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密恋男子 -mitsukoidanshi- https://mitsukoidanshi777.blog.fc2.com/

BLイラスト・BL小説置き場。 イラストの版権は黒バス、進撃、その他オリジナルなど小説はオリジナルのみ

腐った脳内ダダ漏れホームページ。 BLイラスト&小説置き場。

藤崎なお
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住所
兵庫県
出身
豊岡市
ブログ村参加

2019/05/01

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  • 帰省1

    帰省次の日の朝、和はいつものように野菜や果物を秤にかけて袋に詰めたりしていた。「和、値札もつけといてくれるか?」「へいへい」和は父親に言われるまま、丸椅子に座り価格表を見ながら口にマジックの蓋を咥えると段ボールの切れ端に値段を書いていく。すると―――「……にぃー。和にぃー」「ん?」和が声のする方を見ると弟の類が少し離れたところから大きく手を振っている。「うそ……。類か?」思わず立ち上がると類が走ってきて和に...

  • 手放したくない

    手放したくない「なにそれ。ないわぁ」「もともとこのマンションは親父の持ち物で。次男の俺にとこの最上階の部屋を与えてくれたんだが……ただ俺が落ち着かないと我儘を言って下の方の狭い部屋に勝手に住みついてたんだ」「そうなんだ?」「ああ……」和はギュッと京極の体に縋りつく。すると京極がその手を解き「もう明け方だし寝よう」と言った。ベッドルームに掛けられていたスーツを見て和が「かっこいいな」と言うと京極は「今度...

  • 抱いてよ

    抱いてよ-----------------------------『あれ……。ここどこだ?』『和くん、ごめんね? 愛、連れてくね?』知らない男と夏美が愛を抱っこして和の前から歩いて行く。『ちょっと。ちょっと待って。愛連れてかないでよ』------------------------------「愛っ。……愛っ!!」ガバッと布団から起き上がる。ハァハァハァと息を吐く。「夢……? 夢かよかった。……つっ! 頭いて……」和は頭痛に頭を押さえると辺りを見回した。月明かりで見知らぬ...

  • 好きなんだ

    好きなんだ「こんなところでどうしたんだい?」後藤はよいしょっと和の体を起こすと和が顔をあげた。「ん……京極ぅ?」「え……?」【あの男と間違えている?】後藤はニヤリと笑った。「そうだよ? 京極だ。どうしたんだい? こんなに酔って」「京極、会いたかった。すごく会いたかったんら」そう言うと後藤に唇を押し付けた。「おおっと。今日はえらく積極的なんだねぇ。さっ、中に入ろうか? ここじゃ風邪ひいちゃうからね?」「うーん……...

  • 居なくなる?

    居なくなる?「いえ、和くんに何も相談しないで勝手な事したのは私の方なので……」「しかし……。この馬鹿が」「とにかく。……愛の散歩の時間だし2人で外で話そう?」「うん……」和と夏美は両親の見守る中、愛をベビーカーに乗せて公園に向かった。その間はどちらからも話すことなく黙っていた。ベンチに座ると和から夏美に声を掛ける。「なんも知らなくてごめん。愛を育てていてわかった。育児の大変さ」「和くん……」「今日……会いに来て...

  • 愛の母親

    愛の母親「こんにちはー。今日は何がお買い得なのぉ?」「いらっしゃい、今日はキャベツがお買い得だよ? 今晩のオカズ、ロールキャベツとかどう?」「いいわねぇ。貰おうかなぁ」「ありがとうございますっ」和は大きいキャベツを吟味して袋に入れた。その間にベビーカーに乗せられている愛に主婦は「愛ちゃーん」と声を掛けている。「毎度ありっ」和はそう言って袋を渡して代金を受け取り手を振った。するとそんな様子を見ていた1人...

  • すぐそこに居るのに

    すぐそこに居るのに和は店の片づけをしながら昼間の出来事の事を考える。=========================================「教えたらお前来るだろ? そしたらまた同じことしてしまいそうで……」「

  • お見合い3

    「愛は……元気にしてるのか?」「え……? うん。元気にしてる。寝返りもできるようになったしまだ不安定だけどお座りも出来るようになった。歯もこんなちっちゃいけど生えてきてさ? 離乳食も少しずつ始めた」「そうか」「うん……」【そんな事じゃない。そんな事言いたいんじゃない。返事になってないじゃん。俺の質問の答えは?】京極は目の前のコーヒーを一口、口にする。「今どこに……」「愛のさ、オモチャとかいろいろ置きっぱだった...

  • お見合い2

    【京極が結婚する? 京極が……】「今もそちらの病院に2週間ほど研修に行ってらして今日お帰りになるんですって」「……そうなんだ?」【どうりで会えなかったはず……】≪今日お帰りになるんですって≫「親父……ちょっと出掛けてくる。ごめん」「おい。どこに行くんだ?」そう言っている間に和は駆け出していた。気づいたら京極病院の前―――ハァハァと息を吐く。「和、久しぶりだな?」背後から懐かしい声。ずっと聞きたかった声が聞こえた。振...

  • お見合い

    「いらっしゃーい。今日はじゃがいもがお買い得だよー」「和くぅーん、1袋下さいなー」「毎度ありー」和はジャガイモを袋に入れるとお金を受け取り「今晩何作るの?」と聞く。「そうねぇ、カレーかな?」「カレーか。……いいっすね? 美味そう」そんな話をしながら京極のマンションでカレーを作った事を思い出す。「……どうかした?」「いえ、なんでもないでーす。またよろしくお願いします」手を振る主婦に手を振り返す。そしてフゥと...

  • 【限界♡ラヴァーズ】始まってます

    お久しぶりです。【限界♡ラヴァーズ】ももう40P。久々の書きおろしでもういっぱいいっぱい。話考えなきゃなんないしイラスト描いてる暇なくて(;´Д`A ```本編って46Pだったんだとさっき知ったおいら……。番外編が本編を超えてしまってもいいのかしらねぇ。続編に関しては27Pって……。めっちゃ内容濃かった気がしたんだが……。この後本編の皆様もちょろっと出てくる予定。鈍感な和もやっと京極の方を向いた矢先に居なくなってしまった京...

