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化学徒の備忘録 https://www.syero-chem.com/

化学に関することを記事にしています。大学レベルの内容が多いですが、高校や中学レベルの内容もあります。また化学であれば、無機化学、有機化学、生物化学、分析化学、物理化学、量子化学、電気化学など幅広い分野の内容の記事を書いています。

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2019/06/05

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  • 冷やした果物がおいしい理由・ぬるい清涼飲料水が美味しくない理由

    糖と温度の関係 甘さを感じる主成分は糖である。 フルクトースは最も甘い糖のうちの1つであり、グルコースと比べると約2倍甘いと言われており、スクロースよりも甘い。 このフルクトースは、熱すると甘味が減少する。これは低温では甘味を強く感じるピラノース型のフルクトースとなるが、高温では甘味を弱く感じるフラノース型のフルクトースに変化するためである。 このため、フルクトースが多く含まれている果物などは冷やしたほうが甘く、おいしく感じる。 また清涼飲料水の甘味料として用いられるコーンシロップにもフルクトースが含まれているため、温めた清涼飲料水は甘味が弱く感じられることがある。そのため、ぬるい清涼飲料水が…

  • 【物理化学】理想気体の混合の各変化

    理想気体の混合の変化 2つの系に入ったmolの気体Aとmolの気体Bの混合を考える。 ここでどちらの系も温度、圧力であるとする。ここでは気体を理想気体とする。 ここでは混合前を、混合後をで表す。 混合前の状態では、それぞれの気体の化学ポテンシャルは以下のように表される。 ただし標準圧力としている。 混合後のそれぞれの成分の分圧を、とすると化学ポテンシャルは次のようになる。 混合後の全圧はである。 混合のギブズエネルギーの変化 混合前の系のギブズエネルギーを、混合後の系のギブズエネルギーをとすると次のようになる。 よって混合のギブズエネルギーの変化は次のようになる。 理想気体の混合は自発的に進行…

  • 【物理化学】ギブズ-デュエムの式:示強性変数の変化に関する式

    ギブズ-デュエムの式(ギブス・デュエムの式) 2成分の混合物のギブズエネルギーは以下の式で与えられる。 この全微分は以下のようになる。 この式を次の多成分系のギブズエネルギーの全微分式と比較する。 このようにして次のギブズ-デュエム式(Gibbs-Duhem式)を導出することができる。 ギブズ-デュエムの式は、1つの示強性変数の変化は、残りの3つの変数の変化によって決定されるということを意味している。つまり、これはすべての示強性変数のうち1つは従属であるということもある。 温度と圧力が一定である場合には、次のようになる。 これは、部分モル体積、部分モルエンタルピー、部分モルエントロピーなどの他…

  • 【物理化学】化学ポテンシャル(部分モルギブズエネルギー)

    化学ポテンシャル(部分モルギブスエネルギー) 部分モル量は、体積以外の示量性の状態量について定義することができる。 溶液を構成する物質については成分の部分モルギブスエネルギーは、その成分の化学ポテンシャルとして以下のように定義することができる。 つまり化学ポテンシャルは温度、圧力、以外の成分の物質量を一定とした溶液に成分を微少量加えた場合のギブズエネルギーの変化である。 一般的に、独立変数として温度と圧力を用いた場合が便利であることが多いため、上の式で定義された化学ポテンシャルを用いることが多い。 一定温度、一定圧力にある2成分系溶液に対しては、以下の関係が成り立つ。 これを多成分系に一般化す…

  • 【物理化学】部分モル体積の求め方の図的方法

    部分モル体積の求め方 部分モル体積の求め方として、図的方法といわれるものがある。 ここでは、2成分系の場合について考える。この時、平均モル体積は以下の式で求めることができる。 は全体積である。とは成分AおよびBの物質量 (mol)である。とは成分AおよびBのモル質量である。とは成分AおよびBのモル分率である。 そこで、溶液の密度の測定から決定して、モル分率に対して図を書くと下のようになる。この曲線に対して、任意のモル分率に引いた接線がとでの縦軸と交わる切片から、それぞれの成分AとBの部分モル体積とが決定できる。 ここで下の関係が成り立つ。 このことから、次の関係が成り立つ。 この上の式を下の式…

