【組織 #02】組織の3つの基本形 機能別組織・事業部制組織・マトリックス組織
会社の組織の形には大きく分けて3つの基本形があります。今回はそれぞれの組織形態の特徴とメリット・デメリットについて解説をしていきます。 機能別組織 最も一般的な組織の形が「機能別組織」です。機能別組織では「営業」「製造」「経理」「人事」などの機能ごとに部門を作って組織を形作ります。部門ごとに同じような仕事を担当する人たちが集まるので各部門にその分野のスペシャリストたちが集まっているイメージです。 機能別組織 機能別組織のメリット 機能別組織は各部門が自分の専門分野の仕事に特化するので、仕事が分業化されて業務の効率を高めやすいというメリットがあります。 また、各分野の仕事に長けた人たちが同じ部門に集まるので、専門知識やノウハウの蓄積が行われやすいということも大きなメリットです。 機能別組織のデメリット 一方、デメリットとしては、同じような仕事をしている人同士が集まるため、仕事の視野が狭くなり偏った発想や考え方なる恐れがあります。営業は営業の発想しか出来ない。経理は経理の発想でしかものを言わないといった具合ですね。 また、部門間の調整に時間が掛かるため、意思決定が遅くなるということもデメリットです。例えば、ある全社が関わるような仕事の企画を出すときときに、まずは自部門の長の了承を得て、その後部門長間で調整をしてもらってから経営陣に上げて…といった煩わしさが機能別組織では発生します。 機能別組織に適した会社 このような特徴があるため、部門別組織は比較的変化が少ない業界や業務効率や人材の能力向上を図りたい、または取り扱っている商品や事業が少ない会社向けの組織形態だと言えます。 事業部制組織 機能別組織が機能を軸に組織を構成しているのに対して、「商品」や「地域」「業界」といった軸で組織を構成しているのが事業部制組織です。事業部制組織では事業部長をトップにして同じ事業部門内に営業・製造・開発などの複数の機能が存在します。ですから、事業部制組織はその部門でビジネスを自己完結出来るようになっています。事業の範囲が広い企業では広く採用されている組織形態です。 事業部制組織 事業部制組織のメリット 事業部制組織のメリットは意思決定の早さにあります。会社にもよりますが、事業部長に大きな権限が委譲されているのであれば、機能別組織よりも素早い意思決定が出来ます。
今回は「ピラミッド型組織」と「ネットワーク型」組織の特徴とそれぞれが持つメリットとデメリットについて解説していきます。 ピラミッド型組織の特徴とメリット・デメリット ピラミッド型組織とはその名の通りピラミッドの形をした組織のことです。図にすると下のような図のイメージです。 ピラミッド型組織は階層構造になっているので、階層型組織と呼ぶこともあります。また、組織内の序列が組織の形に表れているのでヒエラルキー型組織とも言います。 ピラミッド型組織は組織内での序列や上下関係がはっきりしているので、責任と権限の所在がはっきりしており、指揮命令系統が分かり易いという特徴があります。また、役割も明確に決めやすいため、分業化が行い易いと言うことが出来ます。 そのため、ピラミッド型組織にはトップダウンで組織を動かしやすいというメリットやシステマチックに組織を動かしやすいというメリットがあります。このようなメリットがあるので、官僚機構や多くの会社で採用されています。規模が大きい組織には適していると言えるでしょう。 一方、デメリットとしては組織が大きくなるほど組織内の階層が増えるため、情報の伝達スピードが遅くなるというデメリットがあります。また、情報のやり取りが少なくなるため組織が硬直する傾向もあります。ですから、早急に情報を伝達してスピーディーに意思決定を行う必要がある組織には向きません。 少し話が脱線しますが、シンゴジラという映画の中で自衛隊がゴジラに攻撃を開始しようとしたところ民間人を発見して攻撃を中止するシーンがあります。ヘリコプターのパイロットが「射撃の可否を問う!」と部隊の上官に伝え、その上官がさらに上の上官に「射撃を可否を問う!」と伝え、さらに上官が自衛隊トップに射撃の可否を問い、自衛隊トップが防衛大臣に可否を問い、防衛大臣が総理大臣に可否を問うシーンです。 見ている私たちからすると間の抜けたシーンに見えますが、あのシーンはピラミッド型組織の悪いところを典型的に表しています。 ネットワーク型組織の特徴とメリット・デメリット このようなピラミッド型組織の問題を解決するために登場したのがネットワーク型組織です。ネットワーク型組織は階層が存在せず、蜘蛛の巣をつなぎ合わせたような形をしています。インターネットを表す模式図をイメージしてもらえると分かり易いかもしれません。
今回のテーマは三河屋のサブちゃんです。サザエさんに登場するあの人です。今回は三河屋のサブちゃんの仕事から情報収集を学ぼうという試みです。 三河屋のサブちゃんの仕事 三河屋のサブちゃんと言えばサザエさんに登場する酒屋のお兄さんです。 岡崎 「知らない人はいないぐらいの有名人だな」 内山 「頻繁に登場しますからね。『ちわ~す。三河屋でーす』でお馴染みです」 かなり頻繁に磯野家に出入りしているサブちゃんですが、この人の仕事は何でしょうか? 内山 「注文を取ることと配達ですよね?」 まあ、それも彼の仕事ではあるのですが、実は彼はその働きが三河屋を支えると言って良いぐらいのもっと重要な仕事をしています。それが、「情報収集」です。彼は定期的にフラッと磯野家を訪れることで磯野家の情報を収集しています。 岡崎 「他の家の情報も磯野家から仕入れることもあるな」 そして、その情報をもとに的確な提案を磯野家にしてきます。ちょうどいい時期に醤油を持ってきたり、お酒を持ってきたりします。そのおかげで彼は磯野家から信頼され、三河屋の経営に大きく貢献しているわけです。 雑談こそ情報収集の基本 さて、三河屋のサブちゃんですが磯野家で具体的に何をしているのでしょうか? 内山 「サザエさんやフネさんと雑談している印象しか無いんですが…」 彼は磯野家で雑談しかしていません。「カツオがどうだ」とか「イササカ先生がどうだ」とかそんな話しかしていません。仕事など一切していないように見えますが、それで良いのです。なぜなら、雑談こそサブちゃんの仕事である情報収集の基本だからです。 岡崎 「確かに雑談って重要だよな。雑談の中から拾える情報も多いし」 そうです。重要な情報ほど雑談を発展させていく中から拾えることが多いです。それに、雑談をする中で今まで自分が気が付かなかったことに気が付くこともよくあります。 内山 「あ~、それ何となく分かります」 岡崎 「あと、雑談をすることで人間関係も作れたりするよな」 それも雑談をすることの大きな機能ですね。雑談をすることで人間関係を深めることが出来れば重要な情報も得られる可能性が高くなります。 内山 「なるほど。そうやって考えると雑談って重要なんですね」
【情報編】その2 口を開けて待っていても情報は入ってこない!
