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  • 桜図鐔 正栄 Masataka Tsuba

    桜図鐔正栄桜図鐔正栄正栄は近江の国友鉄砲鍛冶の流れで、鉄地に砂張象嵌を施して文様風の装飾を特徴とした間派の代表工。砂張とは鉛や錫などの合金で、渋く落ち着いた色合いを呈する金属である。桜であれば銀や金割の銀などを用いたほうが華やかで鮮やかで、見た目にも派手に映るのではないだろうかと思うのだが、この一派は、この渋い景色に特徴を見出し、ほとんどの鐔にこの砂張を用いている。数奇者もこれを好んでいるようだ。描法も平面的で、まさに文様表現。風景の文様化に他ならない。桜図鐔正栄MasatakaTsuba

  • 桜楓に雪輪図鐔 埋忠重義 Shigeyoshi Tsuba

    桜楓に雪輪図鐔埋忠重義桜楓に雪輪図鐔埋忠重義これも重義の優れた意匠が展開されている。桜楓に雪まで加えている。川は描かれていないのかと探したところ、耳がそれっぽいことに気が付いた。今、関東では桜が見ごろだが、日曜日には雪が降るかもしれないそうだ。景色としては桜と雪の採り合わせなんて素敵だが・・・。□桜楓に雪輪図鐔埋忠重義ShigeyoshiTsuba

  • 桜楓図鐔 埋忠重義 Shigeyoshi Tsuba

    桜楓図鐔埋忠重義桜楓図鐔埋忠重義桜と楓を一緒に流してしまうなんて、文様表現であるがゆえの面白さだ。この文様を創り出したのは誰なのか判らないが、本作は文様表現を得意とした埋忠派の中でも同銘工が京都、江戸など各地で活躍している重義。同人か別人かはまだ分からないのだが、埋忠一門の基幹を成す優工であったことは確かだ。自然空間を切り取って再構築する感性は、先達明壽以上ではないだろうか。桜楓図鐔埋忠重義ShigeyoshiTsuba

  • 花筏図鐔 正髄 Seizui Tsuba

    花筏図鐔正髄花筏図大小鐔正髄古くから有名な文様。川を流れ下る桜のはなびらを、京の西を流れる大堰川の筏に擬えて花筏と呼んでいる。筏という呼称から、木材を連ねた筏をも文様の一部に採り入れたのは面白い。でも普通に花筏というと、この組み合わせを指す。先に紹介した宜秀の水の流れに桜の図では、筏下りが風景としても名物であった大堰川(桂川)の花筏にならない。細かなところだが、吉野川として捉えたほうが雅である。それにしても、この鐔と小柄においても、桜は花の形状を保っている。花びら一片では確かにわかりにくいか。花筏図鐔正髄SeizuiTsuba

  • 吉野桜図鐔 加賀金工 Kaga Tsuba

    吉野桜図鐔加賀金工吉野桜図鐔加賀金工桜の文様化。吉野の山に咲き誇る桜の叢林を文様表現したものであろう。魚子地で省略された背景もまた桜のように感じられるのが面白い。山として描いたわけではないのだが、山裾から折り重なるように桜樹が続いているようにも感じられる。吉野桜図鐔加賀金工KagaTsuba

  • 吉野川図鐔 宜秀 Yoshihide Tsuba

    吉野川図鐔宜秀吉野川図鐔宜秀同じ奈良の吉野山地は、吉野千本桜の呼称があるように、桜の名所として知られている。後嵯峨上皇がこの景色を京に求めようとして嵐山に桜を移植したという。ここを流れ下る吉野川が、桜と組み合わされて文様表現されている。桜のはなびらが川を流れ下るといった景色が素敵であり、嵐山に大堰川(桂川)、吉野桜に吉野川は絵になる。だから文様化も進む。桜は、鐔に描かれているような状態で散ることがない。川の流れに浮かぶのは一片ずつと言っては野暮か。景色の文様化は、こうして自由に広がり、見る者を刺激する。□吉野川図鐔宜秀YoshihideTsuba