  • 【分析化学】難溶性固体の溶解度積と共通イオン効果・異種イオン効果

    難溶性の塩と共通イオン効果 難溶性の塩の場合、溶解平衡は以下の式の左側に非常に大きく偏った溶解平衡と考えることができる。 難溶性の塩の溶解度積はとすると、以下のように取り扱うことができる。 溶解度積は、それぞれのイオンの濃度が変化した場合でも一定である。つまり、溶解度積が大きな別の塩MYを添加することで、の濃度を増加させた場合、の溶解度は次の式で表されるに減少することになる。 このことからわかることは、難溶性の塩から生じるイオンと共通のイオンを加えると、難溶性の塩の溶解度は減少するということである。 このことを共通イオン効果という。 異種イオン効果 難溶性の塩が存在する溶液に、共通イオンがでな…

  • 【化学ニュース】Ca-Sn合金二次電池の充放電時の電極の構造変化が解明

    カルシウム(Ca)二次電池は、理論エネルギー密度が高い、安全性が高い、原料である天然資源が豊富であるといった点から、ポスト・リチウムイオン電池として注目されている。しかしながら、実用化には課題が残っており、今も研究が世界中で行われている。 今回紹介する論文は、カルシウムイオン電池の実用化に向けて、図1のようなCa-Sn合金を用いた二次電池について報告している。 図1:電池の概要図出典:参考文献 カルシウムイオン電池とその課題 リチウムイオン電池は世界中で用いられているが、コバルトやニッケル、リチウムといった原材料の長期的な確保には課題があり、リチウムイオン電池に替わる電池についても多くの研究が…

  • 【電池用語】ハーフセルとフルセル:リチウムイオン電池の用語解説

    ハーフセルとフルセル リチウムイオン電池やポスト・リチウムイオン電池の研究開発において、ハーフセルとフルセルが使われる。 ハーフセルは正極や負極にLiなどを用いたセル(電池)である。 フルセルは正極と負極の両方に通常の電極材料が用いられているセルである。 ハーフセルを用いる理由 リチウムイオン電池やリチウムイオン電池に替わる次世代のリチウムイオン電池(ポスト ・リチウムイオン電池)の研究開発では、電極の材料などを開発し、その電池としての充放電特性などの性能を評価することが多い。 このとき、電極の材料は正極のみを開発したり、負極のみを開発するという研究が行われることも多い。例えば正極のみの性能を…

  • 【物理化学】ギブズの相律と自由度・ギブズの相律の導出

    自由度 物理化学や熱力学において、系の状態は温度、圧力、モル分率などの組成などの示強性変数によって決定される。こういった変数の中で、系の状態を決定するために自由に(独立に)定めることのできる示強性変数の数を自由度という。 ギブズの相律の導出 ここで個の成分を含む系において、個の相が共存しており、平衡状態にある場合を考える。 このとき、各相()は個の成分を含んでいる。そのため、各相の組成(例えばモル分率など)はである。よって()個のモル分率を指定する必要があるということになる。 つまり、各相の状態は、これに温度と圧力の合計2を加えた、()個の示強性変数によって決定することができる。ここで相の数が…

  • 【分析化学】緩衝液と緩衝作用・緩衝液のpHの一般式

    緩衝液と緩衝作用 溶液に酸や塩基を加えたり、溶液を薄めても、pHが大きく変化しない溶液を緩衝液という。 そして緩衝液によるpHを一定に保つはたらきのことを緩衝作用という。 緩衝液は弱酸とその共役塩基、もしくは弱塩基とその共役酸の混合溶液である。 緩衝液のpHの一般式(計算式) よくある例として、酢酸(HA)と酢酸ナトリウム(BA)の混合溶液、つまり酢酸と酢酸ナトリウムの緩衝液について考える。(Aは酸acidのA、Bは塩基baseのBである) このとき緩衝液では、以下の平衡が成り立っている。 そして、酢酸()も酢酸イオン()も多く存在している。 ここで、酢酸の総濃度を、酢酸ナトリウムの総濃度をと…

