばれていた革靴頭髪は角刈りこんな輩だから女子学生は目を合わさないか汚いものをみるような目で通り過ぎていた 練習は天気、時間を問わない河川敷休み、という言葉はない応援の依...応援

  • 桜花

    桜の花を見ると思い出すこの坊主をこの寺に誘った今は亡きシベリア帰りの爺さん遺言が二つある一つは戦友の眠るバイカル湖畔への墓参もう一つは寺の解体、そしてお金はないと・・・一つ目は昨年約束をはたしたもう一つは再来年に実現できるだろう 晩年、杖に顎をのせてよく話してくれた 眉毛が白く凍り、寒さに加えて食糧が乏しいのには参った戦友達はバタバタと肺炎で死んだよシベリアの春はなかなか草が生えないんだ空腹を押さえるために空缶を腰に吊るして野草摘みが仕事だった四月頃だったか川辺に行くと白い花が咲いていたんだ風にそよいでたよ「辛いけど、辛抱したら帰れるよ」と話しかけているように見えたそうしたら気持ちが軽くなってな、異国の地に果ててなるものか何としても生きて帰る、生きて桜を見る、と勇気が湧いたよ河原で見た、あの白い花が桜に見え、力...桜花

  • 断つ

     戦前までは願掛けには断ち物という一種の法則があった何かの願い、即ち何かを得るために、何かを断つという考え方である例えば、大学合格を願うのならばゲームを断つこれは誰が考えても理屈が通ると思うようは仏様や神様に大好きな物を断つことを誓い、迷いを断っていたのだ 有名なのは上杉謙信の「女断ち」、これは生涯不犯だったらしいまた春日局は「薬断ち」、病気がちの家光を助けるためだったらしい何だか話がおまじないになったなまあいい・・・ このように何かに願いをかけた場合、同時に願いごとに対する自分自身の責任と覚悟がなければ祈りにはならない交通安全・商売繁盛など、これらは偽らざる願いだろうしかし自分さえ安全であれば良いのか、自分さえ儲かれば良いのか、ということになるそうであれば仏様や神様は実に不公平だそうではなく、商売繁盛を祈るの...断つ

  • 体験

    説教本というものが時々送られてくる頼んだ記憶はないが、無料だから受け取る昨日も一冊迷い込んできた しかし既に送られて来た本の内容とさぼとの変わりはない誰かが言ったり、書いてあったことを次の誰かが表現を変えて書く、そしてまた次の誰かが・・・という流れになっているからだろう仏教という括りがあるから仕方のないことだとは思っているしかし著者である僧侶の体験に基づいた記述が乏しいのは残念だ 「冷暖自知」という言葉がある水は見ただけでは、冷たいか、温かいか、ぬるいかはわからない触るという体験でしか本当の水温を理解することは出来ないという意味 体験することにより、その本質を掴み、物事を判断する力これが経験となるしかも水に手を入れた時に感じる温度も人それぞれでありいいも悪いもない 体験して得られた経験は自分自身のものになるだか...体験

  • 現在、とあるお寺の僧侶が初めて八千枚護摩供に望んでいる 大学を卒業し、大手と呼ばれている会社に約十年務め四年程前に本山の修行道場で一年間学び僧侶となり父親のお寺を継ぐために故郷の地に戻った しかし本山では拝み方やお作法といった一種の技術指導は行われても僧侶として、人としての指導はない、カリキュラムをこなすだけであった様々な養成学校と同じであるしかしそれは仕方のないことだと思っている この坊主はというと師僧に弟子として受け入れて貰うために二年程通い続けたそして弟子として作法や考え方、生き方を三年間学んでから本山の筆記と実技を受験して僧侶となったしかしそれでも不安だったましてやカリキュラムをこなしただけの真面目で誠実な僧侶はもっと不安だったこれで他人様を拝ませていただいて良いものか自分に拝む資格があるのか、自問自答...望

  • 杏花

    暇なだけが取り柄の寺に戻った鶯の声だけが木霊している とは言え、作り置きの食べ物がないので料理坊主になっている今日はワカメ出汁です仏教には「身施」という言葉があります自分の手足を動かし、世の中のために働くことです自分の利益にならないことに身体を動かす何だか、出汁の昆布やワカメのようです表には見えない出汁、料理の味や見栄え以上に大切なものがあると思っています で、昨夕の献立は出汁に使った、ワカメと豆腐のサラダその辺りのワカメを刈って来て、適当に切ります絹ごし豆腐を1㎝角程度に切って、笊に上げて水気を切りますそして器の上にワカメを敷いて豆腐を乗せますそこに豆腐マヨネーズをかけて完成豆腐マヨネーズは絹ごし豆腐に、リンゴ酢か普通の酢、塩、コショウそれにオリーブオイル入れて、泡立て器でかき混ぜれば完成 次はセロリの塩きん...杏花

  •  本行も三日目くらいになると心が乱れる「なんでこんなことをやるのか、こんなことをしてなんになる」疑問や迷いといったものが生じると魔が入って来る 先ずは睡魔が襲ってくる座ったままで床に倒れるのだ痛くて目が覚めるのでは、と思われるが睡魔の力というのは、そんな生易しいものではない 倒れる時の気持ちよさ、ふわーっと無重力状態での空中遊泳のようだ無重力の経験はないが多分そうだろうところが意識の中では座っているのだそして倒れて目が開いて飛び込んだ光景にキョトンとなる「ここはどこだ」みたいに次に意識がはっきりして倒れている自分にびっくりする初めのうちはこの繰り返しだった初回の「行」では寝る場所を探してしまう浅ましさもあった睡魔の力は最強で肉体や意思の力など吹き飛ばしてしまう それでも何とかこなしていると徐々に気力が失われ、身...魔

  • 桃畑

     小高い丘がほんのり、淡い桃色になった桃の花が咲いたのだ カメラをぶら下げて行ってみると自称、桃娘のひとりの婆さんが蕾を摘んでいた清水白桃は花粉付けをしなくても、自ら受粉するそのため蕾を間引かなければならないおおよそ2米の枝に百個実らすらしいだから婆さんは満開になるまで毎日蕾を摘む 梨や柿は古木ほど良質の実を成すが、桃は十五年程が味、色、艶、香りが熟れる時期そして三十年程で力尽きる「人間と同じよ」と婆さんは笑う 花が終わり、身を成すと袋をかけ、黄色い夜間照明で虫を払う虫が一か所刺しただけで、そこから黒くなり流通出来なくなるからだ しかし婆さんは「何が美味しいかって、それは朝一番で虫に刺された桃をもいで食べるのが一番美味しいよ。桃は収穫した瞬間から劣化が始まるからね」 帰り際「豊作祈願と灰を頼むよ~」と声をかけら...桃畑

