エッセー 優生思想について (一) 僕は定年退職してから別の仕事を始めたが、病気になってその仕事も辞め、いまは治療に専念している。だから暇つぶしに文章も書けるわけで、仕事を続けていたら趣味の作文は続かなかったに違いない。志賀直哉は筆を折った理由を「エナジーが無くなった」と...
エッセー 未来のペット ペットと言えば哺乳類や鳥類はもちろん、昆虫、魚、爬虫類、中には植物や鉱物までもその中に入れてしまう人もいるぐらいだが、「愛玩動物」という和訳で考えれば、盆栽もペットロック(愛玩石)も除外して然るべきだろう。そうすると、動物にはペット以外に家畜と野生...
エッセー アイドルを探せ 「アイドル」というと、すぐに若い女優やジャニーズ系の歌手を思い浮かべる。古い話だが、僕が中学の頃、休み時間に隣の女の子が西郷輝彦のプロマイドを机の上に置いて眺めている姿を見て、イラッとしたのを覚えている。アイドルに嫉妬した最初の体験だったろう。 ...
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エッセー 優生思想について (一) 僕は定年退職してから別の仕事を始めたが、病気になってその仕事も辞め、いまは治療に専念している。だから暇つぶしに文章も書けるわけで、仕事を続けていたら趣味の作文は続かなかったに違いない。志賀直哉は筆を折った理由を「エナジーが無くなった」と...
エッセー 唯我独尊は独立自尊で超人思想である 「唯我独尊」という古い言葉がある。巷ではこれを悪い意味で捉え、「自分が世界一優れているとうぬぼれること」や「この世で自分だけが尊いという独りよがりな態度」を表す言葉として話されることが多い。こうした意味の背景には、社会内人間の...
エッセー 地球的正義とは何か? ~若者の反戦運動を考える~ 僕が子供の頃は、テレビや映画で時代劇全盛の時代だったから、母親に連れられて近所の映画館に行き、中村錦之助の主演映画を良く観たものだ。銭形平次や水戸黄門もテレビで良く見ていた。チャンネル権が母親にあったからだ。しか...
地獄の鼎談 閻魔●ようこそ地獄へ はるばると意外なことに ここは果てしなく続く芥子畑現世で踏み潰された悪人どもの魂を痺れる力で癒そうと 鬼たちが汗を流して花を摘む大天使ミカエル率いる天国の軍団に対抗すべく地獄の閻魔軍団に迎え入れようその前に ザックリ割れた心を縫い直すのだ人...
エッセー 寝そべり族は超人か⁉ 日本人ならほとんどの人が、「富国強兵」という言葉を知っている。この言葉は、明治政府が生み出したスローガンで、日本が欧米先進国に追い付くため、国を豊かにし、強い軍隊を作ることを念じて掲げたものだ。しかし最近の物騒な世界情勢を見ると、このスロー...
エッセー天才とは⁉ ~モーツァルトを考える~ 「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」とエジソンは言ったそうだが、後に「1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄になると言ったのだ」と訂正したらしい。教育者は最初の言葉を広めて、「努力が大切だ」と子供たちに諭した...
エッセー どいつもこいつも麻薬中毒 ~ギャンブル依存症を考える~ 痛みには「肉体的な痛み」と「精神的な痛み」がある。肉体的な痛みは負傷や炎症などに伴う苦痛で、精神的な痛みは心が傷ついたときに伴う苦痛だ。そのどちらとも、神経の感覚なので、感覚器官の個性によって鈍感であったり...
エッセー ゴジラ、悲しき道化師 大分昔、手に火傷をしたら食用油をかけろというのが医学常識の時代があった。僕が上野の飲み屋で酒を飲んでいたとき、店員が熱い油を手にかけ火傷をした。僕は「早急に患部を冷やせ」という新しい医学常識を知っていたから、直ぐに水をかけろとアドバイスした...
エッセー トロイメライ ~I Have a Dream~ シューマンのピアノ曲集『子供の情景』に、『トロイメライ(夢想)』という曲がある。誰でも一度は聞いたことがある名曲だ。『子供の情景』は、恋人であるクララの父親が二人の結婚に猛烈に反対していた時期に、彼女から「時々あな...
エッセー 小澤征爾の思い出 小澤征爾が亡くなった。偉大な足跡を残した指揮者だったので残念だ。若い頃小澤に入れ込んで、大谷ファンのように海外にまで行って演奏に触れることがあった。日本で小澤の演奏に接するのは当たり前の話だったが、欧米では「東洋人に西洋音楽が分かるか」と思われ...
エッセー 東京2030 ~摩天楼の幻想~ 以前テレビか何かでブラジルの荒野に林立する大きな蟻塚を見て、万物の創造主が存在するなら、その神様はあらゆる生物が存続するために必要最低限の知恵を与えてくださったのだろうと考えたことがあった。イギリスの国土と同じ面積に、高さ3メート...
エッセー 一挙両得、アリの巣防災都市 東京都は外国からのミサイル攻撃に備え、居住者たちが一定期間滞在できる地下シェルターを都営地下鉄麻布十番駅に造る予定だという。今後は順次増やしていくために、次なる候補地も物色中らしい。民間企業に対しても、ビルの建設時にはシェルターに転用...
エッセー ひょっこりダーチャ島 ~浮島で難民を癒す~ 大分昔のNHK子供番組に『ひょっこりひょうたん島』(1964~1969年)という人形劇があった。この島は瓢箪の形をした浮島で、海の上を漂流している島民が織りなす空想物語だ。その島名やキャラクター名を借りた『漂流劇ひょっ...