今回は情報を集めるに当たって必要な心構えや姿勢について書いていきます。「なかなか自分のところに情報が集まってこないな…」と感じている方は是非読んでみて下さい。 情報を集めるために必要な姿勢 皆さんの中に情報を集めたいと思っているけど、なかなか自分のところに情報が集まって来ないと悩んでいらっしゃる方はいませんか? 内山 「はい。僕のことです」 そういう方に一つアドバイスです。「情報を取りに行く」という姿勢を持ちましょう。 岡崎 「その姿勢大切だよな。情報が上手く集められない人はそもそもこの姿勢が足りない気がする」 内山 「情報を取りに行く姿勢ですか…」 世の中には沢山の情報が自然に集まってくるように見える人たちもいますが、この人たちもなにもせずにただ情報が入ってくるのを待っているわけではありません。きちんと情報を集めるための行動を自分から行っているからこそ情報が集まってくるのです。 岡崎 「口を空けて情報が入ってくるのを待っている姿勢では駄目だってことだな」 情報を集めたいならまずは自分から情報発信をする 内山 「なるほど。情報を集めるためにはまずは自分から行動することが大切ということは分かりました。じゃあ、具体的にどんなことから始めればいいですか?」 情報を集めたいと思ったらまずは自分から情報発信をしてみましょう。「こんな情報が欲しい」「こんなことに興味がある」といった情報を常に発信してみましょう。すると、その情報をキャッチした人から皆さんが欲しいと思っている情報が入ってくるようになります。 岡崎 どんな情報が欲しいのかをまずは伝えることが大切だな 情報発信のやり方はどんな方法でもかまいません。人と会話するもよし、SNSを活用するもよしです。慣れていないうちは上手く出来るか不安で、少し尻込みをしてしまうかもしれませんが、気にすることはありません。話が上手く出来なくても相手にはそれなりに伝わるものです。 内山 「まずは行動しないことには何も始まりませんからね」 情報格差はなぜ生まれるのか? 世の中には情報格差という言葉があります。情報を持っている人と持っていない人の格差のことです。
中小企業を経営していると経営資源の少なさに嘆きたくなることが多くありますけど、情報なら行動次第でどんどん増やすことが出来るので、せめて情報という資源だけは充実させていきたいですね
工場の運営管理を行うに当たって、「稼働率」という言葉はよく知られています。一方で、同じように設備が動いている時間の割合を示す「可動率」言葉があるのはご存知でしょうか? 今回はこの「稼働率」と「可動率」をテーマとして、それぞれの違いや使い方について解説をしていきたいと思います。 稼働率 まず最初に稼働率ですが、これは「操業時間に対する設備が稼働した時間の割合」を示し、稼働率=設備の稼働時間÷操業時間で求められます。例えば、操業時間8時間に対して設備が8時間動いていたのなら稼働率は100%。仕事が無く、4時間しか動かすことが出来なかったのなら稼働率は50%です。 このことから、稼働率とは仕事量を表す指標。つまり、「能力に対してどれだけの仕事量をこなしているのか?」を示す指標であると言えます。 稼働率=設備の稼働時間÷操業時間 可動率 一方、可動率とは何でしょうか?言葉の定義としては「設備を動かしたい時に実際に動かすことが出来る確率」とされていますが、少々イメージしづらいですよね?ですから、少し解釈を変えて「設備の稼働時間に対する良品を作っている時間の割合」と理解して頂ければ大丈夫です。計算式は可動率=可動時間(稼働時間-停止時間)÷稼働時間で求めます。 設備というものは常に製品が生産出来るわけではありません。故障での停止や、メンテナンス・段取替えなどの要因で停止することがあります。例えば、8時間設備は稼動していたが、そのうちの2時間は故障で設備を動かすことが出来なかったという場合、可動率は可動時間(8H-2H)÷稼働時間(8H)=75%です。これは、「設備は8時間稼働させたが、実際にはその内の75%しか仕事をさせることが出来なかった」ということを意味します。 このことから可動率とは「その設備が持っている能力をどれだけ発揮させることが出来たか?」ということを示す指標であると言えます。 可動率=可動時間(稼働時間-停止時間)÷稼働時間 稼働率と可動率の使い方 では、どのように稼働率と可動率を使い分ければ良いのかを説明していきます。 まず、稼働率についてですが、これはどれだけの仕事量を確保出来ているのかを示す指標なので、この指標を使って「仕事量は適正か?」ということを判断します。
今回は仕事の「ムダ」とムダを削減していくための考え方について解説します。 ムダとは何か? 結論から言ってしまうと、「付加価値を生んでいない動き」は全てムダです。例えば、工場での作業が、①材料を取り出す→②材料を機械にセットする→③機械を操作して材料を加工する→④製品を機械から取り出す→⑤製品を箱に入れる、このようになっていた場合、「③機械を操作して材料を加工する」以外の作業は全てムダです。 これは少々極端な気もしますが、ムダを徹底的に無くそうとするとこのような考え方になります。とは言え、現実問題として全てのムダを一気に無くすことは不可能です。ですので、作業のムダを無くしたい場合は実際の作業を次のように分類して、段階的にムダを減らしていくようにしていきましょう。 作業の分類 ①正味作業(主作業) 付加価値を生んでいる作業のことです。その作業が無くなったら価値が無くなる作業と考えても良いでしょう。 ②付帯作業 上で「付加価値を生んでいない動きは全てムダ」と書きましたが、材料や製品の運搬や機械へのセット、製品の箱詰めなどは付加価値は生んでいなくてもやらなければならない作業です。また、仕事をスムーズに行うためには準備作業や機械のメンテナンス・清掃・連絡・帳票類の記入などもやらなければなりません。 このように付加価値は生んでいないが、やらなければならない作業のことを「付帯作業」と言います。 ③余裕 ちょっとした息抜きや疲労回復の時間が無いと作業の効率が落ちたり、安全な作業が出来なくなったりします。一見するとムダなように感じることもありますが、効率的かつ安全に作業するためには一定の余裕も必要です。 ④ムダな作業 上記に分類されないものはムダな作業です。物を探したり、不良品の手直しをしたり、意味もなくウロウロしたりなどはムダな作業に分類しましょう。「本来やるべきではない動き」「正当な理由が説明出来ない動き」などの観点で分類するのもよいでしょう。 改善の優先順位 作業が分類出来たらいよいよ改善です。とは言っても、改善項目が複数あると何から手を付けるべきか迷ってしまいます。そのようなときは次のように優先順位を付けて一つずつ着実に改善をしていきましょう。 優先順位1 ムダな作業を無くす
仕事をしていると「生産性を高める」という言葉をよく聞きませんか?よく耳に入ってくるビジネス用語ではありますが、同時にいまいち意味が分からない言葉だったりもします。今回はその「生産性」という言葉についての解説です。 生産性・能率・効率 さて、生産性という言葉ですが、実は他にも似たような意味を表す言葉があります。「能率」と「効率」です。生産性も能率も効率も仕事のインプットとアウトプットの比を表す言葉ですが、微妙に意味合いが変わります。この3つの言葉の違いを認識しておくことで、生産性という言葉の意味をより深く理解出来るようになりますので、今回はこの3つの違いを考えていきたいと思います。 能率 まずは「能率」ですが、この意味を調べると、 「一定時間内に出来る仕事の割合。仕事の働き方」(goo辞書) このような意味になります。 この中で「一定時間」という言葉がポイントで、「能率」とは日当たりや時間当たりなどの「単位時間でどれだけのアウトプットを生み出す能力」を示す指標のことです。 例えば、1時間で100個の製品を生産することが出来る設備Aと、1時間で120個の製品を生産することが出来る設備Bがあった場合、設備Bの方が1時間で生産できる製品の量が多いので能率が良いということになります。 効率 次に「効率」ですが、この言葉を辞書で調べると、 「機械などの、仕事量と消費されたエネルギーとの比率。使った労力に対する成果の割合」(goo辞書) といった意味になります。 ここでのポイントは「消費されたエネルギー・労力」で、「効率」とは「アウトプットを1単位生み出すために必要な資源の量」を示す指標だということが出来ます。 例えば、1つの製品を作るために1時間掛かるAさんと、30分で1つの製品を作ってしまうBさんではBさんの方が効率が良い仕事をしていると言えます。 生産性 そして、「生産性」ですが、これも辞書で調べると、 「生産過程に投入される生産要素が生産物の産出に貢献する程度」(goo辞書) という意味が出てきます。
<コミュニケーション編>その4 コミュニケーションの方程式 ~コンテンツを強化する~
今回のテーマはハイコンテクストのコミュニケーションからローコンテクストのコミュニケーションに移行するための課題と対策についてです。 ローコンテクストのコミュニケーションに移行するための課題 さて、前回日本人のコミュニケーションの形はハイコンテクストからローコンテクストに移行していると書きましたが、ローコンテクストのコミュニケーションを行うためには何が必要でしょうか? 内山 「うーん。何だろう???」 それを考えていくために、まずは第1回で説明したコミュニケーションの方程式を思い出してみましょう。 岡崎 「コミュニケーションの方程式は『コミュニケーション=コンテンツ×コンテクスト』だったな」 この式を使うとハイコンテクストのコミュニケーションは、「コミュニケーション=コンテンツ(小)×コンテクスト(大)」と表すことが出来ます。 そして、コミュニケーションの形がハイコンテクストからローコンテクストに移行するとコンテンツとコンテクストの関係は、「コミュニケーション=コンテンツ(小)×コンテクスト(小)」となります。 岡崎 「コンテクストが共有されなくなって、コンテクストへの依存が出来なくなるからこうなるな」 そうです。今まではコンテンツの力が弱いのをコンテクストの力で補ってきたのですが、これからはこれが成り立たなくなります。 内山 「今までのようにコンテンツの弱さをコンテクストで補うことが出来なくなるということですね」 はい。そうなってくると、上手にコミュニケーションを取れるようになるためには何が必要でしょうか? 内山 「コンテンツの力を高めないといけないですね。だけど、何をすればコンテンツの力を高められるんだろ?」 コンテクストを言語化する 第1回目でコンテンツとは「言葉や文字として具体的に現れるメッセージ」、コンテクストとは「言葉や文字として具体的に現れないメッセージ」と説明しました。このことから考えると、コンテンツの力を高めるためには… 岡崎 「コンテクストとして言葉に表していなかったことを、具体的な言葉に表すようにすれば良いんだろ?」 そうです。つまりは、「コンテクストの言語化」です。 内山 「なるほど。だけど、コンテクストの言語化って具体的には何をすればいいんですか?」
