「おまえの計画は失敗したらしいな」 圭抄が何の報告をしにきたのか、男はすでに知っているようだ。 「群雨なら、やってくれると思ったのですが・・・」 「なぜ断られた?」 「さあ・・・。 彼の考えが、僕にはわかりませんでした。 でも彼の性格なら、花と近衛明成の名を出せば絶対にやるはずなんです。 なのに・・・」 −−− やめておこう。 何を考えているのか全く読め…
コダワリ派女の面倒くさい日常のくだらない話と主にpixivに掲載中の自作妄想小説の解説や進捗状況なんかを日々つらつらと書き殴っています。
「ねえ、もしかしてあの子に何か言った?」 海鮮の黒胡椒炒めを食べながら親良はカウンタの中の知郎に声をかける。 「ラストオーダーもとっくに終わった閉店間際に来る非常識な客とは喋りたくねえ」 「仕方ないでしょ、僕も自分の店を閉めてから来てるんだもん。 ここ数日、ぱったりと姿を見なくなったんだよねえ、あの子・・・。 少し前にお店掃除してたから、良い兆候だなあと思…
指示された場所にいくつか封筒とチラシを置くと、楠瀬はぐるりと店内を見渡して言った。 「チッ、うるさいな・・・。 あんたに関係ないだろ、用が済んだならもう行けよ」 「関係ないことはないよ、うちも同じビルで飲食店をやっているんだ。 虫やねずみがいたら死活問題なんだよ、わかってる?」 「なんなのあんた、なら大家に言えよ。 あんたじゃなく、大家に言われりゃ出て行くよ」 …
気に入りの高級ブランドのノベルティでついてきて気に入っていたが、 つい最近どこかで落として失くしてしまったものにそっくりだ。 というか、おそらくこれはそのキーホルダーだ。 「・・・どこで拾ったか知りたいか?」 再び椅子にゆったりとかけ直し、男は意味深に笑った。 なんだろうか、この妙な余裕は・・・。 「406号室」 「!?」 その部屋番号は忘れたくても忘れらるれは…
「いやあ、やっぱりここのお風呂は気持ちいいですねえ」 「・・・榊さん、しばらく見なかったけど、忙しかったの?」 「そうなんですよ。 ちょっとバタバタしてて・・・ほら、前に話した相棒のこと、覚えてます?」 「あー、アメリカ人のビジネスパートナー?」 「そう。 彼が急に出て行くことになって、それで一時期テンテコマイになっちゃって。 お店の運営も危機的状況で、もうお風呂…
「・・・パーティでもするのか?」 「あ、お久しぶりです、玲良さん・・・って、パーティなんかしませんよ。 この家では、朝は基本的に全員集合、夜は家にいる人が揃って食事を摂るルールなんです。 ていうか、組織の重鎮というのも大変ですね。 僕の見張りの次は、真冬の無明ヶ丘をパトロールですか? 小さいとはいえ、あんなにたくさんの生傷まで作って、まったくご苦労なことで…
紙袋を開けて中を覗くと、いくつかのパンが入っていた。 ふわりと小麦の香りがする。 「なんだこれ。 これ、おまえんとこのバーガーのバンズじゃねえのか」 「そうです、試作なんです。 その・・・昨日もらったエビチリ、あれが美味しすぎて」 「あんなもん、まかないだろ」 「いえ、そうじゃなくて・・・その、えっと・・・あれで、エビチリバーガー作ったら絶対に美味しいと。 もち…
��コルシカの悪魔�≠ナ久しぶりに友人たちと過ごした夜から数日後、その事件は起こった。 いつもより少し早めに自分の店に向かった知郎は、 相変わらず人の店の前にまで長蛇の列を作る、バーガーショップ��満月�≠フ人気ぶりに、 うんざりするような嫌気がさしていた。 しかし、よく見ると何やら様子がおかしい。 「ああっ、��錦�≠フ柁野(かじの)さんっっ!!」 血相を変え、慌てふため…
パシンッ!! 乾いた音が静かな部屋に響き渡る。 文明の左の頬を打った、玲良の右手の手のひらがじんじんと熱く痺れている。 「・・・」 思い切り叩かれ、わずかに右を向いたまま少しも表情を変えない文明を、 玲良は大量の涙を瞳いっぱいに溜めたまま、強く睨みつけた。 王相手にこんなことをして、ただでは済まないことくらいわかっている。 だが、殺すのなら殺せばいいと開き直っ…