  • 会いたい2

    和は京極のマンションの前まで来るとエントランスで部屋番号を押すが返事がない。もう一度部屋番号を押す。やはり返事がなかった。少し考え、前に部屋に居たのに出なかった時の事を思い出す。ポケットの中からカードキーを取り出すと、それで中に入った。エレベーターの前に来ると、隣の部屋の後藤の事を思い出し嫌な気分になりながらそんなリスクよりも今は京極に会いたくてそれでも上がるボタンを押す。【後藤と鉢合わせしません...

  • 会いたい1

    会いたい「ただいま。……愛は?」「おかえ……。あんたどうしたの? その顔。喧嘩でもした?」「ちょっと……」和は布団の中で機嫌よく寝ている愛の傍に行きガクンと膝を折り座り込むとその体をぎゅうっと抱きしめる。いきなり起こされアー――ンと泣きだす愛に頬ずりをした。「ごめん、愛。ごめんな?」※ ※ ※ ※ ※店先でぼーっとして丸椅子に座っている和を母親が見て首をかしげる。父...

  • 救出

    救出その時ガシャーンとガラスの割れる音がし、2人はハッと振り返る。ベランダには月明かりを背にカウンター用の椅子を片手に持った京極が立っていた。その椅子を投げると割れたガラス窓の割れ目から手を差し込み、鍵を開けガラっとガラス窓を開け入ってくる。京極が和の顔を見て弾かれるように後藤に殴りかかった。ガスッガスッと人を殴る鈍い音に和は思わず顔を伏せた。しばらくしてその腕を強く引かれ顔を上げるとハァハァと荒...

  • 助けて2

    【※性暴力表現あり】ボソボソと2人の話し声がインターホン越しに交わされている。【京極、帰るな。帰らないで。ここに居るってばぁ】しばらくすると話し声もなくなり寝室のドアがバンッと開いた。和が見ると後藤だった。「本当にしつこい男だ」イライラしながら和の顔を見る。失意に落ち込んだ顔―――「あんな男の事は忘れろ。今日から君には私が居るからね? もう君は

  • 助けて1

    助けて京極はエレベーターで5階に向かう。==============================「すみません、19時頃に茶髪の青年がここ通りませんでしたか?」「たまに見かける青いエプロンの青年でしたら19時くらいエレベーターに乗って行かれましたが……」==============================コンシェルジュの言葉―――ーエレベーターから降りた京極は509号室に向かった。「うううっ」その頃、和は後藤の寝室のベッドに寝かされており、手は再び前側...

  • 罠2

    「……アイツまだ来てないのか」京極は買い物袋を下げ、マンションの入り口を見るとまだ和のバイクがないことに気付く。腕時計を見ると18時45分。「まぁいい。ハンバーグでも作りながら待つか」京極がマンションのエントランスに入ってすぐに和のバイクがマンション前に停車した。「ギリギリセーフ」よっとバイクから降りると後藤に頼まれた注文品の袋を持ってエントランス前で部屋番を押した。『はい』「あ、俺です。和。ご注文...

  • 罠1

    罠次の日の朝、和はガラガラガラとシャッターを上げるとぐぅぅぅっと伸びをした。「今日も1日頑張るかぁ、な? 愛ちゃん」そう言うとベビーカーに乗せている愛に向かってニッと微笑む。「そうだ、オヤジ帰って来たら早速後藤さんから承った野菜、別口で取っとかないとなぁ」店の前を竹ホウキではきながら行きかう人に挨拶をする。「配達19時かぁ。その後京極んち寄ろうかな……隣だしな」昨日の事を思い出し赤くなる。「そうだ、...

  • ごめん……2

    和のてんぱったその場所の先端にもキスをして喉の奥まで飲み込んでいく。「ああ……」和は目を瞑り京極の舌の動きだけに集中した。シーツをぎゅっと掴む。一度口から出すとアイスキャンディのように舌の腹で舐め上げる。「んんっ……京極……ああっ」袋から小さなもう1つの和の口を丁寧に解していく。蹴られないことを確認し中指を唾液で濡らすと前のように指の腹で馴染ませてその場所にグッと押し込んだ。「あっ……くっ」 少し苦しそうに...

  • ごめん……

    ごめん……京極が体を洗う和を湯船の中からじっと見る。「何? エッチな目で見んなよな」そう言われ目を逸らした。「そうだ。お前、お隣さんと知り合いだったんだな?」「え? 誰それ」「後藤……さん? 今日お前の店行く時に見かけた」「あ、やっぱそうだったんだ? 今聞いた住所でもしかしてって思ってたんだけど」京極はそれを聞いて怪訝な顔をする。「住所って? それに電話。し合ったりする中なのか……よ?」和は掛け湯をしながらニ...

  • 注文

    注文ピンポーンと鳴るチャイムに京極がインターホンの画面を覗くと和がニッと笑っていた。鍵を開けると「お邪魔しまっす」と中に上がり込む。「あれ? 愛は?」「愛は母親に預けてきた。ほら、もう遅いし。夜遅くに連れ出したら可哀想だろ?」「……なるほど」【と言う事は泣かれることもない? と言う事は邪魔されない?】前回いいところまで持ち込んだにも関わらず愛のひと泣きで中断された事を思い出し、京極はキッチンで肉を焼きな...

  • お前にとって俺は……

    お前にとって俺は……「じゃ夜にでも連絡入れるから」「はい、待ってまーす」何度も振り返って手を振る後藤に和も見えなくなるまで手を振った。「ほんと後藤さんっていい人だなぁ」「すみませーん、これ頂けますぅ?」「はいはーい」和は振り返って主婦が指す野菜や果物を袋に入れる。そんな姿を仕事帰りの京極が見ていた。「今の男……うちの隣のやつ?」同じフロアでたまに会釈のみ交わす男を思い出す。

  • 太客

    太客和は店に立ち寄るとすでに店のシャッターが降りていた。「あっちゃー。やっぱ終わってたか。散歩行ったまま戻らねーってまた親父にどやされるパテーン?」想像して溜息をつく。まだ中に居るかなぁとシャッターの下から明かりが漏れているか見る。完全に真っ暗だった。「愛、じいじもばあばももう家みてぇ。……帰るか。もうちょっと寒いけど我慢なー?」と言って家の方へ向かう。後藤はそんな和の独り言を聞き、古臭いさびれた八百...