<コミュニケーション編>その3 コミュニケーションの方程式 ~コミュニケーションの形の変化~
今回のテーマは、日本人のコミュニケーションの形の変化についてです。 内山 「コミュニケーションの形の変化って、何がどう変化しているんですか?」 コミュニケーションの形の変化 では、どう変化しているのか?結論から言ってしまうと、ハイコンテクスト文化からローコンテクスト文化に移行しています。言い換えると、「言わなくても分かるだろ?」といったコミュニケーション文化が成立しなくなっているということです。 分かりやすい例を言うと世代間の違いです。今40代の方が「当たり前」だと思っていることが、20代の人には「当たり前じゃない」ということが結構あります。 岡崎 「おじさんの俺にはよく分かるぞ!」 例えば、40代の人が「酒の席で目上の人にお酒を注いで周るのは当たり前」と思っていても、20代の人は「え?何でそんなことするんですか???」といった感じだったりします。 なぜこのような現象が発生するのかというと、世代間でのコンテクストの共有が出来ていないからです。別に20代の人たちは悪気があってお酌をしないわけではないです。前回お話しした靴を脱がない外国人と同じです。 内山 「だけど、何でコンテクストが共有されないんですかねぇ…」 コンテクストが共有されない理由 なぜコンテクストが共有されないのかというと、育ってきた環境が違うからです。 同じような環境で育ってくれば、同じような考え方や価値観、経験をするので特に意識をしなくても、コンテクストは自然と共有されていきます。一方、環境が違えば違う考え方や価値観、経験をするので、コンテクストは共有されません。 岡崎 「そう考えると世代間や男性と女性では育ってきた環境が違うので、コンテクストの共有が出来ていない部分が発生して、コミュニケーションが上手くいかないことがあるのは、当然と言えば当然だな」 まあ、こんなことは多少なりとも昔からあるわけで、昔から「最近の若いもんは!!」って言ったり、「女(男)はよく分からん!」とか言ったりしているわけです。しかし、なんだかんだ言いながらも根っこの部分ではある程度のコンテクストを共有出来ていたので、最初はケンカしても最終的にはそれなりにコミュニケーションは上手くいっていたわけです。 ハイコンテクストからローコンテクストへの移行
<コミュニケーション編>その2 コミュニケーションの方程式 ~日本人のコミュニケーション~
前回、コミュニケーションはコンテンツとコンテクストの2つの要素で行われると言いましたが、この2つのどちらに重きをおくかでコミュニケーションの形は変わってきます。 岡崎 「欧米型のコミュニケーションと日本型のコミュニケーションにその違いがよく現れているので、この2つを例に説明していきます」 欧米型のコミュニケーションと日本型のコミュニケーション ●欧米型のコミュニケーション 欧米型のコミュニケーションでは、とにかく細かいことでも言葉や文章で説明したりします。契約書がいい例で、日本では数枚で済むことを何枚も紙に書いてきます。 口頭で話をしていても、彼らは細かいことでも「それはどういうことだ?なぜだ?どういう意味だ?」と言ったようなことを聞いてきます。日本人の感覚からすると、面倒だと感じることもありますが、彼らは別に悪気があってこのようなことをしているのではなくてこれが彼らのコミュニケーションのスタイルなのです。 では、なぜこんなことをするかというと、彼らがコンテンツ重視のコミュニケーション文化で育っているからです。 どういうことかというと、欧米では国や民族、宗教や習慣などの違いにより人々の考え方や価値観が多種多様なので「言葉に表さないメッセージ」は伝わりません。「コンテクストが共有されていない(伝わっていない)」状況です。 内山 「コンテクストが共有されていないから、コンテンツを重視したコミュニケーションを取るんですね」 これを『ローコンテクスト文化』と言います。ローコンテクスト文化では、コンテクストに頼ったコミュニケーションが取れないので、その分、コンテンツを細かく説明(コンテンツ重視)していかないといけません。コンテンツ>コンテクストという関係です。 ●日本型のコミュニケーション 一方、日本型のコミュニケーションでは、あまり細かいことを言ったり、文章化したりはしません。日本人は「言わなくても分かるだろ?」とか「場の空気を読んで…」と言った形のコミュニケーションを取り、必要以上に細かい説明をすると嫌がられます。 これは、日本人がほぼ同じ価値観や考え方をしているという前提に立っているためです。言い換えれば、「コンテクストが共有されている(伝わっている)」状況です。 岡崎
<コミュニケーション編>その1 コミュニケーションの方程式 ~コミュニケーションの方程式って何?~