  • 龍田川図鐔 青木将之Masayuki Tsuba

    龍田川図鐔青木将之龍田川図鐔青木将之これも和歌がもとになっていることで遍く知られる図。龍田川は奈良県の生駒山地を源として大和川に至る水流。この辺りは紅葉の名所として知られている。景色として描かれるだけでなく、文様化が進んだ例である。装剣小道具ではままみられ、着物の柄としても好まれたようだ。水の流れと紅葉の組み合わせ、構成は多々考えられ、同図を新たな視点で描こうと考えると、かなり研究しないと似た文様になってしまうだろう。龍田川図鐔青木将之MasayukiTsuba

  • 八つ橋図鐔 林重光 Shigemitsu Tsuba

    八つ橋図鐔林重光八つ橋図鐔林重光『伊勢物語』の東下りの段に記されている和歌の名所、三河の国の八つ橋が題材。カキツバタの群生する湿原に設けられた八つの橋が、いつしか文様化された。確かに風景があり、和歌が生み出され、風景としても描かれたであろうが、鐔としてはこのように文様化された。この鐔は肥後の林派の作。同じ場面を題に得た作では京透かしにもある。カキツバタに八つの橋、雲と飛翔する鳥は添景で、描かれない場合もある。下は加賀金工によって文様化された八つ橋。八つ橋図鐔林重光ShigemitsuTsuba

  • 秋草兎図笄 古金工 Kokinko kougai

    秋草兎図笄古金工秋草兎図笄古金工秋草に隠れるように走る兎。古風な秋草の描写である。兎は丸々として、言うなれば豊穣の秋野であり、好まれた図柄の一つ。描かれている題材それぞれは特徴的。高彫、肉彫で立体感に富み、植物と動物の関係性もまた自然の景色の中では普通に意識される。でも、秋草の集合となると、文様化が進んで実風景とはかけ離れている。兎を描く背景として、実風景ではない秋草に仕上げている。このように写実味を帯びていながらも文様化された秋草は頗る多い。秋草鹿図鐔美濃綺麗に構成された、秋草にたたずむ鹿の図柄。上の兎の背後に秋草がある図と同じだ。秋草は、いかに精密に高彫表現されたとしても文様である。秋草兎図笄古金工Kokinkokougai

  • 桐樹図鐔 久法 Hisanori Tsuba

    桐樹図鐔久法桐樹図鐔久法埋忠明寿に近しい金工であろうかと思う。作風は明寿そのもの。真鍮地に赤銅平象嵌の手法で墨絵の如く桐を描いている。風景の文様表現を試みた作と言えようか。風景の文様表現というと、以前にも紹介したことがあるように琳派の美観が思い浮かぶ。鐔において琳派の美観を求めた工には、本作のような鐔を遺した埋忠明寿があり、江戸後期になると、絵画でいうところの江戸琳派の美観を求めた作品が頗る多くなる。さて、鐔において風景の文様表現とは言ったが、どこまでを指すのであろうか。実用の道具として限られた、小さな空域に何かを表現する場合、少なからず写実から離れて彫り描かざるを得ないだろう。先に紹介した蘭、月にススキ、梅樹にしても、完全なる写実の追求は難しく、どこか省略したり、強調したりして、画面を作り出している。写実でな...桐樹図鐔久法HisanoriTsuba

  • 梅樹図鐔 甚吾 Jingo Tsuba

    梅樹図鐔甚吾梅樹図鐔甚吾透かしと文様や図柄を組み合わせることによって表現された作品を紹介している。梅樹を鐔全体に陽に表現した鐔は良く見かける。この鐔では、茶室の窓から眺めたような、切り取られた透かしの中に梅樹を構成している。先に紹介した亀眼の鐔とは異なり、透かしは前景。背後の梅を際立たせるためのもの。梅樹の一部が透かしの窓によって見えている。この鐔では蔭となっている地の部分に何があるのだろうかといった、想いも広がる。梅樹図鐔甚吾JingoTsuba