  • 強行突破

    強行突破【これは……もしかしていける?】そう思った京極は強行突破する。指の本数を増やしながら摺り上げ和の前の方も擦り上げながら和の様子を見る。「ああ……また……。またイッちゃう」体をビクビクっと震わせると和は布団に白濁を飛ばしぐったりとする。京極はヒクつくその場所にゴクンと唾を飲み込んでペニスを押し当てた。その時―――リビングからあー――んという愛の泣き声。「愛!」そう言うと和はベッドから慌てて飛び降りてリビ...

  • 無自覚

    無自覚ベッドに和を下ろすとその唇に啄むようにキスをする。そんなキスを和は甘んじて受けている。口づけていると和が何やら「んんんっ」と言うので唇を放した。「京極」そう言ってその顔をじっとみる。「はいはい」京極はベッドから起き上がるとネクタイをシュッと抜き、シャツを脱ぐ。2人で生まれたままの姿になって再び向き合うとチュウっと口づけて京極を押し倒すといきなり握って咥えてきた。正直へたくそな愛撫。時折歯があ...

  • 嘘つき

    嘘つき中に入ると京極はビジネスバッグをソファに置き、スーツのままキッチンへ向かいコーヒーの準備をする。「カードキー持ってんだから入ってればよかったのに」「愛と散歩してただけだもん」「……」【嘘つきめ】京極は溜息をつく。散歩にしては和の店からは歩きでは遠すぎる距離。大人1人でなら苦にはならないがまして赤ん坊を抱っこしてここまで来るのは何か目的がない限り考え難かった。【ま、いっか。こうして来てくれてるん...

  • 極太バナナ

    極太バナナ「そろそろいいかな……」そう言って京極が中指を充分濡らしてその場所に潜り込ませようとした瞬間―――「よくねぇっ」と言う和の声と同時にガスッという鈍い音。京極の体は天地がひっくり返りまたも蹴りを入れられベッドの上から転がり落ちる。「痛いのイヤって言った」そう言ってベッドの上に体育座りで膨れっツラですねる男。ベッドから飛び降りると「シャワー借りる」と部屋を出る。京極はひっくり返ったまま深いため息...

  • 入れたい

    入れたい「…なるほど。それでわさわさこんな時間に来たわけだ?」頭をガシガシ掻きながら京極が和を見るとコクンコクンと頷く。ハァと溜息をつくと和の両肩に手を置いて「無理すんな」と言った。「え?」「お前にそんな事、期待してないから。な? もう帰れ」そう言うと京極は布団を被る。そう言われると逆に燃えるタイプの和はムッとして上着を脱ぎ長袖シャツを脱ぎジーパンを脱いで下着姿でその鍛えられた腹の上に跨った。「お、お...

  • いてもたってもいられずに

    いてもたってもいられずに夜、和は寝ている愛のお腹をトントンしながら布団の中で今日の事を思い返していた。京極との事。=====================================「すぐに出てこないくらい寝てんのかよっ」「……3人? いや4人? あ、でもみんなセフレ? なんで?」「もういい……」=====================================「もういいってなんだよ、もういいって」【自分だって女と寝てるくせに……】公園の駐車場の車の中で京極のモノを...

  • 鈍感野郎

    鈍感野郎ベッドの中で和の体を包み込むように抱き、京極がその顔を覗き込む。「なぁ。なんで最初拒んだのに今はその……受け入れてくれてるわけ?」「最初のは俺の気持ちを完全に無視したお前の行動が受け入れられなかっただけ。なんか様子おかしかったし? 手、痛かったし。痛いのイヤー」「……なるほど」「今はちょっと……嬉しかったんだ、お前の気持ちが。愛の事考えてくれて。こんなものまで……」そう言うとおもちゃを揺する。それは...

  • 条件

    条件「お前もその……脱げよ。なんで俺ばっか剥かれてんだよ」「……ああ、そういう事?」そう言うと京極は一度ベッドから立ち上がると和の目の前で洋服を脱いだ。和はその様子をじっと見ている。普段洋服に隠れている京極の体。胸板は思ったよりも厚くその下の腹筋は見事に6つに割れている。無駄な贅肉はない。胸毛もない。パンツを下ろすと既に黒のボクサーパンツの上からはみ出そうなくらい勃起していて和は思わず目を逸らした。「こ...

  • 逃げないのか?

    逃げないのか? 京極の唇が和の唇に乱暴に吸い付きその唇の奥に舌を押し込まれる。暴れる舌から逃れようと顔を背けるが大きな片手がそれを阻止するように顎を押さえてくる。「んんっ……やめっ……京ご……く」自由になった手で思い切り京極の背中を殴りつける。怯んだ時に京極の唇に痛みが走り唇を放すと和に噛みつかれた唇が切れ血が滲んでいた。その体を和の手が押しのけ玄関に足を向けて怒ったように出て行こうとするとその腕を掴まれ...

  • 誤解2

    和は主婦から旦那の愚痴を聞かされつたない話をしその場で別れるとあまり野菜がシートの中で死んでないかを確認する。「よかった。まだいける」その足で京極のマンションを目指した。マンションに着くとエントランスの前で番号を押すが反応がない。「もしかしてまだ帰ってないのか?」どうしようと悩みポケットの中のカードキーを取り出すと読み取りのところにそれを重ねる。すると本当にエントランスが開錠され中に入ると5階を目指...

  • 誤解1

    誤解叩き売っても売れ残る野菜と果物を見て和は溜息をついた。チラッと親父を見ると黙々と片づけをしている。「なぁ。売れ残り……ちょっと貰ってもいい? 昨日世話になったダチのところに持っていきたいんだけど」「勝手に……しろ」「じゃあ勝手にするよ」そう言って再び溜息をつきながら袋にそれを詰めていく。すると携帯の着信音が鳴った。着信画面を見るといつぞやの公園の駐車場の車の中で京極の足の間から顔を出したあの主婦だ...

