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  • 暗黒物質は電子よりもはるかに軽い粒子でできている? 重力レンズ効果による像を再現して分かったこと

    重力を介してのみ間接的に存在を知ることができる物質宇宙には非常にたくさんの恒星が集まった銀河が無数に存在しています。その多くは回転していますが、銀河が銀河としてこの宇宙に存在している以上、銀河の回転速度は重力で恒星を引き留められる限界の速度以下のはずです。ところが、銀河の回転速度を実際に調べてみると、恒星の数を元に銀河の質量から推定される重力では、恒星を引き留めることができないほどの高速で回転していることが分かってきます。この結果は何を意味しているのでしょうか?それは、光などの電磁波では観測することができず、重力を介してのみ間接的に存在を知ることができる“暗黒物質(ダークマター)”の存在なんですねー理論上、その量は電磁波で観測できる普通の物質の4倍以上もあることになっています。暗黒物質の正体は現在でも不明...暗黒物質は電子よりもはるかに軽い粒子でできている?重力レンズ効果による像を再現して分かったこと

  • 遥か昔の宇宙における物質の化学進化に迫る! 小マゼラン雲にホットコアを初検出

    今回の研究では、アルマ望遠鏡を用いて地球から約19万光年の彼方に位置する矮小銀河“小マゼラン雲”において、“ホットコア”と呼ばれる生まれたばかりの星を包み込む分子の雲を世界で初めて発見しました。ヘリウムより重い元素(炭素、窒素、酸素など)は、恒星内部の核融合反応により長い時間をかけて合成されるので、宇宙が誕生したばかりの頃には、ほとんど存在していませんでした。このような重い元素の少ない環境における星形成や、それに伴う物質の化学進化の様子は未だに多くの謎に包まれているんですねー小マゼラン雲は重い元素が少なく、今から約100億年前の環境に類似しているので、昔の宇宙の物質進化を研究するための良い実験場といえます。今回の研究で発見された小マゼラン雲のホットコアは、通常の環境のホットコアと比べて、複雑な有機分子がは...遥か昔の宇宙における物質の化学進化に迫る!小マゼラン雲にホットコアを初検出

  • 小惑星“クワオアー”に2本目の環を発見! 両方ともロシュ限界の外側なのに衛星が形成されない訳は?

    土星に代表されるように、太陽系の天体のいくつかは環をもっています。当初、知られていた輪を持つ天体は木星、土星、天王星、海王星など4つの巨大天体のみ。なので、天体が環を持つにはある程度の大きさが必要だと考えられてきました。それが、2014年に小惑星カリクローで環が発見されたのを皮切りに、現在ではキロンとハウメア、そしてクワオアーでも環が発見されているんですねーただ、キロンの環の存在には議論があり、存在しないという否定的な意見もあったりします。このため、太陽系内で7番目ないし8番目に発見されたのが、クワオアーの環になります。クワオアーの環は2023年2月の論文で発表されたばかりで、2018年から2021年にかけて得られた観測データの分析で判明しています。細く暗い環を星食で見つける小さな天体の環は極めて細く暗い...小惑星“クワオアー”に2本目の環を発見!両方ともロシュ限界の外側なのに衛星が形成されない訳は?

  • 形成直後の地球表層は原始生命に過酷な環境だった! 初期地球マントルの大酸化イベントを超高圧実験で再現して分かったこと

    今回の研究では、巨大天体衝突によって生じる、深いマグマオーシャン中で生成する3価鉄の量を決める実験を実施。実験では、地球マントルと同等の試料を超高圧で融解させています。これにより、巨大天体衝突によって生じる深いマグマオーシャン中で生成される3価鉄の量を決めることに成功しています。この結果により、地質記録から示唆されている、40億年前より以前(冥王代)の非常に酸化的な上部マントルを定量的に説明することができました。冥王代は地球誕生から約40億年前までの約5億年間を指す。この時期に大気や海洋が形成され、生命が誕生したと考えられている。また、この時期に形成年代を示す岩石をはじめとした地質記録はほとんど存在しない。また、当時の火山ガス組成は二酸化炭素や二酸化硫黄が主体で、原始生命にとって非常に過酷な表層環境を形成...形成直後の地球表層は原始生命に過酷な環境だった!初期地球マントルの大酸化イベントを超高圧実験で再現して分かったこと

  • ブラックホール同士の合体で光は放たれる? すばる望遠鏡とカナリア大望遠鏡の連携による重力波天体の探索

    今回の研究では、北半球にある2つの大型望遠鏡を用いて、ブラックホール同士の合体による重力波事象をこれまでにない深さで追観測し、その電磁放射強度に制限を与えています。この制限を与えるにあたってカギになったのが、すばる望遠鏡の広視野探査能力とカナリア大望遠鏡の柔軟な分光観測の連携でした。今後も両望遠鏡の連携で重力波事象の追観測を重ねることによって、「ブラックホール同士の合体で光が放たれるか?」という謎が解明されることが期待されています。この研究を進めているのは、国立天文台とスペインカナリア天体物理研究所の研究者を中心とする国際研究チームです。今回の研究のイメージ図。ブラックホール連星合体からの電磁波放射を探査するという挑戦的な試みは、すばる望遠鏡の広視野深探査観測とカナリア大望遠鏡の柔軟な分光観測という、二つ...ブラックホール同士の合体で光は放たれる?すばる望遠鏡とカナリア大望遠鏡の連携による重力波天体の探索

