草思社文庫から2016年8月8日に初版として出された本。 「完本 天気待ち 監督・黒澤明とともに」 黒澤組最後の生き残りとされる野上照代さんの本。実にユニークで面白い本だった。 ちなみにイラストも野上照代さんが描いている。 かねて野上さんが出された『天気待ち』と『もう一度天気待ち』の2作のエッセイをまとめた本だが、実にうまく構成されていて、一部に同じ話しは重なるのだが、読書中に思わず声をあげてわらってしまったり、じわじわ涙が出てきたりと、とにかくこの本を手にしている間、ずっと楽しくて嬉しくて、ああ、それはあの黒澤明監督と同じ時間を体現したような気持ちであろうか。 これまで聞いたことのある話題も…
2017年にアメリカで公開されながら、日本で公開されるまで3年かかったテレンス・マリックの秀作『ソング・トゥ・ソング』を渋谷で鑑賞。 今年『名もなき生涯』というポピュリズムを象徴するような傑作を生み出したマリックの思想は、おそらく我々が目の前にするものとは全く違うかもしれない。マスメディアから遠く離れた位置から次々と傑作を生み出すパワーは、かつてのスタンリー・キューブリックにも似る。その先見性と時代を深堀りする勇気、そして美しい究極の映像に圧倒される。『名もなき生涯』でも目の当たりにしあマジックアワーを捉える映像はこの『ソング・トゥ・ソング』でも採用されていて美しい。 物語は簡単だが、語り口が…
充実したNetflixのプログラムについつい乗せられて、最近は家の目の前にあるゲオにも行かない。娘が漫画を借りる程度になってしまった。トレンドとは恐ろしい。経済がゴソッと動いてしまう。大手の映画会社もコンテンツ不足で悩ましい中、VODがこれほどまでに普及しては太刀打ちできないだろう。 ということで、この日はイタリア映画「ローズ島共和国 ~小さな島の大波乱~」を鑑賞した。実に面白かった。そしてなんと実話だった。 イタリアの海域を少し出たところに、自らプラットホームを作って独立国家にしようとした変わった男の話しだ。変わっているが面白い。よくよく考えてみれば、このプラットホームという発想はGoogl…
テレビは全くといっていいほど見ない主義なのだが、今回は日本に数少ない国際俳優が2名出演するというので『逃亡者』を”必死に”見てしまった。そう、大昔ウィリアム・ワイラーの『必死の逃亡者(The Desperate Hours)』という映画もあったが、あれとこれはまるで違う。 雑談だが、逃亡者で映画検索するととてつもない数がヒットして、邦題で逃亡者とされる映画は参考までに以下のとおり。 逃亡者(1944) ジュリアン・デュヴィヴィエ(原題:Imposter) 逃亡者(1947) 仁科紀彦 逃亡者(1959) 古川卓巳 逃亡者(1990) マイケル・チミノ (原題:Desperate Hours) …
Laughter on the 23rd Floor 『おかしな2人』や『名探偵登場』、『グッバイガール』の脚本家などであまりにも有名なニール・サイモンの戯曲を三谷幸喜さんの演出で公演された。余談だが、三谷幸喜さんの劇団”東京サンシャインボーイズ”はニール・サイモンの戯曲からとっている。 観劇は日生劇場以来。 場所は三軒茶屋のパブリックシアター。2階席だったがとても見やすかった。角度のある席から見下ろす舞台。 ニール・サイモンの戯曲は1993年頃上演され、ネイサン・レインという舞台俳優が主演し、そこにはデミアン・チャゼルの『セッション』でアカデミー賞を受賞したJ・K・シモンズが出演していたらし…
Netflix映画の脅威と恐怖を感じさせる。 過去の映画会社がとても資本を捻出しないような芸術系の作品に投資するセンス。アメリカ以外の国にも惜しげなく投資を繰り返し世界に波及するNetflix。 スペイン映画のこの『日曜日の憂鬱』は、ことによると市場には出回らない映画だと思う。しかしこのクオリティは近年なかなか見られない。 『ホモ・サピエンスの涙』でも述べたが、音で毒された昨今の映画を否定するかのような静けさ。オープニングシーンのゆったりとした静けさ。大きな冬枯れの樹が二本並び、そこに薄っすらとテロップが見えては消える。このセンス。2つの大樹はなにかのの厳しい対立を想像させる。そうだアンドレイ…
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