  • 幻あんなことがあってもやっぱり店の事が気になる和は散歩の帰りに店の近くに顔を出す。親父が淡々と値札を書いたり秤にかけてザルに果物を入れたりしていた。「あ……」いつも和が居ると何かと買ってくれる主婦が店内を覗いて和が居ないとわかると何も買わずスーっと店の前を通り過ぎる。和はフゥと溜息をついた。親父が中に入ると同時に母親が出てき、ちょうどその時愛がぐずりだしその声でバレた。「昨日何処に居たの? 愛ちゃん...

  • スペアキー

    スペアキーミルクを飲ませるとゲップをさせ、和はソファを背に絨毯に座り込むと愛が眠りにつくまで背中をトントンと優しくあやしている。寝たかとソファに置くと再び泣き出しまたその腕に抱くと背中をトントンとする。そんな姿を新聞を広げ見ながら京極は時折目をやる。何度か繰り返しているうちに和もなんだか疲れたのかウトウトとし始めた。愛を抱くその腕が次第に下がってくる。京極はおっとと落ちかける愛を和から取り上げると...

  • その先

    その先和は高級マンションの前まで来ると例の番号を押す。すると「はい」という京極の声にバツが悪そうに「俺。……和」と言った。エントランスが開錠し再びコンシェルジュの視線を気にしつつエレベーターに乗り込んだ。508号室の前まで行くとインターホンを押す前に玄関ドアが開き和は目を見開く。「和……」バスローブを着た京極だった。「あの……。今日だけ泊めてくんね?」愛を抱くその手は寒さで悴み赤くなっていた。「和、着替えこ...

  • 配達1

    配達ある日の午後、和が暇そうに店先で眠りこけていたらピリピリピリと携帯が鳴り画面を見ると見知らぬ電話番号。女達とはその場で登録し合うので誰だろうと和は電話に出た。「もしもし」『俺、京極』「京極? なんで? 俺の携帯番号……」【知ってんだ?】『配達……頼みたいんだけど』「え、配達? いいけど。何を?」『そうだなぁ……』和はフムフムとメモ書きをする。「あ、わりい。チェリー切らしてるわ。バナナはあるけど。いい? O...

  • バナナ

    「いらっしゃーい、今日のおすすめはバナナ。バナナいかがっすかー?」和は2日ほど休んで店に復帰した。「おや和坊、風邪ひいたって聞いてたけど治ったのかい?」「ええ、すっかり。心配かけてごめんねぇ。おばちゃん」そう話していると女の子達が和に気付いて近寄ってきた。「わー和くん、どうしてたのよぅ。会いたくて何度も足運んだのよぉ」「ごめーん。ちょっと風邪ひいて寝込んでてさ? また今度埋め合わせすっからさぁ。またこ...

  • 風邪2

    京極は黒いチューブで和の腕を圧迫し親指を中に入れて握らせると血管の位置を指先で確認しその場所を消毒する。「ちょっとチクっとするぞ?」そう言うと軽い痛みが走った。「痛くないか?」そう言われ和は「うん。痛くない」と答えると点滴の針をサージカルテープで止めて固定し点滴の落ちる速度を調節する。「お前、なんでうちの病院の前を通り過ぎたんだ?」「え……?」【まさかお前が居るから避けたとは言えない】「ボーっとしてたの...

  • 風邪

    風邪「なぁ母さん、マスク……ある?」「どうしたの?」「ちょっと……しんどいかも」えええっと母親はマスクよりも先に抱っこ紐から愛を救出する。「愛ちゃん大丈夫かしら……」そう言いながらそこで初めてマスクの登場。「ゲホッ」「……おい。調子悪いんなら病院行って帰って寝てろ」と親父に言われ、とりあえずだるい体を引きずって家に帰った。このしんどさも朝はただの寝不足のせいかと思っていたけれど昼に向けて一気にだるさに襲われ...

  • なして?

    和は亜里沙のお酒に手を出すと先輩の奥さんに手を叩かれる。「バイクでしょ? あんたはこっち、ウーロン茶」そう言って和の目の前にウーロン茶を置いた。※ ※ ※ ※ ※「うー寝不足」和はその後家に帰り親父にこっぴどく説教をされ愛の3時間おきのミルクとオムツ替えで朝からヘロヘロだった。鏡を見ると髭をそりじっと自分を見つめる。「やば……。俺の美貌が欠落しかかってる」溜息をつくとグズつ...

  • 生半可な気持ちで

    生半可な気持ちで【げっ、またまた京極】少し離れたところに車を停めている京極と目が合った。一瞬そんな京極の瞼の片方がビクっとなる。するとその股の間から女が顔を上げた。【あれは……】昨日和に野菜の配達を頼んだ主婦だった。みるみる和の顔が赤くなる。【白昼堂々とこんな神聖なる公園の近くで車の中でしゃぶらせてる?】しかも昨日俺の抱いた女……======================================「え? なんで?」「ごめんね? 和。私...

  • 公園で

    「和、はいこれ」「何これ?」和が開いてみると布状のものに紐がついている。「だっこ紐よ」「だっこ紐?」どうやら母親が夜なべをして縫ったものらしく、いきなりそれを装着され愛をその中にインすると母親におむつの替え方、ミルクの作り方、その後のゲップのさせ方を一通り学び、表へ追い出される。「店の事はいいから、いい天気だし愛ちゃんとお散歩行ってらっしゃい」和は背中におむつやら哺乳瓶やら水筒やらの入ったリュックを...

  • 苦手な男

    苦手な男黒髪にむだにかっこいい背の高い男が和の方を向いた。この男は

  • この子誰の子?

    和はシャッターを開けただけの状態で赤ちゃんを前に便せんを片手にぼーっとしていた。==========================================和くんへこの子は和くんの子供です。名前は

  • 俺はモテる2

    【※男女の性交表現あり】「あ、和くん……」「あ……やば。も、出そう」和は女の中からペニスを引き抜くと2、3度手で擦り上げて精液を女の腹の上に飛ばした。女の口で綺麗にしてもらうと「店戻んなきゃ。また店の方にも来てくれよな?」と言ってその家を後にする。「やば……。長居しすぎたわ」そう言うとバイクを店に走らせた。店に戻ると案の定親父の機嫌が悪かった。「どこほっつき歩いてた」「ちょっとそこまで。ガキじゃねぇんだから...