「不眠不休で昼夜研究に明け暮れる変わった男だと聞いていたから、 てっきりもっと小汚い場所と男を想像していたが・・・」 「ッ!?」 あまりに驚いて、その場から飛び退く。 一体どこから侵入したのか、 全身真っ黒の服を着た、見たこともない男が壁のキャビネットに背を預け、腕を組んで立っていた。 ごくり、と唾を飲む。 そこにいるはずなのに気配がしない・・・。 この男…
「コホン・・・。で、何か買って帰るものは?」 その台詞に明成は苦笑する。 なるほど、現代は最初からそれを聞きたかったらしい。 わざわざこのようなまわりくどい話から始めずに、ストレートに聞けばいいものを。 しかしそこがまた妙に律儀な現代らしいといえば現代らしい。 「とくにないが・・・きみ、アポが入っているんじゃなかったのか」 「ああ、夕方だ。 煙草と薬を切らしてるか…
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「おまえの計画は失敗したらしいな」 圭抄が何の報告をしにきたのか、男はすでに知っているようだ。 「群雨なら、やってくれると思ったのですが・・・」 「なぜ断られた?」 「さあ・・・。 彼の考えが、僕にはわかりませんでした。 でも彼の性格なら、花と近衛明成の名を出せば絶対にやるはずなんです。 なのに・・・」 −−− やめておこう。 何を考えているのか全く読め…
クリスマスパーティという名の食事会が始まり、 明成がかけたBGMは、自らが演奏したチェンバロを録音したもののようだった。 この家の中で何度も聞いたことのある曲ばかりだったため、現代にもすぐにわかった。 何から何まで自分の手で皆をもてなしたいのだろう。 それにしても安心する味だ。 早瀬のパンも、ガード下の蕎麦屋も美味いが、やはり今は明成の料理が一番口に合う。 本当はこの…
�@基本データ 名前:青海早瀬(おうみはやせ) 年齢:34歳 体型:長身、均整の取れたやや細身の身体 血液型:A型 初登場:無明ヶ丘熱帯魚シリーズ�@モノクロームの熱帯魚 代表作:無明ヶ丘熱帯魚シリーズ�A恋歌はエーゲに吹く風の如く 特記事項:少林寺拳法黒帯 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む)
�@基本データ 名前:絹澤巽(きぬさわたつみ) 年齢:43歳 体型:中肉中背の痩せ型 血液型:A型 初登場:グリーンアンバー 代表作:椅子とヒュッゲな友人 特記事項:明成さんの大親友 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 ★top 脩 ☆bottom 明成 --…
�@基本データ 名前:逢沢馨(あいざわけい) 年齢:35歳(本来陰陽師がいたころの人間なのであくまで肉体年齢) 体型:高身長で鍛え抜かれた強靭な肉体 血液型:A型 初登場: 勾玉の契-ギョクのちぎり- 代表作: 勾玉の契-ギョクのちぎり- 特記事項:陰陽師の家系(ただし本家ではなく分家) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A…
「仕事帰りだったのか。 ということは、連絡をよこしてくれたときはまだ会社にいたのか」 部屋の中に入るよう手で指示しながら、高階はスーツ姿の廿楽を見て言う。 「うちの秘書に説教されてね」 騙しの効かない視線に肩をすくめて言うと、短く「そうか」とだけ返ってきた。 しかしこういう対応の仕方は嫌いではない。 お陰で本題に入りやすくなった。 小さな深呼吸をひとつして、実は…
�@基本データ 名前:廿楽瑞貴(つづらみずき) 年齢:33歳 体型:中肉中背の痩せ型 血液型:AB型 初登場:無明ヶ丘熱帯魚シリーズ�@モノクロームの熱帯魚 代表作:仔ぎつねはいつも嵌められる ほか 特記事項:過去世で紫威に名前を付けた ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあく…
