日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。
前回は、アルツハイマー型認知症の発生機序に関する「ミエリン仮説」について少し詳しくお話ししました。 そのうえで、発達障害の人が有する「神経軸索の髄鞘化機能の低下」という特性と、アルツハイマー型認知症の発生機序には「脱髄」と「再ミエリン化不全」が深く関与しているとする「ミエリン仮説」は、いずれもその病理学的背景が大きく共通していることから、もし「ミエリン仮説」が正しいとすれば、発達障害の人がもの忘れを発症しやすいのも納得がいくというお話をしました。 今回はその続きになります。 発達障害の気質が強い人の「もの忘れ」は認知症疾患が原因でないことが多い 20~50歳代でも「もの忘れ」を主訴に当院を受診…
前回は、神経軸索の髄鞘化機能の低下が発達障害や認知症疾患を呈する一因になっている可能性が高いということをお話しし、それに関連して、神経軸索の髄鞘が崩壊して軸索がむき出しになる「脱髄(だつずい)」が、アルツハイマー型認知症の発生機序に大きく関与しているとする「ミエリン仮説」についてご紹介しました。 今回はその続きになります。 「脱髄」と「再ミエリン化不全」がアルツハイマー型認知症の発症に深く関与している 人の脳は「灰白質(かいはくしつ)」と「白質」に分けられます。 灰白質は脳の表面にあって、そこに神経細胞が集まっているのに対し、白質は灰白質の内側の脳深部にあって、そこに神経細胞から伸びた神経軸索…
前回は、発達障害の気質がある人は意外に多く、最近の文部科学省による報告では自閉症スペクトラム(ASD)保有率が1.1%、注意欠陥多動性障害(ADHD)保有率が3.1%、米国のCDCによる報告ではASD保有率は1.85%、ADHD保有率は6.1%とされているけれども、実は当院で認知症と診断される患者さんの多くに発達障害の傾向があるというお話をしました。 また、発達障害のある人は脳の神経細胞に脆弱性(ぜいじゃくせい)があり、ストレスによって脳の神経細胞が変性しやいため、発達障害の気質がある人は認知症になりやすいと考えられるけれども、これは発達障害の人はもともと神経軸索の髄鞘化(ずいしょうか)機能が…
発達障害の気質がある人は意外に多い!? 当院で認知症と診断される患者さんの多くが、強弱の差こそあれ、もともと発達障害の気質を有しているということを、以前からお話ししてきました。(「認知症と発達障害」カテゴリー記事一覧) ここでいう発達障害とは、主に「自閉症スペクトラム症(ASD)」と「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の2つになります。 発達障害の保有率としては、文部科学省によって2012年に全国の公立小中学校で約5万人を対象に実施された調査によれば6.5%(ASDが1.1%、ADHDが3.1%)とされています。 また米国のCDCの報告によれば、推定される子供のASD保有率は1.85%(2010…
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