  • 俺はモテる1

    「和くぅーん、来たよぉ?」「あ、いらっしゃーい。今日は何にしましょうか?」「そうねぇー……」若奥様は小さな店内の野菜をじっくりと吟味している。「この茄子とかどうっすか? 太くて長くて……いい感じっしょ?」和がそう言っていやらしくニギニギすると若奥様は顔を赤くした。「じゃあそれ……頂こうかなぁ?」「OK。1本で足りる? 2、3本いっとく?」「いっとくいっとくう」和はニッコリ笑うと「じゃあトマト1個おまけな?」と言って...

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  • オオカミシリーズ 【限界♡ラヴァーズ】表紙イラスト

    書き下ろし始まります。第1弾はオオカミシリーズ第3弾 続編……というよりも番外編かなぁ。多分久しぶりに書くんで短編になる予定。香坂兄弟(長男:学[がく]と3男:類[るい])の間に居る次男坊:和[カズ]のお話。あまりシリーズの本編と続編には障りくらいしか出てこなかった和ですがいつかこの子のお話を書きたいなぁと思っていて今回書くことにしました。何故和が赤ちゃんを抱いているかって? 読んでくれたら分かります(笑)まぁ簡単...

  • 終わってしまった…【神様のくれた時間】 そしてとうとう書き下ろし(;^_^A

    長いお話だった【神様のくれた時間】完結致しました。 加筆修正しかしていないのに長かったこのお話。倉田もなっちゃんと幸せになったし陸も立浪と幸せになったし……。裕貴と海にはほんと申し訳ない終わり方になってしまったのですが作者的には納得できる終わり方はこうなってしまった。悲しい終わり方で終わってしまったのと前のサイトに載せていた時に裕貴のその後が気になりますとよく書かれていたので

  • あとがき【神様のくれた時間(とき)】

    あとがきお疲れさまでした。長かったぁ。ほんと長い作品となりました。かなり題材的に人の生死にかかわるものだったりして重々しいにも関わらず最後までお付き合いくださった方ありがとうございました。藤崎の中のラストシーンはこうなりました。賛否両論でしょうが、皆様の中の【神様の~】のラストシーンはどんなだったのかな?この小説は藤崎ならではのいつもの要素を含みつつ、初めて書いたこそばゆくなるような純愛ストーリー...

  • その後の神様 ―生まれ変わり?― 【おまけ】3

    裕貴はそんな七海を頬を赤らめてじっと見つめている。【寝顔もなんとなく海に似てる……?】すっかりその気の裕貴。「その年齢差で……ないないっ」倉田はそう言った。「でもねぇ。芸能界とかならよくある話じゃん? 年の差カプって。そうなると倉田はぁ裕貴の……義父?」「七海ぃぃぃぃ。それだけはやめてくれー」嘆く倉田をしり目に裕貴は七海と一緒に寝転がってすでにラブラブカプ状態。七海のぷっくりほっぺをツンツンしながら裕貴...

  • 退院2

    「ありがとうございます」「サンキュ。しかし裕貴のヤツ遅くねぇか? 今日の事知ってんだよなぁ」倉田はそう言って話を逸らした。「なんだよ。話逸らすなって。もし生まれたら俺にも面倒見させろよな? 俺とたっちゃんの間には子供なんてできないしぃ」陸は倉田に小さい声で囁く。「冗談だろ、おい。ヤクザの傍に置いて……それもお前ら

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    退院「今日は達也くんは?」「達也は外に友達と遊びに出掛けてるんですよ。小林さんが来て下さるとわかっていればきっといたでしょうに。本当に

  • ありがとう

    ありがとう倉田が奈津子とやってきて、陸が母親を送って家に戻った。裕貴は病院から出て、会社に電話をする。「先輩、すみません。3日も有休使ってしまって……。仕事の方はどうですか?」『いやそれはなんとかなるんだが……その……お前の

  • 【神様のくれた時間】ありがとうゆうきイメイラ【オリジナル】

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  • 発熱2

    「お静かになさってください」そう言って顔を出す男のスタッフの胸倉を陸が掴んだ。「海は? 海になにが?」「詳しくはわかりませんが発熱しているようなので細菌感染したのかもしれません」「そんな……」「とにかく静かにして頂けないならここにはいられませんよ? 他の患者さんの迷惑になります」そう言って立ち去ろうとするスタッフに裕貴はあるものを差し出した。「これを……アイツに」クロスのペンダント。「でも……」「お願いし...

  • 発熱

    発熱「ありがとうございました。オヤジさん」「さぁ早く持って行ってあげなさい」「はい。後日またお礼に伺います」裕貴はそう言うと深ぶかと礼をして出て行った。「喜んでくれるといいがなぁ」裕貴は掌にペンダントを握り、松葉杖をつきながら表通りでタクシーを探す。さすがに早朝なだけあってタクシーもなかなか見つからない。「ああもうっ」裕貴は携帯でタクシー会社を調べた。「海……今行くからな?」* * ...

  • 早く目覚めて

    早く目覚めて「でかい手術となれば、なにかと物入りだろう? それに俺はアイツに酷いことをしているしな」陸は立浪が自分が熱を出して代わりに現れた海を自分の代理に乱暴したことをふと思い出した。【そうだ。たっちゃんあんな事……海にしたんだよな】「ほんとに……いいの?

  • ペンダントの思い出2

    「「どうした?」と聞いたら「お金が少し足りない」と残念そうに言っていたなぁ。そのクロスのペンダントが「とても気に入った」と言って。足りない分をまけてやったらほんに喜んでなぁ。まさかそんなあの青年がこんな立派な大人の男になって現れるとは。そんなになるまでこのペンダントを使ってくれていたとは……嬉しい限りだ」ハハハとオヤジさんは笑った。「大事にしていたのは俺じゃないんです」「ん?」「このペンダントをプレゼ...