  • このところ毎日少しの時間だが、子供達と一緒に坐禅をしているしかし説明が難しいこれが坐禅かな?と思っていても果たしてそれが正解なのか、どうなのかは各々の頭の中のことだから誰にも分からないからだ 四十代の頃まで坐禅、瞑想の類は大の苦手だった悪い思いを除き、色々乱れた想いを捨て、あれこれ念想してはならないまた心に色々と思い浮かべることもならないひたすら心をあらゆるものの真実と心を一つの状態にする・・・そうは言っても心は静かにはならないものだただ疲れるだけだった しかし転換期があったお寺の横に道があり、車が走っていた懸命に坐れば坐るほど、車の音に悩まされる半日も坐っていると、へとへとになっていただから車の音から逃げるため、夜に坐ることにした そんなある晩、床の上に一匹の大きなムカデが音もなく軽やかに歩いていた蝋燭の炎に...坐

  • ようやく普通食が食せるようになりましたしかしお肉やお魚は匂いが・・・ と言うことで、昨夜の一般人復帰の一人祝いのお献立先ずは出汁ですが豆出汁大豆は護摩の供物の一つなので常備していますから、わざわざ仕入れる必要がありませんそして豆出汁はコクがあり個人的に好みです大豆をフライパンで煎って、軽い音になったら火を止めます鍋に水を入れて火にかけて、沸騰したら止め、半日置きますこれで出汁は完成 汁物は雪片汁ですお供えに使用した野菜の皮をみじん切りにして、ゴマ油で炒めます炒めた物を豆出汁に入れて、しょう油を落とし、溶き片栗粉でとろみをつけて完成 次は裏山から掘って来たタケノコあく抜きをしたタケノコをバターとしょう油で炒めますそして白みそ、みりん、木の芽と和えます お次はいただきものの長いもの柚子胡椒揚げ長いもに柚子胡椒をまぶ...食

  • 問答

    子供達は登山してくると、先ず鐘を突く到着の合図として集落に響き渡らせるためだそして小学生は庭掃除、中学生は客殿の掃除それが終わると本堂に集まりお勤めをするまるで小僧さんだ しかしここで三日坊主の本領が発揮されているなんと、般若心経に飽きたと言う仕方がないので般若心経をサンスクリット語で唱える練習をしたところが一週間も経たないうちにスラスラと唱えることが出来るようになったのでこれまた飽きたと言い出した、弱ったもんだ 弱ったと言えば、子供達からの質問にも弱るどの角度から質問されるか、まったく予想がつかないからだ 先ず「何で結婚してないの~」「やかましい、男の事情ってヤツだ」 次に「最後まで生き残る人間は誰だ」と来た誰とまでは知らないが、フフフッこの答えは知っている弱肉強食、他人を蹴落とし、競争を勝ち抜く人、巧妙に立...問答

  • 菜花

    江戸時代まではなかった菜の花畑油が採取出来るようになってから出現した風景 花の色は柔らかい黄色、所謂「菜の花色」人に好感を持たれる色咲きかけの頃は、恥じらいの色も見えて瑞々しく、まるで乙女のようだ 菜の花畑に踏み入れると、甘ったるい花の香り蜜を求めて忙しく花から花へ飛び回るミツバチの群れ羽音と羽音に揺れる花びら零れる黄色の花粉花もミツバチも生き生きとしている畑・・・ 二十四番花信風雨水第一候「菜花」 芥子菜 芽花野菜(ブロッコリー) 油菜 水菜菜花

  • 柳花

     強さにも様々な強さがある弱音を吐かない強さ笑い飛ばす強さそして柳の枝のような強さ しなやかなものは堅いものより強い柳の枝は風になびき、身を任せきっている柳のような心の強さ しかし人はめげる時もあるそんな時は新芽のような立ち上がる強さ しだれ桜、しだれ梅、垂れる木はいくらでもあるしかし柳ほど優美で、おおらかなものは少ない枝垂れの美しいのは、ほのぼのと新芽の芽吹き始め萌えて煙りのような緑煙絲花が終わると柳絮となって飛び漂う 柳絮が雪のように降り積もる様を見てみたい 妙に哀感をそそる木、垂れ柳 二十四番花信風「柳花」清明第三候 柳花

  • 酒場

    昨夜、手紙類を整理していたその中の一枚、時代遅れの手書きの年賀状そして記されている内容はバカがつくほど丁寧 酒場をやっている友人がいる大学時代、すぐにでも司法試験に合格するのではないか、というくらい冴えた頭の持ち主だった しかし時代遅れの活動家だったどちらも時代遅れという相似点からだろう応援部の坊主と不思議に馬があったなぜ酒場をやっているかというと、妙に料理がうまいのだ和・洋・中なんでも、実にうまく作る 学生運動の組織が完全に壊滅してから、どこか人生を降りた者のシニカルさを漂わせ余ったエネルギーはすべて料理に注ぎ込んでいるという感じであった また礼儀正しい江戸へ行ったついでに店へ寄っても、ございます言葉というヤツを使うそれが不気味だったこの男が鉄パイプを握って、権力を相手にどんなふうに暴れ、闘ったかを聞いている...酒場

  • 路傍の花 5

     「紫片喰」 生命の命は無生物から生まれたそして今たまたま人間として生きているそれ故、木にも、石にも、雷にも、路傍の花にも畏敬の念を感じる 「菫」「金瘡小草(キランソウ)」路傍の花5

  • 結果

    空が白い春霞なのだだろう、穏やかな温かい一日になりそうだ さて「行」の前後、都合三回の心理検査があったことは前述したそして、結果が出た 信仰者ならば「行」の意味を理解することが出来るかも知れないしかし宗教的世界観を持たない人にとっては酔狂以外の何物でもない「ならば!」と、教授が世界観の違いを超えて、世間に通用する「人格」の変化について分析した 質問には「はい」「いいえ」「?」の三通りの答え方一回の検査で290の質問に答えた自分を偽ろうとしても、バレるように問いが組まれていたらしい ・・・で、結果に教授は驚いたそうだ「これほど心が健康な人はいない、信じられない」だった中でも変化が見られたのは「自由な子供心」すなわちオッチョコチョイなところ天真爛漫さは影が薄れ、思慮深くなったらしいそして「大人の自我状態」が大きく高...結果

  • 蒲公英

     子供達はお弁当を持って来ているまだ食べれないくせに食い意地の張っている坊主はそれを眺めている お弁当のフタを開ける時、期待でワクワクしているみんなの顔が微笑ましい自分もこういう顔をしていたのだろう好物が入っていて嬉しそうな子何から食べようか迷っている子エネルギー注入するぞと肩を怒らせて食べてる子中には昨夜の残り物でガッカリしている子もいる 中学生の二人は自分で作っているらしいこれが実に面白い卵焼きを作ろうとしたらスクランブルになったり隙間がありすぎてグチャグチャになったりご飯の中に輪ゴムが入ったりと、大騒ぎしかし箸が転んでも笑うお年ごろ、すべて笑い飛ばしている そして、坊主もお弁当という時代があったいつもお昼前になると祖母がお弁当を幼稚園まで届けてくれていた成人してから聞いたが、朝からお弁当を持たせなかったの...蒲公英