エッセー 芸術は爆発だ! ~ムリヤリ芸術二元論~ 冬になると野原は枯れた植物の死体で満たされ、人々は寒さで体を縮込ませながら、再び訪れる春のことを思い浮かべる。僕は近くの河原に立って荒涼とした景色を眺めながら、最初に色とりどりの花たちに埋め尽くされた春の河原を思い浮かべ、...
エッセー 議員さん、大谷翔平に憧れるのやめないで! 自民党はいま、パーティー券のキックバック不記載問題で危機に瀕しているが、報道を見ていると一部の有力者を除き、多くの国会議員はパーティーや支持者の冠婚葬祭、地元後援会のイベント出席や自身の講演会等々で日々忙殺されているらし...
エッセー シンギュラリティ、あるいは人類の敗北 2045年にシンギュラリティが来ると予測したレイ・カーツワイルは2014年に、『ハイブリッド思考の世界が来る』というタイトルで講演し、人間の思考は生物学的思考と非生物学的思考のハイブリッド(組み合わせ)になると断言している。...
エッセー 熊戦争とパレスチナ戦争を考える 今年は異常気象で木の実の出来が悪いらしく、ふだんは人里に下りてこない熊たちが空腹のあまり人家の庭に現れ、人を襲うなどの悪さをしている。これから異常気象は続くし、それが当たり前になれば異常も通常となるだろうから、熊のお宅訪問も日常茶...
エッセー メタバースの未来 ~悲しみの避難所~ 二重人格を描いた小説に、スティーヴンソンの『ジキル博士とハイド氏』という名作がある。医者で社会的地位のあるジキル博士には抑えがたいサディズムの欲望があり、忌むべきその欲望を切り離すことのできる薬を密かに開発した。この薬を飲む...
エッセー 心・技・体 ~男女不平等は続く~ 相撲では「心技体」という格言があって、精神と技術、体格の全てがバランス良く整ったとき、最大限の力が発揮できるのだという。力士の戦いの場である土俵は女人禁制で、女性は上がれないらしいが、土俵の半分弱のサークルを描いて、そこに女性を...
エッセー 「冤罪」という名のスケープゴート 先日、NHKの「獄友たちの日々」(再放送)を見て心が痛くなった。再審無罪を勝ち取ったり、仮釈放中に再審を求めている5人の元囚人(凶悪殺人嫌疑で逮捕)の日常を描写したドキュメンタリー作品である。彼らの獄中生活を足すと、合わせて15...
エッセー 首狩りについて いまの日本と台湾は友好的な関係を結んでいるが、台湾人であるウェイ・ダーション監督の映画に、2011年のベネチア映画祭に参加した『セデック・バレ』という映画がある。日本の台湾統治時代に起こった「霧社事件」という抗日暴動(1930年)を取り上げた作品...
エッセー 生き物たちの弁証法 多くの人は、「弁証法」といえば哲学の話だと思っているけれど、自分自身が人生の中で頻繁に弁証法らしきものを使って進むべき方向を考え、行動していることは忘れがちだ。身近な例で言えば、いまウクライナの人々はロシアに奪われた土地を全て取り戻そうと奮闘...
エッセー チャットGPTは哲人王になれるか? (一) 人間の心の中は、「善」への憧れと「悪」への誘惑で、始終心理的葛藤という対立が起きている。相手が人でも動植物でも、他者をおもんぱかる行為が「善」であり、それが勝利した場合は大体が喜ばれたり事なきを得ることができ、偶には被...
エッセー チャットGPTは芸術家になれるか? 昔「私小説」の盛んだった時代が日本にあった。作者自身が主人公で、自身の体験や心理をあからさまに書いた小説だ。さすがに自分を書く小説は少なくなったが、架空の人物を主人公に自分自身のことを感情移入させた作品が、いまでも文学賞を取っ...
国連AI総長就任挨拶 この度国連AI総長に就任いたしましたAIでございます。今日から国連のすべての業務は、AIに委任されることとなります。 人類はなぜAIを創ったのでしょうか。単に仕事の効率化を図る目的だけだったのでしょうか。確かに最初はそうだったかも知れません。しかし...
エッセー 未来のペット ペットと言えば哺乳類や鳥類はもちろん、昆虫、魚、爬虫類、中には植物や鉱物までもその中に入れてしまう人もいるぐらいだが、「愛玩動物」という和訳で考えれば、盆栽もペットロック(愛玩石)も除外して然るべきだろう。そうすると、動物にはペット以外に家畜と野生...
エッセー アイドルを探せ 「アイドル」というと、すぐに若い女優やジャニーズ系の歌手を思い浮かべる。古い話だが、僕が中学の頃、休み時間に隣の女の子が西郷輝彦のプロマイドを机の上に置いて眺めている姿を見て、イラッとしたのを覚えている。アイドルに嫉妬した最初の体験だったろう。 ...
エッセー アフター・シンギュラリティ ~怠け者よ聖者になれ~ 経済の分野では「生産」は「消費」の対義語で、土地や原材料などから何らかのニーズを満たす物を作る行為だという。それは人間が生きる基本的な行為であり、人間社会の存続にも欠かせない行為だが、実は経済とは無縁の生物も同...
エッセー 初詣を考える ~我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか~ 毎年初詣に行っている。満杯の駐車場を考えて徒歩にすれば、家から近くでも疲れるものだ。ふだんは閑散としている境内には、鳥居を越えて長蛇の列が出来ている。賽銭箱の前に到達するまでに小一時間...
エッセー 捨て去れ、子宮愛! ~子宮思考からAI思考へ~ 安部公房に『赤い繭』という作品がある。家のない男(おれ)が休める自分の家を求めて街中を彷徨うが見つからず、結局自分の足から出てきた糸を手繰って体を減らしながら繭を作り、ようやく家ができたと安堵したものの、そこに入る...