山林に自由存す国木田独歩われ此句を吟じて血の湧くを覚ゆ嗚呼山林に自由存すいかなればわれ山林を見捨てしあくがれて虚栄の途にのぼりしより十年の月日塵のうちに過ぎぬふりさけ見れば自由の里はすでに雲山千里の外にある心地す眦を決して天外を望めばをちかたの高嶺の朝日影嗚呼山林に自由存すわれ此句を吟じて血の湧くを覚ゆなつかしきわが故郷は何処ぞや彼処にわれは山林の児なりき顧みれば千里江山自由の郷は雲底に没せんとす山林に自由存す
今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 <br>ここはささやかな、ポエムの部屋です。
小さな茄子曲がった茄子それでも茄子涼しかった夏のベランダで紫の花をつけ実った茄子がありました猫はなんだなんだとやってきてふんふんと匂いを嗅ぎ首をかしげて去りました月日去り茄子を植えても蒸れて育たずねこも老いてなくなりましたやさしかった日本の快適な夏よあの日の小さな茄子とねこがけなげに涼風を運びます茄子
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山林に自由存す国木田独歩われ此句を吟じて血の湧くを覚ゆ嗚呼山林に自由存すいかなればわれ山林を見捨てしあくがれて虚栄の途にのぼりしより十年の月日塵のうちに過ぎぬふりさけ見れば自由の里はすでに雲山千里の外にある心地す眦を決して天外を望めばをちかたの高嶺の朝日影嗚呼山林に自由存すわれ此句を吟じて血の湧くを覚ゆなつかしきわが故郷は何処ぞや彼処にわれは山林の児なりき顧みれば千里江山自由の郷は雲底に没せんとす山林に自由存す
晩秋晩年挽歌幾つの秋幾人のひと幾つの出会いと別れ遠く近くよみがえる地球が回り続け人は生まれ続け世界は争い遠すぎる記憶見えない未来裏切られる祈り歓喜する祈りなんばん色に赤く燃えそれでも美しく季節は巡るかなんばん色に
この花園にくると空に心は跳び青い空に向かい駆けてゆくだけ青い空の果ては暗い宇宙宇宙は暗くても地球の空はあおくてあかるくて地上はいきものの息吹き色彩の波形の祭りこの庭を花でうずめ幸せの形を与え誰かがどこかでまた新しい計画を立てだす哀しみを幸せに替え溢れてくるもの花のひとつひとつに解けない何かがひっそりと宿り毎年やってくる季節を祝っているコスモス宇宙の花
夏の忘れ物遠い夏の忘れていたたより絵日記の仔馬のしっぽみたいなトウモロコシの毛が赤くもつれて黄色いカンナの丈は高く9月になると赤とんぼが物干し竿などに休みに来る高原の初秋少し疲れた鳳仙花の種がはじけて乾いた大地にころころ転がったいきなり高くなった空には巻雲うろこ雲季節を知らせて夕暮れは静かに早まる高い山の向こうまだ入道雲の子供たちが太陽のご機嫌を伺っているいつか見た秋のはじまりうつくしい季節の交差点夏の忘れ物
小さな茄子曲がった茄子それでも茄子涼しかった夏のベランダで紫の花をつけ実った茄子がありました猫はなんだなんだとやってきてふんふんと匂いを嗅ぎ首をかしげて去りました月日去り茄子を植えても蒸れて育たずねこも老いてなくなりましたやさしかった日本の快適な夏よあの日の小さな茄子とねこがけなげに涼風を運びます茄子
遠い花火雷鳴のように響く遠い花火部屋の灯りを消すと光が空に謳って散る花火に友は父を見るといういつもいつも短く散った父を見るという花火は夜の祭り夏の夜の祭りは亡き人人の蘇りか宴か夏は還ってくる子供の頃のゆめ果たされずに終わった望みたち亡き人々の優しいまなざしやこえラジオ体操ヒグラシの夕べ遠い花火家々の上に大きく広がり瞬く間に消えゆく夏の夜の心なぐさめるひかりの宴花火
剥いた破竹のきれいな細身を糠で茹でカツオの出汁やみりんとおさとう昆布だしなどもさらりとかけ日本酒などもさっと振り掛け鉄板で焼きこんがりおこげの色を確かめ白い皿にのせて私は食べる外は少し蒸し暑い梅雨の空遅いタケノコの味をことしもほくほく味わいながら厳しい太陽の季節の前の幸せなひとときを過ごしますはちく
赤い鉄塔の東京タワー子供の頃のヒーロー東京タワーは今も私のヒーロー芝の森を従えて聳える私の宝ものどんな立派な建物よりハイテクノロジーのビル群よりもこころを波たたせる赤い鉄塔優しかった東京の面影宿る大好きな東京タワー時々そばに来て仰ぎ見る富士山のような私の赤い鉄の塔ふるさとのような東京タワー昭和のヒーロー東京タワー
