「おまえの計画は失敗したらしいな」 圭抄が何の報告をしにきたのか、男はすでに知っているようだ。 「群雨なら、やってくれると思ったのですが・・・」 「なぜ断られた?」 「さあ・・・。 彼の考えが、僕にはわかりませんでした。 でも彼の性格なら、花と近衛明成の名を出せば絶対にやるはずなんです。 なのに・・・」 −−− やめておこう。 何を考えているのか全く読め…
コダワリ派女の面倒くさい日常のくだらない話と主にpixivに掲載中の自作妄想小説の解説や進捗状況なんかを日々つらつらと書き殴っています。
「現代、口を開けなさい」 食卓から何かを手にした明成が現代に静かに命ずる。 その瞳が優しげに細められているところがまたさらに恐怖心を煽る。 「い、嫌だ・・・っ。 俺は納得がいかない! それに御影もいるんだ、おい、離せっ。 大体俺は、負傷した馬が玄関先で待ち伏してたなんて状況に出くわしたことはないっ。 それに、いつも俺たちのことを猫だの狐だの鹿だの言っておいて、 …
「彼・・・おっと、ご主人様は現在お食事中です」 わざとらしくご主人様などと言い直して羽角が答える。 「はあ? 人をこんな場所に幽閉して自分は呑気に食事だと?」 諦めたような冷めた顔をしているが、現代の口調はとても忌々しげだ。 黄金の花である現代もまた、玲良と同様にこのような目に遭うのは初めてではないのだろう。 「彼の食事は決して呑気ではありませんよ、とても神経…
人間の男は感情のこもらない声で言った。 その声を聞いた途端、零陵の足が一歩、そしてまた一歩と無意識に後ずさる。 「・・・どうして・・・あんたが・・・もう、ハンターは辞めたんじゃ・・・」 顔が青ざめ、声も勝手に震えてしまう。 「招集がかかった。 悪戯狐たちの悪さが止まらないから手を貸してくれと。 先日から現役の妖魔ハンターたちが必死で守っていた村もついに攻め落と…
「今月も俺の勝ちだな」 会社のリフレッシュルーム。 腕組みをして はつきがやってくるのを待ち構えていた同僚の祥(しょう)が薄く笑って言った。 身長差があるため、睨むとどうしても見上げる形になってしまうのも腹が立つ。 ちなみに祥は、はつきの幼馴染でもある。 「ぐ・・・っ、今月こそは絶対に負けないと思ってたのに! てか、一番でかい取引先が改装工事で休業してんのにどう…
こんなことになるくらいならば、最初から粉砕して海に撒き散らし、 魚の餌にでもしてやればよかったと激しく後悔している。 「尊彦。 おまえはすでに気が付いているはずだ、自分が何者であるかを。 だから目を抉った。 しかし、そんなことをしても無駄だ。 おまえには平穏など許されない」 「はあ・・・あんたも大概執念深い男だな。 昔、あんたの使い魔にちょっかいかけたことをまだ…
しかし、今日に関しては何かが少しおかしい。 気分は落ち着いているし、仕事も普段通り問題なく捗ったが、何かいまいち調子が出ない。 とくにどこかが痛むわけでもないが、なんとなく息苦しさを感じる。 我ながら珍しい感覚だ。 「それを人は不調というんだ」 突如背後から聞こえてきた冷えた声に、明成はほんの一瞬だけ身を固くした。 この書斎兼仕事部屋の入口は、今明成が向かってい…
「嘘つきペナルティ」 「いッ!?」 慎重に一定の距離を保ちながら話す尊彦の言葉を途中で遮って男が放った一言は、 尊彦を瞬時にして硬直させる威力があった。 「はあっ、尊彦。 この私につまらない嘘をついたらどうなるか・・・ この世で、きみが最もよく理解していることだと思っていたが、片目を失ったら、 そのことも忘れてしまったか?」 わざとらしく溜息をつきながら探る…
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「おまえの計画は失敗したらしいな」 圭抄が何の報告をしにきたのか、男はすでに知っているようだ。 「群雨なら、やってくれると思ったのですが・・・」 「なぜ断られた?」 「さあ・・・。 彼の考えが、僕にはわかりませんでした。 でも彼の性格なら、花と近衛明成の名を出せば絶対にやるはずなんです。 なのに・・・」 −−− やめておこう。 何を考えているのか全く読め…
クリスマスパーティという名の食事会が始まり、 明成がかけたBGMは、自らが演奏したチェンバロを録音したもののようだった。 この家の中で何度も聞いたことのある曲ばかりだったため、現代にもすぐにわかった。 何から何まで自分の手で皆をもてなしたいのだろう。 それにしても安心する味だ。 早瀬のパンも、ガード下の蕎麦屋も美味いが、やはり今は明成の料理が一番口に合う。 本当はこの…
�@基本データ 名前:青海早瀬(おうみはやせ) 年齢:34歳 体型:長身、均整の取れたやや細身の身体 血液型:A型 初登場:無明ヶ丘熱帯魚シリーズ�@モノクロームの熱帯魚 代表作:無明ヶ丘熱帯魚シリーズ�A恋歌はエーゲに吹く風の如く 特記事項:少林寺拳法黒帯 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む)