  • 遍路 華

    今日はお彼岸の入り昨日、この地に神様の使者、燕がやって来た十六団子の日に燕とは、ありがたいことだしかしよく見ると、どの燕も羽根が傷つき痛々しい長い道中の過酷さがほんの少しだけ垣間見えたようなこの北風の吹く中よくぞ、と婆さんと話していたら「わたしゃ、燕は燕でも若い燕のほうがいいわ」だと・・・ま、まあいい、今日からお彼岸だ さて、ネタが尽きたら登場する六種供養の続きですお仏壇やお墓にお供えするお花は花がいつもニコニコと咲いているように、私もあらゆることに耐え忍んで笑顔で暮らしますと、仏様に誓う「忍辱」の意味ですそこから刺や苦みや毒のある花はお供えしないことになっています お供えは自分のため、と以前記しましたがそれが最も分かりやすく表現されているのが、お花だと思いますお花をお供えする時には、お花をこちら側に向けるはず...遍路華

  • 木蓮

    春時雨の中、今週から中学生の二人も登山している良く気がつき、低学年の面倒を見てくれるからもの凄く助かる ・・・んな訳で、不安定な天候なので、お勉強が終わったらヨーガを一緒に行うつもり以前からヨーガのポーズの意味について、思い出したら調べていたどういうことかと言うと、例えば、逆立ち!このポーズは般若心経の「一切の顛倒夢想を遠離す」の一節を身体で体感するためのポーズ、という考え方がある人間は横になるか縦になるかで、立って歩くのが常識だしかしこれがいかに顛倒と重大な錯誤をおかしているかそれを逆立ちの生理的効果もさることながら、身体をもって体感する・・・みたいな感じで、ポーズの意味から何かを感じるヨーガ  さて、写真は何故だかお寺で良く見かける花、木蓮ご多分に漏れずこの寺にも植えられている 花には紫と白があるが、紫が木...木蓮

  • 化す

     「もらいに来たよ」と、連日取り立てが厳しい借金ではないが、灰仏を取りに来られているのだしかし今年は土・日しか作れないから、それほど完成していないそれに明日16日は十六団子の日、山の神様が里に降りて来られる日だからお供えの団子も作らなければならないし、坊主の誕生日でもあるん?それは関係ねぇな さて、灰仏とは護摩の灰と粘土を混ぜ合わせたもので造った仏像のこと「護摩の灰」と言えば、江戸時代にお大師さんが焚かれた護摩の灰、と偽り押し売りをしていた者がいたそこから騙して売る者や押し売りをする者を「護摩の灰」と呼ぶようになった現在「胡麻のハエ」と言われているのは、胡麻にしつこくたかるハエのイメージが語源とされているが「護摩の灰」を聞き間違えまま伝承されたものであるまた「誤魔化す」も当て字と言われ、「護摩化す」が正解のよう...化す

  • おかめ

    子供達が帰ってから濡れ縁に腰掛け、おかめ桜の花びらが舞うのを眺めていた すると山門からひょっこりと女性の顔が覗いたそしてペコリと頭を下げて、笑顔でこちらへ歩いて来るこの坊主の居場所を調べて、わざわざ訪ねて下さったのだ 八年前、とあるお寺に出仕していた時、彼女からご祈祷の依頼があった心願成就ではあるものの、滅多にない、拝んだことのない願いごとであったそれもあってか妙に記憶に残った それから五年の歳月が流れたその間に坊主はこの寺に移って来ていた深夜、内職をしていると彼女の名前と歌声がラジオから流れてきた調べてみると五年前のお話通り、人の心に寄り添う歌を歌っていた 昨年、近くの町で彼女のコンサートが催されることを知り二階席の片隅で透明な歌声を聞いた人の心に寄り添い、全力で励ます姿がそこにあったそして願いの一つが叶った...おかめ

  • 平和

     昨夕、今朝の勤行の準備をしていたら一本の護摩木があった護摩木に書かれた「世界平和」という文字「平和で安心して暮らせる社会」聞いたり、見たりしているスローガンだおそらくは平和の反対語を戦争と定義しているものか昨今のコロナ終息を願うことだろうと思った しかし戦争が無くても、コロナが終わっても平和とは限らない残念ながら、あくまでもスローガンであって実際には絶対にないと思っている事故もあれば、天災もある健康な人でも病気になるつまり、この世は無常だからである フォローさせていただいている方も「常に備えよ」と記されていたが無常とは絶対的なものなど何もないということこれは仏教だけでなく物理の原理原則なのだこの宇宙が無であれば、絶対安定だが有である以上、絶対不安定なのだ 大切なことは、無常を覚悟して腹を括ることどんなことがあ...平和

  •  何か、おかしいこんなはずがない、とずっと思っていた奴等は待っていたのだ猫を被り、密かに爪を磨ぎ・・・この坊主が回復するのを、じっと待っていたのだそして、ついに待つ時は終わった御意見無用、釈迦に説法とばかりに全く言うことを聞かなくなったしかし奴等は奴等なりの仁義ってヤツを通したなので、子供達とヨモギ摘みに出掛けた さて、そのヨモギだが厄を払う薬草と言われている桃の節句は過ぎたが、厄を貰ってくれる雛人形には草餅をお供えするこの風習はかなり古いしかし現代は菱餅というものが台頭してきたこの菱餅、元々の草餅の上に見栄えが良いからと紅白の餅を重ねたものなのだ厄をもらってくれるありがたい人形という風習が廃れ単なる飾りものの人形になってしまったからだろう惜しいことだ・・・ その草餅に入れるのがヨモギである餅に入れるので餅草と...蓬

  • 努力

    子供を迎えに来たお母さんが愚痴をこぼすこの子は努力をしない、と・・・お腹の中で育んでいる時は、無事に生まれることだけを願っていたはずなのに何かと比較するから、そう思えてしまうのだろうまぁ、親としては当然の思いだ おそらく努力という意味を、多くの人は前向きに進む努力ばかりを考えがちだ確かに前向きに考え、行動するのは努力に違いないしかし待つことも努力、耐えることも努力、忘れることも努力、反省することも努力認めること、許すことも努力、食べること、休むことも努力 前向きばかりの目立った努力しか見えなくなると人の考えが理解できなくなってしまうそして自分の目標を達成することもできなくなってしまう ・・・と、こんなことをお話したすると「あぁ~スッキリした~」とお母さんは足取り軽く帰っていったたまには真面なことも言えるんだ、と...努力