白鷺の城は五月の青空突風吹き抜ける天守の足元で人は夢を見るのです何度もいざなわれやがて天守閣の階段を昇り切れなくなっても白いお城は心の中に過ぎる時間を刻みますこのみどりの風の中を吸い込まれるようにたくさんの人々が白鷺の姿を追い絶えず訪れ去って行くつばさ広げる鳥のように石垣たちに護られ羽ばたこうとする白い城はもののふの心きりりと百年後も聳える美しい城塞白鷺の城
白いアイリスが咲いた白いアイリスは父の形見畑に咲いていた白いアイリス紫菖蒲の花の群れに真白い花が離れて咲いてた無垢の姿漂うほのかな香りいつくしむと花は応えて青い空の下で微笑していた父の姿瓦の波みな無くなっても私の庭できりり咲いてる白いアイリス青葉の季節白い花
はるは沢山のいのちがやってくるはるは暖かい日差しにさそわれちいさないのちが産まれてくるつぶらな目ひたむきなまなざしそのいくつかは陽を浴びずに去ってもゆく幸せになるため生まれても天に愛されずに消えてゆくもの奇跡の星にはなぜか不幸せのさだめがあるこの世に永らえず沢山の命がどこかで果ててゆく頂いた小さな命を楽しみ歓びやがてみな静かに去ってゆく花は咲き空は青く陽炎がゆれる毎年やってくるいのちよ春の日のはる
てまりうた(わらべうた)てんてんてん天神様のお祭りでてんてんてまりを買いましたてんてんてまりはどこでつく梅のお花の下でつく下でつくてんてんてん天神様の石段はだんだん数えていくつあるだんだん数えて二十段段の数ほどつきましょうつきましょうhttps://www.youtube.com/watch?v=JRGbCymN_TMてまりうた
よこみち通りの空き地の古い梅の木をわざわざ見に来る人はいない空き地は枯草もまばら誰の土地かもわからない閉店したばかりのパン屋のビルは空き地のそば午後の陽を浴びているささやかな空き地にも春の花は何時かは咲くだろうそ知らぬ顔で折々通る人を見下ろす沢山の花に纏われた大きな幸せの木よ人影も少ない空き地で梅の大樹は辺りに香りを漂わせ力強く丈高く立つ空き地で梅は香る
雪三好達治太郎を眠らせ太郎の家に雪降りつむ次郎を眠らせ次郎の家に雪降りつむ雪降りつむ
食べるため買った葉みどり瑞々しい葉から黄色い花が伸びる菜の花はいのちかけた春の花南の海辺の街は日差しが射し気の早い菜の花が春を告げようとするが北の海辺は哀しみばかりこの花をじっと見つめると細長いたおやかな私たちの国の島影その島の中にあるささやかな営みのあった街街雪に悶える哀しい家が浮かぶ春を運ぶ黄色い花にいのちの喜びと悲しみが交差する蜜の匂いのする花に何の罪もないが黄色い菜の花が凍り付くような如月いのち菜の花
まどろんで私は暖かい陽を浴びて眠っていた風のない静かな真昼今年という年がすでに始まり陽は天中高く少し傾き青い空には凧の上がる気配はなかったコンコン羽子板つく音もなかったラジオからきこえるにぎやかな笑い声ふわりこころに浮かぶ「お正月」は夢の中に溶け消えていた南天の赤い実が春の陽に光って揺れた今年の元旦新年
冬が来た高村光太郎きっぱりと冬が来た八つ手の白い花も消えいちょうの木も箒になったきりきりともみこむような冬が来た人にいやがられる冬草木に背かれ、虫類に逃げられる冬がきた冬よ僕に来い、僕に来い僕は冬の力、冬は僕の餌食だしみ透れ、つきぬけ火事を出せ、雪で埋めろ刃物のような冬が来た高村光太郎の冬の詩
落葉松北原白秋からまつの林を過ぎてからまつをしみじみと見きからまつはさびしかりけりたびゆくはさびしかりけりからまつの林を出でてからまつの林にいりぬからまつの林にいりてまた細く道は続けりからまつの林の奥もわが通る道はありけり霧雨のかかる道なり山風のかよう道なりからまつの林の道はわれのみかひともかよいぬほそほそと通う道なりさびさびといそぐ道なりからまつの林を過ぎてゆえしらず歩みひそめつからまつはさびしかりけりからまつとささやきにけりからまつの林を出でて浅間嶺にけぶり立つ見つ浅間嶺にけぶり立つ見つからまつのまたそのうえにからまつの林の雨はさびしけどいよよしずけしかんこ鳥鳴けるのみなるからまつの濡るるのみなる世の中よあわれなりけり常なけどうれしかりけり山川に山がわの音からまつにからまつのかぜ白秋の詩落葉松