�@基本データ 名前:絹澤巽(きぬさわたつみ) 年齢:43歳 体型:中肉中背の痩せ型 血液型:A型 初登場:グリーンアンバー 代表作:椅子とヒュッゲな友人 特記事項:明成さんの大親友 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 ★top 脩 ☆bottom 明成 --…
�@基本データ 名前:逢沢馨(あいざわけい) 年齢:35歳(本来陰陽師がいたころの人間なのであくまで肉体年齢) 体型:高身長で鍛え抜かれた強靭な肉体 血液型:A型 初登場: 勾玉の契-ギョクのちぎり- 代表作: 勾玉の契-ギョクのちぎり- 特記事項:陰陽師の家系(ただし本家ではなく分家) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A…
「仕事帰りだったのか。 ということは、連絡をよこしてくれたときはまだ会社にいたのか」 部屋の中に入るよう手で指示しながら、高階はスーツ姿の廿楽を見て言う。 「うちの秘書に説教されてね」 騙しの効かない視線に肩をすくめて言うと、短く「そうか」とだけ返ってきた。 しかしこういう対応の仕方は嫌いではない。 お陰で本題に入りやすくなった。 小さな深呼吸をひとつして、実は…
�@基本データ 名前:廿楽瑞貴(つづらみずき) 年齢:33歳 体型:中肉中背の痩せ型 血液型:AB型 初登場:無明ヶ丘熱帯魚シリーズ�@モノクロームの熱帯魚 代表作:仔ぎつねはいつも嵌められる ほか 特記事項:過去世で紫威に名前を付けた ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあく…
�@基本データ 名前:黒鶫一史(くろつぐみいつし) 年齢:27歳 体型:高身長、細身 血液型:B型 初登場:“ブルーダイヤ”(宝石シリーズ�@) 代表作:黒曜石の瞳 特記事項:明成の過去世の息子本人で魔物とのクォーター ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断で…
�@基本データ 名前:瀬音御影(せおみかげ) 年齢:31歳 体型:中肉中背の範囲でやや痩せ型 血液型:A型 初登場:無明ヶ丘ガード下シリーズ�A氷水晶編 代表作:仔鹿はキッシュに翻弄される 特記事項:医師の免状保有 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 …
少しずつ意識が霞み始める中、志信が本当に最後の手段として、 生存維持用に温存していたエネルギーのリミッターを解除しようとした まさにそのとき、 またシュンッ、シュンッという独特の銃声が二発聞えた。 「グッ!?」 直後、志信の目の前の王がうめき声をあげ、その頭部の中心に小さな穴が開いていることに気付く。 「明成!?」 どうやら明成が再び黄泉の銃で王を撃ったようだ…
「それはそうと、明成。 ついさっきあちらで面白い話を耳にしてきた」 「なんだ。 あなたの言う面白いは、大抵全く笑えな・・」 「志信が王になることをやめたらしい」 ・・・ほら、やっぱり。 明成は視線で文明に話の続きを促した。 あまり聞きたくないが、しかし聞かないわけにはいかないだろう。 「神門就任への目処は立ったみたいだが、本人は最初それすら拒否したという話だ。 …
�@基本データ 名前:郡雨志信(むらさめしのぶ) 年齢:45歳 体型:高身長、着痩せ型の筋肉質(※鍛錬によるもの) 血液型:A型 初登場:予め手放された財産 代表作:藍の花 特記事項:裁きの王、藍の花(あいのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です…
�@基本データ 名前:近衛文明(このえふみあき) 年齢:47歳 体型:高身長、超着痩せ型のしっかりと鍛え抜かれた筋肉質な身体 血液型:O型 初登場:八重の芥子 代表作:シリウスの復讐 ほか 特記事項:闇の王(赤い花の王) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断…
�@基本データ 名前:近衛明成(このえめいせい) 年齢:43歳 体型:高身長、着痩せ型のしなやかな筋肉質、やや日本人離れしたスタイル 血液型:B型 初登場:“シナモンパイライト”(宝石シリーズ�B) 代表作:Karma-約束の時間- ほか 特記事項:光の王 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む)…
少しすると明成は香りの良いハーブティを持ってきた。 目の前で透明なガラスのカップに注がれる。 最後に垂らしたのははちみつのようだ。 慣れた手つきから、日ごろからこうしてティータイムの習慣があることがわかる。 とてつもなくまめな男だ。 一体いつ仕事をしているのか心底謎だ。 「というか、あなたはあれから自分が三日三晩高熱で寝込んでいたことは知っているのか?」 正面の一…