  • 翻訳

    煙るような温かい春の雨が降っている色とりどりのカラフルな傘をさしながら子供達が元気に登山してきた今日も不思議なくらい静かにお勉強中そしこの坊主は「行」に終わりを告げる便通開通(不浄な話で失礼) しかしお寺の決算が近づいているそして数字を見ると「鬱」になるしかしこの「鬱」という漢字は、見ただけで鬱になるから不思議だ良くできた象形文字なのかも知れない 鬱の原因である決算は、それほど難しいものではない寧ろ、お寺の解体費をどれだけ残すことが出来たか、である余談だが坊主丸儲けと言われているが、税が免ぜられているのは法人のみで法人から支給される給与は個人なので課税対象となっているから丸儲けとはいかない そんなことより、この寺には自分の給与を捻出するゆとりも時間もないそこで「無」を目指す坊主として、自分の給与を「無」にしたそ...翻訳

  • 遍路 彼岸

     今日から子供達が登校ならぬ登山しています今は静かにお勉強中です さて、お彼岸とお盆は坊主の稼ぎ時ところが貧乏なのに、お彼岸の檀家さん参りは行っていません何故なら、お参りする理由がないからですお彼岸は各人が修行する期間であって、言わば仏教週間では、どんな修行なのかと申しますとそれは先般より記している六種供養を実践することです六種供養は先日記した線香が精進、お水やお茶湯が布施そして記していませんが、お花は忍辱、ご飯は禅定、ご灯明(蝋燭)は知慧塗香(手に塗るお香)は持戒、と各々意味がありますこれを仏教的に簡単なことを難しく言えば、六波羅蜜行ということになりますしかし振り返って見るとこの六種供養が何故大切なのかを記していないことに気づきましたこれは大失態・・・(;^_^なので、今日は少々説明させて下さい 人が持ってい...遍路彼岸

  • 供花

    今朝は梅若の涙雨なのか・・・ 本行の二日目だった深夜、堂内で真言を唱えながら、喉の渇きに耐えていた ふと、目に入った百合の花前日、信者さんが持ってきてくれたものだまだ蕾である線香の煙と蝋燭の光のみの堂内その仏前に百合は生けられていたその蕾が開き始めた 最初は蕾の先の方が少し割れるそれから花びらが少しずつ開いてゆく一時間ほどなのか、刻をかけてゆっくりと咲く、百合の花喉の渇きを忘れて、じっと見つめていた 「生きている」百合の生命の躍動を目のあたりにしたすごい生命力、すごい生命の働き蕾から花びらが割けて、開花する感じが身体に響いた 根を切られ、花器の水しか与えられず、煙に燻され陽も当たらぬ堂内それでもいじけずに平然と花を咲かせるこの自然の営みに「生きがいとは何か」という問いに答えがあるのかも知れない人間はどこでも幸せ...供花

  • 遍路 香

    境内の掃除が出来ていなかったので荒寺の風情を漂わせている子供達にやって貰おう、なんてズルいことを考えているさて、四国ではお遍路さんの鈴の音が響いていることだと思います今年は閏年四国遍路は時計周りに徳島、高知、愛媛、香川と巡ることを常としています閏年はこれを逆に巡ると、ご利益が何倍にもなると言われている年これはお遍路さんが考案した衛門三郎伝説に因んだ、おまじないですしかし、このおまじないの原点は単に逆に巡れば良いというものではありません逆とは異なる角度、即ち物事を一方向だけで見たり、考えたりするのではなく時には異なる角度から見てみる、考えてみることのキッカケですそこで何かに気づき、活かせればご利益に通じるということになります遍路に限らず普段のお散歩でも時には逆に回ってみると新しい発見があるかも知れません さて、表...遍路香

  • 桃花

     桃と言えば、昔話の桃太郎が思い浮かぶしかし不思議なお話だ「なぜ?」が多すぎるにも程があるからだまず、なぜ「桃」なのか「梅太郎」でも「松太郎」でもよいではないかそして子分の猿・鳥・犬より熊・鷲・狼の方がはるかに戦闘力は高いと思うのだが・・・しかし「桃」でなければならないし、この子分達でないとこのお話は成立しない 諸説あるようだが、その中でこのクソ坊主が「なるほど」と思った説があるこのお話は陰陽、風水といったおまじないが絡んで完成された物語という説「桃」は厄払い、魔除けの木として家の玄関脇などに植えられる木であるそして三月三日の桃の節句は厄払い、魔除けの節句として人形に厄を移すものだそこから厄や魔=鬼となり、鬼を退治出来るのは「桃」でなければならないそして鬼の姿と言えば頭に角があり、虎のパンツを穿いているこれは干...桃花

  • 検査

    さらばえた身を休めていた体重は予想通りの46.7㎏身体に異常はないらしいしかし、食事は重湯である腸が張り付いた状態、つまり生まれたばかりの赤ちゃんの腸と同じ身体だけでなく心も戻れれば良いのだが・・・ 何年か前に学校へ行くことが出来なかった時に少しだけ関わった青年が世話をしてくれている今春より大学院生だ臨床心理士の資格を取得したいらしい青年の先生でもある教授から二回目心理検査を受けていた「行」の前と後で、どのような人格変化があるのか、研究するらしい面白そうだから、得意技のやせ我慢を封印して質問に正直に答えた最後に個人的な質問として「何故、危険を冒してまで行を行うのか」と問われた 大時化の海から救助要請があった時その大時化の経験がなければ現場へ辿り着くことは難しいもし辿り着けたとしても、救助の経験が無ければ救助は難...検査

  • 成満

    無事に終えました。ありがとうございました。成満

  • 二月二十五日

    二月二十五日火曜日   前行結願。本日、十八時より本行入り。準備万端、体調良好。問題なし。常の如し。南無大日大聖不動明王南無大師遍照金剛 皆様へいつも、ありがとうございます。ご心配おかけ致しております。そして何より、お心遣いに感謝致しております。18時より、本行に入ります。3月3日の結願までは手洗い以外、お堂から出ることはありません。また、結願後も2~3日程度は体力回復に努めますので、こちらの更新は出来ません。宜しくお願い致します。二月二十五日

  • 二月二十四日

    二月二十四日月曜日 昨日は天皇陛下誕生日、仁王経を読経す。明日、夕刻より本行入り。心が静かになった。妙に覚醒している。お不動さんにまかせきれる。常の如し。二月二十四日

  • 二月二十三日

    二月二十三日日曜日 昨日は姪っ子とその友人が来てくれた。診断の結果は異常なし。さすがオッチャンと褒められる。心臓に出来るだけ負担をかけないようにとのこと体調良好。常の如し。二月二十三日

  • 二月二十二日

    二月二十二日土曜日体重52.4㎏体温36.5 雨 昨夜、総代さん、世話人さんと最終打ち合わせ。寝返りをうつことが多い。本行が近づいているからだろう。心が定まらない。迷いばかり。どうしたら八千の護摩木を焚き上げられるか。常の如し。二月二十二日