�@基本データ 名前:黒鶫一史(くろつぐみいつし) 年齢:27歳 体型:高身長、細身 血液型:B型 初登場:“ブルーダイヤ”(宝石シリーズ�@) 代表作:黒曜石の瞳 特記事項:明成の過去世の息子本人で魔物とのクォーター ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断で…
�@基本データ 名前:瀬音御影(せおみかげ) 年齢:31歳 体型:中肉中背の範囲でやや痩せ型 血液型:A型 初登場:無明ヶ丘ガード下シリーズ�A氷水晶編 代表作:仔鹿はキッシュに翻弄される 特記事項:医師の免状保有 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 …
少しずつ意識が霞み始める中、志信が本当に最後の手段として、 生存維持用に温存していたエネルギーのリミッターを解除しようとした まさにそのとき、 またシュンッ、シュンッという独特の銃声が二発聞えた。 「グッ!?」 直後、志信の目の前の王がうめき声をあげ、その頭部の中心に小さな穴が開いていることに気付く。 「明成!?」 どうやら明成が再び黄泉の銃で王を撃ったようだ…
「それはそうと、明成。 ついさっきあちらで面白い話を耳にしてきた」 「なんだ。 あなたの言う面白いは、大抵全く笑えな・・」 「志信が王になることをやめたらしい」 ・・・ほら、やっぱり。 明成は視線で文明に話の続きを促した。 あまり聞きたくないが、しかし聞かないわけにはいかないだろう。 「神門就任への目処は立ったみたいだが、本人は最初それすら拒否したという話だ。 …
�@基本データ 名前:郡雨志信(むらさめしのぶ) 年齢:45歳 体型:高身長、着痩せ型の筋肉質(※鍛錬によるもの) 血液型:A型 初登場:予め手放された財産 代表作:藍の花 特記事項:裁きの王、藍の花(あいのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です…
�@基本データ 名前:近衛文明(このえふみあき) 年齢:47歳 体型:高身長、超着痩せ型のしっかりと鍛え抜かれた筋肉質な身体 血液型:O型 初登場:八重の芥子 代表作:シリウスの復讐 ほか 特記事項:闇の王(赤い花の王) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断…
�@基本データ 名前:近衛明成(このえめいせい) 年齢:43歳 体型:高身長、着痩せ型のしなやかな筋肉質、やや日本人離れしたスタイル 血液型:B型 初登場:“シナモンパイライト”(宝石シリーズ�B) 代表作:Karma-約束の時間- ほか 特記事項:光の王 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む)…
少しすると明成は香りの良いハーブティを持ってきた。 目の前で透明なガラスのカップに注がれる。 最後に垂らしたのははちみつのようだ。 慣れた手つきから、日ごろからこうしてティータイムの習慣があることがわかる。 とてつもなくまめな男だ。 一体いつ仕事をしているのか心底謎だ。 「というか、あなたはあれから自分が三日三晩高熱で寝込んでいたことは知っているのか?」 正面の一…
�@基本データ 名前:鴻月静思(こうづきせいし) 年齢:35歳 体型:平均的身長、痩せ型 血液型:AB型 初登場:花は赤いルージュで色付く 代表作:深海の王 特記事項:青銅の花(どうのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 ★top 董/羽角/現代…
�@基本データ 名前:眞塩玲良(ましおあきら) 年齢:33歳 体型:平均的身長、痩せ型 血液型:AB型 初登場:Frühling-春- 代表作:花は赤いルージュで色付く ほか 特記事項:白銀の花(ぎんのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 ★top 一史 …