  • ペンダントの思い出

    ペンダントの思い出2人はそんな海をガラス越しに見る。ピクリともしない海に陸は思わず口にした。「倉田……」「あ……?」「海……生きてるよ……ね?」陸の言葉に目を見開いた。「ああ、生きてる。ほら、あの機械見てみろよ。元気に心臓動いてるだろう?」「う……ん。うん」陸の目からポロポロと涙が溢れた。母親がそんな陸を背中から抱き締める。「母……さん」「陸……」陸は母親の方を向いて抱き合った。そんな2人を父親が見ている。「裕貴に...

  • 手術3

    「不破……そろそろCPA(心肺停止)のタイムリミットだ。急いでくれ」「よし、これでいいだろう。PCPS(心肺維持装置)からクランケの心臓蘇生に切り替えよう。ACLS(二次心肺蘇生法)だ」そう言うと不破の

  • 【神様のくれた時間】裕貴と海イメイラ【オリジナル】

    なんだろう……。こんなに肌色率すげえのにエロくない。この2人爽やか夫婦すぎて普通に見れちゃう。謎。そしてべ、別に入ってないからオールOKと言う事で(;^_^Aなかなかうまく隠せてるいろいろと(笑)随分遠回りした2人だけれどやっと結ばれたねぇ。おいらも嬉しい。書いてるのおいらだけど。そしてもう寝たいと思います。限界、おやすみぃいっぱい更新したので目次とリンク確認は寝て起きてから―。ごめんねぇイイネと思ったらポチッ...

  • 白昼夢

    白昼夢================【ここは……どこだ?】裕貴は白い空間をただ歩く。『……貴。裕貴』『海?』裕貴が振り返るとそこに海が笑顔で立っていた。『今まで……ありがとう』『ありがとうって……なんだよそれ』変なことを言う海の傍に近寄ろうとすると、辺りが急に暗くなって空の雲の隙間から海に向かって光が降り注いだ。『忘れ……ないよ』『なに……言ってんだ。変なこと言ってないでこっち……来いよ』そう言うと海は複雑な笑顔で首を横に振っ...

  • 愛してる2

    「あ……なに?」「悪い、海。この足じゃあさ? だからそのまま上に……乗ってくれる?」「えええっ」確かに裕貴の右足は完全にギブス状態。【さすがに普通は無理かな……】海は顔を赤らめながら裕貴のモノをそこにあてがった。すると裕貴が海の腰を掴んで固定した。「そのまま腰下ろして」「あっ……」言われたとおりにすると、海の中に裕貴のモノが入ってきた。「あ……深い……」海はヨタッと前に倒れ込みそうになり、裕貴がその体を支える。...

  • 愛してる

    愛してる「んなこと……わかってる」「あんたも俺の事大好きだもんなぁ? たっちゃん」「なんだ、その

  • 最後になるかも……

    最後になるかも……【もしかしたら……これが最後になるかもしれない】海はそう思うと裕貴と肌を合わせずには居られなかった。後悔は……したくなかったから。裕貴の目の前で自らシャツのボタンを外して脱ぎ捨てた。目を見開く裕貴に恥ずかしさに思わず下を向く。「裕貴も……脱いで? 僕だけは……ちょっと……」「お……おお」裕貴はネクタイを緩めるとスッと襟から抜いた。海はそんな裕貴のシャツに震える手を伸ばし、ボタンを外した。【海……...

  • 安らぎ

    安らぎ「これは?」海はコーヒーカップにインスタントコーヒーの粉を入れながら「ああ……それは」と答える。「3日後に手術が決まったんだ」「そんなにすぐに?」「うん。お忙しい先生だからね。早急にって事で。1日前から入院するから今のうちに準備してるんだ」「……そうか。そんなに急に。で、先生はなんて?」スプーンを持つ海の手がカタカタとかすかにふるえた。「……うん。全力を尽くすって言って下さったよ」裕貴はそれを聞いてホ...

  • 3日後

    3日後=================『手術を受けなければ間違いなくいつ倒れてもおかしくない状況だ。

  • 神の手

    神の手あれからたまにこうして裕貴の家に泊まるようになったこと ――「う……ん」裕貴がベッドの中で目を覚ますといい匂いがした。テーブルの上にはハムとポテトサラダ。そしてミネストローネのスープ。ふとキッチンを見ると海が居てウインナーを焼いていた。裕貴はそんな海をじっと見て微笑む。「あ……起きてたんだ? おはよう」「おはようさん」「朝食……食べるでしょ?」海はコーヒーメーカーからコーヒーをカップに入れる。裕貴が...

  • 返事

    返事 次の日、海はお昼休みを使って田宮を訪ねた。「これはこれは相田先生、いらっしゃい」白衣姿の海を見て田宮はそう言った。「先生、からかわないでください」「からかってなんかいないよ? 君達の処方する薬のおかげで患者さんはみんな苦痛から解放されているんだからね?」「処方箋を書かれるのは先生で、僕達はその通りに薬を調合するだけ……です」「中でも相田先生は笑顔がいいってうちの患者の中でも人気なんだけどねぇ」...

  • 愛あるおしおき?

    愛あるおしおき?倉田が何本目かのタバコを吸い、病院の駐車場の前を通ると黒塗りの高級車の前に2人の男が煙草を吸いながら赤ら顔で立っている。立浪の舎弟の男達だった。よくよく見ると高級車が激しく不自然にユサユサと揺れている。「はああ?」【まさかあれって……】そう言うことか?倉田はげんなりとする。 「裕貴も無事だし、アホらし。帰ろ」そう言って携帯を取り出し、陸にメールを入れた。==================俺、帰るから...

  • 約束するよ

    約束するよ「あの時、海……失神しちゃって俺がおんぶして海の家に送って行ったんだ。ポケットの中の眼鏡……掛けさせてな? おばさんびっくりしててそれで……」「もういい……もういいよ」【それで気づいたらベッドの中だったのか……。ずっと謎だった。記憶がなくて】「かーいくん?」裕貴はそう言うと布団を再びペロンとめくる。真っ赤っかな海の顔。「あの次の日、海は熱で見送りに来られなかっただろ? 俺やりすぎたって後悔してさ……」...