  • 二月二十一日

    二月二十一日金曜日体重53.0㎏体温36.7快晴 少々息切れがする。力が入らない。蓄えがなくなってきたのだろう。本行に向かうのが怖い。 行をするだけではだめだ。仏様に対する純粋な心なくして行は成り立たない。心が定まらない。ここからが正念場。お不動さんにまかせきる。常の如し。二月二十一日

  • 二月二十日

    二月二十日水曜日体重53.3㎏体温36.5曇り 護摩木にコロナウイルスの終息を願うものが何本かある。感染がどのような状況になっているのか詳しくは知らない。昨日から拝み方を調伏から息災に変えた。そもそも罪のないウイルスを調伏すること自体が間違っていると思ったからだ。戦時中、高野山の管長猊下は敵国の調伏祈祷を毎日修していた。そして終戦後、自ら命を断たれた。そこまでの覚悟がないと調伏は出来ないのか?いや、それでも出来なかったのだ。それならば、人にとってのこの災いを良い方向へ転ずるように変えるべきなのかも知れない。転禍為福の術ならば調伏ではなく息災となる。人は産業革命以来個々の伝染病を様々な力で調伏して来た。しかし伝染病は後を絶たない。自業自得の宿命と言えばそれまでだが・・・。体調良好。前進、前進。常の如し。二月二十日

  • 二月十九日

    二月十九日水曜日体重53.2㎏体温36.6 本行まで一週間。今日から食事と水を徐々に減らす。結願後は47㎏くらいかな?順調、順調。本行中は座り通しなので、痩せ過ぎたら一昨年みたいになる。お尻が床ずれして、白衣に血が滲んで結願後に痛かった。 この二日ほど色々な方の訪問を受ける。精神的に不安定な方が多い。もっぱら聞き役になっているが、適切な言葉がかけられない。つくづくダメな行者だ。しかし行をしていると何でも出来る能力がある如く思われるのには困ってしまう。これは幸せなのか不幸なのか。いずれ分かる日も来るだろう。だが、ここに来て下さったのは良かったのかも知れない。この方々の誤認を逆手に取れば、いくらでも儲け宗教、脅迫宗教が出来る。それだけは防げる。体調良好。護摩木20000本超。お不動さん、ヤル気満々。常の如し。二月十九日

  • 二月十八日

    二月十八日火曜日体重53.2㎏体温36.6老眼鏡が要らなくなってきた。細かな字がはっきりと見える。体調良好。体調というものは集中力、知力、体力の欠乏に直結するのかも知れない。食事が美味しい。大根、ホウレンソウ、ふきのとう・・・どれもこれも檀家さんが育てて、差し入れて下さったものばかり。行になると、今まで何故調味料を使っていたのか不思議になる。そして行を終えたら魚や肉が臭くて当分は食べれなくなる。行を終え、最初に口に含む朴の湯(ほうのゆ)の薬草が姪っ子から届いた。コウボク・ソウジュツ・カンゾウを水で一時間ほど煮たものを少しだけ飲む。甘苦い味がする。喉を過ぎると胃にたどり着くまでに身体に全て吸収されているような感じになる。常の如し。さて、今日は説明を少々。まず、八千枚なのに二万枚焚くのであれば、二万枚護摩なのではと...二月十八日

  • 二月十七日

    二月十七日月曜日体重53.2㎏体温36.5晴れ久しぶりに冬の匂いがしたそして空気が張り詰めている二十年程前、初めて八千枚護摩を焚いた時のことを思い出していた断食、断水、不眠、不臥の五日目身体はフラフラしていたらしいが、意識はハッキリとしている寧ろ五感は普段とは比べものにならないくらい鋭くなっている目から入る画像は全てがスローモーションのように見え見たり、聞いたりしなくても、気配で人の数が分かり線香の香りが立ち込めていても、便秘の人はすぐに分かりうがいに使う水を甘く感じそして肌が呼吸しているのを感じていたその後、人生観が変わったその、瞬間があったこれまで生きてきて、うれしくて涙を流し、悲しくて涙を流したしかし、それはまだ自分が何かをやっている、という考えの段階だったそれを越えて、自分はやらされているのだ、と気づい...二月十七日

  • 二月十六日

    二月十六日日曜日体重53.5㎏体温36.6雨雨に濡れる、静かな境内。妙な夢を見た。右腕に蛇がからみついて離れない。お不動さんは右手には知剣を持っている。その知剣に龍が絡んだ剣を倶利伽羅剣と呼ぶ。まさか・・・んな訳はない。まぁ、吉祥の知らせということにしておこう。身体が軽い。頭が冴えてきた。血液が食べ物の消化に向かわず、殆どが頭に集まっているからだろう。1日1食、五穀抜きが普通となり、身体が本行に進める状態になりつつあるようだ。次は頭から余分なものを削ぎ落とす。護摩木がまた足りなくなりそうだ。常の如し。二月十六日

  • 二月十五日

    二月十五日土曜日体重53.3㎏体温36.7お釈迦様、ご入滅の日原因は食中毒らしい、80歳だったとか。夕刻から涅槃会を予定。お釈迦様のご遺骨を舎利と呼ぶが、世界中の舎利を集めると1.4トンにもなるらしい。いったいどれだけデカイ人間だったのだろうか?早朝から地区の子供達が全員来てくれた。一緒に般若心経を21巻、本尊さんとお釈迦様のご真言をそれぞれ108返唱える。子供達の元気な姿と笑顔、そして力強いお経を、お釈迦様はきっと喜んで下さったに違いない。それぞれが自分にとって、良い道に進めることを祈った。もっと、もっと、大きく、楽しく、広く、永く、行を続けたいものだ。人の命は尊いが、人の生き方は簡単に生きすぎていないだろうか。仏様のお顔を拝していると、とても申し訳なく思える。いかん、いかん!この頃少々理屈屋さんになってる自...二月十五日

  • 二月十四日

    二月十四日金曜日体重53.6㎏体温36.5曇りバレンタインデーということで、婆さん達からたくさんのチョコレートのお供え。昨日、島から師僧がお参りに来てくれた。初めて八千枚の時、本行中にフラフラしていたら「人の願いや望みを繋ごうする行者が、願主さんから同情されるような姿を見せて、どうする」と叱責してくれた。それからはどんな時でも凛としているよう努めているつもりだが、二十年以上経っても正直つらい時がある。しかし、つらいと思っている限り、師僧には決して追いつけない。体調絶好調。便通良好。最近は身体に入れている量より、出る量がはるかに多い。一年間、どれだけ生きることに必要のない命をいただいたのか。まさに殺生。殺生と言えば生き物を殺すことと思われているが、生きることに不要な命を食すのも、殺生の一つ。今更懴悔しても、しきれ...二月十四日