今回の「<コミュニケーション編>コミュニケーションの方程式」はMPメルマガで2015年6月から7月まで連載していたコミュニケーション編のリライト版です。 「人に上手く話を説明することが出来ない」や「従業員や部下が指示通り動かない」、「コミュニケーションで誤解が生じることがある」といったことに困っている方向けの内容となっていますので、このようなことに困っている方は是非ご覧ください。 コミュニケーションの方程式って何? 岡崎 「いきなりだけど、タイトルにある『コミュニケーションの方程式』って何だ?」 「コミュニケーション」=「コンテンツ」×「コンテクスト」 これが、コミュニケーションの方程式です。 内山 「いや、それだけじゃよく分からないです…」 それもそうですね。いきなり、数式書かれてもよく分からないですよね…。では、まずは言葉の説明から始めましょう。 ①コンテンツ(Contents) 「コンテンツ」は日本語にすると「内容・中身」という意味です。ここでは「話や指示の内容そのもの(伝えたいこと)」と定義しておきます。よく「○○のコンテンツ」とかいう形で使われるので、聞き覚えのある方も多いかと思います。 ②コンテクスト(Context) これは日本語にすると「文脈」という意味です。「話をするに至った背景、経緯、理由」とでも定義しておきましょう。 岡崎 「言葉の意味は何となく分かった。コンテンツとコンテクストの違いだけど、それぞれ『言葉や文字として具体的に現れるメッセージ』『言葉や文字として具体的に現れないメッセージ』って解釈してもいいかな?」 そうですね。そのように解釈してもらった方がイメージがしやすいかもしれません。では、続いて数式の説明をします。 「コミュニケーション」=「コンテンツ」×「コンテクスト」 この方程式は、「コミュニケーションが上手くいくかどうか(上手く伝わるか)は「コンテンツ」と「コンテクスト」の2つの要素で決まる」ということを表しています。 内山 「コミュニケーションが上手くいかないのは『コンテンツ』か『コンテクスト』のどちらか、もしくは両方に問題があるからということですか?」
最近、ITやIoT関係の仕事に関わることが多いのですが、私が関わることが多い従業員数が30名~50名程度の製造業さんの場合、実際にITを使って仕事をすることになる現場の方のITスキルの差が激しいと感じることが時々あります。 詳しい方は詳しいのですが、人によっては「PCをあまり触ったことがない」という方もいらっしゃいます。 そういう方がいらっしゃることを想定して、システム屋さんもスマホやタブレットで感覚的に操作出来るUIを作ってくれたりはするのですが、それでもコンピューターに対する抵抗感があるらしく、あまり積極的に使ってもらえないということもあります。 「IT化したい!」ということで様々なITツールの導入を検討している会社は多いですが、ツールを導入する前に「現場が使いこなせるか?」ということを考えて、現場の従業員の方々に基礎的なIT教育を受けてもらうようにする方が優先だと思う今日この頃です。
前回、変動費と固定費の説明をしましたが、固定費と変動費が分けられるようになるとある重要な指標を求めることが出来るようになります。それが今回のテーマの「限界利益」です。 限界利益とは さて、今回のテーマの限界利益ですがなんとなくイメージし辛いですよね…。字面からすると「これ以上稼げません!」という能力の限界を表すように感じられますがそうではありません。この言葉の意味を理解するには語源となった英語から考えてみる方が良いかと思います。 英語で限界利益は「marginal profit」です。profitは「利益」という意味なので、問題は「margin」の意味です。marginには「余裕・余白」という意味がありますが、「売り買いの差額=利ざや」という意味があります。商売において売り買いの差額=売上-仕入というのは最も基本的な利益ですよね?この最も基本となる利益という概念を表す言葉が「限界利益」です。marginal profitという言葉が日本に入ってきたとき、これを訳す学者さんは困ったことでしょう。恐らく、marginalという言葉のニュアンスをひとことで上手く表現出来る日本語が無かったので、悩んだ末に「限界」という日本語をmarginalの訳として当てたのでしょう。 では、限界利益はどのように求めるのでしょうか?言葉自体の分かり辛さとは裏腹に計算自体はシンプルです。 限界利益=売上高-変動費 上記の式で求められます。変動費が仕入しかない場合は非常にシンプルです。例えば八百屋さんの今日の売上が10万円で野菜を市場で仕入れてきた費用が6万円だとすると限界利益は10万円-6万円=4万円です。 非常に分かり辛い概念ですが、まずは難しく考えず「限界利益という言葉がある」ということと「売上高-変動費で求められる」ということだけ覚えておいていただければOKです。 限界利益が出ていない=商売が成り立っていない 冒頭で限界利益のことを「重要な指標」と書きましたが、限界利益を見るとある重要なことが判断できます。ある重要なこととは… 「商売が成り立つか成り立たないか」です。
損益を分析する際に費用を「変動費」と「固定費」に分解して分析する固変分析という方法があります。費用を変動費と固定費に分けて考えると的確に経営状態が把握出来るようになります。ということで、今回は「変動費」と「固定費」について説明していきます。 変動費とは? 変動費とは売上の増減に比例して変動する費用のことです。変動する費用だから変動費です。仕入や販売手数料、商品の生産や販売に伴う消耗品などが変動費に該当します。 ラーメン屋さんを例に取ると、ラーメンの材料となる麺や肉・野菜などの食材の購入費や割り箸やお手拭きなどの消耗品が変動費になります。 固定費とは? 一方、固定費とは売上の増減に関係なく常に一定額発生する費用のことです。常に一定額発生するので固定費です。人件費や水道光熱費、家賃、リース料、広告費、減価償却費などが該当します。 