青い空の下で風がそよぎ花が咲く赤い色は命の色黄色は裏切りの色とヒトは言う何も語らず花は咲き風に揺れる秋の空は高く青く野原は眠くなるように平和だ清涼な空気の中で咲き乱れる花たち生きる喜びの形と色に溢れる花たち世界のどこかで花の匂いも忘れ争う人々哀しみを痛みを絶望をこの花たちはひそかに知っている世界中に同じ青い空が広がっている青い空の下で
白月三木露風照る月の影みちて雁がねのさをも見えずよ吾が思う果ても知らずよただ白し秋の月夜は吹く風の音冴えて秋草の虫がすだくぞ何やらむ心も泣くぞ泣き明かせ秋の月夜は秋の月詩人のこころ
冬が来た高村光太郎きっぱりと冬が来た八つ手の白い花も消えいちょうの木も箒になったきりきりともみこむような冬が来た人にいやがられる冬草木に背かれ、虫類に逃げられる冬がきた冬よ僕に来い、僕に来い僕は冬の力、冬は僕の餌食だしみ透れ、つきぬけ火事を出せ、雪で埋めろ刃物のような冬が来た高村光太郎の冬の詩
落葉松北原白秋からまつの林を過ぎてからまつをしみじみと見きからまつはさびしかりけりたびゆくはさびしかりけりからまつの林を出でてからまつの林にいりぬからまつの林にいりてまた細く道は続けりからまつの林の奥もわが通る道はありけり霧雨のかかる道なり山風のかよう道なりからまつの林の道はわれのみかひともかよいぬほそほそと通う道なりさびさびといそぐ道なりからまつの林を過ぎてゆえしらず歩みひそめつからまつはさびしかりけりからまつとささやきにけりからまつの林を出でて浅間嶺にけぶり立つ見つ浅間嶺にけぶり立つ見つからまつのまたそのうえにからまつの林の雨はさびしけどいよよしずけしかんこ鳥鳴けるのみなるからまつの濡るるのみなる世の中よあわれなりけり常なけどうれしかりけり山川に山がわの音からまつにからまつのかぜ白秋の詩落葉松
青い空の下で風がそよぎ花が咲く赤い色は命の色黄色は裏切りの色とヒトは言う何も語らず花は咲き風に揺れる秋の空は高く青く野原は眠くなるように平和だ清涼な空気の中で咲き乱れる花たち生きる喜びの形と色に溢れる花たち世界のどこかで花の匂いも忘れ争う人々哀しみを痛みを絶望をこの花たちはひそかに知っている世界中に同じ青い空が広がっている青い空の下で
白月三木露風照る月の影みちて雁がねのさをも見えずよ吾が思う果ても知らずよただ白し秋の月夜は吹く風の音冴えて秋草の虫がすだくぞ何やらむ心も泣くぞ泣き明かせ秋の月夜は秋の月詩人のこころ
思いっきり疲れた日は青い畳の上に寝転がってあっちごろごろこっちごろごろそして腹ばいになり四肢を思いっきり伸ばして子供の頃のように猫のように人目はばからずに伸びをしてまた仰向けになり天井の見知らぬ模様を眺めたり窓からそよいでくるほのかな風をほほに感じながら生きた今日の時間をなぞり大の字になって目を閉じてふっと笑いまた伸びをして畳の柔らかい厚みの上で思いっきり息をして人間をまた続ける気力をいただくのです疲れた日は畳の上で
まだ熱の冷めやらぬあけぼのの薄い光の中に咲く朝顔は日の出とともに輝きしっかり主張し伸び伸びと開き真昼を過ぎるとはなびらを静かに閉じてゆく夏の夜明け太陽の登り切るまでの短い時間そして訪れる晩秋の冷ややかな大気にも負けず咲いて細い幹が凍って枯れるときまで青紫の美しい色と形で咲きつづける絹のように薄いあさがおの花夏の朝の花
青春の真ん中にいるときは何にも見ていなくて過ぎ去る時間の重さも知らない青春の真ん中にいるときは流れる汗も勝手に落ちて疲れるということを知らない青春の真ん中は台風の眼周りの嵐は見えなくて遠い世界をめざすだけ夏の空海の匂い湧水の山の小道はつづく青春は何処にもいて爽やかな景色に埋もれていた描きかけの絵をたくさん持ちキャンバスの白さにときめいて色を探していたミストの時代忘れかけた青春の真ん中夏の面影のシルエット青春の真ん中にいるときは
蓮の葉が繁り蓮の花が咲く薄い紅いろの花が開く蓮のうてなにじいちゃんが載って行った遠い日ねこたちが葉に載っていったあの日蓮の葉は池を青く覆い生き生きと呼吸する広い葉の上にじいちゃんも猫たちもいまは見えない姿になり住んでいる蓮は夏の空をめざしここちよい葉を広げるすがた無くしてにぎやかにいきるいのちを抱えて青い空を仰ぐ鯉や塩辛トンボらをいつくしみ夏の池は青い蓮の葉に埋もれる蓮のうてなに