  • 【化学ニュース】Ni触媒による鈴木クロスカップリングによって有機フッ素化合物の合成が報告

    ここ数十年で、フッ素を含む分子は薬として利用されるようになっており、その割合は全体の30%以上になっている。特に、gem-ジフルオロメチル類のような有機フッ素化合物は、薬効作用から薬に用いられる化合物として注目されている。 図1の(a)に紹介されているように、フッ素含有有機化合物は様々な薬効がある。 今回は、ニッケル触媒を用いてフッ素含有化合物の一種であるアリールジフルオロメチルアリールエーテルを簡単かつ効率的に合成する方法が報告された。 これまでの合成方法の変遷 図1 (a)薬効作用のあるフッ素化合物 (b)これまでの合成方法の変遷出典:参考文献 アルキルジフルオロメチルアリールやアルキルジ…

  • 【分析化学】電解質の溶解の水の比誘電率とイオンの水和の影響

    水が電解質を溶かす理由 水が電解質を溶かす理由については、未解明な点もあるが、水の大きな誘電率とイオンの水和が主な要因であると考えられている。 比誘電率の効果 距離((m))離れた電荷、と(C)の間に働く力(N)はクーロンの法則で考えることができる。 は真空の誘電率、は比誘電率であり、電荷がおかれた媒体の性質によって決定する無次元の定数である。 大きな比誘電率をもつ媒体におかれた電荷間に働く力はクーロンの法則に従う。そのため働く力は比誘電率の値の反比例する。一方で、水は大きな比誘電率をもつ液体である。よって、水の中に存在する電荷間に働く力は、他の溶媒と比べると小さくなる。 ここで塩の溶解につい…

  • 【化学ニュース】水へ塩素と紫外線の処理で有害な物質の生成が促進される可能性

    有害性が危険視されているハロベンゾキノン類 ハロベンゾキノン類(HBQs)は水の消毒の副生成物として、飲料水やプールから検出されることが最近報告されている。さらに、ハロベンゾキノンは毒性が高く、ハロベンゾキノン類は、現在規制がかかっているトリハロメタン(THM)などの前駆体でもある。このトリハロメタンは公衆衛生や環境に高いリスクをもたらすことで知られている。 引用:https://phys.org/news/2022-07-exploring-adding-uv-treatment-chlorination.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter …

  • セリワノフ反応(アルドースとケトースの識別テスト)と反応機構について

    セリワノフ反応 セリワノフ反応 (Seliwanoff's test or Seliwanoff's reaction) はケトースとアルドースを識別する呈色反応である。 セリワノフはロシアの化学者 Feodor Feodorovich Selivanovに由来している。 糖のうち、ケトン基を含む糖はケトースであり、アルデヒド基を含む糖はアルドースである。セリワノフ反応を用いた試験では、試料にレソルシノールと塩酸を加え、湯浴上で加熱すると、多糖類やオリゴ糖のケトース酸で加水分解され、より単純な糖となる。この糖を加熱したときにケトースはアルドースよりも急速に脱水しフルフラール誘導体 (5-ヒドロ…

  • 【分析化学】測容ガラス器具(メスフラスコ・ホールピペット・ビュレット)

    試薬を実験に用いる際や、未知試料の分析を行う際には、正確な濃度の測定が重要となる。この決まった濃度の溶液を調製するために、欠かせないものが測容ガラス器具である。ここでは、精密な測容器であるメスフラスコ、ホールピペット、ビュレットについて解説する メスシリンダーや駒込ピペットは簡単に使用することができるため、便利であるが、測容器としては精度が低いため、定量分析を行う際の溶液の正確は調製には使用されない。 メスフラスコ(全量フラスコ) メスフラスコは、一定の濃度の溶液を調製する際や、試料溶液を正確に希釈する際に用いられる。一般的には、10 mL ~100 mL程度のものが使用されることが多いが、サ…

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