変動費と同じようにラーメン屋さんの例で説明をすると、ラーメン屋さんで働く従業員さんの給料、電気・ガス・水道代、テナントの賃料、調理用設備のリース料、雑誌広告の料金などが固定費です。 変動費と固定費どう分ける? さて、変動費と固定費の意味が分かったら次は実際の費用を変動費と固定費に分けるわけですが、ここが問題です。 というのも、現実の経営の世界では「これは完全に変動費」「これは固定費」と言い切れる費用の方が少ないからです。例えば、水道光熱費ですが、水道光熱費というのは実は毎月必ず一定額というわけではなく、使用量に応じて料金が変わることがあります。人件費もそうです。残業などを含めると毎月給与額は変わってきます。 このように変動費と固定費の中間的な性格を持った費用のことを準固定費と呼んだりするのですが、実務上(特に中小企業の場合は)は細かな変動は気にしないことにしましょう。「水道光熱費の変動分は…」などと考えていたら時間ばかり掛かってしまいます。 ですので、変動費と固定費を分ける場合は予め「この費用は変動費とする!」「この費用は固定費とする!」と社内ルールを決めてしまって、そのルールにもとづいて変動費と固定費を分けましょう。このように、変動費とする費用科目と固定費とする費用科目を予め決めてしまって、それにもとづいて分類する方法は「勘定科目法」と呼ばれ、最も一般的に使われている方法です。
決算書を見てみると、様々なところに「〇〇利益」との記載があります。「利益を知りたい」ということで損益計算書を見てみたけれど、どの利益を見れば良いのか分からないという方向けに今回は利益の種類に関しての説明をします。 損益計算書には5種類の利益が記載されている 損益計算書には5種類の利益が記載しています。その5種類の利益とは… ①売上総利益 ②営業利益 ③経常利益 ④税引前当期純利益 ⑤当期純利益 この5つです。では、それぞれがどのような意味を持つのか説明していきます。 売上総利益 「売上総利益」とは売上高から仕入や製造原価などの費用=原価を引いた利益です。売上総利益は粗利とも呼ばれます。 800円で仕入れた商品を1,000円で売ることが出来れば売上総利益は1,000円-800円=200円になります。売上から原価を引いた利益なので、ここで赤字が出ているようであれば、原価割れを起こしているので早急に対策を打つ必要があります。 なお、製造業の会社の場合、製造原価の内訳は「製造原価計算書」という書類に記載してありますので、「原価を下げたい」という場合はまずはこの書類を確認して、どこに費用が掛かっているのかを把握する必要があります。 売上高-売上原価=売上総利益 営業利益 営業利益とは売上総利益から販売費及び一般管理費を引いたものが「営業利益」です。販売費及び一般管理費には人件費や賃料・水道光熱費・保険料・宣伝広告費などが含まれます。 営業利益は「本業の利益」を示す指標としてよく使われます。ですので、営業利益が赤字の場合は本業が儲かっていないということを示します。 売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益 経常利益 企業は本業としてのモノの売り買いだけでなく、資金の借入・投資などの活動も行います。そして、本業以外で得られた収入。例えば、利息収入や配当金、賃料収入、その他雑収入を「営業外収入」と呼ばれます。一方、借入金の利息の支払い、保証料の支払いなどは「営業外支出」と呼ばれます。 営業外収入から営業外支出を差し引いたものを「営業外収支」と呼び、さらに営業利益から営業外収支を引いたものを「経常利益」と呼びます。 一般的に利益と言った場合はこの経常利益のことを示すことが多いです。
<組織編>その10 組織って何だ? ~リーダーとフォロワー~
前回は「リーダーの仕事」がテーマでしたが、今回はリーダーが仕事をするために必要な存在について書きたいと思います。 「フォロワー」という存在の重要性 リーダーの仕事は「メンバーを導くこと」と前回書きましたが、現実にはリーダーが「あっちだ!」って言うだけだとなかなか皆動いてくれないということがあります。よっぽど信頼があればいいのですが、それもなかなか難しいです… 岡崎 「分かる…」 内山 「リーダーは孤独なんだって感じてしまいますよね…」 そんな時は、もう一つ重要な役割を果たす人が必要です。それが「フォロワー」という存在です。ごちゃごちゃ説明するよりも、この映像を見て頂いた方が早いので、見て下さい。 見ましたか?見ることが出来ない方もいると思うので、この映像の中で何が起こっているのか解説します。 まず、一人の男が突然裸で踊り始めます。ここだけ見ると「ただのおかしな人」ですが、このおかしな人がリーダーです。 しばらくおかしな人が一人で踊り続けていると「二人目のおかしな人」が来ます。この二人目が重要です。この人が「フォロワー」です。おかしな人が2人に増えます。そしてしばらくすると…。 「三人目のおかしな人」が来ます。そしてこの辺りから事態が変わり始めます。踊りに参加する人が4人・5人と増え始めます。そして、最終的にどうなるかというと…。周りにいた全員が踊り出します。 この映像すごくないですか?実はこれ"TED"という番組である学者さんがプレゼンしていた映像ですが、結構衝撃的でした。 内山 「5人を超えたあたりから一気に流れが変わるのがすごいですね」 ちなみに一気に流れが変わるポイントのことを「クリティカルマス」と言います。日本語にすると臨界点とでも言えばいいでしょうか? 岡崎 「クリティカルマスに持っていくためにはフォロワーの力を借りる必要があるってことだな」 そうです。そして重要なことは『人を動かすにはリーダー+フォロワーが重要』ということと『リーダーはまずフォロワー』を作れ』ということです。リーダーが全て頑張らなくてもいいんです。50人いるなら50人動かさなくてもいいんです。まずは、自分を理解してくれる人を1人2人動かすことが重要です。
