日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。
前回は、まず認知症の人は相手の表情や態度に意外と敏感であるというお話をしました。 それは、失語症状が出て相手が何を言っているのか分からなかったり、自分の置かれている状況が分からないと、会話をしている相手や周りにいる人たちの表情などから、必死にその場の状況や雰囲気だけでも探ろうとするからではないかと思われます。 また、そもそも「相手の目を見ながら会話をする」ということは「あなたのことを見てますよ」というメッセージにもなり、相手に安心感を与えることができるということですが、逆に「相手が目を見てくれない」ということは、その人に対する不信感・不安感のもとになり、本人に少なからずストレスを与えることにも…
認知症の人は相手の表情や態度に敏感である みなさんは認知症の人と接する時に、しっかり相手の目を見ているでしょうか。 「認知症の人だから・・・」と、あまりそんなことには気を払わずに接している人も多いかもしれません。 以前は私もそれほど意識はしていませんでしたが、今では「認知症の人だからこそ、相手の目をしっかり見ながら接しなければいけない」と感じています。 認知症になると多くの人に、程度の差はありますが、少しずつ言葉の意味が分からなくなってきたり(失語)、言葉の意味がすぐに想起できないといった症状が出てきます。 そんな場合、こちらがいくら丁寧に説明しても、本人は理解できずにますます混乱してしまった…
前回は、「寝たきり」状態から回復された高齢者に共通していたのは、「できるだけ早期からトイレの使用を始めていた」ことと、「『絶対に良くなる!』という気持ちを持ち続けていた」ことであるというお話をしました。 そして「できるだけ早期からトイレの使用を始めていた」ことが回復に結びついた理由として、「廃用症候群」の予防や、そこからの回復にとって一番のカギになるのは、身体を起こしたり、立つことで「抗重力筋群」をいかに活動させられるかということであり、トイレを使うようになれば、この大事な「起きて」「立つ」という機会が、自然に生活の中に確保されるようになるからでしょうとお話ししました。 今回はその続きになりま…
前回は、「和式生活」を導入することで「床上動作」を通じて日常的に全身の筋力を鍛えられるようになるため、「和式生活」は認知症高齢者の身体活動を活発にする選択肢としても十分考えられるというお話をしました。 そして実際に、日常的な「床上動作」が動作能力を飛躍的に回復させた認知症高齢者の症例についてご紹介いたしました。 今回はその続きになります。 「寝たきり」状態から回復された高齢者に共通していたこと 認知症のある高齢者が、ケガや病気などで入院して一旦身体状態が低下してしまうと、そこから回復するのはなかなか難しく、そのまま寝たきりになってしまったり、認知症がどんどん進行していってしまうということがよく…
前回は、高齢者やパーキンソン症候群のある人ではお尻の筋肉が衰えやすく、お尻の筋肉が衰えてくると、歩く時に腰や膝が曲がった姿勢になって、すり足や小刻み歩行、動作緩慢などの「パーキンソン症候群」が増強しやすくなったり、さらには腰痛や膝痛、首痛の原因になることもある、ということをお話ししました。 そのため、お尻の筋力をしっかり保つことが若さを保つ秘訣であるとも言え、お尻の筋肉を鍛えるには、日常的に床からの立ち座り動作に代表される「床上動作」を頻繁に行う「和式生活」が適しているということや、お尻の筋肉を効率良く鍛えられる体操についても2つご紹介しました。 今回はその続きになります。 認知症高齢者の身体…
前回は、入院で体力が落ちた施設入所者が退院して施設の生活に戻ると、基本的に他の入居者さんと同じように全体の予定に合わせて毎日生活するようになるため、半ば強制的に必要な「生活動作」を繰り返し行うようになって、いつの間にか入院前の身体状態まで戻っているということが多く、これこそが「生活動作」を活用したリハビリの本骨頂ではないかというお話をしました。 また、特に認知症高齢者の心身機能を維持・回復させるためには、日常的に「できるだけ心身の活動性を高く保つ」ことが不可欠であり、リハビリとして「生活動作」を有効に活用していくためには、リハビリスタッフから「生活スタイル」や「生活環境」について、具体的なアド…
前回は、リハビリを効果的に進めていくには「負荷量」の設定が大事であり、本人ができるかできないかのギリギリの「負荷量」で動作・運動していけばいくほど、得られるリハビリ効果が大きくなるというお話をしました。 その点、床からの立ち座り動作に代表される「床上動作」は、高齢者にとっては全身の筋力とバランス能力を要求される比較的難易度の高い動作になるので、日常的に行うリハビリとしても適切な「負荷量」の運動になりやすいというお話もしました。 今回はその続きになります。 入院で体力が落ちた施設入所者が退院して施設の生活に戻ると・・・ 前回も少し触れましたが、日常生活の中でリハビリとして「生活動作」を活用してい…
前回は、「床上動作」は認知症高齢者で衰えやすい「股関節周囲筋群」や「下部体幹筋群」を鍛えてくれるため、専門のリハビリスタッフも「床上動作」を利用した運動療法をよく実施しているというお話をしました。 そして、実際に専門のリハビリスタッフが行う「床上動作」を利用した運動療法の進め方についてご紹介し、その時に特に気を付けなればならないのが「姿勢」であり、抗重力筋群の神経筋活動を賦活する運動療法を実施する際のキーワードが「まっすぐ伸ばして荷重する」ことである、というお話もしました。 今回はその続きになります、 本人ができるかできないかのギリギリの「負荷量」での運動が効果的 前回もお話しした通り、リハビ…
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