�@基本データ 名前:高階現代(たかしなげんだい) 年齢:29歳 体型:やや低身長(成人男性の平均枠内)かなり痩せ型、華奢 血液型:B型 初登場:無明ヶ丘ガード下シリーズ�@茶屋編 代表作:八重の芥子 ほか 特記事項:黄金の花(きんのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBは…
文明の言葉を険しく神妙な顔で聞いていた志信が、少し躊躇いがちに口を開く。 「・・・これは、先日会った こちらにいる私の師が言っていたことだが・・・。 この惑星には各世界を守り統べる王の存在が必要で、 そして、その王たちには花の力と癒しが欠かせないものなのだと。 だから花はいつの時代も王を探し求め、そして王は自らの花を見定め…
「苦戦しているようだな」 カウンタの奥からボルドーの瞳をしたオーナーソムリエが姿を現す。 その口調はどこかほんのりと楽しげに聞こえる。 紫威(むらさき)という名で、かなり高次元の魔物だ。 「紫威・・・。 なぜ文明は、この指輪を渡せと言わないんだ・・・」 組んだ両手から顔を上げずに問うと、 紫威は項垂れる志信の目の前に濃い赤紫が揺れるワイングラスを置いて言った。 …
「では、桜乃くんは私と設定の認識合わせをしておこうか」 「はい」 モヒートをもう一口飲んで、公央(きみちか)は頷いた。 「今回の上司と部下の設定は、これにも記載のとおり、もともと恋人未満の微妙な関係だ。 もちろんこの部分は、作品とともに掲載される文章で少し書かれるだけで、 実際に撮影するストーリーの内容には含まれない。 ただ、ごく普通の部下ではなく、そうい…
「どうした?」 ん? と問いながら耳たぶを甘噛みされ、そこから全身に甘ったるい痺れが広がっていく。 「うぅ・・・あなたは、昔から意地が悪すぎるんですよ・・・っ」 「表面を取り繕い本性を隠して相手の懐に入るのは簡単だが、 これから長く付き合っていこうと思う相手にそんなことをしても意味がないだろう。 互いに本性を見せ合い本音で語らなければ本物の信頼関係など築けな…
「すごいな、やはりきみのセンスも独特で素晴らしい。 きみはどちらかというと、洗練されたシャープな印象のものが好きなんだな」 動きやすいラフな服装でやってきた近衛はどこか無邪気な瞳で倉庫の中を見渡している。 ほとんど全身ジャージのような格好なのに、それでも品のある紳士にしか見えないから憎たらしい。 所詮住む世界の違う人間だとはわかっているが、 同じ男として、どこか…
「それはそうと、明成、おまえは気が付いていたか? 現代の中の あのパンドラの箱・・・。 あれが、本人の強い自己暗示だけで鎖されていたわけではないことに」 「・・・いや」 またもやほんのりと意地の悪い笑みを浮かべて問われ、明成はうんざりしながら首を横に振った。 「というか、そもそもわからない単語が多すぎる。 地下組織のグループに、オークションに、プレートに、…
「さあ、今日は僕の奢りです。 どんどん食べてジャンジャン飲んでくださいね!」 両手に花というのは本当に気分がいい。 どちらもかなり個性的な花だが、しかしとても美しいということには変わりがない。 一史はご機嫌な調子で、両隣を交互に見ながらにっこりと笑って言った。 しかし。 「嫌だ、奢りなんてお断りだよ」 「私も結構」 ・・・。 「せっかくセッティングしたのに、二…
「この店の前を通るたびにこのことばかり考えてしまって、辛くなるんだよっ。 もしかしたら、あの部屋に行けば何か解決法がわかるかもしれないって思ったけど、 でもあんた、あの部屋はもう使うなって言ったし・・・」 「ああ、約束させておいて正解だったと今改めて実感していたところだ」 「・・・そ、そういうわけだから、最後にあんたの料理が食えてよかったよ。 まだスタッフ…
ナイジェルがほんの一瞬、視線だけで退路を確認した瞬間、ズキッと右腕の古傷が痛んだ。 「暴れないほうがいい」 静かな声とともに腕を軽く捻りあげられて、思わず本気の悲鳴が口から零れてしまった。 「あ゛ッ、つ・・・ぅ」 「待てッ、崇嗣(たかつづ)! 右腕はやめてやってくれ、彼は・・・ナイジェルは、俺の・・・友人だ」 友人・・・? はっきりとそう言われ、心の奥底では…