  • 芒野に月図鐔 亀眼 Kigan Tsuba

    芒野に月図鐔亀眼芒野に月図鐔亀眼以前にも紹介したことがある鐔だが、透かしの採り方が巧みな作である。前景のススキを陽に活かしている。透かしは背景でありまた主題の一つでもある。芒野に月図鐔亀眼KiganTsuba

  • 春蘭図鐔 赤坂忠則 Tadanori Tsuba

    春蘭図鐔赤坂忠則春蘭図鐔赤坂忠則蘭の花は、胡蝶蘭と呼ばれる種があるように蝶を想わせる花弁が魅力だ。我が国の春蘭も、春はやい野の木陰で見かけると嬉しくなる存在である。清楚で可憐な、その様子を陰陽に表現した鐔。春蘭図鐔赤坂忠則TadanoriTsuba

  • 牡丹図鐔 Tsuba

    牡丹図鐔牡丹図鐔植物の一部、花弁などを透かしで表現した作品は多々ある。これもその例で葉の一部を透かし、花は金の平象嵌による線描写と毛彫を組み合わせている。ぱっと見た印象では、下地が赤銅であるため、透かされた葉が強く視覚に映り、蝶が舞っているかのように感じられる。それは意図してのものかは不明だが、牡丹と蝶の組み合わせは画題として多いことから、筆者の感覚のものだけではないかもしれない。牡丹図鐔Tsuba

  • 桜花文図鐔 神吉 Kamiyoshi Tsuba

    桜花文図鐔神吉桜花文図鐔神吉このような華やかな表現からなる鐔が肥後に伝統的にある。創始は林又七と考えられている。初期には、下写真のように地面を活かした構成であったが、次第に濃密な透かしを加えるようになった。ここに紹介しているのは、いずれも江戸時代後期の深信や楽寿など神吉派。「霞桜」ともいわれるように、春霞に桜花が滲んで見えているような、そんな視覚的効果を求めたもの。毛彫を加えた桜花を地に陽に活かし、その周りを花弁のように透かし去り、四方に猪目を透かし、さらに糸透で耳際に細い筋を透かしている。金布目象嵌はあるものとないものがあるも、これも霞だろうか。春霞などといえば風情もあるが、春は黄砂、杉花粉が飛散する季節。杉花粉に滲む木漏れ日などは、花粉症の方には申し訳ないがすごく綺麗だ。筆者は、この鐔に施されたすべての処理...桜花文図鐔神吉KamiyoshiTsuba

  • 源氏車に夕顔図鐔 赤文 Sekibun Tsuba

    源氏車に夕顔図鐔赤文源氏車に夕顔図鐔赤文『源氏物語』の夕顔の場面を文様表現したものであろうか。櫃穴部分を源氏車に意匠して透かしているところが面白い。だがさらに面白いことに、車にカマキリを添え描いている。カマキリがあると、意味がずいぶん異なってくる(下写真)。「蟷螂の斧」の語があるように、カマキリは巨大な相手(車など)にも自らの手(鎌)を振り上げて向かってゆく。自らの能力を考えることなく無暗に歯向かうことを意味する。この赤文の鐔にはそのような意味も含まれているのであろうか、それとも夏の風景としてカマキリを添えたのであろうか。車に蟷螂図鍔赤坂源氏車に夕顔図鐔赤文SekibunTsuba

  • 源氏車に桜図鐔 Tsuba

    源氏車に桜図鐔源氏車に桜図鐔野に打ち捨てられたような車に桜が舞い散っているのであろうか、洒落た構成の鐔。車だけでも文様の題材とされていることは、平安時代の片輪車文手箱などで遍く知られている。車は高貴な人々の利用する牛車(源氏車)といった印象がある。例えば牛車に夕顔の絡んでいる図は『源氏物語』を思い浮かべる。古い瓦に桜の花が散りかかっている図なども雅な風情があり、それに通じる趣を楽しんだものであろうか。源氏車に桜図鐔Tsuba