  • 二月十三日

    二月十三日木曜日体重54.0㎏体温36.6霧→晴れ霧で湿度が高い。断食、断水の本行中だと、肺が水分を吸収するのが分かるが、今は分からない。今日は十六時から大学の教授が来られて心理検査がある。行の前と後で、どのような人格変化が起こるのか研究するらしい。結果はどうでもいいが、どのような検査内容なのか楽しみ。そして今年も22日から医師の姪っ子が研究という名目で経願の翌日まで付き添ってくれる。今年は友人の救急救命医も勉強のため来てくれるらしいので、大変心強い。しかし勉強になるようには、なりたくないものだ。とは言え、本当にありがたい。このクソ坊主の行を理解してくれる檀家さん、信者さん。地区の子供達。助けてくれる皆様。そしてこの歳になっても行が出来る体を授け、育ててくれた両親。恵まれている。恵まれ過ぎるにも程がある程、恵ま...二月十三日

  • 二月十二日

    二月十二日水曜日体重53.9㎏体温36.6曇り昨夜、総代さん、世話人さんと三月三日結願日の打ち合わせ。今年も取材の申し込みがあったようだが、総代長さんが断ってくれた。動画サイトで本行中の一週間生放送がいいと冗談で言ったら爺さん達が乗り気になった。爺さんから早送りではなく、タイムラプスという言葉が出たのには驚いた。予想以上に最後に焚く護摩木の願主さんが多い。準備した16000本では足りなくなった。後4000本作って、20000本。これで足りるだろう。一本10円だから、一人が数本に様々な願い事を書いてくださる。それは全て事前に目を通させていただく。結願日、身体はフラフラしているが意識は普通以上にハッキリしているので、名前、住所、歳、願い事は一瞬で読み取れる。願い事は四文字でお願いしている。家内安全とか良縁成就など。...二月十二日

  • 二月十一日

    二月十一日体重55.1㎏体温36.8後夜の座に、集落の最長老106歳のばあちゃんが来てくれた。食欲がない。蕎麦粉に山芋を摺ったものを混ぜて焼いたり、茹でたり。生きるために胃袋に押し込んではいるが、それでも味覚という欲が暴れる。次は南瓜と人参か。本行入りまであと二週間。意識だけで生きてゆけるなら食べなくていいのに、体があるのがもどかしい。制御できない欲と向き合う日が続く。常の如し。二月十一日

  • 二月十日

    二月十日月曜日体重55.2㎏体温36.8左ひざが音を立てることあり。老眼鏡が重く、ゆるくなってきた。便通良好。明日は自分で自分の遺影の撮影、そして自分の墓穴を掘る毎回、妙な気分になる。これは親不孝なのかも知れない。二十年程前、最初の八千枚で墓穴を掘った時は死んでもいいと思った。だが、本行中に死んではだめだと思った。最後は死んでなるものかと思った。しかし努力や根性といった精神論が通用しない領域があった。心から身を任せ、委ねて、初めて「生かされている」の本当の意味を知った。そして、自分の役目が終わっていないと思った。常の如し。二月十日

  • 二月九日

    二月九日日曜日体重55.4㎏体温36.7晴れ訪ねて下さる、檀家さんや信者さんは有難い。しかし仏様にでも接するようにされると、困ってしまう。まだまだ集中力が足りないのだろう。言葉でなく、体で表現できない行者なんて、行者とは言えないな。楽しみを表せる行者にならなければ。本当におこがましい限りだ。コロナウイルス調伏、一座修法。終息まで毎日祈る。体調回復、視界良好。常の如し。二月九日

  • 二月八日

    二月八日土曜日55.4㎏体温36.8くもり時々晴れ睡眠時間が短くなってきた。今朝は二時に目覚めた。少し息切れがする。読経の息継ぎがいつものところまで持たなくなった。塩を断ったから、イライラ、めまい、無気力、三拍子の円舞曲状態。まだ、バカな発想で出来る。その他、常の如し。ご覧いただいている皆様へご説明させていただきます。まず八千枚護摩で検索されますと断食、断水の期間が一日と七日の二通りに気づかれるかも知れません。これは目的が異なるためです。一日の場合は祈祷が目的となり、八千枚を焚いている6~8時間の間の排出物を抑えるためです。七日の場合は行が目的となり、その集大成として八千枚を焚き、祈祷するためです。また、何が危険で辛いかと申しますと、睡眠でもなく、空腹でもありません。人は水だけで二週間生きれるらしいですが、水を...二月八日

  • 二月七日

    少し時間的ゆとりが出来て、ふと思ったいつも行中は日記を残していますそれをそのままこの場へ投稿すれば良いのだと・・・現在の状況は16000本の護摩木を作り終え四時に滝行六時(後夜)護摩一座(一座約3時間半)十三時(日中)護摩一座十八時(初夜)護摩一座食事は一日一食の五穀断ち、といったところです二月七日金曜日くもり時々晴れ体重56㎏体温36.7今日からgooブログにも記すことにした。行入り時の体重は58㎏、順調に減っている。季節は春だが初雪が舞っていた。差し入れの果物が美味しい。便が緑色になってきた。少しイライラする。コロナウイルスが広がっている。祈らなければならないのだろうか。私にそれほどの神通力があれば、であるが。世の中には不思議な力を持っている人が多いのに、不思議なくらい、こういう時には名乗りを上げてこない。...二月七日

  • 梅花

    少しだけ、ゆとりが出来たので・・・探梅の季節は過ぎ、観梅の季節となっているただ単に「花」と言えば桜を指すしかし万葉の時代には、花と言えば梅だった梅には梅の良さがある誰もが、春来るの感を覚え心が和み、希望が沸き立つ梅の花には派手さもないし、濃艶さもないしかし清楚で優雅さがある枝振りが素朴で野趣に富み、孤高の感さえあるそして強い生命力伐れば伐るほど芽を伸ばす枝、一本を眺める時が最も美しいと思える花二十四番花信風「梅花」境内には梅を始め、知らぬ間に福寿草、節分草も咲いていました一方通行の投稿となりますが、ご容赦下さい梅花

  • お知らせ

    いつも妙竹林なブログにお付き合いいただき、ありがとうございます。さて、「行」に入るため、暫くお休みさせていただきます。勝手ながら、皆様の所へのご挨拶も控えさせていただきます。僧侶になってから行う「行」を「練行」と申します。定められている「行」ではなく「お好きにどうぞ」という「行」です。この練行として毎年「八千枚護摩供」と「十万枚護摩供」を交互に行っておりまして今年は「八千枚護摩供」の年です。通常の護摩は護摩木を百ハ本焚きますが、これを八千八十本を焚き上げます。三十日間、一日三返通常の護摩を焚き、併せて五穀断ち、塩断ちの「前行」を経て七日七晩の「本行」中は断食、断水、不眠、不臥の四つの「四無行」及び、お不動さんのご真言を一日一万六千返唱えさらに前日からは誰とも話さない「無言行」を加えます。そして最後に約七時間をか...お知らせ