  • その先もずっと……2

    「裕貴……?」「やっとお前に会えた。触れられた。抱き締められた。お前の所へ向かっていたはずなのに気付いたら病院で……」【裕貴……】裕貴が布団を少しずらすと海の顔が現れた。「お前に言いたいことあったんだ」「なに? ……なに? 裕貴。言って」すでに陸から聞いていたけれど、どうしても裕貴の口から聞きたかった。裕貴の言葉で聞きたかった。「今から言うこと……よく聞けよ?」「うん」「俺……お前の事がやっぱり好きだ」「うん」...

  • その先もずっと……

    その先もずっと……先々と廊下を歩いて行く倉田の大きな背中を見ながら、陸は思った。【倉田って本当にこういう空気読めるヤツになったよな……】昔はもっと自分勝手でわがままでしたい放題なやつだったのに……。海の傍についていて倉田も人間として随分と成長……した?「倉田、お前ってめちゃカッコイイな?」陸が倉田の首に腕をまわしてそう言った。「なんっだよ。惚れんなよ? オーナーに抹殺されかねねぇかんな?」鼻を赤くして顔をそ...

  • 病室で

    病室で「海……さっき言った裕貴の言葉の意味……わかるか?」「わかる……わかるよ陸」五年経っても十年経っても俺の隣にいろってことはずっと生き続けてほしいと言う事……つまり手術を受けてほしいと言う事……【僕も裕貴と同じ気持ちだ】ずっと裕貴の傍にいたい。車はS市立病院の敷地内に入って停まると3人は車を降りた。「送ってくれてありがとう」と陸が舎弟の男達に言うと、「後でいいんで必ず兄貴のところへ電話入れといてください...

  • 会えない2

    海は唇を震わせた。その様子を陸が見て「海……?」と肩に手を乗せた。「僕の……せいなんだね? その事で裕貴……。だとしたら僕のせいだ。僕の……」海はそう言うと急に運転席に身を乗り出した。「停めて。車を停めてっ」「うあっ」海が運転手の男の袖をいきなり引き、ハンドル操作を誤ってキキキッと車は蛇行する。「やめろっ海っ」倉田と陸は海を押さえつける。「離して。離してよ。もう……裕貴に会えない。会えないよぉ」キキキーッと車...

  • 会えない1

    会えない海は布団からガバッと起き上がるとハァハァと息をついた。ここのところ、ろくに寝つけないのに今日はいつも以上にうなされて目覚めた。【陸とあんな事があったからかな……】時計を見ると午前1時すぎ。パジャマの首元が汗ばんでいた。タオルでそれを拭くとキッチンへ行き、冷たいお茶をコップに入れてグッと飲みほした。海はテーブルの前にぺたんと座りこみ、胸のペンダントを弄る。海の癖だった。するとなにやら急に表が騒...

  • 運命のいたずら2

    俺は陸と……海に会ったら話してやろうと電話をしてた。≪五年経っても十年経っても俺の隣にいろ≫そう言ってやりたいって……そして「お前の事がやっぱり好きだ」って言いたかった。【早く……海のところへ行かないと】裕貴はゆっくりと割れたガラス窓から這いだそうともがいたが、足が座席か何かに挟まれて体が思うように動かせず断念する。なんだか眠くなり、海の部屋の鍵を握った裕貴の手がパタッと地面に転がった。【海……今お前のとこ...

  • 君は誰?2

    【なんで陸のフリなんてしちゃったんだろう……】「この間は……悪かったな」「え? い……や」【わかんない。何が悪かったの? もしかして2人喧嘩でもしてた?】「海……元気か?」海はピクンッと眉を動かした。「ああ。元気……だよ? 発作も……全然ないみたい」「そうか。よかった」「うん」海は裕貴に心配をかけまいと嘘をつく。【陸とは……もう寄り戻ってるんだよね?】心の中で海は裕貴に尋ねた。陸としてなら……裕貴とこうして話せる...

  • 君は誰?1

    君は誰?海は薬局で薬を受け取り上の空のままどこをどう歩いたのか、裕貴が日曜にサッカーを教えている小学校のグラウンドの前まで来ていた。グラウンドでは少年と少女が男子対女子に分かれてサッカーをして遊んでいた。【なんでここに来ちゃったんだろう。日曜でもないの……】に……「うそっ」海はガシャンっと金網にしがみついた。「おりゃー」スーツの上着を脱いで、シャツを腕まくりした長身の男がボールを思いっきり蹴っ飛ばした...

  • もう一度

    もう一度次の朝、海は布団の汚れたシーツを洗濯してベランダに干した。【陸が2、3日立浪さんのところに看病に行ってくれてよかったよ】こんなの見たらなに言われるか……。陸のことだからきっと倉田をぶん殴りに行きかねないよ。今日は仕事を休んで、定期健診の日 ―――海は病院へ向かった。廊下で高須とすれ違う。海は下を向いたまま急ぐように担当医の田宮のもとへ向かった。一通り心電図など定例の検査を終え、残りは内診のみ。...

  • 2人は一緒

    2人は一緒「待って倉田。いいんだ、僕は……」目の前でドアがバタンと閉まった。【倉田にこうされても仕方ないほど僕は倉田を傷つけたんだから】海は布団の上に半裸で横たわる。倉田を受け入れたその場所に心臓が移動でもしたかようにドクンドクンと脈を打つ。傷の痛みよりも倉田をあそこまで追いつめている自分に対しての嫌悪感による胸の痛みの方がより海を苦しめた。* * * * * ...

  • 嫌悪感

    嫌悪感倉田は海をギュッと腕の中に抱きこんだ。「倉……田」「どうしても裕貴じゃなきゃだめなのかよ。俺じゃだめなのか?」倉田の大きな声はドアの外に座っている奈津子にも聞こえた。奈津子はギュッと唇を噛むと立ち上がり、部屋の前から消える。「俺じゃお前を幸せにしてやれねぇのかよっ」「倉田……」倉田は海の顔を見つめると唇を寄せた。「だめ……倉……」顔を背ける海の顔を両手で押さえてキスをするとそのまま布団に押し倒す。「...

