前回の続きです。 「情報」の授業で使うパソコンには、学校内のネットワークにつながるパソコン同士でメッセージを送れるソフトが入っていた。ただ、授業では使い方の説明はしていない。教えると友達同士で遊ぶので授業にならないからだろう。きっと誰かがソフトを見つけたに違いない。 パソコン部屋と呼ばれている情報教室は放課後も解放されている。たいていパソコン部の連中がダラダラ過ごしているが、特定の時期になると、授業の課題が終わらない学生が青白い顔でパソコンに向かう事もある。そんな事情もあって、彼が部屋に入っても誰も気に留めることはなかった。 彼はペンを床に落として、拾いに行くフリをしながら教壇の脇にあるパソコ…