  • 水車図鐔 明珎宗輝 Muneteru Tsuba

    水車図鐔明珎宗輝水車図鐔明珎宗輝造り込み、耳の打返し、地面の表情、表現の主体であるところの文様美、全てにおいて信家を手本とした鐔。地面には川の流れを毛彫で表現し、水車と関連付けている。そもそも信家の鐔には、図柄とは無関係に地面に文様を打ち込んだ作が多い。亀甲文や花文などがその例。この鐔では、信家を手本にしながら、透かしとの組み合わせで鄙びた風景を描き出したようだ。下の鐔も同じ意味合いから製作された信家写し。水辺の植物が毛彫で表されており、捨て置かれたような瓢が印象的。水車図鐔宗長水車図鐔明珎宗輝MuneteruTsuba

  • 車透図鐔 長曽祢才市 Saiichi Tsuba

    車透図鐔長曽祢才市車透図鐔長曽祢才市水の流れに車。水車小屋に違いない。ここまで簡略化し、しかも陰の透かしで表現しているとは…。唐草と野菊のような植物が金布目象嵌で添えられているところが説明的だ。でも、表と裏で印象が異なるのはなぜなんだろう。一方は唐草、一方は野菊。その違いだけなんだが。面白いところだ。車透図鐔長曽祢才市SaiichiTsuba

  • 破れ扇図鐔 阿波正阿弥 Shoami Tsuba

    破れ扇図鐔阿波正阿弥破れ扇図鐔阿波正阿弥川面に落ちた扇は、その流れによって次第に破れてゆく。儚い、言わば瞬間の美なのだが、それを絵画によって別の美しさに変質させた。着物の文様にも採られていることから良く知られている図で、鐔にもままみられる。殊に透かしとの組み合わせからなるこの図は独特の空間を創出して魅力的だ。この鐔では、扇の上部が水に侵食されているようでもあり、あるいは骨だけになったものか、とすれば下は骨からはずれた地紙か。背景には水草が金布目象嵌で文様描写されている。そんな説明は不要ですと言われるかもしれない。陰に透かされた扇が際立っている。江戸時代の京の正阿弥派、この流れを汲む阿波正阿弥などが得意とした表現方法である。近江八景図鐔京正阿弥風景を陽に表してその周囲を透かし去る手法はままみられる。透かしだけでは...破れ扇図鐔阿波正阿弥ShoamiTsuba

  • 地紙散図大小鐔 伊藤正乗 Seijo Tsuba

    地紙散図大小鐔伊藤正乗地紙散図大小鐔伊藤正乗これも素敵な意匠の鐔。扇や団扇の絵が描かれている部分の紙片を地紙という。これを屏風や襖に散らし配して文様とした。地紙散しという。さらにそのように表現された屏風を鐔の意匠としたものであろう。高彫に金布目象嵌が活きている。雪輪文を透かして印象を高め、さらに下方に屏風の縁を想わせる屈折した線を透かしている。これがまた印象的である。ゆったりとした穏やかな雪輪模様の高彫処理も素敵だ。文様に加えられた透かしの効果が見事に活かされた作品である。地紙散図大小鐔伊藤正乗SeijoTsuba

  • 歳寒三友図鐔 正阿弥重春 Shigeharu Tsuba

    歳寒三友図鐔正阿弥重春歳寒三友図鐔正阿弥重春文様と透かしを組み合わせた鐔を紹介している。松竹に梅を加えて歳寒三友、あるいは松竹梅でお目出たい図柄とされるが、ここでは梅を酢漿草紋に代えている。この鐔の所有者の家の家紋であろう。これらを素銅地に高彫赤銅色絵としており、これだけでも巧みに構成された絵になっているのだが、櫃穴に雪輪を意匠して季節が冬ということの印象を高めている。歳寒三友とはまさに冬に存在感を示す植物が題材。雪そのものを描き加えるのではないところがいい。歳寒三友図鐔正阿弥重春ShigeharuTsuba

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