  • おまじない 如月

    新しい春が始まる窓から差し込む光が目を細めたくなるほど白く感じる二月のおまじないです二日(日)「二日灸」二月二日と八月二日にお灸をして健康を祈るおまじないこの日にお灸をすると、他の日よりも何倍も効能があり効果絶大と言われていますお灸は弘法大師が中国から持ち帰ったという説もあるのでこのボロ寺では、ほうろく皿の上にお灸を乗せてそれを頭にかぶり、百会というツボを温めるほうろく灸を行っています三日(月)春の節分・四日(火)立春まずは「柊鰯」焼いた鰯の頭を柊の枝にさし、家の門口につけて魔の侵入を防ぐ千年以上前から続く、おまじないまた、戸口に「トベラ」を飾るという方法もあります枝や葉が悪臭を放つので柊鰯の鰯と同様の効果があると言われています。共に、三日の夜に飾って下さい続いて「立春大吉」のお札を作り、玄関の柱に貼る左右対称...おまじない如月

  • 人事

    数年前からこの時期になると、受験生のお参りがチラホラあるそして毎年、少しずつだが増えている先輩から聞いて来た、という受験生ばかり・・・と、いうことは先輩は合格したのかも知れない親と一緒に来る受験生はいないそれぞれの意思なのだろう友達と一緒であったりたった一人で二時間自転車を走らせて来たり中には同じ大学へ合格したいアベックというのもある折角なのでお参りだけでは・・・と思いお堂に上がってもらい、一緒に般若心経を唱えることにしている人事を尽くして天命を待つ、の心境なのかも知れないそして事の成否は人智を越えている、と思っているのかも知れないしかし、人事を尽くすことが、いかに重要で困難を伴うかまた、その心がけということは語られないだから、このクソ坊主の解釈はまったく逆だ人事を尽くし切るならば天命など待たずとも、向こうから...人事

  • 潮菊

    花びらがなく、独特の咲き方それでも黄色が目立つそして独特の強烈な臭いこの国の海岸沿いには様々な菊が自生しているハマギク、イソギク、ノジギク・・・一年中、潮風を受け時には飛沫をかぶる健気というより、心意気を感じる花菊人形の着物の部分に使われる花だと聞いて納得した花暖冬なのだろう、狂い咲く白花浜撫子潮菊

  • 嘘八百

    嘘をつかずに人間は生きられるのか多分、無理だろうその場の流れや勢いで、本心ではないことをつい言ってしまうことがある世間には「汚い大人」という表現があるその「汚い」は嘘のことを指していると思っている大人になるにつれて、心の中で思っていることと実際にとる行動が違ってしまうことがあるそれが子供の目にはどう映るか・・・「本音ではそう思っていないのに」となるそして「大人は汚い」という言葉が現れてくるしかし、それは仕方のないことだ利害関係の中で生きる大人は、納得できないことを許さなければならないし、行動しなければならないことがある子供が純粋というのではなく、利害関係などを含んだ社会との接点が希薄なのだつまり心や頭の中だけで考えていることと現実とが直接的に関係していないから「大人は汚い」となる社会が複雑になるに従って、何々を...嘘八百

  • 罵倒

    病室はわかっていた病院の床は、不必要に磨きあげられているようで照明をいやな感じで照り返しているドアの横に名札がかかっているドアを開ける衝立のようなものがあり、ヤツの姿は直接見えないただ、器具に点滴の瓶がかけてあるのは見えたドアを開けた瞬間に、そういう情景が頭をよぎった「よう」「なんだ、クソ坊主か、まだ死んでねぇぞ」無理に声を出したように思えたベッドの傍に立ち、笑顔を浮かべた多分、笑顔になっているはずだと思った顔の色はどす黒いという感じで、笑うと歯が異様に白かった「調子はどうだ」ありきたりの台詞しか、口から出て来なかった「まあまあだな」余命は数か月と聞かされている「お前は法事の帰りか?」「わかるか?」「どうせ、そんなもんだろう、ついでに見舞いに来るヤツだ、お前は」「ついでに法事に行った、そうとも言える」「まあ、女...罵倒

  • 遍路 布施

    初詣でお賽銭を打たれた人は多いだろうしかし神社とお寺ではお賽銭の意味が違う神社では感謝であり、お寺ではお布施であるお願いごとへの対価と思っている人もいるようだが・・・そしてお賽銭の金額だが、こればかりは自分で決めるしかない一つの基準としては捨てても惜しくない金額他の人と比べて、などと思ってしまうから語呂合わせのおまじないに頼ってしまう出雲大社さんでは、45円というお賽銭の語呂合わせについて「バスガイドが言い始めたこと」と、はっきり否定しているさて、お寺でのお賽銭はお布施であるが「お布施」と言えば坊主へのお礼や、お寺への寄付のように思われているしかし、字の如く、布を施すこと昔のインドのお坊さんは身に纏う布すらなかったそこで「お坊さん、このボロ布でも纏いなさい」と施されたのが由来そして徳を積んだお坊さんには多くの布...遍路布施

  • 花畑

    丸い背中を探してみたが、見当たらない花畑に柵というものはない誰でも入ろうと思えば入れる中央に畦が走り、両脇に花畑が広がっている畦を下ったところにボロボロの椅子がひとつある婆さんはその椅子に座って、海を見ていた挨拶すると「ああ、来たかい」と立ち上がった丸い背中が花畑へ入っていく畑の花たちは海風に吹かれ、気持ちよさそうにしている真冬でも露地で花を咲かせる婆さん少し前までは爺さんと二人で除虫菊を栽培していたしかし今は一人で菊やマーガレット、キンセンカの世話をしているどこかに出荷するでもなく花の世話をするただ、それだけだ「これだけあればいいかね」と原付バイクに積みきれない程の菊を束ねている季節が変わり、花畑の色が変わっても婆さんの丸い背中は変わらない1/5撮影花畑

  • 嘘各々

    雲が飛ばされている雨は上がり、陽光が冬の瀬戸を照らしている昨夜、内職しながらラジオを聞いていたすると昔の流行歌「嘘」が流れ始めたそしてラジオは男の「嘘」を歌っている何とも嘘のような話だが、残念ながら事実だ聞きながら、ふと、思った立場によって、ついてはいけない「嘘」の範囲や種類が違うのではないか男性と女性でも違うだが、多くの人がつく嘘というのは、たわいない「嘘」だろう「たわいない」で止まっているのは自己防衛の為でこの多くの人というのは、何かしらの社会や組織等の中で生きているそこで「嘘」をつくと信用を失い、存在出来なくなってしまう可能性があるだから自制心が働くと同時に「嘘」を嫌う「嘘は泥棒の始まり」と子供の頃に教わった人は多いだろうこの言葉の意味は、嘘を平然と言うようになると、泥棒も平然としてしまう・・・だが、小衲...嘘各々