組織の話をすると高い確率でリーダーシップの話が付いて回ります。ということで、今回はリーダーシップに関しての話です。 リーダーの仕事 組織の中でチームを引っ張っていく人のことをリーダーと言います。 経営者(社長)、キャプテン、何かの会の会長、首相・大統領・首長、生徒会長、学級委員長、ガキ大将。この人たちは皆リーダーと呼ばれます。さて、ここで一つ疑問があります…。 リーダーとは何をする人でしょうか? 内山 「そう聞かれると…」 改めて聞かれると困りませんか? 「メンバーにあれこれ指示する人?」 「責任を取る人?」 「メンバーの間を調整する人?」 色々と答えは出るかもしれません。この答えでも間違いではないですが、これだけだとリーダーとしての役割は果たし切れていません。最も重要なことをやっていないからです。 内山 「最も重要なことって何ですか?」 まあ、答えを求めるのはちょっと待って下さい。一緒に考えていきましょう。まず、「リーダー」という言葉の意味ですが、これは英語です。英語でリーダーはどのように書きますか? 岡崎 「leaderだな」 そうです。そしてこの言葉ですが、2つに分けることが出来ます。「lead」と「er」です。まず「lead」を日本語にするとどういう意味になりますか? 内山 「えっと…『導く』ですかね?」 その通りです。「lead」は日本語にすると、「導く」という意味になります。では「er」の方は? 岡崎 「erは『〇〇する人』というときに付ける言葉だな」 そうなると「導く」と「人」でリーダーとは「導く人」という意味になります。この「導く」と言う言葉が重要です。では、リーダーはどこに導くのでしょうか?当然、どこかの「目的地」にです。もう何となく分かってきたかと思いますが、こうやって考えるとリーダーの仕事とは… 内山 「『目的地に(メンバーを)導くこと』」
<組織編 >その8 組織って何だ? ~フォローの仕組みを作る~
今回のテーマは『仕事のフォロー』についてです。 異常が出たらどうするか? 仕事の状況をモニタリングしていると、度々仕事の異常に遭遇します。 岡崎 「『不良率が上がった』とか『予定通りに仕事が進んでいない』といったようなことだな」 では、モニタリングをして異常を発見した後はどうするか?当然何らかのアクションを取って、異常を正常に戻すために対処します。当然と言えば当然のことです。このためにわざわざ基準をつくってモニタリングしてるわけですから。ここまでは皆さんやっていると思います。しかし、問題はこの後です。 『対処の後は対処した内容と結果をフォローしましょう』 内山 「「異常が起きてるから対処しておけよー」で終わるのではなくて、「あれどうなった?今どんな状態??」ってことも確認しましょうってことですね」 発生した異常が大きな問題になっていたら別にこのようなことをわざわざ言わなくてフォローはするでしょうが、日常で起こる細かな異常は確認を忘れたり、つい怠ってしまうことがありがちですので、「異常が起こったら、その後フォローする」ってことは常に心がけておきましょう。 フォローが出来る仕組みをつくろう ところが、このフォローという行為を日常的にやろうと思うとなかなか難しいです…。 内山 「大切なことだってことは分かっているんですけどね…」 なかなか心構えだけでは上手く行かないですし、続かないです。ですので、フォローが出来る仕組みを作りましょう。 岡崎 「『フォローが出来る環境をつくってしまおう』ということだな」 「定例ミーティング」を始めよう 「フォローが出来る仕組み(環境)」と言うと難しく聞こえますが、やること自体は単純です。 『定例のミーティングをやりましょう』 これだけです。毎月とか毎週とか毎日とかの頻度で、メンバーで打ち合わせをしましょう。そして、その場で「この前●●で異常出てたけど、あれってどうした?」ってことを確認しましょう。 これだけのことで結構違うものです。個別に都度フォローをしようとすると、フォローする側はつい忘れてしまうこともありますし、フォローされる側もタイミングが無くて言いそびれてしまうこともあるので、それを防ぐためにミーティングをするようにしましょう。 内山 「定例にするのもポイントですね」
前回マイケルポーターの3つの基本戦略の紹介をしましたが、ポーター氏は他にも有名な概念を提唱しています。その中の1つが今回紹介する『バリューチェーン』です。 バリューチェーンとは? バリューチェーンとは日本語に訳すと『価値連鎖』と呼ばれます。その名の通り、企業活動で生まれる価値の繋がりを分析して自社の活動の強みや弱みを分析するために使います。 バリューチェーン分析では上記のような図を描いて分析を行いますが、まずはこの図の読み取り方を説明します。 図の下側に横に並んでいる矢印の繋がりは「主活動」と呼ばれ、直接的に価値を生んでいる活動を表しています。上の図ではまず購買物流(仕入先の活動と考えて下さい)があってその後に製造、出荷物流、販売、アフターサービスと続きます。製造業の会社の場合順序は違えど、このような活動を行っているのではないでしょうか? 