  • 同じ想い

    同じ想い奈津子はドアにもたれてズルズルと座り込み口を手で塞いで声を殺して泣く。奈津子には痛いほど倉田の気持ちがよくわかった。こんな夜中に飛び出して愛する人のところへ飛んで行きたい倉田の気持ちが。自分もそうだから……【剛にぃは奈津子と同じだ。奈津子はあの人を愛する剛にぃが好き。愛してる。いくら剛にぃがあの人のことを好きでも愛していても諦められないもん。そして剛にぃもそう。あの人に愛する人が居てもそんな...

  • 双子

    双子「陸。今日はお仕事お休み? ……ってかなに? その服。血? どこかケガしたのか?」多少血のシミの残る服に海は凄く驚いた。【陸? 誰よそれ】「これは……立浪さんの血でぇ……」【じゃあこの2人もしかして……】「なにそれ。どういうこと?」【双子?!】「ちょっと待ってよ! あなた達……双子なの?」奈津子は大きな声を出して2人の間に入った。「え?」「そそそ。双子ちゃーん」「じ、じゃああなたが相田 海で、貴方が……陸? この間私...

  • 俺の女

    俺の女「大丈夫、のびとるだけじゃ。途中であまりの苦痛に失神しよったから手術しやすかったわい」そう言いながら医者は手を洗い白衣を脱ぎすてた。「もう連れて帰っていいぞ? ワシは疲れたから少し寝る」「ありがとうございました」舎弟の2人は深々と頭を下げその医者に礼を言った。「ち……ちょっと待てよ。入院とか……術後の経過とか見ないのかよ、おっさん」陸が医者の後姿にそう言うと振り返りチラッとずれた眼鏡のレンズ越し...

  • 死なないで2

    その後医者がいると言う壁のあちこちにヒビの入った古ぼけたビルに駆け込む。お世辞でも綺麗とは言えない廊下の一角……。外から見てもとても病院とは思えないようなところにその医者はいた。「こらまた派手にやりおったなぁ」とその医者は酒を飲みつつ陸達の目の前で立浪の治療を始める。見た感じアル中っぽい赤ら顔の初老のおじいさん。簡単な部分麻酔のみで手術を始めた。「嘘。手術室とかないの?」「そんなものはありません」陸...

  • 死なないで

    死なないで「俺達のような輩ばかりを取り扱っている医者です。保健機関を通さずに大金さえ払えばどうとでも治療してくれるとこです」「貴方にも来て頂きます、陸さん。このままこのお方のところへ置いてはいけませんから」陸は立浪の苦しそうな表情を見て裕貴を見た。「陸……行くのか?」「……」裕貴の問いに陸は悩んだ。立浪を危ない世界の人間だとはわかっていたけれど、実際こんな姿を目の当たりにして正直戸惑っていた。「陸……」...

  • 誰にも渡さない2

    再びドンドンドンとドアを叩く。「陸さんっ。そこに居るのはわかっています。兄貴が……兄貴が大変なんすよ。頼みますから出てきて下さいっ」ドクンッと陸の胸が鳴った。【立浪さんが大変ってなに?】「陸、開ける……ぞ?」裕貴がそう言ってドアを開けた瞬間、誰かが裕貴の胸倉を引っ掴みその場に押し倒した。ものすごい形相で見下ろす立浪を裕貴はまっすぐ見据える。「コイツは……

  • 誰にも渡さない

    誰にも渡さないピンポーンと言うインターホンの音に裕貴が覗き穴から覗くと陸がにまっと笑っている。鍵を外しドアを開けた。「よっ」「……相変わらず無茶しいだな、お前。人んちを訪ねる時間じゃないぞ?」時計を見ると午前3時すぎ。「おじゃましまっす」そう言って陸は部屋の中に上がり込み、裕貴はため息をついてドアを閉めた。【海に告ったこと言って怒ってたんじゃないのか?】「相変わらず綺麗に片した部屋だなぁ」陸はそう言...

  • 愛する男

    愛する男「立浪、死ねや!」そう声が聞こえ、バシャバシャと水溜りの中を走ってくる男の足音に立浪が振り返る。「なんじゃい、おまえらっ」舎弟の男とその男が傘を放り投げてもみ合い、立浪が溜息をつきつつタバコを出そうと胸の内ポケットに手を差し入れた時ドンッと誰かにぶつかられ背中ににぶい痛みを感じた。「つっ……」立浪が振り返るともう1人隠れていた男が立浪にギロッと睨まれ、ブルブル震えながらナイフの柄から手を離し...

  • 神様のくれた時間(とき)

    神様のくれた時間(とき)神様はいつまで僕を生かしてくれるのだろう。幼い頃に一度失いかけたこの命。僕は神様がくれた時間をうまく使いこなせているのだろうか。辛いことばかりだけれどそれなりにいいこともあった―――恋をして人を愛する気持ちを知り、そして人一倍愛されて……それもそろそろ限界かも……な。海はフッと笑った。【神様……もし僕を連れて行く気なら今がいい。今なら……】僕は1人だから。【僕の願いが叶うならいっそこ...

  • 別れの時3

    「んなことわかってんだよ。お前に聞かなくったってわかってる。こっちはずっとお前を見て来たんだぞ?」そう言って倉田は寝そべる海に抱きついた。「それでもお前が好きなんだ。高校の時からそうだった。裕貴を目で追うお前だけを見てきたんだ。俺は欲深くなっていたのかもしれねぇ。お前と付き合えてからもっともっとお前がほしくて。もっと俺を見てほしくて」「そうか……そんな前から僕は倉田を苦しめてきたんだね」倉田は目を見...

  • 別れの時2

    『だから……僕達別れ……』「別れねぇ」『倉田……』「別れたりしねえ。なんでそうなるんだよ。そうじゃねえだろ?」=================『お前あんなに海と居て海の性格わかってるだろう? そんなこと言われたら……最悪海は倉田の前から消える……かも』==================【うそだろ?】「今からそっち行くから。こんな大事な話……電話じゃできねえ」そう言うと倉田は携帯を切った。【まさか……んなことになるなんて。ちょっとグチっただけ...

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