  • 正月気分に終わりを告げる人日の節句、七草の節句そして今日の雨が御降りであらんことを・・・初詣へ行った人も多いだろうそもそも初詣というものは、江戸時代の恵方詣という風習を鉄道会社と一部の寺社がイベント化したものだそれが全国に広まり、今風な文化となったしかしイベントとは言え、節目、ケジメとして詣でるのは良いと思う・・・という貧乏寺の、負け惜しみこの貧乏寺はというと、初詣とは縁遠い寺であるそれでも気になる封筒が賽銭箱に入っていたお加持(ご祈祷)のお布施はいただかないことにしているもしお願いごとなどが成就したと思ったら捨てても惜しくないお布施かお供えを仏様に・・・としているお布施やお供えというものは志であって、決して料金ではない一見、平等に思える100円というお金も人によって価値が違うはずだだから、あくまでも各々の志が...風

  • 二十四番花信風

    年が明け、にわかにお滝の水が冷たく、そして鋭くなった今日は二十四節気の小寒、寒の入り小寒から穀雨に至る八つの節気をさらに三つの候に分けそれぞれの時季に咲く花の便りを乗せて吹く、花信風二十四の花だより穀雨の第三候、楝花(栴檀)まで順次投稿する予定です小寒、第三候【水仙】生まれはスペイン、ポルトガル、地中海長い時間をかけてシルクロードを通り、中国へそして、この国へ玄界灘を船で渡った水仙もあれば黒潮、親潮に乗り、流れついた水仙もあるらしい流れついた水仙はその地で根を張り、群生地となったそのため、この国の水仙群生地は全て海岸沿いにある※中国伝来の風の為、暦と一致していませんリアクションボタンは勝手ながら常に非表示定にしています。二十四番花信風

  • 雲が殆ど動いていない穏やかな軽風を頬に感じる瀬戸仏教には十善戒という戒がある不殺生もその一つだそして不両舌、不悪口、不妄語、不綺語と四つ、口が因と為す戒があるこれらを乱暴に言えば「嘘」であるひと口に「嘘」と言っても様々で、詐欺を働くための「嘘」もあれば相手の心情をおもんばかる「嘘」もある事実以外を口にすることを「嘘」と呼びあれもダメ、これもダメと否定したら生きづらくて仕方がないだろう人間が「嘘」をつく時は何らかの「欲」を満たすためだ大昔の人間はその日食べていくだけの生活の頃には所有欲もなかっただろうそもそも所有という概念もなかったかも知れないしかし次第に社会が形成され始め、そこに社会を安定させるための規律や約束事が必要となり「嘘」が誕生したはずだだから「嘘」は社会が作り出したものそして子供の頃「嘘をついてはダメ...嘘

  • 路傍の花をこよなく愛するその中で年頭を飾るに相応しい路傍の花は七草の一つ、ナズナをおいて他にないと思っている深い切れ込みのある葉をロゼットに地面へ広げているこの若い葉は料理の青物としては、まことに結構アクはないが、特有の香りがあるそこから直立した花茎を伸ばし四長おしべが一糸乱れず、行儀よく並ぶ花の後に出来る実は平らな三角形これが三味線のバチとなり、七草娘も左褄それでは参りましょう、ぺんぺんと・・・薺

  • 自分に突き付けられているのではないかと思う言葉があるそれは「安っぽい」である「安っぽい坊主」には「安っぽい悟り」がお似合いだ今は結構これに近いものがあるそれでも安っぽくても、悟ることがないよりはマシかも知れない世の中の常識や道徳、倫理などについて、相応の程度は理解しているつもりだただ、それに従って生きられないーーーというより生きようという興味も意思もないだけだだから「安っぽい悟り」は経験則からもたらされたものであるそれを披露するのは自分勝手に話せる説法の中と、この場だけとなる年末の大掃除の時にその「安っぽい悟り」の数々を散らかしたメモの中からを見つけた「世の中の歯車は不必要なとき、不必要な場所で動いている」「一夜の眠りは自分が求めるが、永遠の眠りは向こうから近づいてくる」「楽しさは一瞬のこと、悲しみは一生続く」...安

  • 蝋梅

    水仙と蝋梅が境内の香りを占めている蝋梅の花びらは三層に分かれているべっ甲細工か蝋細工のような色つや誰が見ても蝋梅なるかな、と感嘆するだろうしかし蝋細工の蝋ではなく臘月の臘という説もあるらしい臘月(旧暦十二月)に咲くことも、花の姿を見ても、どちらも事実淡い黄色の花が、冬の青空によく映える満月蝋梅蝋梅※リアクションボタンは閉じさせていただいております蝋梅

  • 流行

    除夜の鐘から、拝み続けてやっと一息・・・そして、お雑煮新年、明けましてあめでとうございます随分と、時の流れに取り残されている昨年の流行語大賞も知らず、新年を迎えた言葉にも流行り、廃りがある世相というのはクルクル変わるし、その変わる世相に反応する人々の心を的確に表した言葉が流行るというのは、考えてみれば至極当然だ先日まで知らなかったが「イカす」という言葉は故石原裕次郎さんが登場した時に生まれたらしい今では「イカしてる」なんて台詞は流行語でも何でもなく、限りなく日常語になっているそれから「マジ」というのも、その類だ日本語の乱れを指摘する声もあるようだが実際のところ「マジで?」とやっちゃったほうが、ゴタゴタ並べるよりよっぽどスマートに気持ちを伝えられるような気がする最近気になっているのが、言葉というより形容詞、助詞、...流行

  • 憶う

    シベリア鉄道チタ駅2019.9.19憶う

  • 路傍の花 4

    12月撮影疲れた人は、暫し路傍の草に腰をおろして道行く人を眺めれがよい人は決してそう遠くは行くまいイワン・ツルゲーネフ路傍の花4

  • 時間

    体感温度、というのがある実際の温度とは違って、身体で感じる温度この体感温度と同じように、体感時間というものがあるような気がしてならない少年時代に味わった時間は、ゆるやかで、とても長かったように思う夏休みの一日など朝早く目覚めて日没の夕暮れ時まで遊ぶ時間は一日という時間範囲を超えて、小さな身体をくたくたにしてくれたところが今はどうだろう夏だと思っている矢先に、もう窓の外は秋の訪れを感じさせる陽光が揺らいでいる刹那的で場当たり的な人生を歩んできたが、ここ一、二年、時間のことを真剣に考えるようになった体感時間が、もうお前の残された時間き少ないのだよ、と教えてくれるのだ命の火のことではなく、自分の為すべきことのできる時間その時間容量のことだ命の火は閻魔さんに任せている後、二十年生き永らえるかも知れないたが、この寺の始末...時間

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