  • “宇宙論の危機”回避になるかも? 宇宙背景放射からダークマター分布地図を作成するための新しい解析手法

    今回の研究では、2017年から2021年にかけて宇宙マイクロ波背景放射(CMB)を観測したデータを用いて、宇宙マイクロ波背景放射が私たちに届くまでの間にどの程度、重力レンズ効果の影響を受けているかを解析しています。その結果、全天の約4分の1にあたる天域をカバーするダークマターの分布図を新たに作成。さらに、ダークマターの分布図から、宇宙の大規模構造の成長の過程や過去や最近の宇宙の膨張速度を見積もっています。すると、アインシュタインの一般相対性理論の正しさを裏付ける結果になったんですねー近年、指摘されていたのは、遠方宇宙の観測から求めたダークマターの分布が、標準的な宇宙論と矛盾すること。今回の研究では、遠方銀河ではなく宇宙マイクロ波背景放射の観測から分布を調べると矛盾は起きないことを示したことになります。宇宙...“宇宙論の危機”回避になるかも?宇宙背景放射からダークマター分布地図を作成するための新しい解析手法

  • 木星の氷衛星を探査するミッション ヨーロッパ宇宙機関の探査機“JUICE”が打ち上げに成功

    ヨーロッパ宇宙機関が主導し、日本などが参加する木星氷衛星探査計画。この計画で用いられる探査機“JUICE”が4月14日に打ち上げられました。木星の氷衛星エウロパやカリスト、ガニメデを目指す8年の長い旅をスタートさせた“JUICE”。計画では、衛星表面を覆う氷の下に巨大な地下海が存在すると考えられている木星の氷衛星を複数探査。ミッションの最後には氷衛星ガニメデを周回して精査する予定です。木星の大型氷衛星にターゲットを絞った初めての探査計画日本時間の4月14日21時14分、木星氷衛星探査機“JUICE”を搭載したアリアン5型ロケットは、南米のフランス領ギアナのクールー宇宙基地を離床。打ち上げは順調に進み、探査機は予定通りにロケットから分離し、地上との通信を確立したんですねーその後、太陽電池パネルを展開して所定...木星の氷衛星を探査するミッションヨーロッパ宇宙機関の探査機“JUICE”が打ち上げに成功

  • 火星の核は軽い元素が豊富で液体なのかも 探査機“インサイト”がとらえた地震波で分かったこと

    地球の中心部はどうなっているのか地球のような惑星は“岩石惑星”と呼ばれる通り、その表面にはケイ酸塩を主体とする岩石が多く存在しています。でも、中心部には金属の鉄やニッケルで構成された核(コア)が存在しているようです。この核は2層構造をしていて、外側にある液体の“外核”と、中心側にある固体の“内核”に分かれていると考えられています。では、なぜ地球の核の構造が分かるのでしょうか?もちろん、余りにも深すぎる地球の中心部の様子を直接見ることはできません。ただ、このような構造は地球の内部を通過した地震波の分析によって推定することができます。これは、地震波が密度と固体や液体の違いなど、通過する物質の性質によって変化するからです。妊婦の体内を超音波で見ることに似ていますね。地球以外の岩石惑星の内部構造それでは、地球以外...火星の核は軽い元素が豊富で液体なのかも探査機“インサイト”がとらえた地震波で分かったこと

  • 超大型望遠鏡“VLT”の観測で見つかった? 初代星が起こした超新星爆発の痕跡

    パリ天文台の博士課程学生AndreaSaccardiさんを筆頭とする研究チームが発表したのは、初期の宇宙に存在していたガス雲に関する研究成果でした。その中に含まれていたのは、宇宙最初の世代の星である“初代星(ファーストスター)”が超新星爆発を起こした後に残したとみられるガス雲。初代星の超新星爆発の痕跡を初めて特定できたと、研究チームは考えているようです。様々な元素を含む遠方宇宙のガス雲のイメージ図。(Credit:ESO/L.Calçada,M.Kornmesser)星々が長い年月をかけて生み出してきた重元素私たちの周辺には水分子を構成する水素や酸素をはじめ、地球の生命に欠かせない炭素や窒素、それに人類の文明活動に用いられている鉄や金、ウランなど、様々な元素が存在しています。でも、今から約138億年前のビ...超大型望遠鏡“VLT”の観測で見つかった?初代星が起こした超新星爆発の痕跡

  • 大マゼラン雲の白色矮星から検出されたX線のエネルギーは、Ia型超新星の謎の一部を説明する発見になる?

    白色矮星の連星系による爆発的なエネルギー放出現象太陽のような軽い恒星は、核融合反応が停止した後に外層からガスや塵を放出して硬い中心核を残します。白色矮星と呼ばれるこの硬い中心核は通常は核融合反応をしないので、ゆっくりと冷えていくことに…でも、白色矮星が伴星として通常の恒星を引き連れている場合だと話が異なるんですねーこの場合、白色矮星は強い重力で伴星の表面物質を剝ぎ取り、表面に堆積させることがあります。そして、物質の量が限界を超えると、白色矮星で一瞬だけ核融合反応が発生し、膨大なエネルギーが放出されます。この爆発的なエネルギー放出を“Ia型超新星”と呼びます。さらに、Ia型超新星にはエネルギーの放出量、つまり爆発の明るさが一定だという特徴があります。これは、核融合反応が点火するきっかけとなる白色矮星の限界質...大マゼラン雲の白色矮星から検出されたX線のエネルギーは、Ia型超新星の謎の一部を説明する発見になる?

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