上側の縦に並んでいる矢印は「支援活動」と呼ばれ、下側の活動を支える活動を表します。一般的に間接業務や管理業務と呼ばれるものがここに該当します。モノを作ったり販売したりしているわけではないので、直接的に価値を生み出しているわけではありませんが、企業活動には欠かせない業務です。 そして、これらの活動の積み重ねが右端に示されている利益を生み出します。 バリューチェーン分析の使い方 実際にバリューチェン分析を行う際の手順ですが、まずは自社の主な活動とそのプロセスを調査します。例えば、受注型の製造業の会社であれば、営業・受注→部品仕入→製造→出荷・納品→アフターフォローという流れになるのでこれを主活動の部分に記載した図を作ります。同じように管理業務も調査して図に記載します。 このとき、もっと細かく活動内容を記載したい。例えば、製造活動を加工→組付け→検査のように記載したいということであればそれもOKです。活動の流れが分かれば良いので、内容は各社の実状に合わせて記載して下さい。ここまで終えたらバリューチェーン分析の準備は完了です。 ここからは実際の分析に入りますが、この時少し手間は掛かりますがバリューチェーンの図に少し手を加えて下記のようにすると良いかもしれません。 そして、上記の各項目に「強み」や「課題」などを記載していきます。今後のプランを作成する場合には「めざす姿」などを記載して頂くのも良いと思います。
消費税増税で販売価格のことが話題に上がっているので、今回は価格戦略について書こうと思います。 「他店より安い」「他社よりお値打ち」魅力的なキャッチコピーですね。消費者としては嬉しいことです。他社よりも価格を安くして価格面での優位性を得ようとする方法は戦略としてはありです。その証拠に「他社よりも安い」を売りにしている会社はたくさんありますからね。ただし、他社よりも安く出来る根拠があるのであればという前提ですが…。 世の中に低価格を売りにしている会社やお店はたくさんありますが、その中のどれくらいの会社が安く出来る根拠を持っているでしょうか?「なぜ安く出来るのですか?」という質問に答えられるでしょうか? この質問に答えられるのであれば低価格路線を続けて頂いて良いです。「安く仕入れが出来ているから」とか「他社より 少ない工程で効率よく生産出来ているから」とか「仕事を単純化してパートさんやアルバイトさんでも出来るようにしてあるから」などなど低価格に出来る理由がしっかりあるのであれば、それは価格優位性を築けているということなので、その優位性を活かして下さい。 しかし、「なぜ安く出来るのですか?」という質問に十分に答えられないのであれば、事業の方向性を見直した方が良いと思います。根拠なく価格勝負をしているのは価格優位性があるのではなく「利益を削っている」に過ぎないのですから。 価格というのは市場(お客様)が決めるので、低価格を求められればその価格で商品やサービスを提供しなければならないことは十分分かりますが、それならそれで低価格でもやっていける仕組みを作らなければなりません。でないと、中長期的に利益が減少してしまいます。 価格を強みにしているお店や会社さんはこの機会に「なぜうちは安く出来るのか?」を考えてみてはいかがでしょうか?
経営戦略の有名な戦略に「マイケルポーターの3つの基本戦略」というものがあります。 経営学の世界では有名なマイケル・ポーター氏が提唱した理論で、企業が競争していくためには「①コストリーダーシップ」「②差別化」「③集中」の3つの基本戦略があるというものです。とても有名な理論なので、どこかで見聞きしたことがあるでしょう。では、それぞれどのような戦略なのかを解説していきます。 コストリーダシップ戦略 「安さで勝負!」これが「コストリーダーシップ戦略」です。 この戦略では製品の品質や性能などは平均レベルにしておいて、安く仕入れて、安く作ることに徹底的にこだわります。自動車メーカーで例えると、トヨタやフォルクスワーゲンなどがこの戦略を取っていると考えられます。 この戦略で重要になるのは企業の規模です。規模の大きい企業が幅広い市場で受注を獲得し、規模の経済性を働かせながら低コストを実現していきます。規模が戦略の鍵となるので、ポーターの理論ではより多くの市場のシェアを獲得出来る業界のリーダー企業のみが取ることが出来る戦略であるため、リーダーに続くフォロワー企業はコストリーダーシップで戦うのではなく、次に説明する差別化や集中戦略で優位性を確保してリーダーに対抗すべきであるとされています。 差別化戦略 価格面ではなく品質や性能・デザインなどで優位性を確保して競争をしていく戦略が「差別化戦略」です。自動車メーカーで言えば、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、ボルボ、レクサスなどがこの戦略に該当するのではないでしょうか?この戦略を取っている企業の商品やサービスは少々値段は高いですが、その分価格を補って余りある売りがあります。 この戦略を取る際のポイントは「どこで差別化するのか?」という差別化ポイントの絞り込みです。「壊れない耐久性」で勝負するのか?「走行性能」で勝負するのか?「快適性」で勝負するのか?といった具合です。あれもこれもという姿勢で勝負すると失敗します。ポイントを絞り込んで「うちはここで勝負!」というこだわりを持ってブレずに進むことが勝負を分けます。
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