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  • 破局 遠野遙著(第163回芥川賞)

    大学ラグビー最終年のエリート大学生が女子と付き合いはじめてから”破局”を迎えるまでの一連の経過を淡々と描く。見えないジレンマが主人公に存在する。 破局【電子書籍】[ 遠野遥 ]価格: 1540 円楽天で詳細を見る このラガーマンは筋力を維持するために体を鍛えながら公務員試験の勉強を重ねる。しかしこの小説の中心には常にセックスがある。性的な表現が全体を覆う。例えば陰毛が捨てられるまでの細かい描写などが印象的だ。作者本人が言うように、夏目漱石を参考にしたという表現が面白い。『坊っちゃん』や『吾輩は猫である』なとの言い回しが確かに感じられる。 坊っちゃん改版 (新潮文庫) [ 夏目漱石 ]価格: 3…

  • ときに川は橋となる オラファー・エリアソン展(東京都現代美術館)

    オラファー・エリアソン展 東京都現代美術館 展覧会のタイトルから、川という流動的で実態のないものが、橋という具体(物体)に変化する過程や課題を取り扱う目的と察する。その圧倒的なコンセプトの明快さに心を打たれる。作品そのものは常に見る側へ問かける。しかしその手法は切り捨てるような痛々しさや厳しさではなく、柔らかい問いかけである。 オラファー・エリアソン ときに川は橋となる [ 東京都現代美術館 ]価格: 3520 円楽天で詳細を見る この展示会の作品群にも心から胸を打たれるが、彼の活動のスケール感にも圧倒される。北極圏の氷をそのままロンドンなどの都市へ運び置いておく。すると都市の人々はその樹氷の…

  • 首里の馬 高山羽根子著

    第163回芥川賞作品、『首里の馬』。高山羽根子氏は3回目での受賞だとか。 首里の馬【電子書籍】[ 高山羽根子 ]価格: 1375 円楽天で詳細を見る 主人公の未名子は沖縄のある個人資料館でただひたすら資料の整理をしている。ドラマの始まりはこの沖縄の個人資料館の高齢女性の所有者”順(ヨリ)さん”と娘の”途(ミチ)さん”のことが延々と語られる。 未名子は”クイズを出題する”という仕事に転職する。世界のどこかにいる人に向けてネットを通じてクイズを出題する、というだけの仕事。ここで彼女は三人の人と仕事をする。 ある日庭を見ると、突然動物がいる。どうやら宮古馬が迷い込んだらしい。彼女はこの馬をヒコーキと…

  • フィンランドの教育はなぜ世界一なのか

    岩竹美加子著 新潮新書 ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう! たまたま本屋で手にして買ってみたら、とても面白かった。 この本とコロナの影響が少ない北欧の事情に比して、新自由主義経済を闊歩してきた大国のダメージは大きい。そのことはまた別の記事にするつもりだ。 この本は概ねフィンランドのシンプルで安全な教育事情を紹介しつつ、フィンランドの歴史的背景なども紹介し、日本の厳しい実情と比較する構成だ。言うまでも国の事情が違うのでフィンランドが良くて日本が悪い、という短絡的な話題にはならない。 フィンランドの教育はなぜ世界一なのか (新潮新書) [ 岩竹 美加子 ]価格: 858 円楽天で詳細…

  • ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜 Netflix

    ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう! スウェーデンから独立したアイスランドという国の話で、1950年代から続く”ユーロヴィジョン”というコンテスト(歌合戦)への出場を夢見る男女の話。俳優には著名人を並べ、日本ではあまり馴染みのない”ユーロビジョン”を取り上げたことだけで価値のある映画だ。そして何よりアイスランドという国の歴史と、彼らを中心とする世界観が巧妙に演出されていて面白い。情報量が多ければ多いほど楽しめる映画だ。 ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア サーガ物語〜 / Eurovision Song Contest: The Story of Fire Saga (Music f…

  • 日本の戦争映画 春日太一著

    戦争映画、というか戦争に対する嫌悪感から”戦争”名のつくものに思い入れが薄い。闇雲に「戦争は悪だ」とか「戦争は嫌いだ」という理由で、戦争にまつわる情報を避けてきた自分がいて、映画についても同様であった。少なからず戦争を美化することだけは避けたいという思いがあった。 日本の戦争映画 (文春新書) [ 春日 太一 ]価格: 968 円楽天で詳細を見る しかしこの本は実によくできていて、戦争映画を紹介する本でありながら、その特性と時代の傾向などをカテゴライズしている。そしてそれぞれの傑作の特徴や見どころを短くまとめているだけでなく、作り手(監督やプロデューサーや脚本家)の敗戦時の年齢や思いなどを読み…

  • ザ・ファイブ・ブラッズ (Netflix)

    町山智浩さんのラジオ番組を聞いて、さらにBSの特集番組で小林克也さんとの対談で、この映画について触れていた。ひとつはマービン・ゲイのこと。映画の中で彼のデビュー曲がさり気なく使われているのだが、”Inner City Blues”という曲は”金がなくて税金が払えない”という貧困を歌った曲で”What's Going on ”もベトナム戦争の曲だ、ということと、映画の中に出てくる5人のメンバーがテンプテーションズのメンバーの名前に重ねている、という話題に興奮する。 テンプテーションズ というと尋常ではいられない。初めて自宅にあった「マイ・ガール」のEPレコードは宝物だ。初めて家のレコード盤で聞い…

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