�@基本データ 名前:鴻月静思(こうづきせいし) 年齢:35歳 体型:平均的身長、痩せ型 血液型:AB型 初登場:花は赤いルージュで色付く 代表作:深海の王 特記事項:青銅の花(どうのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 ★top 董/羽角/現代…
�@基本データ 名前:眞塩玲良(ましおあきら) 年齢:33歳 体型:平均的身長、痩せ型 血液型:AB型 初登場:Frühling-春- 代表作:花は赤いルージュで色付く ほか 特記事項:白銀の花(ぎんのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 ★top 一史 …
�@基本データ 名前:高階現代(たかしなげんだい) 年齢:29歳 体型:やや低身長(成人男性の平均枠内)かなり痩せ型、華奢 血液型:B型 初登場:無明ヶ丘ガード下シリーズ�@茶屋編 代表作:八重の芥子 ほか 特記事項:黄金の花(きんのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBは…
文明の言葉を険しく神妙な顔で聞いていた志信が、少し躊躇いがちに口を開く。 「・・・これは、先日会った こちらにいる私の師が言っていたことだが・・・。 この惑星には各世界を守り統べる王の存在が必要で、 そして、その王たちには花の力と癒しが欠かせないものなのだと。 だから花はいつの時代も王を探し求め、そして王は自らの花を見定め…
「苦戦しているようだな」 カウンタの奥からボルドーの瞳をしたオーナーソムリエが姿を現す。 その口調はどこかほんのりと楽しげに聞こえる。 紫威(むらさき)という名で、かなり高次元の魔物だ。 「紫威・・・。 なぜ文明は、この指輪を渡せと言わないんだ・・・」 組んだ両手から顔を上げずに問うと、 紫威は項垂れる志信の目の前に濃い赤紫が揺れるワイングラスを置いて言った。 …
「では、桜乃くんは私と設定の認識合わせをしておこうか」 「はい」 モヒートをもう一口飲んで、公央(きみちか)は頷いた。 「今回の上司と部下の設定は、これにも記載のとおり、もともと恋人未満の微妙な関係だ。 もちろんこの部分は、作品とともに掲載される文章で少し書かれるだけで、 実際に撮影するストーリーの内容には含まれない。 ただ、ごく普通の部下ではなく、そうい…
「どうした?」 ん? と問いながら耳たぶを甘噛みされ、そこから全身に甘ったるい痺れが広がっていく。 「うぅ・・・あなたは、昔から意地が悪すぎるんですよ・・・っ」 「表面を取り繕い本性を隠して相手の懐に入るのは簡単だが、 これから長く付き合っていこうと思う相手にそんなことをしても意味がないだろう。 互いに本性を見せ合い本音で語らなければ本物の信頼関係など築けな…
「すごいな、やはりきみのセンスも独特で素晴らしい。 きみはどちらかというと、洗練されたシャープな印象のものが好きなんだな」 動きやすいラフな服装でやってきた近衛はどこか無邪気な瞳で倉庫の中を見渡している。 ほとんど全身ジャージのような格好なのに、それでも品のある紳士にしか見えないから憎たらしい。 所詮住む世界の違う人間だとはわかっているが、 同じ男として、どこか…
「それはそうと、明成、おまえは気が付いていたか? 現代の中の あのパンドラの箱・・・。 あれが、本人の強い自己暗示だけで鎖されていたわけではないことに」 「・・・いや」 またもやほんのりと意地の悪い笑みを浮かべて問われ、明成はうんざりしながら首を横に振った。 「というか、そもそもわからない単語が多すぎる。 地下組織のグループに、オークションに、プレートに、…
「さあ、今日は僕の奢りです。 どんどん食べてジャンジャン飲んでくださいね!」 両手に花というのは本当に気分がいい。 どちらもかなり個性的な花だが、しかしとても美しいということには変わりがない。 一史はご機嫌な調子で、両隣を交互に見ながらにっこりと笑って言った。 しかし。 「嫌だ、奢りなんてお断りだよ」 「私も結構」 ・・・。 「せっかくセッティングしたのに、二…
「この店の前を通るたびにこのことばかり考えてしまって、辛くなるんだよっ。 もしかしたら、あの部屋に行けば何か解決法がわかるかもしれないって思ったけど、 でもあんた、あの部屋はもう使うなって言ったし・・・」 「ああ、約束させておいて正解だったと今改めて実感していたところだ」 「・・・そ、そういうわけだから、最後にあんたの料理が食えてよかったよ。 まだスタッフ…
ナイジェルがほんの一瞬、視線だけで退路を確認した瞬間、ズキッと右腕の古傷が痛んだ。 「暴れないほうがいい」 静かな声とともに腕を軽く捻りあげられて、思わず本気の悲鳴が口から零れてしまった。 「あ゛ッ、つ・・・ぅ」 「待てッ、崇嗣(たかつづ)! 右腕はやめてやってくれ、彼は・・・ナイジェルは、俺の・・・友人だ」 友人・・・? はっきりとそう言われ、心の奥底では…